スピカとカヤの審神者交流会4(*刀剣乱舞ネタです)
□月△日
もうすぐ2ヶ月。ようやく念願の蛍丸がやってきた。明石はもちろん、遠征から戻った愛染も蛍丸の顕現にとても喜んでいた。
後は鶴丸国永だけ。じじいと狐は諦める。
□月□日
カヤに教えてもらったオール890の鶴丸レシピを実践した。でも今日も鶴丸は来ない。
□月◎日
つーるよこーい…はーやくこーい…。
□月☆日
鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴丸鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴鶴
「こえぇぇわぁぁぁーーーーーー!!!??」
ノート一面に書かれた文字に、カヤは立ち上がって日記を壁に叩きつけるように投げ捨てた。
「あら、私の思いを書き溜めただけなのに…」
「もはやこれは呪いだ! 『思い』じゃなくて『重い』だ! どれだけ鶴丸国永に飢えているんだあんたはぁ!?」
「まんばの言うとおりだ! ここまで病んでたらビックリじじいが来たくても来ないわ!」
「そんなものなのかしら…」
「「そんなものだっ!」」
首を傾げるスピカに、二人は揃って断言した。
◎月〇日
とうとう鍛刀で3時間20分が来た。ようやく鶴丸かと《手伝い札》を使って確認したら、『江雪左文字』だった。
兄さんの登場に小夜は喜んでいたが、私は四つん這いで絶望を味わっていた。背後からの宗三左文字の目が痛かった。
「酷いなあんたぁ!!! 江雪と言えばレア太刀の中で最強の刀だぞ!?」
レア刀が来たというのにとんでもない扱いをするスピカに、思わずカヤがツッコミを入れる。そんな彼に、スピカは困ったように弁解を始める。
「当時はそんな事も、左文字兄弟の長男って事も知らなかったのよ。私、鶴以外に興味なかったから」
「それでも酷いぞ…弟達に謝れ」
「もう謝ったわ」
少なくとも、何か一悶着あったのだろう。遠い目を浮かべて山姥切に断言した。
◎月×日
審神者もだいぶ慣れてきた。そろそろ代理の事も考えようと思い、一日だけクウに任せてみた。私と同じで戦い好きだし人辺りも良い、何よりとっさの判断力もある。個人的には大倶利伽羅と仲良くなれる筈だ。
一日だけ本丸を開けて帰ってきたら、やけに騒がしく陸奥守が慌てて出迎えた。理由はすぐに分かった。なぜか手合せを行う稽古場で二人とも拳で喧嘩していたのだ。
話を聞いて見るとお互い意地っ張りな部分が表に出て衝突し、収集がつかないまま喧嘩を始めたらしい。クウは大怪我しても問題ないとして、刀剣男子である大倶利伽羅は手入れをする以外傷を治す事は出来ない。このまま重傷となって折られてしまうのも時間の問題になる。
とにかく殴り合う二人を一喝して止めさせ、本丸の庭で二人正座で並べて説教した。その後『冬の庭』に変えて、二人を雪の中一晩置き去りにして頭を冷やさせた。
「…そうか、その手があったか…いや、あいつらを雪山に一晩正座させても絶対無理だろうな」
自分と同じように撃退していたスピカのやり方に、ブツブツと呟き対策を考え出すカヤ。若干私恨が入っていて怖い。
一方、山姥切は呆れ顔を浮かべていた。
「頭どころか、体中冷えたんじゃないのかこれは?」
「そうじゃのう。やっと解放させたら、二人とも顔色を真っ青にして体中震えておったきに。流石の主も、二人を看病したの」
「いいじゃないか平和で済んで…! 俺なんて、俺なんて…!」
「泣かないで、カヤ…」
今まで仲間達によって多大な被害を被ったカヤが泣き出してしまい、スピカは落ち着かせようと肩に手を置く。
とは言え、カヤがこうなるのも無理はない。刀剣達の性格を変えられるわ、破壊されかけるわ、本丸が食糧不足で危機になったり、セクハラされるわ、刀解されるわ…殴り合いの喧嘩を説教で済ませられる分、まだスピカの方はマシだ。
(…ところでこの“くう”と言う男、大怪我しても問題ないと断言しているが、彼女は嫌っている人物を本丸に入れたのか?)
この時のまんばは知らない。彼女なりの信頼の表れだと言う事に。
…カヤにしてみれば、鶴丸ポジションとも呼ばれるが。
◎月△日
今日はウィドが本丸を見てみたいとの事だったので、弟を訪問させて皆に会わせてみた。
最初はちょっと不安だったんだけど、ちゃんと物覚えも理解もあって、人として、刀として皆平等に接していた。仲良くしてくれて良かったのだけれど…長谷部と少し話した瞬間、二人の間で火花が舞って本丸全域を使って真剣での戦いに発展してしまった。
理由はもちろん私の事。姉さんとべったりとくっつく弟と、主と四六時中慕う長谷部。衝突するのは分かっていたけど、武器を持ち出すとは思わなかった。
弟もそうだけど、長谷部も軌道が早いおかげで止めようにも誰も追いつけない。とにかく二人とも殴って喧嘩を止めた後、半日ほど正座で説教させた。
「だろうな」
「たった一言か主!?」
目から光が消えて率直な感想しか言わないカヤに、すかさず山姥切がツッコミを入れた。
◎月□日
初めての大阪城イベントに挑戦。どうにか期限までに50階達成して包丁藤四郎を手に入れた。
「好きなものはお菓子と人妻!」と言う言葉に最初はビックリしたけど、色々身の内話していたら「主が恋人と結婚すれば、人妻になるんだよな!? 俺主の為に協力するよ!!」と言ってくれた。とても嬉しかった。
「うおおおおおおおおいっ!!?」
「包丁って本当にいい子ねー。私の為に粟田口総出でクウとのデートプランとか結婚式場とか考えてくれるのよー」
「とんでもない子を味方に引き込みましたねー!!?」
目からハイライトが消えていたはずのカヤが再び復活する。
包丁藤四郎、幼い見た目でありながら初登場から人妻が好きと断言するトンデモキャラ。他の審神者からネタとも呼ばれる刀剣男子を、まさかこんな使い方をする審神者がいると誰が想像するだろうか。
「あのマセガキを使いこなすとは…この審神者、出来る…!」
山姥切も山姥切で、呆れやら恐れやら入り混じった顔でスピカを見ている。
そんな中、陸奥守だけはなぜか青い顔をしていた。
「あ、主…そん話はこれ位に…!!」
「押し切るぅ!!!」
「ふんっ!!!」
直後、スピカの背後から――正確には荷物袋の中から光が溢れて黒い影が飛び出した。
「何だっ!?」
「あぁ、やっぱり現れてしもうた…!」
驚く山姥切に、陸奥守は頭を押える。
黒い影の正体は、刀(本体)を携えたへし切長谷部と大倶利伽羅だった。よく見ると、二人の足元に真っ二つにされたお札が落ちている。
「主、なぜその事を話してくれなかったのですか!! 包丁藤四郎…万死に値する!!」
「主と話している暇はないぞ長谷部、早く奴を倒すぞ…!!!」
「尋常じゃない殺気!? てか俺達の知ってる二人じゃない!?」
「長谷部はともかく大倶利伽羅はこんな慣れ合う性格だったかぁ!!?」
突然現れた二人にカヤと山姥切がパニックになる中、スピカが動いた。
「――いい加減にしなさい」
殺気全開で部屋から出ていこうとする二人に、何処からか札を取り出して投げつける。
そのまま二人の背中に張り付いた瞬間、瞬く間に光となって刀へと姿を変えた。よく見ると、鞘には《封》と書かれた札が張られている。
「スピカ…?」
「ごめんなさい、カヤ。本当はあの二人置いていく予定だったんだけど…」
「主が心配でどーしてもついて行くっちゅうに、仕方なく刀にして連れて来たんじゃ。いやー、主の施した封印を解いてまで顕現するとはまっこと申し訳なかぁ…」
「そうか…!」
カヤは崩れ落ちそうになるが、自分の身内の行動を思い出してグッと堪える。いつも通り問題が起こったが、大事になる前に対処したのだから。
そんな主の苦労に山姥切は無言で頭をポンポン叩くが、ある疑問を思い出してスピカを見る。
「…ところで、一ついいか? 長谷部も大倶利伽羅も、どうしてあんたに異常なまでに執着している?」
「聞くな、まんば。俺には理由が分かり切っている」
「そうなのか、主…って、どうして俺から目を逸らす?」
不自然な動きをするカヤに咎めるが、彼はまんばを視界に収める事は無かった。
(審神者によって刀剣達の性格が若干変わったりするのは俺のまんばが証明している…スピカさんだからこそ、大倶利伽羅はクウさん、長谷部はウィドさんに似てしまったんだろう…)
最初は拗らせコンプレックスだった山姥切。しかし、共に過ごす内にツッコミ兼破天荒に育ってしまった。
それと同じで、スピカの大倶利伽羅と長谷部も二人を意識したからこそあんな性格になってしまったのだろう。ウィドもそうだが、クウも何気に独占欲があるのだ(寧ろ無かったら、常時テルスと手を組んで俺達を困らせているだろう)
審神者の数だけ色んな刀剣男子がいるんだなー、とカヤが現実逃避しかけていると、玄関から激しい爆発音が響いた。
「だーもー、今度は何だー!?」
完全に自棄になってカヤが部屋を出て玄関目掛けて走る。山姥切はもちろん、刀の回収をしていたスピカと陸奥守も後を追いかける。
四人が玄関に辿り着くと、無残に破壊された扉と壁。そして…。
「俺の娘を殺そうとする短刀とやらはどこじゃああああ!!! 俺が一つ残らず破壊してくれるわぁ!!!」
「「ロクサスっ!?」」
魔王モードと化したロクサスが降臨していた。
「何であんたがここにいるんだぁ!!?」
「10分くらい前にリズから本丸とやらの話を聞いてな…!! 審神者やってる話を聞いたんだが、短刀とやらが『代理様、切腹する時は僕を使ってください!』と言っていたらしい…!!!」
「はあああああぁ!!? うちの秋田は天使だ、それも大天使だ!! そんな物騒な事言わなぁい!!!」
「そうでもないわ、カヤ…短刀って自害する際に使われる刀でもあるのよ。しかもリズの事だから…」
「あ…あぁ、謎が全て解けた…」
スピカの説明に納得がいき、カヤは頭を押えこむ。
何でもかんでも抱え込むリズの性格。人間ではない刀剣達。そして一時期リズと同じ性格になっていた。恐らくリズの抱える悩みに共感し、最後を飾ろうと言う思考になってしまったのだろう。そしてリズはリズでその提案を笑顔で受け入れたのだろう。と言うか受けるだろう。あの子はそう言う子だ。
「主様、何があったんですかー!」
噂をすれば何とやら。運悪くそこに秋田藤四郎(極)と一期一振、その他大勢の粟田口兄弟がやってきた。
「あ、秋田ぁ!?」
「っ! てめえが娘を殺そうとする短刀って奴だなぁ!!! 子供でも容赦しない、死ねぇぇぇ!!!」
「危ないっ!!」
両手にキーブレードを取り出してマジックアワーを繰り出そうとするロクサス。魔王と呼ばれる彼の攻撃を受けては、極でも折れる可能性がある。とっさにスピカが動く。
直後、ここ一帯が一瞬で凍り付いた。
「ふざけんな、いい加減にしろぉ…!!!」
部屋全体が氷で覆われて呆然とするスピカとロクサスだったが、いつの間にかカヤが全身から冷気による魔力を天井を突き抜ける勢いで噴き出している。
粟田口の方を見ると、カヤがやったのか彼らを守るように氷壁が作られている。
「あ、主…! 一体何が起きとるん…?」
「シッ!」
とっさに陸奥守の口を塞ぐスピカ。その判断は正しかった。
「な、何を…!?」
「ロクサス、お前に選択肢をやる。ここで死ぬか? 現世で死ぬか? さあ選べ」
「な、何を言って…!? カヤ、お前はリズの仲間だろう!! まさか裏切るつもりか――」
「うちの可愛い秋田、いや仲間を折ろうとする輩を制裁するのは当然の事じゃ子煩悩迷惑親馬鹿がぁぁぁーーーーーーーっ!!!!!」
怒りの爆発と同時に、部屋の気温は下がりロクサスは氷漬けにされる。
そんな光景を見ながら、スピカは無言で壊れた玄関へと歩き出した。
「あ、主…」
「帰りましょう、睦奥守。お邪魔したわ山姥切。カヤによろしく言っておいてね」
「そ、そうじゃな…ワシら、お邪魔じゃしの…」
「ああ…気を付けて帰れよ」
こうして審神者交流会は無事(?)幕を閉じた…。
■作者メッセージ
おまけ
「ただいま」
「主ー! 大変だー!」
「獅子王?」
「お、俺…! 近侍だから、日課の鍛刀で鶴丸レシピ試てて、その…!」
「まさか、やっと鶴丸が来たの!?」
「いや、鶴丸じゃなくて…」
――トンッ
「三日月宗近。打ち除けが多い故、三日月と呼ばれる。よろしくたのむ」
「すっげーだろ! 鶴の代わりに三日月が来たんだぜ!」
「…………」
「あ、主?」
――ガターン!
「主が崩れ落ちたー!?」
「嬉しいんだけど、嬉しいんだけどぉ…素直に喜べない自分がここにいるぅ!!!」(ダァン!!!)
「主ー!!?」
恐らく、初めて本丸に三日月が来ても喜ばなかった審神者は私だけかもしれません。鶴下さい(揺ぎ無い執念)
さて、これにて審神者交流会は終了です。色々リラさんから刀剣乱舞の話が聞けて良かったです。
あと、おまけの出来事は私の所で実際にあった事です。刀剣のアニメで獅子王が三日月を出したのを見て「獅子王がレアを出しやすいって事は、彼を近侍にすれば鶴を出してくれる!?」と言うのが主な原因です。いやー、まさか三日月が出るとは思いませんでしたー、アッハッハ。
この話、当初は前後編の二つで終わるかなと予想していたのですが…まさかここまでボリュームが多くなるとは予想外でした…。でもどうにか書けて良かったです。他にも書かないといけない作品あるのにどうして書こうと思った私…もう迂闊に手を出したりしないでおこう…。
他に話す事が思い付かない…折角なので、今現在の私のメンバー(第一部隊)でも。今は陸奥守・骨喰・山伏・同田貫・和泉守・大和守となっています。ちまちまやっているので弱い部類になりますが…。
あと、リラさんも教えてもらいましたので書きます。こちらは隊長:乱藤四郎(極)、山姥切国広、蛍丸、今剣(極)、五虎退(極)、秋田(極)だそうです。強いって凄いですね…ペーペー審神者の私は追いつけないレベルですハイ…。
刀剣乱舞と言う別作品を主軸に書きましたが、正直楽しかったです。それでは刀剣乱舞をやっている審神者の皆さん。良き本丸生活を!
「ただいま」
「主ー! 大変だー!」
「獅子王?」
「お、俺…! 近侍だから、日課の鍛刀で鶴丸レシピ試てて、その…!」
「まさか、やっと鶴丸が来たの!?」
「いや、鶴丸じゃなくて…」
――トンッ
「三日月宗近。打ち除けが多い故、三日月と呼ばれる。よろしくたのむ」
「すっげーだろ! 鶴の代わりに三日月が来たんだぜ!」
「…………」
「あ、主?」
――ガターン!
「主が崩れ落ちたー!?」
「嬉しいんだけど、嬉しいんだけどぉ…素直に喜べない自分がここにいるぅ!!!」(ダァン!!!)
「主ー!!?」
恐らく、初めて本丸に三日月が来ても喜ばなかった審神者は私だけかもしれません。鶴下さい(揺ぎ無い執念)
さて、これにて審神者交流会は終了です。色々リラさんから刀剣乱舞の話が聞けて良かったです。
あと、おまけの出来事は私の所で実際にあった事です。刀剣のアニメで獅子王が三日月を出したのを見て「獅子王がレアを出しやすいって事は、彼を近侍にすれば鶴を出してくれる!?」と言うのが主な原因です。いやー、まさか三日月が出るとは思いませんでしたー、アッハッハ。
この話、当初は前後編の二つで終わるかなと予想していたのですが…まさかここまでボリュームが多くなるとは予想外でした…。でもどうにか書けて良かったです。他にも書かないといけない作品あるのにどうして書こうと思った私…もう迂闊に手を出したりしないでおこう…。
他に話す事が思い付かない…折角なので、今現在の私のメンバー(第一部隊)でも。今は陸奥守・骨喰・山伏・同田貫・和泉守・大和守となっています。ちまちまやっているので弱い部類になりますが…。
あと、リラさんも教えてもらいましたので書きます。こちらは隊長:乱藤四郎(極)、山姥切国広、蛍丸、今剣(極)、五虎退(極)、秋田(極)だそうです。強いって凄いですね…ペーペー審神者の私は追いつけないレベルですハイ…。
刀剣乱舞と言う別作品を主軸に書きましたが、正直楽しかったです。それでは刀剣乱舞をやっている審神者の皆さん。良き本丸生活を!