現代パロ作品
「クウー、早くー!」
「そんな急ぐなって、スピカ――あだ!」
「ふん、油断しているのが悪い」
「もう、ウィドったら」
新米教師として赴任した学園。
そこで始まる、一年間の生活。
「えーと…確か」
「わ、私…クラス委員長のレイア、です。よろしく、お願いします…クウ先生」
「ふふ、初めての教師はいろいろと大変でしょ。先輩として仕事のやり方とか教えてあげるわよ?」
「いや、スピカは保険医だろ? 俺と仕事が違うっての…」
「大丈夫か、ボウズ? こんな時間までクラブの練習してたら親が心配するぞ」
「大丈夫…親は、ボクの心配なんてしないだろうし」
彼の働く学園以外でも、様々な女性と交流を持つ。
「私、これでも……あなたより、年上です……」
「え…わ、悪い!? 俺より小さかったから、つい…」
「へぇ、巫女さんか…祭り以外で見るなんて思わなかった」
「君こそこんな日に神社に来るなんてよっぽどの変わり者だよ。おっと、紹介が遅れたね。ボクはスズノヨミ、この神社の神主の娘さ」
彼の選ぶ行動が、言葉が、後に影響を及ぼす。
「あ、あの、クウ先生…私、先生の事、クウさんって呼びたいんです!」
「いいぜ、そのくらい。まあでも、学校内や人がいる時は止めてくれよ?」
「あ、ありがとうございます! クウさん!」
「ふふ、久しぶりね。こうやって二人きりで帰るの」
「生徒達に妙な噂立てられないといいけどな…」
「あら、私は別にいいわよ。だって私…私達、幼馴染じゃない!」
「お、お願い! ボクが“女”だって事、内緒にして! 折角お兄ちゃんがレギュラーに選ばれたのに…お兄ちゃんが怪我で入院してるってバレたら、全部無駄になっちゃう!」
「分かった、誰にも言わない。これは、俺とお前だけの秘密って事でいいよな?」
「…っ! ごめんなさい、クウさん!」
「へー、歌手を目指しているのか? そっか、だからこんなに歌が上手いんだな」
「褒められる事では、ないです……でも、嬉しいです……こんな寂れた、バーでも……私にとっては、ステージだから……」
「寂れちゃいないよ。だって、この店にはこんなに綺麗な華がいるんだからよ…そうだろ、ニルヴァナ?」
「ふふ、また僕の神社に遊びに来てくれたの? 折角の日曜日なのに、他に行く所あるだろ?」
「かもな。でも今日は、スズノヨミのいる神社に来たかった。それだけだよ」
「う…何だよ、お前! よくそう言う事涼しい顔で言えるよな…!」
触れ合う事に垣間見る秘密と闇。
「大丈夫か、レイア!? 誰がこんな酷い事を…!!」
「やめ、て…! 言わないでください、クウさん…!」
「だけど!?」
「だって…こんな事、他の人にバレたって知られたら…私、もうこの学校に来られなくなる…!」
「ねえ、私って何時まであなたの幼馴染なの?」
「何を言って…?」
「――私、帰る」
「待てよ!? 何でお前泣いているんだよ!?」
「家では有名校の為に厳しく躾けられてばっかり。このクラブだけが、今のボクを充実させているんだ」
「シャオ…」
「でも、このクラブに本当にいるべきはお兄ちゃんなんだ…だから男装してお兄ちゃんの代わりとして通ってるけど、それはボクじゃなくて…ねえ、ボクって何なの? 分からなくなるんだ…孤独になるんだ、ボク…!!」
「そうだよな。今のお前はシャオでもあり、ツバサでもあるんだよな…」
「ニルヴァナ、あんな奴の言葉なんて気にするなよ」
「いえ、そんな事……だって、事実ですから……」
「でも、俺は…」
「こんな自分、嫌なのに……変わりたい、変わりたいのに……結局分からなくて、何も出来なくて……!!」
「羨ましいな、やりたい事を出来るってさ」
「スズノヨミ?」
「ほら、僕って神社の生まれだからさ。僕がいなくなったら、この神社は無くなってしまう……でも、自由になりたいのも事実でさ。だから君が羨ましいのさ、クウ――って、何言わせるんだよ!?」
「うごっ!?」
縮まる距離、触れ合う心。
彼は誰と結ばれるのか!?
特殊な方法でしかたどり着けない、裏ルート。
「昔々、そのまた昔――この地を守る、神様がおりました。神様はこの地に住む者達に恵みを与えていました。
ある日、神様はその土地に住み始めた人間の子供に恋をした。純粋な心を持つその子供もまた、神様を一目見て好きになった。
村の者達は神様に愛された子供を、祝福しながら神様の元に送った。それに満足した神様は祝福のお礼に、この町に住む子供達の願い事を時折叶えているそうです…めでたし、めでたし」
「その話、この町に伝わる昔話だろ? でもまあ、本当かどうか分からないよな」
「だったら暇な時にでも神社の裏手に行ってごらんよ…運が良ければ、この土地の神様に会えるかもしれないよ? なーんてね」
「そうじゃな。我はお主ら人間の言葉で言うなら、“神様”と言う存在じゃ」
「はぁ? お前みたいな子供が「誰が子供じゃー!」いだだだ!? 神様が人の腕を噛んで来るかよ!?」
「…いつもいつも、姉さんばかりのお前が…」
「どうしたウィド? 今日のお前なんか変だぞ?」
「別に、何でもありません」
「ほれ。我のような神様に構う時間があるなら、自分の時間に当てるのじゃ。お主ら人間の時間は長いようで短い…悔いのないように生きるのも大切な事じゃ」
「なら俺は、悔いのないようにお前との時間を大切にするよ。それじゃあな、シルビア」
「あんな幼子が、立派な大人になって…あの時の記憶も消えてしまった――クウ、お主はもう我との出会いを覚えておらぬのだな…」
「熱ある状態で帰れるかよ。スピカも出張で戻らないし…仕方ない、今日は泊りで看病してやる」
「別に…大人ですし、看病なんて…!」
「いいから、こういう時ぐらい甘えろ。俺達は昔からずっと一緒だったろ、ウィド?」
「そう。我にはかつて、愛した子がいた。彼もまた我の事を愛してくれた…じゃがな、その話は間違っておる。結末が違うのじゃ」
「どう、なったんだよ?」
「村の者達はその子を神に選ばれた子と見て、瞬く間に妬みの対象となった。その負の感情は膨れ上がり、子供を神の元に行けると誑かし――生贄と称して、今は枯れ果てた湖に身投げさせた。バカじゃ、そんな事しても我の元へなど来れぬ…一つになど、なれぬのに…!!」
「シルビア…」
「ウィド、無事か!?」
「ばか、か…! 何で、私の為にそんな大けがを…!」
「当たり前だろ! ほら、行くぞ。帰って手当てを」
「――触るな!! あなたの優しさなんて、いらない!!」
ヒロイン達ではない、彼自身の物語。
「俺と、同じ顔!?」
「…なるほど。お前がそうか」
「待てよ、あんた一体…!」
「エン。私の名前だ、それだけ教えてやる」
「お前が教会に来るなんてな。先生を探しているのか?」
「えーと…?」
「ルキルだ。暇があれば先生の所に遊びに来てるんだ。よろしくな、クウ」
「俺の名前、ウィドから聞いたのか?」
「…まあ、な」
「おっと、悪い――って、エン!?」
「こんな所で会うとはな」
「なんだよジロジロ見て…」
「これが、今回の『捕ワレ人』か」
「は? とらわれ…」
「今のお前には関係ない話だ」
「本を探しているのか、クウ?」
「ルキルか。ああ、まあ」
「どんな本だ?」
「んー…この町の昔話かな。図書館とかネットとか探しても見つかんなくてよ。ま、ここなら古いし一つくらいあるかなって」
「なんで、そんなの調べようって気になったんだ?」
「何か、気になったんだ。こう、どうにも頭の隅に引っかかって…」
「…そうか」
「ルキル?」
「俺はもう帰る。先生はしばらく戻ってこないから、早めに見つけろよ。黙っておくから」
そして――セカイが、反転する。
「この町の本当の言い伝えを知ったか」
「エン…」
「神は愛する者を奪った土地に住む人間を憎んだ。そして失った者と同じくらいの年代の子供を攫うようになった。大人達に復讐する為に、カミの抱く悲しみを慰める為に」
「カミは領域に迷い込んだ子供の願いを叶える――その代償として」
「心と魂を、カミに喰われる」
「お前はカミによって捕ワレ人となった。だからここにいる」
「虚像の世界。カミの作った箱庭に」
「馬鹿にしないでくれませんか?」
「ウィド…?」
「私はもう、13年も前からこの世界にいる――とっくに、カミに喰らわれた存在なんですよ?」
「思い出したよ…俺はここに来た事がある。その時に、凄く綺麗な人に出会ったんだ」
「それは…」
「あの時見た女性は――あんただったんだな、シルビア」
「クウ…!」
「私も彼女と同じ、カミによって作られた存在。だが、子孫とは言え何の罪もない子供を奪うカミに反感を持っていたんだ」
「そうだったのか…」
「私がお前と似た姿をしているのも、私と言う存在をこの世界に認識されない為。お前に世界の違和感を認識させる為だ」
「悲しそうな顔で願いを聞こうとするシルビアに、俺は最初に言ったんだ…『あんたの笑顔が見たい』って」
「ああ…そんな馬鹿な願い持ちかけて、我を楽しませようと色んな所に連れ回しては遊んだな」
「ごめんな、単純な子供で」
「じゃが、そのおかげで我の中にあった穢れが取り払われたのも事実。しかし、最後の最後で…お主を連れ去った、すまない…!!」
「…いや、俺が不用意に願いを口にしたのが悪いから。あんたの所為じゃねーよ」
「ここはお前がカミに願った事が反映された世界――『大人になりたい』『困っている人を助けたい』そう望んだ夢で出来た世界だ。本来は子供の姿のお前が大人の姿をとっているのもその所為だ」
「ですが、この世界に居れるのは一年間。それを過ぎれば肉体と魂を繋ぐ糸は切れて、あなたは――」
「カミに、喰われてしまう」
「どうする? この世界で生きるか? それとも、僅かな可能性に賭けて生を望むか?」
「失敗すれば、即座にカミに喰われる。そして、お主はこの世界を構築する“影”へと変えられてしまう」
「それでも、望みますか?」
真実への選択を選ぶ時。
善意の虚像が剥がれ、悪意の本性が剥き出す。
「ネエ、ドコニイクノ」
「モドッテキテヨ」
「手を伸ばすな!」
「この町の住人全て、偽物。マガイモノ。相手をするな…この世界に捕われ、あやつらと同じ虚像を構築する影と成り果てるぞ」
「ッ…!!」
「キミノネガイハナニ? ナンデモカナエテアゲルヨ?」
「何でも…か?」
「オウチニカエリタイ? カゾクニアイタイ? ソレトモココカラデタイ? カナエルヨ、ナンデモカナエテアゲル? キヒ、ギヒャハハハ!!」
「クウ、カミの戯言に耳を貸すな!!」
「…なら、さ」
「駄目です!! そんな願いを口にしても、あなたは――!!」
「あんたが抱えている闇の感情、全部俺にくれよ。全部受け止めて、あんたの心を癒すから」
「ク、ウ…?」
「そして、笑ってくれよ。あんたが好きだった人に見せたであろう笑顔を」
「キミダケドウシテ」
「カエリタイボクモカエリタイ」
「ズルイズルイズルイ」
駄目だ、振り返るな。
振り返ったら、影に、カミに喰らわれた子供達に囚われてしまう。
「――クウ」
「…ぁ…」
名を、呼ばれる。
心が、求めてしまう。
大切な人が、この、後ろに――。
「――だめだよ」
最後に待ち受ける、最後の審判。
「お前は、ルキル!?」
「ようやく来たか、待ってたぞ」
「なんで、お前が…!?」
「ああ。俺もカミに作られた存在だからな――お前がいた、箱庭を管理する為に」
「今のままじゃ、お前は帰れない」
「…どうすれば、戻れるんだ?」
「どちらか選べ、あるべき場所に帰る為の代償を」
「一つは右手の指に結ばれた糸。とても儚く力を加えただけで切れそうな繋がりだが、お前にしてみれば喪失となる」
「もう一つはお前の身体と心。支払えば、お前は魂だけの存在――奴らと同じ実態も感情も持たない影となるが代償としては十分だ」
「さあ。お前は俺に、どちらを差し出す?」
「俺は――」
「それでいい」
「よくその意図(イト)を切らない選択を行えたな。お前は影となったが、あの身体は紛い物だ。子供のお前があのまま戻っても、肉体に還る妨げになる――ああ、喋る事すら出来なかったな。だが、言いたい事は分かるぞ」
「俺はこちら側の存在だが、お前と先生と過ごした日々は楽しかった。抜けた心も時期に新たに芽生える筈だ…さあ、気を付けて還れよ――クウ」
「…ん…」
「――っ! 誰か来て、あの子が目を覚ましました!」
「…あぁ…」
だれかを、助けられたかな…?
「そんな急ぐなって、スピカ――あだ!」
「ふん、油断しているのが悪い」
「もう、ウィドったら」
新米教師として赴任した学園。
そこで始まる、一年間の生活。
「えーと…確か」
「わ、私…クラス委員長のレイア、です。よろしく、お願いします…クウ先生」
「ふふ、初めての教師はいろいろと大変でしょ。先輩として仕事のやり方とか教えてあげるわよ?」
「いや、スピカは保険医だろ? 俺と仕事が違うっての…」
「大丈夫か、ボウズ? こんな時間までクラブの練習してたら親が心配するぞ」
「大丈夫…親は、ボクの心配なんてしないだろうし」
彼の働く学園以外でも、様々な女性と交流を持つ。
「私、これでも……あなたより、年上です……」
「え…わ、悪い!? 俺より小さかったから、つい…」
「へぇ、巫女さんか…祭り以外で見るなんて思わなかった」
「君こそこんな日に神社に来るなんてよっぽどの変わり者だよ。おっと、紹介が遅れたね。ボクはスズノヨミ、この神社の神主の娘さ」
彼の選ぶ行動が、言葉が、後に影響を及ぼす。
「あ、あの、クウ先生…私、先生の事、クウさんって呼びたいんです!」
「いいぜ、そのくらい。まあでも、学校内や人がいる時は止めてくれよ?」
「あ、ありがとうございます! クウさん!」
「ふふ、久しぶりね。こうやって二人きりで帰るの」
「生徒達に妙な噂立てられないといいけどな…」
「あら、私は別にいいわよ。だって私…私達、幼馴染じゃない!」
「お、お願い! ボクが“女”だって事、内緒にして! 折角お兄ちゃんがレギュラーに選ばれたのに…お兄ちゃんが怪我で入院してるってバレたら、全部無駄になっちゃう!」
「分かった、誰にも言わない。これは、俺とお前だけの秘密って事でいいよな?」
「…っ! ごめんなさい、クウさん!」
「へー、歌手を目指しているのか? そっか、だからこんなに歌が上手いんだな」
「褒められる事では、ないです……でも、嬉しいです……こんな寂れた、バーでも……私にとっては、ステージだから……」
「寂れちゃいないよ。だって、この店にはこんなに綺麗な華がいるんだからよ…そうだろ、ニルヴァナ?」
「ふふ、また僕の神社に遊びに来てくれたの? 折角の日曜日なのに、他に行く所あるだろ?」
「かもな。でも今日は、スズノヨミのいる神社に来たかった。それだけだよ」
「う…何だよ、お前! よくそう言う事涼しい顔で言えるよな…!」
触れ合う事に垣間見る秘密と闇。
「大丈夫か、レイア!? 誰がこんな酷い事を…!!」
「やめ、て…! 言わないでください、クウさん…!」
「だけど!?」
「だって…こんな事、他の人にバレたって知られたら…私、もうこの学校に来られなくなる…!」
「ねえ、私って何時まであなたの幼馴染なの?」
「何を言って…?」
「――私、帰る」
「待てよ!? 何でお前泣いているんだよ!?」
「家では有名校の為に厳しく躾けられてばっかり。このクラブだけが、今のボクを充実させているんだ」
「シャオ…」
「でも、このクラブに本当にいるべきはお兄ちゃんなんだ…だから男装してお兄ちゃんの代わりとして通ってるけど、それはボクじゃなくて…ねえ、ボクって何なの? 分からなくなるんだ…孤独になるんだ、ボク…!!」
「そうだよな。今のお前はシャオでもあり、ツバサでもあるんだよな…」
「ニルヴァナ、あんな奴の言葉なんて気にするなよ」
「いえ、そんな事……だって、事実ですから……」
「でも、俺は…」
「こんな自分、嫌なのに……変わりたい、変わりたいのに……結局分からなくて、何も出来なくて……!!」
「羨ましいな、やりたい事を出来るってさ」
「スズノヨミ?」
「ほら、僕って神社の生まれだからさ。僕がいなくなったら、この神社は無くなってしまう……でも、自由になりたいのも事実でさ。だから君が羨ましいのさ、クウ――って、何言わせるんだよ!?」
「うごっ!?」
縮まる距離、触れ合う心。
彼は誰と結ばれるのか!?
特殊な方法でしかたどり着けない、裏ルート。
「昔々、そのまた昔――この地を守る、神様がおりました。神様はこの地に住む者達に恵みを与えていました。
ある日、神様はその土地に住み始めた人間の子供に恋をした。純粋な心を持つその子供もまた、神様を一目見て好きになった。
村の者達は神様に愛された子供を、祝福しながら神様の元に送った。それに満足した神様は祝福のお礼に、この町に住む子供達の願い事を時折叶えているそうです…めでたし、めでたし」
「その話、この町に伝わる昔話だろ? でもまあ、本当かどうか分からないよな」
「だったら暇な時にでも神社の裏手に行ってごらんよ…運が良ければ、この土地の神様に会えるかもしれないよ? なーんてね」
「そうじゃな。我はお主ら人間の言葉で言うなら、“神様”と言う存在じゃ」
「はぁ? お前みたいな子供が「誰が子供じゃー!」いだだだ!? 神様が人の腕を噛んで来るかよ!?」
「…いつもいつも、姉さんばかりのお前が…」
「どうしたウィド? 今日のお前なんか変だぞ?」
「別に、何でもありません」
「ほれ。我のような神様に構う時間があるなら、自分の時間に当てるのじゃ。お主ら人間の時間は長いようで短い…悔いのないように生きるのも大切な事じゃ」
「なら俺は、悔いのないようにお前との時間を大切にするよ。それじゃあな、シルビア」
「あんな幼子が、立派な大人になって…あの時の記憶も消えてしまった――クウ、お主はもう我との出会いを覚えておらぬのだな…」
「熱ある状態で帰れるかよ。スピカも出張で戻らないし…仕方ない、今日は泊りで看病してやる」
「別に…大人ですし、看病なんて…!」
「いいから、こういう時ぐらい甘えろ。俺達は昔からずっと一緒だったろ、ウィド?」
「そう。我にはかつて、愛した子がいた。彼もまた我の事を愛してくれた…じゃがな、その話は間違っておる。結末が違うのじゃ」
「どう、なったんだよ?」
「村の者達はその子を神に選ばれた子と見て、瞬く間に妬みの対象となった。その負の感情は膨れ上がり、子供を神の元に行けると誑かし――生贄と称して、今は枯れ果てた湖に身投げさせた。バカじゃ、そんな事しても我の元へなど来れぬ…一つになど、なれぬのに…!!」
「シルビア…」
「ウィド、無事か!?」
「ばか、か…! 何で、私の為にそんな大けがを…!」
「当たり前だろ! ほら、行くぞ。帰って手当てを」
「――触るな!! あなたの優しさなんて、いらない!!」
ヒロイン達ではない、彼自身の物語。
「俺と、同じ顔!?」
「…なるほど。お前がそうか」
「待てよ、あんた一体…!」
「エン。私の名前だ、それだけ教えてやる」
「お前が教会に来るなんてな。先生を探しているのか?」
「えーと…?」
「ルキルだ。暇があれば先生の所に遊びに来てるんだ。よろしくな、クウ」
「俺の名前、ウィドから聞いたのか?」
「…まあ、な」
「おっと、悪い――って、エン!?」
「こんな所で会うとはな」
「なんだよジロジロ見て…」
「これが、今回の『捕ワレ人』か」
「は? とらわれ…」
「今のお前には関係ない話だ」
「本を探しているのか、クウ?」
「ルキルか。ああ、まあ」
「どんな本だ?」
「んー…この町の昔話かな。図書館とかネットとか探しても見つかんなくてよ。ま、ここなら古いし一つくらいあるかなって」
「なんで、そんなの調べようって気になったんだ?」
「何か、気になったんだ。こう、どうにも頭の隅に引っかかって…」
「…そうか」
「ルキル?」
「俺はもう帰る。先生はしばらく戻ってこないから、早めに見つけろよ。黙っておくから」
そして――セカイが、反転する。
「この町の本当の言い伝えを知ったか」
「エン…」
「神は愛する者を奪った土地に住む人間を憎んだ。そして失った者と同じくらいの年代の子供を攫うようになった。大人達に復讐する為に、カミの抱く悲しみを慰める為に」
「カミは領域に迷い込んだ子供の願いを叶える――その代償として」
「心と魂を、カミに喰われる」
「お前はカミによって捕ワレ人となった。だからここにいる」
「虚像の世界。カミの作った箱庭に」
「馬鹿にしないでくれませんか?」
「ウィド…?」
「私はもう、13年も前からこの世界にいる――とっくに、カミに喰らわれた存在なんですよ?」
「思い出したよ…俺はここに来た事がある。その時に、凄く綺麗な人に出会ったんだ」
「それは…」
「あの時見た女性は――あんただったんだな、シルビア」
「クウ…!」
「私も彼女と同じ、カミによって作られた存在。だが、子孫とは言え何の罪もない子供を奪うカミに反感を持っていたんだ」
「そうだったのか…」
「私がお前と似た姿をしているのも、私と言う存在をこの世界に認識されない為。お前に世界の違和感を認識させる為だ」
「悲しそうな顔で願いを聞こうとするシルビアに、俺は最初に言ったんだ…『あんたの笑顔が見たい』って」
「ああ…そんな馬鹿な願い持ちかけて、我を楽しませようと色んな所に連れ回しては遊んだな」
「ごめんな、単純な子供で」
「じゃが、そのおかげで我の中にあった穢れが取り払われたのも事実。しかし、最後の最後で…お主を連れ去った、すまない…!!」
「…いや、俺が不用意に願いを口にしたのが悪いから。あんたの所為じゃねーよ」
「ここはお前がカミに願った事が反映された世界――『大人になりたい』『困っている人を助けたい』そう望んだ夢で出来た世界だ。本来は子供の姿のお前が大人の姿をとっているのもその所為だ」
「ですが、この世界に居れるのは一年間。それを過ぎれば肉体と魂を繋ぐ糸は切れて、あなたは――」
「カミに、喰われてしまう」
「どうする? この世界で生きるか? それとも、僅かな可能性に賭けて生を望むか?」
「失敗すれば、即座にカミに喰われる。そして、お主はこの世界を構築する“影”へと変えられてしまう」
「それでも、望みますか?」
真実への選択を選ぶ時。
善意の虚像が剥がれ、悪意の本性が剥き出す。
「ネエ、ドコニイクノ」
「モドッテキテヨ」
「手を伸ばすな!」
「この町の住人全て、偽物。マガイモノ。相手をするな…この世界に捕われ、あやつらと同じ虚像を構築する影と成り果てるぞ」
「ッ…!!」
「キミノネガイハナニ? ナンデモカナエテアゲルヨ?」
「何でも…か?」
「オウチニカエリタイ? カゾクニアイタイ? ソレトモココカラデタイ? カナエルヨ、ナンデモカナエテアゲル? キヒ、ギヒャハハハ!!」
「クウ、カミの戯言に耳を貸すな!!」
「…なら、さ」
「駄目です!! そんな願いを口にしても、あなたは――!!」
「あんたが抱えている闇の感情、全部俺にくれよ。全部受け止めて、あんたの心を癒すから」
「ク、ウ…?」
「そして、笑ってくれよ。あんたが好きだった人に見せたであろう笑顔を」
「キミダケドウシテ」
「カエリタイボクモカエリタイ」
「ズルイズルイズルイ」
駄目だ、振り返るな。
振り返ったら、影に、カミに喰らわれた子供達に囚われてしまう。
「――クウ」
「…ぁ…」
名を、呼ばれる。
心が、求めてしまう。
大切な人が、この、後ろに――。
「――だめだよ」
最後に待ち受ける、最後の審判。
「お前は、ルキル!?」
「ようやく来たか、待ってたぞ」
「なんで、お前が…!?」
「ああ。俺もカミに作られた存在だからな――お前がいた、箱庭を管理する為に」
「今のままじゃ、お前は帰れない」
「…どうすれば、戻れるんだ?」
「どちらか選べ、あるべき場所に帰る為の代償を」
「一つは右手の指に結ばれた糸。とても儚く力を加えただけで切れそうな繋がりだが、お前にしてみれば喪失となる」
「もう一つはお前の身体と心。支払えば、お前は魂だけの存在――奴らと同じ実態も感情も持たない影となるが代償としては十分だ」
「さあ。お前は俺に、どちらを差し出す?」
「俺は――」
「それでいい」
「よくその意図(イト)を切らない選択を行えたな。お前は影となったが、あの身体は紛い物だ。子供のお前があのまま戻っても、肉体に還る妨げになる――ああ、喋る事すら出来なかったな。だが、言いたい事は分かるぞ」
「俺はこちら側の存在だが、お前と先生と過ごした日々は楽しかった。抜けた心も時期に新たに芽生える筈だ…さあ、気を付けて還れよ――クウ」
「…ん…」
「――っ! 誰か来て、あの子が目を覚ましました!」
「…あぁ…」
だれかを、助けられたかな…?
■作者メッセージ
NANA「読者の皆様、お久しぶりです!! 今年も作ってしまいました!! 四月ネタこと、嘘企画作品!! 去年のリラさんの現パロ作品に影響を受けて、自分なりに現パロを書いて見ましたが…正直な感想、書いてて滅茶苦茶楽しかった…!!」(優越の笑み)
クウ「おい…前半も後半もツッコミどころ満載だったが、何だこの話は…?」
NANA「ギャルゲーの皮を被ったホラーテイストの作品?」
クウ「なんでそんなもん作り上げたぁ!!?」
NANA「いやー、最初は現パロって事でクウが主役のハーレム系な話を去年からちまちま書いていたんだけど、一週間前くらいにCoC動画を見てたら『実はこの世界は恐ろしい存在が作り上げた夢の世界で、そこに取り込まれてしまった魂はいずれ消えてしまうのだー』的な設定を思い付いて付け加えて書いてみました。ただ、付け加え過ぎて5000文字以上超えてしまったため、滅茶苦茶削りました…!! 前半のハーレムルートは4分の1くらい削ったし、後半も大事な部分を幾つか削りましたね…!!
そんな訳で、裏ルート――いえ、真実ルートを作る時に参考にした作品はTRPGでお馴染みのクトゥルフ、ひ○らし、そしてミノニヨクシティと言うフリーゲームです。ちなみに最後のゲームは友達から偽実況プレイを見せて貰っただけです。宜しければリンクを下に張りますので興味がある方はどうぞ。所々怖いけど凄くいいお話でした」
http://www.nicovideo.jp/watch/sm27759680
クウ「参考にしたの見事に全部ホラー要素入ってるじゃねえかぁぁぁ!!!??」
NANA「いやー、折角作ったオリジナル設定とストーリーだから真実ルートはとことん驚きを与えようかと…正直な感想、前半のギャルゲー設定より後半の作成に力を入れたねっ! 書いている途中で同じくホラーフリーゲームのibとか、ボカロの蜘蛛糸モノポリー、BadEndNightとか世にも奇妙な物語とか思い出したし! どうだ、驚いたか!?」
クウ「お前は鶴○かよ!? てか異常なほど鶴○好きだったな、そいつが来てからテンション上がりまくったもんなお前!!」
NANA「結果的に話はハッピーエンド風にしているからいいでしょう!! あ、このネタは嘘企画なのでこれっきりです。色んな作品参考にはしましたが、元々ホラーは大の苦手ですし…てか、この設定で作品作るとなると絶対数年はかかるレベルですから…この設定でクトゥルフのシナリオ作れなくもないけど、トゥルーエンド以外はロスト確定だから絶対生還率1割以下になる…」
クウ「ちょっと待て、前半のように俺が誰かと結ばれた場合はどうなるんだよ?」
NANA「見た目としては、これから楽しい未来が待っている。だけど、一年経つとカミに喰われるので幸せな夢を見ながら死んでしまいました…てなオチになるかな?」
クウ「誰かと結ばれた時点でアウトかよ!? この美少女ゲー風作品とんでもなくないか!?」
NANA「いやいや、ひ○らしのとかもループ物な分かなりグロいし怖いし、どこかのゲームでは隠しヒロイン行くルートの為に他ヒロインのフラグ折ったり殺したりしないといけないってのもあるから」
クウ「お前何で怖いの苦手なのにそんなの知っているんだよ…? まあ話戻して、最初のに加えてまず話の構成からタイマンで挑まないといけない。エン・ウィド・シルビアの協力得られないと真実ルートいけない。神格並みの存在と出会ってのバトルもどき、最後に生還かロストの選択――あー、うん。絶対クリア無理だろこれ。真実ルート足踏み込んだ時点でSANチェック山盛りだろ、まず正気度もたねーよ」
NANA「判定でクリティカル連発すればイケルイケル」
クウ「どんな強運の持ち主だよそれ!! てかお前が言うなファンブラー!!」
NANA「ファンブラー言うな!! ここぞって時はクリティカル出してるわ!! この前実卓なんてウィド(氷狩樹理)でやった時、クリ出して国家機密情報にハッキングしたし、カーチェイスで大型トラックに潰されると言う危機一髪をスペ出して脱出したし、最終決戦では再びクリで最大ダメージ叩き出して拳銃でショゴスにトドメ刺して倒したわ!! ただ、クトゥルフ神話技能で連続ファンブル出して協力NPCが次々と猟奇的事件に巻き込まれてむごい死に方したけど…」
クウ「何があった!? てかどんなシナリオしたんだよ!?」
NANA「とあるハリウッド作品をモチーフにして作った内容のシナリオを行ったよ、行ったんだけどぉ…結果的に、あいつ詐欺師通り越して凄腕のスパイとなり果てたよ…」
クウ「あいつのキャラで振るダイス運、どうなってるんだよ…?」
NANA「こっちが訊きたいわ…!!」(切実)
クウ「んで、今年もこの企画は終了だよな…。まさかこんな話の主役になるとは思ってなかった…!」
NANA「そうだね。もし来年もこの四月ネタ出来るなら、次はオリジナルの怪盗モノ書いてみたいなー」
クウ「俺の元ネタかよ…!」
NANA「いやいや、去年は怪盗モノのゲームが流行ったから」
クウ「P5かよ!?」
NANA「でも元ネタのパロでもいいかも…いっその事、KHからもキャラ持ってきて一話キッカリのパロでも作るか…!? 怪盗役はソラとあんた。それを追う刑事役にリクとウィド。双子のヒロインも用意して、美術品に宿る意思を巡っての争奪戦とか…うふふふふ…!!」
クウ「やめんかぁ!!!」
オマケ・キャラ設定(本編で詰め込み切れなかった設定も含んでます)
クウ:主人公。この春に新米教師となった26歳。何かと厄介ごとに巻き込まれては、問題を抱えた人と知り合っていく。困った人は放っておけない性格。
正体は10歳の少年。春に神社で行われた祭りにやってきた時に、カミの領域に迷い込んでシルビアと邂逅した。子供らしい無邪気な行動で彼女の心を癒した直後にカミクライに遭い、魂と心を奪われて捕ワレ人となった。虚像の世界に連れてこられた際に、記憶を奪われた上に願いを反映して大人の姿となってしまった。
肉体は意識不明の状態となって病院で延命処置を受けているが、一年後には魂と心が喰われて身体も死亡する。
スピカ:ヒロイン。学園の保険医でありながらクウの幼馴染。そろそろ結婚を考えているが、相手が見つからず内心焦り出している。
虚像の世界ではカミクライにあった子供達の残滓から生まれた影の一種で、真実を知ってしまうと本性を現して全身がのっぺらぼうの人型の影の姿となる。
現実世界ではちゃんと保険医として存在しており、実はカミクライに遭って捕ワレ人となったクウを見つけた第一発見者。
レイア:ヒロイン。クウの担当するクラスの学生で、影で複数の女子からいじめられている。
虚像の世界では同じく影の一種。真実に気づいた捕ワレ人を世界に取り込もうと、言葉で惑わせる。
現実世界では学生として存在していて、生い立ちも一緒。丁度先輩のオパールと一緒に神社の祭りに来ていた時に救急車に運ばれるクウを目撃している。
ツバサ:ヒロイン。サッカークラブに所属している少年だが、実は女の子。レギュラーに選ばれた直後に怪我で入院した兄の代わりに男装しながら通っているが、クラブの居心地が良くて内心このままでいたいと思っている。
虚像の世界では影の一種。本来の姿に戻ると、黒い身体を伸ばして捕ワレ人を捕まえようとする。
現実世界でも存在していて、兄のお見舞いで病院に行った際に昏睡状態となってベッドで寝たきりのクウを見かけた。
ニルヴァナ:ヒロイン。見た目は幼く見えるが、クウより年上の女性。歌手を目指すシンガーでバーで歌っている。歌の才能はあるが、極度のコミュ障なので人との繋がりが出来ない。
虚像の世界では影の一種。カミに喰われても尚、残った未練をぶつけるように襲い掛かってくる。
現実世界でもシンガーとして働いている。時折病院に赴き、昏睡している患者が目覚める可能性としてボランティアで歌を聞かせている者の中にクウがいた。
スズノヨミ:ヒロイン。町の神社に住む神主の娘。巫女をしていて、自由になりたいと思っている。
虚像の世界では影の一種。捕ワレ人の願いによって構築される世界は全て影によって作られるので、真実を知ると世界そのものが敵となる。
現実世界でも同じだが、こちらは霊感がある。クウの両親に依頼を受けて意識不明の彼を見てカミクライに遭った事を感じ取るものの、それ以上の事が出来なかった。
カミクライの事を知る彼女とある程度親しくなる事で、真実ルートへと分岐出来る仕組み。
シルビア:ヒロイン? 自称神様と名乗る少女で、神社の裏手に10歳の子供にしか入り込めない領域を作ってその中で暮らしている。
本来の姿は大人の女性で、この事件を引き起こした黒幕。人を憎んだカミによって作られた存在で、迷い込んだ人間の子供の“願い”を聞いては代償として心と魂を奪い取り、自身の主であるカミの世界に献上してきた。
領域に迷い込んだクウと触れあっていく内に、カミによって引き継いだ闇に囚われていた心が癒された。主であるカミに見つからない内に元の場所に返そうとした直後にクウが『大人になりたい・色んな困っている人達を助けたい』と願いを口にしてしまった為、意図せず奪い取ってしまいそのまま虚像の世界に送られた。
虚像の世界ではどうにか助けたいと思っているが、カミの領域である事から姿も大人から子供になって弱体化してしまい下手に干渉が出来ない。それでも条件を満たせば元の世界に戻るよう命を賭けてでも手助けしてくれる。
真実ルートの選択次第では、生還と同時にヒロインとして結ばれるルートを唯一築ける人物。ただし、そこに行きつくまでに沢山失う物(正気度)があるけどね!
ウィド:スピカの弟で、学園内にある教会で牧師を務めている。クウとは幼馴染の関係。
その正体は13年も前にカミクライに遭って捕ワレ人となった牧師を父親に持つ少年。霊感はもちろん、カミに対抗する霊力もある程度あったおかげで一年を過ぎてもカミに喰われる事無く虚像の世界に存在が出来ているが、囚われている事に変わりない。
長年この不安定な世界に存在しているので世界の一部となり果てている。その為、捕ワレ人の構成する世界によって肉体が変化する仕様になっており、自身の存在を保つために出来るだけ捕ワレ人に近い立ち位置で登場する。
この世界の真実を知っている為、同じく捕ワレ人であるクウが優しくすればするほど葛藤する。条件を満たせば彼をこの世界から逃そうと協力してくれる。
真実ルートによっては、友情エンドになるかもしれない。だが、カミクライに遭った肉体は既に魂の糸が切れて亡くなった為、魂と心が世界から解放されても生き返る事はない。
エン:クウと同じ顔を持つ謎の男。意味深な事を伝えてはすぐに立ち去っていく。
正体は、シルビアと同じくカミに作られた存在の一つ。穢れを纏ってしまう前に作られた為、信仰・崇拝をする人間を絶望に陥れるようになったカミに批判的だった。長年抗って期を待っていて、ようやくシルビアがクウによってこちら側に傾いた事で初めてカミの領域でもある虚像の世界に侵入が出来た。
クウと同じ姿をしているのは、カミに自分の存在を認識されないように。そしてクウ自身が虚構の世界に違和感を持ってくれるように。妨害も入って最初は敵に感じるが、信用されればこの世界を壊して二度とカミクライを起こさないようカミに立ち向かう。
真実ルートの分岐点によっては、最後まで彼を正しい世界に導く存在になるかもしれない。クウが生還したその後は…守護霊になるとかかな。
ルキル:学園の高等部に通う少年。ウィドを『先生』と呼んで慕っており、よく彼の管理する教会に遊びに来たりする。
正体はカミに作られた存在の一つで、虚像の世界を管理する存在。シルビアやエンと違い、あくまでも中立を保っている。耐性があるとはいえウィドが長年カミや影に喰われる事無く世界に存在を許されているのは、彼に気に入られたからと言うのが大きい。
彼が求めるのは“選択”のみ。選択によって、過去・現在・未来の全てが成り立つからである。その為、万が一虚像の世界やカミが滅ぶ事になったとしても選択によるものなら敵対はしない。あくまでも上位存在として、人を見守り・導き・試練を与える立ち位置を貫く。
最後の選択でクウが生還しようがしまいが彼には関係ない。全てが終わった後、新たな世界を作りつつそこを拠点にウィドと共に様々な夢の世界を旅するかもしれない。
オパール:レイアと同じ部活の先輩。レイアがいじめられている事を薄々感じている為、出来るだけ明るくかつ優しく接している。
レイアと同じように現実世界で捕ワレ人となったクウを目撃しているが、フラグを築かなかったのは彼女に困るだけの悩みがないから。
クウ「おい…前半も後半もツッコミどころ満載だったが、何だこの話は…?」
NANA「ギャルゲーの皮を被ったホラーテイストの作品?」
クウ「なんでそんなもん作り上げたぁ!!?」
NANA「いやー、最初は現パロって事でクウが主役のハーレム系な話を去年からちまちま書いていたんだけど、一週間前くらいにCoC動画を見てたら『実はこの世界は恐ろしい存在が作り上げた夢の世界で、そこに取り込まれてしまった魂はいずれ消えてしまうのだー』的な設定を思い付いて付け加えて書いてみました。ただ、付け加え過ぎて5000文字以上超えてしまったため、滅茶苦茶削りました…!! 前半のハーレムルートは4分の1くらい削ったし、後半も大事な部分を幾つか削りましたね…!!
そんな訳で、裏ルート――いえ、真実ルートを作る時に参考にした作品はTRPGでお馴染みのクトゥルフ、ひ○らし、そしてミノニヨクシティと言うフリーゲームです。ちなみに最後のゲームは友達から偽実況プレイを見せて貰っただけです。宜しければリンクを下に張りますので興味がある方はどうぞ。所々怖いけど凄くいいお話でした」
http://www.nicovideo.jp/watch/sm27759680
クウ「参考にしたの見事に全部ホラー要素入ってるじゃねえかぁぁぁ!!!??」
NANA「いやー、折角作ったオリジナル設定とストーリーだから真実ルートはとことん驚きを与えようかと…正直な感想、前半のギャルゲー設定より後半の作成に力を入れたねっ! 書いている途中で同じくホラーフリーゲームのibとか、ボカロの蜘蛛糸モノポリー、BadEndNightとか世にも奇妙な物語とか思い出したし! どうだ、驚いたか!?」
クウ「お前は鶴○かよ!? てか異常なほど鶴○好きだったな、そいつが来てからテンション上がりまくったもんなお前!!」
NANA「結果的に話はハッピーエンド風にしているからいいでしょう!! あ、このネタは嘘企画なのでこれっきりです。色んな作品参考にはしましたが、元々ホラーは大の苦手ですし…てか、この設定で作品作るとなると絶対数年はかかるレベルですから…この設定でクトゥルフのシナリオ作れなくもないけど、トゥルーエンド以外はロスト確定だから絶対生還率1割以下になる…」
クウ「ちょっと待て、前半のように俺が誰かと結ばれた場合はどうなるんだよ?」
NANA「見た目としては、これから楽しい未来が待っている。だけど、一年経つとカミに喰われるので幸せな夢を見ながら死んでしまいました…てなオチになるかな?」
クウ「誰かと結ばれた時点でアウトかよ!? この美少女ゲー風作品とんでもなくないか!?」
NANA「いやいや、ひ○らしのとかもループ物な分かなりグロいし怖いし、どこかのゲームでは隠しヒロイン行くルートの為に他ヒロインのフラグ折ったり殺したりしないといけないってのもあるから」
クウ「お前何で怖いの苦手なのにそんなの知っているんだよ…? まあ話戻して、最初のに加えてまず話の構成からタイマンで挑まないといけない。エン・ウィド・シルビアの協力得られないと真実ルートいけない。神格並みの存在と出会ってのバトルもどき、最後に生還かロストの選択――あー、うん。絶対クリア無理だろこれ。真実ルート足踏み込んだ時点でSANチェック山盛りだろ、まず正気度もたねーよ」
NANA「判定でクリティカル連発すればイケルイケル」
クウ「どんな強運の持ち主だよそれ!! てかお前が言うなファンブラー!!」
NANA「ファンブラー言うな!! ここぞって時はクリティカル出してるわ!! この前実卓なんてウィド(氷狩樹理)でやった時、クリ出して国家機密情報にハッキングしたし、カーチェイスで大型トラックに潰されると言う危機一髪をスペ出して脱出したし、最終決戦では再びクリで最大ダメージ叩き出して拳銃でショゴスにトドメ刺して倒したわ!! ただ、クトゥルフ神話技能で連続ファンブル出して協力NPCが次々と猟奇的事件に巻き込まれてむごい死に方したけど…」
クウ「何があった!? てかどんなシナリオしたんだよ!?」
NANA「とあるハリウッド作品をモチーフにして作った内容のシナリオを行ったよ、行ったんだけどぉ…結果的に、あいつ詐欺師通り越して凄腕のスパイとなり果てたよ…」
クウ「あいつのキャラで振るダイス運、どうなってるんだよ…?」
NANA「こっちが訊きたいわ…!!」(切実)
クウ「んで、今年もこの企画は終了だよな…。まさかこんな話の主役になるとは思ってなかった…!」
NANA「そうだね。もし来年もこの四月ネタ出来るなら、次はオリジナルの怪盗モノ書いてみたいなー」
クウ「俺の元ネタかよ…!」
NANA「いやいや、去年は怪盗モノのゲームが流行ったから」
クウ「P5かよ!?」
NANA「でも元ネタのパロでもいいかも…いっその事、KHからもキャラ持ってきて一話キッカリのパロでも作るか…!? 怪盗役はソラとあんた。それを追う刑事役にリクとウィド。双子のヒロインも用意して、美術品に宿る意思を巡っての争奪戦とか…うふふふふ…!!」
クウ「やめんかぁ!!!」
オマケ・キャラ設定(本編で詰め込み切れなかった設定も含んでます)
クウ:主人公。この春に新米教師となった26歳。何かと厄介ごとに巻き込まれては、問題を抱えた人と知り合っていく。困った人は放っておけない性格。
正体は10歳の少年。春に神社で行われた祭りにやってきた時に、カミの領域に迷い込んでシルビアと邂逅した。子供らしい無邪気な行動で彼女の心を癒した直後にカミクライに遭い、魂と心を奪われて捕ワレ人となった。虚像の世界に連れてこられた際に、記憶を奪われた上に願いを反映して大人の姿となってしまった。
肉体は意識不明の状態となって病院で延命処置を受けているが、一年後には魂と心が喰われて身体も死亡する。
スピカ:ヒロイン。学園の保険医でありながらクウの幼馴染。そろそろ結婚を考えているが、相手が見つからず内心焦り出している。
虚像の世界ではカミクライにあった子供達の残滓から生まれた影の一種で、真実を知ってしまうと本性を現して全身がのっぺらぼうの人型の影の姿となる。
現実世界ではちゃんと保険医として存在しており、実はカミクライに遭って捕ワレ人となったクウを見つけた第一発見者。
レイア:ヒロイン。クウの担当するクラスの学生で、影で複数の女子からいじめられている。
虚像の世界では同じく影の一種。真実に気づいた捕ワレ人を世界に取り込もうと、言葉で惑わせる。
現実世界では学生として存在していて、生い立ちも一緒。丁度先輩のオパールと一緒に神社の祭りに来ていた時に救急車に運ばれるクウを目撃している。
ツバサ:ヒロイン。サッカークラブに所属している少年だが、実は女の子。レギュラーに選ばれた直後に怪我で入院した兄の代わりに男装しながら通っているが、クラブの居心地が良くて内心このままでいたいと思っている。
虚像の世界では影の一種。本来の姿に戻ると、黒い身体を伸ばして捕ワレ人を捕まえようとする。
現実世界でも存在していて、兄のお見舞いで病院に行った際に昏睡状態となってベッドで寝たきりのクウを見かけた。
ニルヴァナ:ヒロイン。見た目は幼く見えるが、クウより年上の女性。歌手を目指すシンガーでバーで歌っている。歌の才能はあるが、極度のコミュ障なので人との繋がりが出来ない。
虚像の世界では影の一種。カミに喰われても尚、残った未練をぶつけるように襲い掛かってくる。
現実世界でもシンガーとして働いている。時折病院に赴き、昏睡している患者が目覚める可能性としてボランティアで歌を聞かせている者の中にクウがいた。
スズノヨミ:ヒロイン。町の神社に住む神主の娘。巫女をしていて、自由になりたいと思っている。
虚像の世界では影の一種。捕ワレ人の願いによって構築される世界は全て影によって作られるので、真実を知ると世界そのものが敵となる。
現実世界でも同じだが、こちらは霊感がある。クウの両親に依頼を受けて意識不明の彼を見てカミクライに遭った事を感じ取るものの、それ以上の事が出来なかった。
カミクライの事を知る彼女とある程度親しくなる事で、真実ルートへと分岐出来る仕組み。
シルビア:ヒロイン? 自称神様と名乗る少女で、神社の裏手に10歳の子供にしか入り込めない領域を作ってその中で暮らしている。
本来の姿は大人の女性で、この事件を引き起こした黒幕。人を憎んだカミによって作られた存在で、迷い込んだ人間の子供の“願い”を聞いては代償として心と魂を奪い取り、自身の主であるカミの世界に献上してきた。
領域に迷い込んだクウと触れあっていく内に、カミによって引き継いだ闇に囚われていた心が癒された。主であるカミに見つからない内に元の場所に返そうとした直後にクウが『大人になりたい・色んな困っている人達を助けたい』と願いを口にしてしまった為、意図せず奪い取ってしまいそのまま虚像の世界に送られた。
虚像の世界ではどうにか助けたいと思っているが、カミの領域である事から姿も大人から子供になって弱体化してしまい下手に干渉が出来ない。それでも条件を満たせば元の世界に戻るよう命を賭けてでも手助けしてくれる。
真実ルートの選択次第では、生還と同時にヒロインとして結ばれるルートを唯一築ける人物。ただし、そこに行きつくまでに沢山失う物(正気度)があるけどね!
ウィド:スピカの弟で、学園内にある教会で牧師を務めている。クウとは幼馴染の関係。
その正体は13年も前にカミクライに遭って捕ワレ人となった牧師を父親に持つ少年。霊感はもちろん、カミに対抗する霊力もある程度あったおかげで一年を過ぎてもカミに喰われる事無く虚像の世界に存在が出来ているが、囚われている事に変わりない。
長年この不安定な世界に存在しているので世界の一部となり果てている。その為、捕ワレ人の構成する世界によって肉体が変化する仕様になっており、自身の存在を保つために出来るだけ捕ワレ人に近い立ち位置で登場する。
この世界の真実を知っている為、同じく捕ワレ人であるクウが優しくすればするほど葛藤する。条件を満たせば彼をこの世界から逃そうと協力してくれる。
真実ルートによっては、友情エンドになるかもしれない。だが、カミクライに遭った肉体は既に魂の糸が切れて亡くなった為、魂と心が世界から解放されても生き返る事はない。
エン:クウと同じ顔を持つ謎の男。意味深な事を伝えてはすぐに立ち去っていく。
正体は、シルビアと同じくカミに作られた存在の一つ。穢れを纏ってしまう前に作られた為、信仰・崇拝をする人間を絶望に陥れるようになったカミに批判的だった。長年抗って期を待っていて、ようやくシルビアがクウによってこちら側に傾いた事で初めてカミの領域でもある虚像の世界に侵入が出来た。
クウと同じ姿をしているのは、カミに自分の存在を認識されないように。そしてクウ自身が虚構の世界に違和感を持ってくれるように。妨害も入って最初は敵に感じるが、信用されればこの世界を壊して二度とカミクライを起こさないようカミに立ち向かう。
真実ルートの分岐点によっては、最後まで彼を正しい世界に導く存在になるかもしれない。クウが生還したその後は…守護霊になるとかかな。
ルキル:学園の高等部に通う少年。ウィドを『先生』と呼んで慕っており、よく彼の管理する教会に遊びに来たりする。
正体はカミに作られた存在の一つで、虚像の世界を管理する存在。シルビアやエンと違い、あくまでも中立を保っている。耐性があるとはいえウィドが長年カミや影に喰われる事無く世界に存在を許されているのは、彼に気に入られたからと言うのが大きい。
彼が求めるのは“選択”のみ。選択によって、過去・現在・未来の全てが成り立つからである。その為、万が一虚像の世界やカミが滅ぶ事になったとしても選択によるものなら敵対はしない。あくまでも上位存在として、人を見守り・導き・試練を与える立ち位置を貫く。
最後の選択でクウが生還しようがしまいが彼には関係ない。全てが終わった後、新たな世界を作りつつそこを拠点にウィドと共に様々な夢の世界を旅するかもしれない。
オパール:レイアと同じ部活の先輩。レイアがいじめられている事を薄々感じている為、出来るだけ明るくかつ優しく接している。
レイアと同じように現実世界で捕ワレ人となったクウを目撃しているが、フラグを築かなかったのは彼女に困るだけの悩みがないから。