リラ様誕生日企画(魔法少女編1)
*今回の作品作りに辺り、作者はKH3未クリアであり、友人のプレイをたまに横で見ている状態なので連続でストーリーを見ていない状態です。なので、冒頭部分は完全にKHx&KHUxをプレイしている状態で書いています。違うと思っても、ギャグ作品として温かい目で見てくださると助かります。
予知書――
それは、滅びの運命までを綴った未来の出来事が記された本。
この本の力を使う事でキーブレードを与え、予知書に記された未来の力をカードやメダルにして使う事が出来る。
そしてもう一つ。この本に記された世界そのものをデータとして作り出す事が出来るのだ。
「つまり、その予知書の力を使えば……あの破天荒に育ったリズを女の子らしく戦わせる事も可能な訳でしょ!?」
「いきなり何を言ってるのだあなたは?」
どこぞのご都合的空間。そこでナミネが予知者達五人に血眼の状態で迫っていた。
そんなナミネに、五人の中でリーダー的存在でもあるウルコニウスを纏めるイラが抑えており、ウルペウスのリーダーであるアヴァも説き伏せる。
「確かにデータ世界は作り出す事は出来るし、こちらで多少はいじるのも可能だけれど…データだから本人ではないわよ?」
「それでもいいの! 私は! リズが! 少しでも女の子らしく、ヒロインとして振舞いながら戦う姿が見たいのよー!!」
「重症ね、この人…」
ついには泣き出してしまうナミネに、アングイスのインヴィも呆れを見せてしまう。だが、ウルススのユニオンを率いるアセッドは厳格な態度を見せる。
「くだらん。そもそも、そんな不良じみた性格に子供を育たせたのは親であるお前の監督が悪かったからだろう。自分の責任を無関係な俺達に頼r」
「ねえ、KH3でチリシィとソラが出会ったのは知っているわよね?」
「え? 何急に? てかソラって誰?」
急な話題に、レオパルドスのユニオンを収めるグウラが至極真面な疑問を聞き返す。
すると、さっきまで泣いていたナミネがユラリと顔を上げる。黒い笑顔を張り付けて。
「私の特技は、ソラとソラに繋がる人物の記憶を操る事なの…何が言いたいかって言うとね? チリシィを通じてあなた達の記憶に干渉して、全部バラバラにして心をぶっ壊してもいいのよ?」
『喜んで協力させて頂きます』
完全な脅しに、予知者全員が頭を下げた。
こうして、(仮想世界だが)リズをヒロインらしく女の子として戦わせる計画が立ち上がったのだが…。
「けど、具体的にはどうするの…?」
「とりあえず、彼女とそれに親しいもののデータを世界に取り入れるとして…」
アヴァとイラが率先して予知書を使ってデータ世界を作ろうとすると、そこに一つの人影が。
「あ、舞台となる世界だけど作り話の本とかあるじゃん。いっその事、それを取り入れてみたらどうだい?」
「マスター!? どうしてここに!?」
「いやー、中々面白そうな話を聞いたんでついね〜? それでどうよ?」
「何でもいいわ! リズをヒロインに出来るなら!」
「ほいほい。んじゃ、データをちょこちょこっと弄って…」
オッホン。ここはボクらの世界とは違う、どこかの世界。
戦いも脅威もいない平和な街に、ある幼馴染三人組がいました。
……語りはこんな感じでいいです? あ、いいんですね。やれやれ、どうして使い魔のボクが主の命令とは言えこんな仕事しないといけないんだろう…。
「ぎゃー! 遅刻ー!」
「今日の生活習慣の担当はエレウスだろ! 流石にやばい!」
「口を動かすより足を動かせ! 急げー!」
朝っぱらから騒ぎながら学校に向かう彼らは、リズ、ムーン、グラッセと言う名前です。
いつもと同じ日常。こんな日々が続くと、彼らは信じて疑わなかった…。
「はー、やっと一日が終わったー!」
「放課後のこの一本の為に生きてるようなもんだな…」
「いや、何おじさん臭い事言ってんだムーン!?」
学校も終わり、彼らは日課のシーソルトアイスを食べて帰っていました。
その時、リズの聴覚が小さな声を捉えます。
「ん? なんか声が聞こえない?」
「声?」
グラッセとムーンも、リズの言う声の持ち主を探してみます。けれど、どれだけ辺りを見回しても見つかりません。
しかし、リズは上空を見上げます。そこには、黒い化け物が飛んでいます。
「…て〜…の…〜…そこの人〜助けて〜!!」
「なんだあの化け物!?」
「考えるのは後だ、ムーン! おりゃあ!」
「スケボーを投げた!?」
リズは持っていたスケボーを持つなり、黒い化け物に向かって投げます。スケボーは見事に黒い化け物に命中して、黒い靄となって心が飛び出します。
それと同時に、リズ達の前に小さな小さな何かが落下しました。
「なんだ、これ…?」
「いたたたた…助けてくれてありがとう! 俺はソラ! ツムツムワールドからやってきた王子なんだ!」
そう言ってぴょこっと小さな手を挙げて挨拶するのは、白い上着に赤いつなぎを着たような掌サイズの丸っこいぬいぐるみの姿をした、茶髪のツンツン頭のツムツムでした。
「げふっ!?」
「グラッセが白目向いてぶっ倒れた!?」
「すまん…ちょっとこのまま南国の島のような場所にトリップしてくる…」
「現実逃避するなグラッセ!?」
「で、ソラ。お前はどうしてあの化け物に捕まってたんだ?」
「リズはリズで順応しすぎだろ!?」
ふらふらとどこかに去っていくグラッセを引き留め、リズにツッコミを決めるムーン。はっきり言って、大変そうです。
「あ、それは…」
ソラが何かを言いかけた所で、ふとグラッセの頭上に影が差します。
それに気づいた時には、グラッセは先ほどの化け物に服を捕まれて上空へと連れていかれてしまいます。
「うわああああ!?」
「「グラッセ!?」」
「ハートレス、まだいたのか!」
どうやらハートレスと呼ばれる黒い化け物は、グラッセを掴んだまま空を飛んでいきます。このままでは連れ去られてしまうでしょう。
「くそっ、スケボーはもうない! 走って追いかけるわよムーン!」
「お、おう!」
「ま、待って!」
二人と一緒に行くために、ソラがリズの肩に飛び乗ります。
すると、急にソラの全身と共にリズが光り出すではないですか。
「なんだこれ!?」
「これは…王家に伝わるツムツム族の鍵が反応している!」
「え、ちょ…きゃあああ!?」
「リズ!?」
リズの体が光り輝く。ムーンだけでなく、グラッセを連れ去ったハートレスも動きを止めます。
やがて光が収まると…リズは制服姿ではなく、白と黒をモチーフにした、フリルが沢山ついたミニスカの衣装を纏っていました。そして右手には白い鍵のような武器が。
「…なんじゃこの格好ー!?」
「お、おお…! リズが、女の子っぽい格好を…!」
「おいお前ぇ! さっさと放せ、貴重なリズのスカート姿が見えないだろうがー!」
「間違いない…リズの手にあるのはキーブレード、リズは鍵に選ばれたんだ! リズ、これであいつを「動きにくい!(ビリッ!)」何やってんのー!?「あ? こんなヒラヒラした格好で動けるか。下スパッツだし問題ないでしょ?」「そういう問題かー!? いやああああ!!」「お前は恥じらいがないのか?」」
…えー、何だかんだで騒ぎが大きくなってしまいましたが、スカートを破り捨ててスパッツに変えたリズは、改めてハートレスに向き直ります。
「よーし! リズ、そのキーブレードを使って魔法を放つんだ!」
「分かったわ! グラッセを放せー!」(ブンッ!)
「キーブレードを投げたー!?」
明らかに使い方が違うが、リズの投げたキーブレードはハートレスに命中。さっきと同じように消えていきます。ですが、ハートレスが消えた事でグラッセは宙に放り出されて、地上へ真っ逆さまに落ちていきました。
「「グ、グラッセー!?」」
「だ、誰か助けてー!?」
「助けてほしいか?」
「え…うわああああぁ!?」
どこからか声が聞こえたかと思うと、グラッセは黒い靄に包まれてしまいました。落下は止まりましたが、どう見ても怪しい雰囲気です。
「良かった…とは、言い難いわね。誰だ!」
リズ達が声のした方を見ると。なんと、二人の青年が宙に浮いています。一人は貴族の悪魔のような恰好をして、もう一人は研究者のように白い白衣に眼鏡をかけています。
「俺の名はウラノス、世界を闇で染める悪の貴公子だ!」
「私はウィド、悪の天才科学者です。お見知りおきを」
「あっ! リズ、ムーン! あいつらは俺達の世界、ツムツムワールドを闇に染めようとしている悪い奴らなんだ!」
「なるほど、ソラの敵と言う訳ね。つまり、あの変質者どもをぶっ倒せばこんな騒動終わらせられるって事ね!」
「ははは、変質者ですか。確かにウラノスはぱっと見でそう見えますよねー。気持ちはよーく分かりますよー」
「黙れ。一番怪しいのはどう見てもお前の方だろうが、陰険鬼畜眼鏡野郎」
「それより俺をさっさと下ろせぇぇぇ!?」
喧嘩を始める悪の幹部二人に、闇に囚われたグラッセがツッコミを決めます。
「おっと、忘れる所でした。さて、ツムツム族の生き残りを追って見れば、鍵に選ばれし魔法少女が現れるとは…あなたに恨みはありませんが、星の巡り合わせが悪かったと言う事で消えて貰いましょう!」
ウィドが懐から怪しい液体の入った瓶を取り出すと、なんとグラッセに投げつけます。そうして液体がかかると…なんと、グラッセの体がみるみる異形の姿に変わっていくではありませんか。
「ウ、ウガアアアアアアア!!!」
「「「グラッセ!?」」」
「どうです? 私の発明品、その名も【マモノニナール】は!」
「流石だぜウィド! この男は一目見た時から無性に気に食わないと感じていたんだ! いけ、トランスグラッセ! あいつらをやっつけてそのまま絶望して果てやがれぇ!!」
「ギシャアアアアア!!」
なんか最低な言葉がウラノスから飛び出しましたが、とにもかくにも魔物に変わってしまったグラッセはリズ達に向かって炎の魔法を襲い始めます。
「うわっちちちち! 火傷するー!?」
「グラッセがこんな手品を使うなんて!?」
「手品じゃない、魔法だよー! あちー!」
グラッセの炎に焼かれ、みんなパニック状態です。
「ソラ! グラッセを元に戻す方法はあるのか!?」
「ツムツム族に伝わる、光の力を使えばあるいは…! けど、俺はまだ未熟でそういう力は使えないんだ…!」
「ええい、こうなったら一発グラッセの脳天に蹴りを食らわせて!」
リズがグラッセを睨むと、攻撃されると分かったのでしょう。両手の炎を弾丸にしてムーンにぶつけた。
「ぐあああ!!」
「ムーン! きゃあ!?」
「リズ! うわあああぁ!?」
二人と一匹が爆発に巻き込まれ、地面に倒れます。そんな彼らに、グラッセは止めを刺そうと魔力を高め…。
「フラグメント、起動――光よっ!」
予知書――
それは、滅びの運命までを綴った未来の出来事が記された本。
この本の力を使う事でキーブレードを与え、予知書に記された未来の力をカードやメダルにして使う事が出来る。
そしてもう一つ。この本に記された世界そのものをデータとして作り出す事が出来るのだ。
「つまり、その予知書の力を使えば……あの破天荒に育ったリズを女の子らしく戦わせる事も可能な訳でしょ!?」
「いきなり何を言ってるのだあなたは?」
どこぞのご都合的空間。そこでナミネが予知者達五人に血眼の状態で迫っていた。
そんなナミネに、五人の中でリーダー的存在でもあるウルコニウスを纏めるイラが抑えており、ウルペウスのリーダーであるアヴァも説き伏せる。
「確かにデータ世界は作り出す事は出来るし、こちらで多少はいじるのも可能だけれど…データだから本人ではないわよ?」
「それでもいいの! 私は! リズが! 少しでも女の子らしく、ヒロインとして振舞いながら戦う姿が見たいのよー!!」
「重症ね、この人…」
ついには泣き出してしまうナミネに、アングイスのインヴィも呆れを見せてしまう。だが、ウルススのユニオンを率いるアセッドは厳格な態度を見せる。
「くだらん。そもそも、そんな不良じみた性格に子供を育たせたのは親であるお前の監督が悪かったからだろう。自分の責任を無関係な俺達に頼r」
「ねえ、KH3でチリシィとソラが出会ったのは知っているわよね?」
「え? 何急に? てかソラって誰?」
急な話題に、レオパルドスのユニオンを収めるグウラが至極真面な疑問を聞き返す。
すると、さっきまで泣いていたナミネがユラリと顔を上げる。黒い笑顔を張り付けて。
「私の特技は、ソラとソラに繋がる人物の記憶を操る事なの…何が言いたいかって言うとね? チリシィを通じてあなた達の記憶に干渉して、全部バラバラにして心をぶっ壊してもいいのよ?」
『喜んで協力させて頂きます』
完全な脅しに、予知者全員が頭を下げた。
こうして、(仮想世界だが)リズをヒロインらしく女の子として戦わせる計画が立ち上がったのだが…。
「けど、具体的にはどうするの…?」
「とりあえず、彼女とそれに親しいもののデータを世界に取り入れるとして…」
アヴァとイラが率先して予知書を使ってデータ世界を作ろうとすると、そこに一つの人影が。
「あ、舞台となる世界だけど作り話の本とかあるじゃん。いっその事、それを取り入れてみたらどうだい?」
「マスター!? どうしてここに!?」
「いやー、中々面白そうな話を聞いたんでついね〜? それでどうよ?」
「何でもいいわ! リズをヒロインに出来るなら!」
「ほいほい。んじゃ、データをちょこちょこっと弄って…」
オッホン。ここはボクらの世界とは違う、どこかの世界。
戦いも脅威もいない平和な街に、ある幼馴染三人組がいました。
……語りはこんな感じでいいです? あ、いいんですね。やれやれ、どうして使い魔のボクが主の命令とは言えこんな仕事しないといけないんだろう…。
「ぎゃー! 遅刻ー!」
「今日の生活習慣の担当はエレウスだろ! 流石にやばい!」
「口を動かすより足を動かせ! 急げー!」
朝っぱらから騒ぎながら学校に向かう彼らは、リズ、ムーン、グラッセと言う名前です。
いつもと同じ日常。こんな日々が続くと、彼らは信じて疑わなかった…。
「はー、やっと一日が終わったー!」
「放課後のこの一本の為に生きてるようなもんだな…」
「いや、何おじさん臭い事言ってんだムーン!?」
学校も終わり、彼らは日課のシーソルトアイスを食べて帰っていました。
その時、リズの聴覚が小さな声を捉えます。
「ん? なんか声が聞こえない?」
「声?」
グラッセとムーンも、リズの言う声の持ち主を探してみます。けれど、どれだけ辺りを見回しても見つかりません。
しかし、リズは上空を見上げます。そこには、黒い化け物が飛んでいます。
「…て〜…の…〜…そこの人〜助けて〜!!」
「なんだあの化け物!?」
「考えるのは後だ、ムーン! おりゃあ!」
「スケボーを投げた!?」
リズは持っていたスケボーを持つなり、黒い化け物に向かって投げます。スケボーは見事に黒い化け物に命中して、黒い靄となって心が飛び出します。
それと同時に、リズ達の前に小さな小さな何かが落下しました。
「なんだ、これ…?」
「いたたたた…助けてくれてありがとう! 俺はソラ! ツムツムワールドからやってきた王子なんだ!」
そう言ってぴょこっと小さな手を挙げて挨拶するのは、白い上着に赤いつなぎを着たような掌サイズの丸っこいぬいぐるみの姿をした、茶髪のツンツン頭のツムツムでした。
「げふっ!?」
「グラッセが白目向いてぶっ倒れた!?」
「すまん…ちょっとこのまま南国の島のような場所にトリップしてくる…」
「現実逃避するなグラッセ!?」
「で、ソラ。お前はどうしてあの化け物に捕まってたんだ?」
「リズはリズで順応しすぎだろ!?」
ふらふらとどこかに去っていくグラッセを引き留め、リズにツッコミを決めるムーン。はっきり言って、大変そうです。
「あ、それは…」
ソラが何かを言いかけた所で、ふとグラッセの頭上に影が差します。
それに気づいた時には、グラッセは先ほどの化け物に服を捕まれて上空へと連れていかれてしまいます。
「うわああああ!?」
「「グラッセ!?」」
「ハートレス、まだいたのか!」
どうやらハートレスと呼ばれる黒い化け物は、グラッセを掴んだまま空を飛んでいきます。このままでは連れ去られてしまうでしょう。
「くそっ、スケボーはもうない! 走って追いかけるわよムーン!」
「お、おう!」
「ま、待って!」
二人と一緒に行くために、ソラがリズの肩に飛び乗ります。
すると、急にソラの全身と共にリズが光り出すではないですか。
「なんだこれ!?」
「これは…王家に伝わるツムツム族の鍵が反応している!」
「え、ちょ…きゃあああ!?」
「リズ!?」
リズの体が光り輝く。ムーンだけでなく、グラッセを連れ去ったハートレスも動きを止めます。
やがて光が収まると…リズは制服姿ではなく、白と黒をモチーフにした、フリルが沢山ついたミニスカの衣装を纏っていました。そして右手には白い鍵のような武器が。
「…なんじゃこの格好ー!?」
「お、おお…! リズが、女の子っぽい格好を…!」
「おいお前ぇ! さっさと放せ、貴重なリズのスカート姿が見えないだろうがー!」
「間違いない…リズの手にあるのはキーブレード、リズは鍵に選ばれたんだ! リズ、これであいつを「動きにくい!(ビリッ!)」何やってんのー!?「あ? こんなヒラヒラした格好で動けるか。下スパッツだし問題ないでしょ?」「そういう問題かー!? いやああああ!!」「お前は恥じらいがないのか?」」
…えー、何だかんだで騒ぎが大きくなってしまいましたが、スカートを破り捨ててスパッツに変えたリズは、改めてハートレスに向き直ります。
「よーし! リズ、そのキーブレードを使って魔法を放つんだ!」
「分かったわ! グラッセを放せー!」(ブンッ!)
「キーブレードを投げたー!?」
明らかに使い方が違うが、リズの投げたキーブレードはハートレスに命中。さっきと同じように消えていきます。ですが、ハートレスが消えた事でグラッセは宙に放り出されて、地上へ真っ逆さまに落ちていきました。
「「グ、グラッセー!?」」
「だ、誰か助けてー!?」
「助けてほしいか?」
「え…うわああああぁ!?」
どこからか声が聞こえたかと思うと、グラッセは黒い靄に包まれてしまいました。落下は止まりましたが、どう見ても怪しい雰囲気です。
「良かった…とは、言い難いわね。誰だ!」
リズ達が声のした方を見ると。なんと、二人の青年が宙に浮いています。一人は貴族の悪魔のような恰好をして、もう一人は研究者のように白い白衣に眼鏡をかけています。
「俺の名はウラノス、世界を闇で染める悪の貴公子だ!」
「私はウィド、悪の天才科学者です。お見知りおきを」
「あっ! リズ、ムーン! あいつらは俺達の世界、ツムツムワールドを闇に染めようとしている悪い奴らなんだ!」
「なるほど、ソラの敵と言う訳ね。つまり、あの変質者どもをぶっ倒せばこんな騒動終わらせられるって事ね!」
「ははは、変質者ですか。確かにウラノスはぱっと見でそう見えますよねー。気持ちはよーく分かりますよー」
「黙れ。一番怪しいのはどう見てもお前の方だろうが、陰険鬼畜眼鏡野郎」
「それより俺をさっさと下ろせぇぇぇ!?」
喧嘩を始める悪の幹部二人に、闇に囚われたグラッセがツッコミを決めます。
「おっと、忘れる所でした。さて、ツムツム族の生き残りを追って見れば、鍵に選ばれし魔法少女が現れるとは…あなたに恨みはありませんが、星の巡り合わせが悪かったと言う事で消えて貰いましょう!」
ウィドが懐から怪しい液体の入った瓶を取り出すと、なんとグラッセに投げつけます。そうして液体がかかると…なんと、グラッセの体がみるみる異形の姿に変わっていくではありませんか。
「ウ、ウガアアアアアアア!!!」
「「「グラッセ!?」」」
「どうです? 私の発明品、その名も【マモノニナール】は!」
「流石だぜウィド! この男は一目見た時から無性に気に食わないと感じていたんだ! いけ、トランスグラッセ! あいつらをやっつけてそのまま絶望して果てやがれぇ!!」
「ギシャアアアアア!!」
なんか最低な言葉がウラノスから飛び出しましたが、とにもかくにも魔物に変わってしまったグラッセはリズ達に向かって炎の魔法を襲い始めます。
「うわっちちちち! 火傷するー!?」
「グラッセがこんな手品を使うなんて!?」
「手品じゃない、魔法だよー! あちー!」
グラッセの炎に焼かれ、みんなパニック状態です。
「ソラ! グラッセを元に戻す方法はあるのか!?」
「ツムツム族に伝わる、光の力を使えばあるいは…! けど、俺はまだ未熟でそういう力は使えないんだ…!」
「ええい、こうなったら一発グラッセの脳天に蹴りを食らわせて!」
リズがグラッセを睨むと、攻撃されると分かったのでしょう。両手の炎を弾丸にしてムーンにぶつけた。
「ぐあああ!!」
「ムーン! きゃあ!?」
「リズ! うわあああぁ!?」
二人と一匹が爆発に巻き込まれ、地面に倒れます。そんな彼らに、グラッセは止めを刺そうと魔力を高め…。
「フラグメント、起動――光よっ!」
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リラ様の誕生日企画、今年も始まりました! 続きは随時更新していきます!