リラキャラ合同、番外プレゼン企画・3
「いいじゃないか……企画が通れば、アタイだってもしかしたら料理上手になってたりするんだろ?」
「天地がひっくり返ってもそんな設定は変わらねーよ」
無惨な形でゴミ箱に捨てられた企画書を見ながら嘆くラック。それに対し、ムーンは一刀両断で希望を切り捨てる。
どうにか全員の命の危機となる企画は阻止したが、疲れ切ったのかグラッセは机に凭れ掛かるように蹲っていた。
「これまで出た3人の企画は、とても採用出来るものではないです……!! 誰でもいいから、せめて俺が生き延びれる話を持ってきてくれーーーー!!」
「任せなさい、グラッセ!!」
高らかな女性の声と共に、また扉が開かれる。
「姉である私の登場よ!!」
「テルスさん!?」
ウラノスの姉であり、リズ達の味方であるテルスが登場する。
次なる大人に期待を寄せる――事はなく、真っ先にウラノスはしかめっ面になる。
「自信満々に来たのはいいが、テルス姉さんの事だからどうせ企画はスケベ関連じゃないのか? 全員水着とか、温泉覗きとか」
「流石にそんなもの出しません、私は今回真面目に考えました。私が企画した内容は恋愛モノよ」
「恋愛モノ? それってウラノスさんと同じ奴です?」
「あんな企画と一緒にして貰ったら困るわ」
グラッセに釘を刺し、壇上に立つとオホンと咳払いをしてこの場にいる人達の注目を集める。中身は同性すら手を出すスケベだが、教師として人前に立つと言う事に置いての手腕は本物である。
「いい? 今の時代は多様性よ! リズのようなハーレム主人公、クウのようなダブルヒロイン同士のライバル対決も面白いと思うけど、恋愛モノの最先端を狙うならこれよ!!」
キッカケは、とても些細なものだったかもしれない。
この気持ちは墓場まで持っていこう。そう決めたのに。
それでも、どう言う訳か運命は――自分の味方をしていた。
「俺は……俺が好きなのは、リズじゃない! お前なんだよ、グラッセ!」
「ムーン……!?」
「違う! 私は……本当はお前が好きなんだ、クウ!」
「ウィド……!?」
これは、交わる事のない2組の、お互い不変だった絆が変わる話。
「お試しでもいい、俺と付き合って欲しい。嫌だと感じたら、そのまま別れてくれたらいいから……」
「ムーン……分かった。こんな俺で良ければ」
「ありがとう、グラッセ! こんな不純な思いを抱える俺を受け入れてくれて……!」
(やめてくれ。本当は男同士で付き合うとか、よく分からない。でも、ムーンを傷つけたくないだけだから……ごめん、ムーン)
「おい、リズ。急がなくても料理は無くならないぞ? あーあー、頬にソース付けて」
「もぐもぐもぐ、いいじゃない別に。あ、グラッセにも米粒付いてるわよ」
「ホント? この辺……?」
「違うよ、ほれ」
「うえええぇ!?」
「なんだよ、折角取ってやったのにいちいち大きなリアクションして」
(リズにもしていた筈なのに、何でこんなにドキドキしてるんだ俺……!)
「俺が嫌だって言えば、ムーンとは何時だって別れられる。なのに……俺、どうしたんだろう? この気持ちは一体……!!」
「お前も、俺と同じ悩みを持っているようだな」
「クウさん……」
「俺だって迷ってんだ。勇気を出して告白したウィドの気持ちに応えてやりたい、けど本当にこれでいいのかって……!」
「クウさん……分かります。ムーンは俺を困らせたくなくて、ずっと気持ちを抑え込んでいた。でも、本当の気持ちに従った今のムーンはとても嬉しそうで――何より」
「そんなあいつに惹かれてる自分がいる、じゃないのか? 多分、それが俺達の答えなんだ」
「俺、ちゃんと向き合わなきゃ!」
答えを導き出した2人は、改めてパートナーに向き合う。
「グラッセ。やっと俺の事向き合ってくれたんだな……お前と過ごす時間は嬉しくて、同時に恐怖だった。この幸せが、いつか壊れるんじゃないかって……!」
「ムーン、不安にさせてごめん。でも、俺は決めたよ」
「本当にいいんですか? 今なら無かった事にしてまた姉さん達と……」
「らしくねえな。ほら来いよ、俺じゃ不満か?」
「クウ……」
果たして、彼らが織りなす禁断の恋の行方は!?
《始まりのチルドレン 〜BoysandLove〜》
「なぁにが恋愛モノの最先端じゃあああああーーーー!!?」
「夢と希望のKHに対して何をプレゼンしてんだこの姉はぁぁぁーーーー!!?」
映像が終わるなり、グラッセとムーンが過去イチの怒鳴り声をテルスにぶつける。
そんな2人に対し、テルスは悪意のない顔で首を傾げる。
「時代は多様性よ? 男同士、女同士の恋愛に偏見の目を持たせないためにも、こう言う要素は取り入れないとでしょ?」
「読者に対して禁断の扉こじ開ける気ですかあなたはッ!?」
「多様性って言葉を使えば何もかもが許されると思ってんじゃねえぞぉ!!」
「あ、待って4人がかりで襲い掛かるのはにぎゃああああああ!?」
グラッセ達と同じく主演(と書いて被害者)にされたウィドとクウも、テルスに怒鳴りつけながら全力で攻撃を始めた。
炎の魔法や闇の斬撃、風の衝撃波に全力の蹴りと全員が鬼の形相でテルスをボコ殴りにする中、テルスの企画書がこっそり拾われる。
ウラノスの手によって。
「いやいや、俺としてはこの企画はいいと思うぜ。少なくとも、幼なじみくんはムーンによって新たな恋によって救われてんだ。そう思うだろ、リズ?」
「そうね。何となくだけど2人がくっつくなら救われる気がしなくはないわね」
「この人、ライバルが一気に2人減るからって企画を推し進めようとしてるんだけど!?」
「ふざけんな!! リズの予言が当たってたとしてもお前も道連れにするぞぉ!!」
「ちょっと、預言を言った覚えはないんだけど!?」
「そもそも、何でコラボ先の私達まで巻き添えにする!!」
「仮にこの企画が採用されてみろ、色んな意味で俺がスピカに殺されるわぁ!!」
テルスへの制裁の手は止めずに、ウラノスに怒鳴りつける男4人。途中リズのツッコミが入った気がするが、スルーである。
「ど、どうしましょう……さっきよりもカオスになってしまいました」
「そろそろ俺の出番だな」
おろおろと成り行きを見ていたジェダイドに応える様に、扉が開かれる。
続いて現れたのは、グラッセに続くツッコミ役のカヤだった。
「俺が来た!!」
「「「カヤ!」」」
自分達の中でも頼れる仲間であるカヤの登場に、リズ、グラッセ、ムーンは自然と明るい笑顔を見せる。
その笑顔に答える様にカヤは頷くと、期待を一身に背負いながら壇上に立った。
「お前達の話は聞いてた、色々大変だったな……ここからは任せろ。俺が読者の心をがっちり掴む話を持ってきたぜ。そう言う訳で、VTRスタートだ!!」
ある日、世界は闇に包まれて人類は存亡の危機に立たれてしまった。
しかし、滅亡に抗う者がいた。彼らは闇を打ち払う為の修業を積んで来たるべき日に備えていた。
そして今。闇と戦う者達が集い、ここに同盟が結成する。
「それじゃあ、まとめ役として――カヤ、お願い」
「分かった、リズ。よくぞ呼びかけに応じてくれた、闇に立ち向かいし勇士よ。リズ、グラッセ、ムーン、ラック、ジェダイド、テルス――そしてこの俺、カヤと共に、世界に蔓延る闇を打ち払おう!!」
『ええ!/おう!/はい!』
こうしてバラバラの世界で過ごしていた仲間達と共に、旅に出る。
しかし、闇との戦いには必ず苦難が待ち受ける。
「ぐああぁ!?」
「グラッセから離れろぉ!!」
グラッセを襲ったハートレスを氷の魔法で倒したカヤ。すぐに駆け寄るが、グラッセは負傷して動けない。
「すまない、カヤ……油断してしまって」
「大丈夫だ、グラッセ。お前は下がって回復するんだ」
「死ねぇ、グラッセーーーーー!!」
その時、チャンスとばかりに角の生えたウラノスが襲い掛かる。
「氷の呼吸!」
冷気を纏った刀でウラノスを一閃するカヤ。
ウラノスを退けると、第2の刺客のゼノが襲い掛かる。
「死ねぇ、光の勇者! 呪法――!」
「領域展開」
目隠しを外しながら、指を曲げながら構えると同時に作り出した領域内に氷塊が現れ、ゼノに容赦なく襲い掛かる。
連続でグラッセを守っていると、なんとヴァニタスが。
「ふはははは! これで貴様も終わりだ勇者の息子――!」
「これが俺の個性だー!!」
ヴァニタスごと闇を吹き飛ばすように、特大の氷のビームを出した。
例え、悲しい未来が待っていても。膝を付くような出来事があったとしても。誰かの死が待っていたとしても。
仲間達の絆と共に、世界を救う為に俺達は最後まで旅を続ける!
《キングダムハーツ 鬼滅のヒーロー廻戦》
「アカーーーーン!!! 何を出そうとしてんだぁぁあああーーーーーーー!!?」
あまりにもアレな内容に、プレゼンが終わるなり先程の怒りと違ってグラッセは絶叫を上げる。
そんなグラッセに、カヤは満足そうに胸を張って鼻を高くする。
「どうだ? 俺なりに友情・努力・勝利の要素を詰め込んだ話だぜ!」
「チョイスしたラインナップが裏切り・欠損・絶望なんだけど!?」
「ただでさえ最近のKH作品は救われてない話が多いんだ、これ以上鬱要素を混ぜるんじゃねーよ!!」
グラッセに続くように、クウも企画のダメ出しをする。
「えー! 私、呼吸法使ってみたーい!」
「俺も呪力使ってみたかったが……!」
「ただでさえ人間離れしてるのに、これ以上化け物じみた能力手に入れるんじゃないッ!!」
乗り気になるリズとムーンにツッコミを入れると、またグラッセはその場に四つん這いで崩れ落ちてしまった。
「カヤの話は色んな意味でダメだ……!! 何かこう、主人公も仲間も一般人もバッタバッタ死んでいく図しか見えない……!」
「これまで出した案全部、まともな要素が何一つねぇのがスゲーよ……。主人公があれなら、仲間も仲間じゃねーか……」
「少なくともあんたらには言われたくありません!!」
ドン引きするクウに、再度ツッコミを飛ばすグラッセであった。
「天地がひっくり返ってもそんな設定は変わらねーよ」
無惨な形でゴミ箱に捨てられた企画書を見ながら嘆くラック。それに対し、ムーンは一刀両断で希望を切り捨てる。
どうにか全員の命の危機となる企画は阻止したが、疲れ切ったのかグラッセは机に凭れ掛かるように蹲っていた。
「これまで出た3人の企画は、とても採用出来るものではないです……!! 誰でもいいから、せめて俺が生き延びれる話を持ってきてくれーーーー!!」
「任せなさい、グラッセ!!」
高らかな女性の声と共に、また扉が開かれる。
「姉である私の登場よ!!」
「テルスさん!?」
ウラノスの姉であり、リズ達の味方であるテルスが登場する。
次なる大人に期待を寄せる――事はなく、真っ先にウラノスはしかめっ面になる。
「自信満々に来たのはいいが、テルス姉さんの事だからどうせ企画はスケベ関連じゃないのか? 全員水着とか、温泉覗きとか」
「流石にそんなもの出しません、私は今回真面目に考えました。私が企画した内容は恋愛モノよ」
「恋愛モノ? それってウラノスさんと同じ奴です?」
「あんな企画と一緒にして貰ったら困るわ」
グラッセに釘を刺し、壇上に立つとオホンと咳払いをしてこの場にいる人達の注目を集める。中身は同性すら手を出すスケベだが、教師として人前に立つと言う事に置いての手腕は本物である。
「いい? 今の時代は多様性よ! リズのようなハーレム主人公、クウのようなダブルヒロイン同士のライバル対決も面白いと思うけど、恋愛モノの最先端を狙うならこれよ!!」
キッカケは、とても些細なものだったかもしれない。
この気持ちは墓場まで持っていこう。そう決めたのに。
それでも、どう言う訳か運命は――自分の味方をしていた。
「俺は……俺が好きなのは、リズじゃない! お前なんだよ、グラッセ!」
「ムーン……!?」
「違う! 私は……本当はお前が好きなんだ、クウ!」
「ウィド……!?」
これは、交わる事のない2組の、お互い不変だった絆が変わる話。
「お試しでもいい、俺と付き合って欲しい。嫌だと感じたら、そのまま別れてくれたらいいから……」
「ムーン……分かった。こんな俺で良ければ」
「ありがとう、グラッセ! こんな不純な思いを抱える俺を受け入れてくれて……!」
(やめてくれ。本当は男同士で付き合うとか、よく分からない。でも、ムーンを傷つけたくないだけだから……ごめん、ムーン)
「おい、リズ。急がなくても料理は無くならないぞ? あーあー、頬にソース付けて」
「もぐもぐもぐ、いいじゃない別に。あ、グラッセにも米粒付いてるわよ」
「ホント? この辺……?」
「違うよ、ほれ」
「うえええぇ!?」
「なんだよ、折角取ってやったのにいちいち大きなリアクションして」
(リズにもしていた筈なのに、何でこんなにドキドキしてるんだ俺……!)
「俺が嫌だって言えば、ムーンとは何時だって別れられる。なのに……俺、どうしたんだろう? この気持ちは一体……!!」
「お前も、俺と同じ悩みを持っているようだな」
「クウさん……」
「俺だって迷ってんだ。勇気を出して告白したウィドの気持ちに応えてやりたい、けど本当にこれでいいのかって……!」
「クウさん……分かります。ムーンは俺を困らせたくなくて、ずっと気持ちを抑え込んでいた。でも、本当の気持ちに従った今のムーンはとても嬉しそうで――何より」
「そんなあいつに惹かれてる自分がいる、じゃないのか? 多分、それが俺達の答えなんだ」
「俺、ちゃんと向き合わなきゃ!」
答えを導き出した2人は、改めてパートナーに向き合う。
「グラッセ。やっと俺の事向き合ってくれたんだな……お前と過ごす時間は嬉しくて、同時に恐怖だった。この幸せが、いつか壊れるんじゃないかって……!」
「ムーン、不安にさせてごめん。でも、俺は決めたよ」
「本当にいいんですか? 今なら無かった事にしてまた姉さん達と……」
「らしくねえな。ほら来いよ、俺じゃ不満か?」
「クウ……」
果たして、彼らが織りなす禁断の恋の行方は!?
《始まりのチルドレン 〜BoysandLove〜》
「なぁにが恋愛モノの最先端じゃあああああーーーー!!?」
「夢と希望のKHに対して何をプレゼンしてんだこの姉はぁぁぁーーーー!!?」
映像が終わるなり、グラッセとムーンが過去イチの怒鳴り声をテルスにぶつける。
そんな2人に対し、テルスは悪意のない顔で首を傾げる。
「時代は多様性よ? 男同士、女同士の恋愛に偏見の目を持たせないためにも、こう言う要素は取り入れないとでしょ?」
「読者に対して禁断の扉こじ開ける気ですかあなたはッ!?」
「多様性って言葉を使えば何もかもが許されると思ってんじゃねえぞぉ!!」
「あ、待って4人がかりで襲い掛かるのはにぎゃああああああ!?」
グラッセ達と同じく主演(と書いて被害者)にされたウィドとクウも、テルスに怒鳴りつけながら全力で攻撃を始めた。
炎の魔法や闇の斬撃、風の衝撃波に全力の蹴りと全員が鬼の形相でテルスをボコ殴りにする中、テルスの企画書がこっそり拾われる。
ウラノスの手によって。
「いやいや、俺としてはこの企画はいいと思うぜ。少なくとも、幼なじみくんはムーンによって新たな恋によって救われてんだ。そう思うだろ、リズ?」
「そうね。何となくだけど2人がくっつくなら救われる気がしなくはないわね」
「この人、ライバルが一気に2人減るからって企画を推し進めようとしてるんだけど!?」
「ふざけんな!! リズの予言が当たってたとしてもお前も道連れにするぞぉ!!」
「ちょっと、預言を言った覚えはないんだけど!?」
「そもそも、何でコラボ先の私達まで巻き添えにする!!」
「仮にこの企画が採用されてみろ、色んな意味で俺がスピカに殺されるわぁ!!」
テルスへの制裁の手は止めずに、ウラノスに怒鳴りつける男4人。途中リズのツッコミが入った気がするが、スルーである。
「ど、どうしましょう……さっきよりもカオスになってしまいました」
「そろそろ俺の出番だな」
おろおろと成り行きを見ていたジェダイドに応える様に、扉が開かれる。
続いて現れたのは、グラッセに続くツッコミ役のカヤだった。
「俺が来た!!」
「「「カヤ!」」」
自分達の中でも頼れる仲間であるカヤの登場に、リズ、グラッセ、ムーンは自然と明るい笑顔を見せる。
その笑顔に答える様にカヤは頷くと、期待を一身に背負いながら壇上に立った。
「お前達の話は聞いてた、色々大変だったな……ここからは任せろ。俺が読者の心をがっちり掴む話を持ってきたぜ。そう言う訳で、VTRスタートだ!!」
ある日、世界は闇に包まれて人類は存亡の危機に立たれてしまった。
しかし、滅亡に抗う者がいた。彼らは闇を打ち払う為の修業を積んで来たるべき日に備えていた。
そして今。闇と戦う者達が集い、ここに同盟が結成する。
「それじゃあ、まとめ役として――カヤ、お願い」
「分かった、リズ。よくぞ呼びかけに応じてくれた、闇に立ち向かいし勇士よ。リズ、グラッセ、ムーン、ラック、ジェダイド、テルス――そしてこの俺、カヤと共に、世界に蔓延る闇を打ち払おう!!」
『ええ!/おう!/はい!』
こうしてバラバラの世界で過ごしていた仲間達と共に、旅に出る。
しかし、闇との戦いには必ず苦難が待ち受ける。
「ぐああぁ!?」
「グラッセから離れろぉ!!」
グラッセを襲ったハートレスを氷の魔法で倒したカヤ。すぐに駆け寄るが、グラッセは負傷して動けない。
「すまない、カヤ……油断してしまって」
「大丈夫だ、グラッセ。お前は下がって回復するんだ」
「死ねぇ、グラッセーーーーー!!」
その時、チャンスとばかりに角の生えたウラノスが襲い掛かる。
「氷の呼吸!」
冷気を纏った刀でウラノスを一閃するカヤ。
ウラノスを退けると、第2の刺客のゼノが襲い掛かる。
「死ねぇ、光の勇者! 呪法――!」
「領域展開」
目隠しを外しながら、指を曲げながら構えると同時に作り出した領域内に氷塊が現れ、ゼノに容赦なく襲い掛かる。
連続でグラッセを守っていると、なんとヴァニタスが。
「ふはははは! これで貴様も終わりだ勇者の息子――!」
「これが俺の個性だー!!」
ヴァニタスごと闇を吹き飛ばすように、特大の氷のビームを出した。
例え、悲しい未来が待っていても。膝を付くような出来事があったとしても。誰かの死が待っていたとしても。
仲間達の絆と共に、世界を救う為に俺達は最後まで旅を続ける!
《キングダムハーツ 鬼滅のヒーロー廻戦》
「アカーーーーン!!! 何を出そうとしてんだぁぁあああーーーーーーー!!?」
あまりにもアレな内容に、プレゼンが終わるなり先程の怒りと違ってグラッセは絶叫を上げる。
そんなグラッセに、カヤは満足そうに胸を張って鼻を高くする。
「どうだ? 俺なりに友情・努力・勝利の要素を詰め込んだ話だぜ!」
「チョイスしたラインナップが裏切り・欠損・絶望なんだけど!?」
「ただでさえ最近のKH作品は救われてない話が多いんだ、これ以上鬱要素を混ぜるんじゃねーよ!!」
グラッセに続くように、クウも企画のダメ出しをする。
「えー! 私、呼吸法使ってみたーい!」
「俺も呪力使ってみたかったが……!」
「ただでさえ人間離れしてるのに、これ以上化け物じみた能力手に入れるんじゃないッ!!」
乗り気になるリズとムーンにツッコミを入れると、またグラッセはその場に四つん這いで崩れ落ちてしまった。
「カヤの話は色んな意味でダメだ……!! 何かこう、主人公も仲間も一般人もバッタバッタ死んでいく図しか見えない……!」
「これまで出した案全部、まともな要素が何一つねぇのがスゲーよ……。主人公があれなら、仲間も仲間じゃねーか……」
「少なくともあんたらには言われたくありません!!」
ドン引きするクウに、再度ツッコミを飛ばすグラッセであった。