リラキャラ合同、番外プレゼン企画・4
「さて、あなた達の仲間から出た企画はこれで全部ですが……どれを選びます?」
「全部嫌ですけど!?」
こんなロクでもない無い企画を持ってにこやかに質問するウィドに、即座にグラッセがツッコミを入れる。
気持ちは同じなのか、リズも腕を組んで頷く。
「今回は私も同意見。こうなったら自分達で企画を作るしかないわね……」
もうめんどくさいとか言ってられない。ここで案を出さなければ、色んな意味でハチャメチャな企画を選ばなければならない。
どうするかと考えていると、机でムーンが何やら作業をしていた。
「――よし、出来た。なあ、俺が考えた企画を出してみたいんだが」
「構いませんよ。では、発表をお願いします」
いち早く企画を完成させたムーンが壇上に上がるのを見て、グラッセも聞く体制に入る。
「ムーンの考えた企画か。一体どんなのだろうな……」
「俺の考えた企画だけど、ここは皆で季節モノのイベントをしたらどうかと思ってな。そうすれば皆でワイワイ楽しめるだろ? そう言う感じで、俺の企画を発表だ!!」
ハロウィン。それはお化けの仮装をしてお菓子を貰う、子供のイベント。
カボチャのお菓子。さつまいものお菓子。クッキーにチョコと様々な甘い物があなたを待っている事でしょう。
今、1人の夢見る少年によるお菓子を巡るハロウィンが始まります。
「ま た せ た な!!」(左手にχブレード、右手にリズの能力(融合技術)によってキーブレードが大剣化したモノ、背後にはグラッセが召喚しているであろうオーディン)
「待てやぁぁぁ!? 未だかつてないほどにムーンが厄介な存在と化してんだけど!? リズとグラッセアイツら協力してやがんなぁ!!?」
「カヤさん…グラッセ君から『ごめんなさい脅しに屈しました』と言うメッセージと共に力使い続けて今にも倒れそうな二人の写真が送られてきました」
「手段選ばないにもほどがあるだろ!? ジェダイドすぐに通達だ全員逃げろーーー!!!!」
子供達は口にするのは、甘くて美味しいお菓子を貰える魔法の言葉。
「お菓子ぃぃぃぃ!!!」
「ぎゃーーーーー!!」
『ウラノスーーーーーー!?』
「ですおあとりぃぃぃぃぃぃとぉぉぉぉぉぉ!!!」
「ぎゃあーーーーーーーーーー!!!」
『お菓子を用意してなかったばかりにクウも犠牲にーーーーー!?』
進む道で、同じくお菓子を集める可愛らしいお化けの仲間とも出会います。
「オデ オカシ クイタイ」
(ぶくぶくぶく…!!)
「シャオが泡吹いた状態で捕まってる!?」
「ヨコセ カシ ヨコセエエエエエエエ!!!」
『ぎゃー!! 食われるーーーーー!!?』
数々の甘いお菓子の出会いに、足取りは今にも飛んでしまいそうな程です。
「トリィィィィトォォォォ!!!」
『わああああああぁ!!?』
『大人達が纏めて空の彼方まで吹っ飛ばされたーーーーーー!!』
果たして、ムーンはどれだけのお菓子と巡り合えるのか?
《始まりのチルドレン 〜お菓子だらけのハロウィンパーティ♪〜》
「どうだ? 皆で楽しめて、俺も好物のお菓子を食べれる。これぞWin‐Winな話ってな」
「ねえ、台詞とナレーションの温度差が全く合ってないんだけど!?」
「タイトル詐欺も良い所だよこんなのパニックホラーだろ!? 子供泣くぞッ!?」
「全員、何としてでもこの企画を阻止しろ!! 採用されたら最後、俺達の命がないぞーーーーーーー!!!」
鼻を高くするムーンとは逆に、リズ、グラッセ、カヤの悲鳴が響き渡る。折角出した企画を潰そうとする彼らの扱いを受けたムーンはカチンとくる。
「何でこんなに不評なんだよ!?」
「逆に何で採用されると思った!?」
即座にクウがツッコミを入れる。気持ちは一緒なのか、この場にいる全員が武器を取り出している。採用したら最後、トラウマ級の恐怖を刻みながら世界が破滅するだろう。
「仕方ないわね――こうなったからには、私が行くわよ!」
身内の不始末を拭うとばかりに、次のプレゼンはリズが立候補した。
「「「リズが?」」」
「おう、そこの3人。飛び蹴り喰らいたいなら後でたっぷりと喰らわせてやるぞ? とにかく、皆のプレゼンを見て分かったわ。これは今の流行りに乗っかりつつ自分がやりたい物語を考えればいいんでしょ?」
失礼なグラッセ、カヤ、クウに処刑宣言しつつ確認すると、ウィドは頷く。
「まあ、これまで出たケースを見ればそうなりますね」
「だったら、私が見せてやるわ! 皆が納得するような壮大な物語をねぇ!!」
時を得て現世に復活したマスターゼアノートの戦い。
死闘とも言える激戦を繰り広げ、決死の特攻によりリズはゼアノートと刺し違える形で決着を付けた。
(ああ……どうにか、終わった……私は消えるけど、これで良かったんだ)
そうして彼女は仲間達に看取られ、永遠の眠りに就いた――。
「――さい――きなさい――起きなさい」
(誰…だ…)
「起きなさい――ほら、いつまで寝てるんだい?」
「うるせーーーー!!」
「ごはぁ!? 痛いなぁ、何をするんだいアルトリア!?」
「それはこっちの台詞だ! 死んだ私を起こそうとするとか……ん?」
殴ったのは胡散臭い男。手に持つのは、聖剣と呼ばれるもの。
刀身に映るのは――自分の姿ではなく、いつか見た物語の人物。
「私、アルトリアになってるーーー!?」
消えた私の魂がやってきたのは、ブリテンと呼ばれる地。本の物語ではアルトリアと言う人物が冒険し、国を繁栄し、やがて滅亡が訪れる。
そのアルトリアに転生した私は、後に起こる破滅の運命を変える為に奔走する。
「マーリンてめえはなにやってんじゃーーー!!」
「聖剣ではなく飛び蹴り!?」
「お ま え は !!! 大事な事を何時も何時も言わないで全員どん底に落としたり放置する癖をあれほど直せとぉぉぉ!!!!」
「イタイイタイ関節技決まってるよ!!?」
「国益とか体裁とかで結婚が必要なら、今日から私は女だと公表するわ!! ギネヴィアに関してはランスロット、お前に任せる!!」
「「王ーーーーー!?」」
「まさか子供いるとは思わんかったわ、寿命の関係と出征が…まぁうん結構問題あるから後継者に出来んけど子供としては受け入れるよ」
「父上……! ありがとな、俺父上の役に立つように頑張るぜ!」
「これに懲りて、国を乗っ取ろうとか思うなよ、モルガン?」
「はい、我が妻よ」
「「「母上ぇぇぇ!!?」」」
あらゆる手を使って、破滅の待つブリテンの運命をぶち壊して見せる!
《異世界転生した私はアルトリア!? 〜キーブレードの勇者の力で、破滅フラグをへし折る!〜》
「何をしようとしてんだリズゥゥゥ!? やってる事がカヤ以上だし色んな意味でブリテンが滅ぶわーーーーー!!!」
渾身のグラッセのツッコミが飛び出す中、リズはと言うと。
「えー? 異世界転生ってこういう物でしょ? 誰もが思いつかない事を考えるそして行動する! それが私だ、私のアイデンティティだぁ!!」
「アホかお前?」
反省する事なく胸を張っており、これにはムーンも呆れを見せた。
「間違ってないけどこんなの作品にしたら特異点、いや異聞帯になるわ!! 剪定世界指定モノだよ!!」
「いいじゃない、菌糸類が作り上げたような妖精の国じゃないんだし」
「菌糸類? 妖精?」
突然のワードにグラッセが思わず首を傾げると、カヤも不思議そうに問う。
「寧ろ、妖精の国の方が平和そうなんだが? そこに転生すればどうだ?」
「ア"ァ? あんな国に転生するんなら容赦なく滅ぼすけど? てか更地にする、絶対する、妖精どもは皆殺しじゃあぁぁぁ!! 汎人類の地を踏めると思うなあの害虫ども!! ブリテン諸共塵も残さない程消滅しやがれぇぇぇ!!」
『何この殺意!?』
FGO2部6章【アヴァロン・ル・フェ編】。皆さんも始めて、その物語を見てみましょう。作者は(ほぼ)無課金で最新章まで進んでますので、気軽に遊べるはずです。
「やめろぉ!! 布教と一緒に読者を地獄に突き落とすんじゃねえ!!」
「えー? 愛と希望の物語を勧めているだけですのに」
今のテロップはウィドが出したようで、怒鳴ったクウに可愛く首を傾けて反論する。
「胸糞と絶望の物語の間違いでしょあれ?」
「何で意見が両極端なの!? 正反対同士で成立する話なんてあるの!?」
そこにリズも加わった事で、混乱を引き起こすグラッセ。
再び場が騒がしくなると、様子を見ていたウラノスが溜息を吐いた。
「全く、こうなると思ってたぜ。やっぱり、ここは王道の俺の案が一番じゃないか?」
「妄想垂れ流しの話なんてやる訳ないだろ! ここはアタイの料理番組で」
「殺人料理オンパレードなんて出せる訳ないだろ! 人気所を押さえた俺の案で」
「いいえ、ほのぼのな僕の企画です!」
「多様性の私の案が全然いいと思うんですけど!?」
「いいや、お菓子奪い放題の俺の企画が!!」
「ちょっと!? 俺の案がまだ出てないのに勝手に話を進めないで!?」
「どうせ幼なじみくんの案は俺がリズを守れるくらい強い設定での冒険譚だろ? 俺と対して変わらねーだろ」
「ぐっ!? なぜそれを……!」
騒ぎがより一層大きくなったことで、完全に収集がつかなくなったリズ達はそれぞれの企画で言い争ったり手を出したりまでしている。
やがて騒ぎが騒音レベルにまで発展した所で、ストップがかかる。
「お前らそこまでにしろーーーーー!!」
クウの怒鳴り声に、8人が一斉に言葉と動きを止める。
全員が鎮まるのを確認してから、ウィドは頭を押さえて話しかけた。
「まあ、あなた達は良くも悪くも個性の塊のメンバーです。正直、こうなるだろうと予想はしてました。なので、少しでも別の選択肢を広げる為にこちらで持ってきた企画をお出ししたいと思います」
『そっちの企画?』
「こんな事あろうかと事前に作っておいたんだよ。俺達の企画は――」
「マスターと因縁のある設定の俺の華麗な話で!」「キーブレード墓場古代遺跡探検で!」
「「あ?」」
全く違う企画が2人の口から飛び出すと、即座に互いを睨みつける。
直後、お互いの両手が伸びたと思えば、そのまま取っ組み合いになり歯を剥き出しにして威嚇し始めた。
「あの2人、速攻で喧嘩始めましたよ!?」
「それ以前に、お前らも自分の欲望丸出しじゃねーか!?」
ジェダイドとカヤが信じられないと叫ぶと、クウを睨んでたウィドの顔が2人に向く。
「クウと一緒にしないでください! そもそもあなた、ただでさえKHキャラ差し置いて目立ってるのにこれ以上設定増やす気です? やられ過ぎてもはや人間止めた不死身とか言われてるのに、収拾付かなくなるでしょう?」
「はぁ? 折角の企画だし、実は黒幕的なマスターと関係があるとかそんな因縁っぽい設定でやってみてもいいだろ!! そもそも俺は生まれとか能力も一般人で、そこの奴らみたいに最初から人間止めてねーから!!」
『誰が人間止めてるって!?』
物凄く失礼な発言に、リズ達は怒りを向ける。
それを無視し、怒っていたクウは反撃とばかりに煽っていたウィドと同じように笑顔を作る。
「そっちだって何が遺跡探検だよ? てめえだって趣味丸出しの企画出してんじゃねーよ? あんな殺風景な場所で延々と歩いて調べるだけの話、誰が喜ぶんだよ?」
「何を言う!! 古代のロマンを感じず何を感じろと!? 大体、キーブレード墓場で復活させた遺跡でああも激しい死闘を繰り広げるのが間違っているだろう!! 何が光と闇の戦いだ!? 調べればKH歴史の一部が明らかになるであろう貴重な古代物の中で損傷破壊も厭わない戦いをするとかあいつら全員馬鹿だろうッ!!」
『馬鹿はお前だ遺跡馬鹿!!』
あまりにもKHキャラに失礼な発言に、全員が学者モードのウィドにツッコミを入れる。
「ええい、こうなったらもう暴力よ!! 暴力は全てを解決するって相場が決まってんだよーーーー!!」
「わーーーー!? 止めろリズーーーー!?」
めんどくさいとばかりにリズが両手にキーブレードを取り出して暴れ始め、悲鳴を上げるグラッセ。
会議室内で爆発が起こる。壁が破壊され、そこから悲鳴と煙と激しい音が響き渡る。
リズ達は気づかない。その破壊された壁の傍に、散らばった書類と瓦礫と共に――1冊の本が落ちている事に。
その本のタイトルは、
《朝朗の記憶》
「全部嫌ですけど!?」
こんなロクでもない無い企画を持ってにこやかに質問するウィドに、即座にグラッセがツッコミを入れる。
気持ちは同じなのか、リズも腕を組んで頷く。
「今回は私も同意見。こうなったら自分達で企画を作るしかないわね……」
もうめんどくさいとか言ってられない。ここで案を出さなければ、色んな意味でハチャメチャな企画を選ばなければならない。
どうするかと考えていると、机でムーンが何やら作業をしていた。
「――よし、出来た。なあ、俺が考えた企画を出してみたいんだが」
「構いませんよ。では、発表をお願いします」
いち早く企画を完成させたムーンが壇上に上がるのを見て、グラッセも聞く体制に入る。
「ムーンの考えた企画か。一体どんなのだろうな……」
「俺の考えた企画だけど、ここは皆で季節モノのイベントをしたらどうかと思ってな。そうすれば皆でワイワイ楽しめるだろ? そう言う感じで、俺の企画を発表だ!!」
ハロウィン。それはお化けの仮装をしてお菓子を貰う、子供のイベント。
カボチャのお菓子。さつまいものお菓子。クッキーにチョコと様々な甘い物があなたを待っている事でしょう。
今、1人の夢見る少年によるお菓子を巡るハロウィンが始まります。
「ま た せ た な!!」(左手にχブレード、右手にリズの能力(融合技術)によってキーブレードが大剣化したモノ、背後にはグラッセが召喚しているであろうオーディン)
「待てやぁぁぁ!? 未だかつてないほどにムーンが厄介な存在と化してんだけど!? リズとグラッセアイツら協力してやがんなぁ!!?」
「カヤさん…グラッセ君から『ごめんなさい脅しに屈しました』と言うメッセージと共に力使い続けて今にも倒れそうな二人の写真が送られてきました」
「手段選ばないにもほどがあるだろ!? ジェダイドすぐに通達だ全員逃げろーーー!!!!」
子供達は口にするのは、甘くて美味しいお菓子を貰える魔法の言葉。
「お菓子ぃぃぃぃ!!!」
「ぎゃーーーーー!!」
『ウラノスーーーーーー!?』
「ですおあとりぃぃぃぃぃぃとぉぉぉぉぉぉ!!!」
「ぎゃあーーーーーーーーーー!!!」
『お菓子を用意してなかったばかりにクウも犠牲にーーーーー!?』
進む道で、同じくお菓子を集める可愛らしいお化けの仲間とも出会います。
「オデ オカシ クイタイ」
(ぶくぶくぶく…!!)
「シャオが泡吹いた状態で捕まってる!?」
「ヨコセ カシ ヨコセエエエエエエエ!!!」
『ぎゃー!! 食われるーーーーー!!?』
数々の甘いお菓子の出会いに、足取りは今にも飛んでしまいそうな程です。
「トリィィィィトォォォォ!!!」
『わああああああぁ!!?』
『大人達が纏めて空の彼方まで吹っ飛ばされたーーーーーー!!』
果たして、ムーンはどれだけのお菓子と巡り合えるのか?
《始まりのチルドレン 〜お菓子だらけのハロウィンパーティ♪〜》
「どうだ? 皆で楽しめて、俺も好物のお菓子を食べれる。これぞWin‐Winな話ってな」
「ねえ、台詞とナレーションの温度差が全く合ってないんだけど!?」
「タイトル詐欺も良い所だよこんなのパニックホラーだろ!? 子供泣くぞッ!?」
「全員、何としてでもこの企画を阻止しろ!! 採用されたら最後、俺達の命がないぞーーーーーーー!!!」
鼻を高くするムーンとは逆に、リズ、グラッセ、カヤの悲鳴が響き渡る。折角出した企画を潰そうとする彼らの扱いを受けたムーンはカチンとくる。
「何でこんなに不評なんだよ!?」
「逆に何で採用されると思った!?」
即座にクウがツッコミを入れる。気持ちは一緒なのか、この場にいる全員が武器を取り出している。採用したら最後、トラウマ級の恐怖を刻みながら世界が破滅するだろう。
「仕方ないわね――こうなったからには、私が行くわよ!」
身内の不始末を拭うとばかりに、次のプレゼンはリズが立候補した。
「「「リズが?」」」
「おう、そこの3人。飛び蹴り喰らいたいなら後でたっぷりと喰らわせてやるぞ? とにかく、皆のプレゼンを見て分かったわ。これは今の流行りに乗っかりつつ自分がやりたい物語を考えればいいんでしょ?」
失礼なグラッセ、カヤ、クウに処刑宣言しつつ確認すると、ウィドは頷く。
「まあ、これまで出たケースを見ればそうなりますね」
「だったら、私が見せてやるわ! 皆が納得するような壮大な物語をねぇ!!」
時を得て現世に復活したマスターゼアノートの戦い。
死闘とも言える激戦を繰り広げ、決死の特攻によりリズはゼアノートと刺し違える形で決着を付けた。
(ああ……どうにか、終わった……私は消えるけど、これで良かったんだ)
そうして彼女は仲間達に看取られ、永遠の眠りに就いた――。
「――さい――きなさい――起きなさい」
(誰…だ…)
「起きなさい――ほら、いつまで寝てるんだい?」
「うるせーーーー!!」
「ごはぁ!? 痛いなぁ、何をするんだいアルトリア!?」
「それはこっちの台詞だ! 死んだ私を起こそうとするとか……ん?」
殴ったのは胡散臭い男。手に持つのは、聖剣と呼ばれるもの。
刀身に映るのは――自分の姿ではなく、いつか見た物語の人物。
「私、アルトリアになってるーーー!?」
消えた私の魂がやってきたのは、ブリテンと呼ばれる地。本の物語ではアルトリアと言う人物が冒険し、国を繁栄し、やがて滅亡が訪れる。
そのアルトリアに転生した私は、後に起こる破滅の運命を変える為に奔走する。
「マーリンてめえはなにやってんじゃーーー!!」
「聖剣ではなく飛び蹴り!?」
「お ま え は !!! 大事な事を何時も何時も言わないで全員どん底に落としたり放置する癖をあれほど直せとぉぉぉ!!!!」
「イタイイタイ関節技決まってるよ!!?」
「国益とか体裁とかで結婚が必要なら、今日から私は女だと公表するわ!! ギネヴィアに関してはランスロット、お前に任せる!!」
「「王ーーーーー!?」」
「まさか子供いるとは思わんかったわ、寿命の関係と出征が…まぁうん結構問題あるから後継者に出来んけど子供としては受け入れるよ」
「父上……! ありがとな、俺父上の役に立つように頑張るぜ!」
「これに懲りて、国を乗っ取ろうとか思うなよ、モルガン?」
「はい、我が妻よ」
「「「母上ぇぇぇ!!?」」」
あらゆる手を使って、破滅の待つブリテンの運命をぶち壊して見せる!
《異世界転生した私はアルトリア!? 〜キーブレードの勇者の力で、破滅フラグをへし折る!〜》
「何をしようとしてんだリズゥゥゥ!? やってる事がカヤ以上だし色んな意味でブリテンが滅ぶわーーーーー!!!」
渾身のグラッセのツッコミが飛び出す中、リズはと言うと。
「えー? 異世界転生ってこういう物でしょ? 誰もが思いつかない事を考えるそして行動する! それが私だ、私のアイデンティティだぁ!!」
「アホかお前?」
反省する事なく胸を張っており、これにはムーンも呆れを見せた。
「間違ってないけどこんなの作品にしたら特異点、いや異聞帯になるわ!! 剪定世界指定モノだよ!!」
「いいじゃない、菌糸類が作り上げたような妖精の国じゃないんだし」
「菌糸類? 妖精?」
突然のワードにグラッセが思わず首を傾げると、カヤも不思議そうに問う。
「寧ろ、妖精の国の方が平和そうなんだが? そこに転生すればどうだ?」
「ア"ァ? あんな国に転生するんなら容赦なく滅ぼすけど? てか更地にする、絶対する、妖精どもは皆殺しじゃあぁぁぁ!! 汎人類の地を踏めると思うなあの害虫ども!! ブリテン諸共塵も残さない程消滅しやがれぇぇぇ!!」
『何この殺意!?』
FGO2部6章【アヴァロン・ル・フェ編】。皆さんも始めて、その物語を見てみましょう。作者は(ほぼ)無課金で最新章まで進んでますので、気軽に遊べるはずです。
「やめろぉ!! 布教と一緒に読者を地獄に突き落とすんじゃねえ!!」
「えー? 愛と希望の物語を勧めているだけですのに」
今のテロップはウィドが出したようで、怒鳴ったクウに可愛く首を傾けて反論する。
「胸糞と絶望の物語の間違いでしょあれ?」
「何で意見が両極端なの!? 正反対同士で成立する話なんてあるの!?」
そこにリズも加わった事で、混乱を引き起こすグラッセ。
再び場が騒がしくなると、様子を見ていたウラノスが溜息を吐いた。
「全く、こうなると思ってたぜ。やっぱり、ここは王道の俺の案が一番じゃないか?」
「妄想垂れ流しの話なんてやる訳ないだろ! ここはアタイの料理番組で」
「殺人料理オンパレードなんて出せる訳ないだろ! 人気所を押さえた俺の案で」
「いいえ、ほのぼのな僕の企画です!」
「多様性の私の案が全然いいと思うんですけど!?」
「いいや、お菓子奪い放題の俺の企画が!!」
「ちょっと!? 俺の案がまだ出てないのに勝手に話を進めないで!?」
「どうせ幼なじみくんの案は俺がリズを守れるくらい強い設定での冒険譚だろ? 俺と対して変わらねーだろ」
「ぐっ!? なぜそれを……!」
騒ぎがより一層大きくなったことで、完全に収集がつかなくなったリズ達はそれぞれの企画で言い争ったり手を出したりまでしている。
やがて騒ぎが騒音レベルにまで発展した所で、ストップがかかる。
「お前らそこまでにしろーーーーー!!」
クウの怒鳴り声に、8人が一斉に言葉と動きを止める。
全員が鎮まるのを確認してから、ウィドは頭を押さえて話しかけた。
「まあ、あなた達は良くも悪くも個性の塊のメンバーです。正直、こうなるだろうと予想はしてました。なので、少しでも別の選択肢を広げる為にこちらで持ってきた企画をお出ししたいと思います」
『そっちの企画?』
「こんな事あろうかと事前に作っておいたんだよ。俺達の企画は――」
「マスターと因縁のある設定の俺の華麗な話で!」「キーブレード墓場古代遺跡探検で!」
「「あ?」」
全く違う企画が2人の口から飛び出すと、即座に互いを睨みつける。
直後、お互いの両手が伸びたと思えば、そのまま取っ組み合いになり歯を剥き出しにして威嚇し始めた。
「あの2人、速攻で喧嘩始めましたよ!?」
「それ以前に、お前らも自分の欲望丸出しじゃねーか!?」
ジェダイドとカヤが信じられないと叫ぶと、クウを睨んでたウィドの顔が2人に向く。
「クウと一緒にしないでください! そもそもあなた、ただでさえKHキャラ差し置いて目立ってるのにこれ以上設定増やす気です? やられ過ぎてもはや人間止めた不死身とか言われてるのに、収拾付かなくなるでしょう?」
「はぁ? 折角の企画だし、実は黒幕的なマスターと関係があるとかそんな因縁っぽい設定でやってみてもいいだろ!! そもそも俺は生まれとか能力も一般人で、そこの奴らみたいに最初から人間止めてねーから!!」
『誰が人間止めてるって!?』
物凄く失礼な発言に、リズ達は怒りを向ける。
それを無視し、怒っていたクウは反撃とばかりに煽っていたウィドと同じように笑顔を作る。
「そっちだって何が遺跡探検だよ? てめえだって趣味丸出しの企画出してんじゃねーよ? あんな殺風景な場所で延々と歩いて調べるだけの話、誰が喜ぶんだよ?」
「何を言う!! 古代のロマンを感じず何を感じろと!? 大体、キーブレード墓場で復活させた遺跡でああも激しい死闘を繰り広げるのが間違っているだろう!! 何が光と闇の戦いだ!? 調べればKH歴史の一部が明らかになるであろう貴重な古代物の中で損傷破壊も厭わない戦いをするとかあいつら全員馬鹿だろうッ!!」
『馬鹿はお前だ遺跡馬鹿!!』
あまりにもKHキャラに失礼な発言に、全員が学者モードのウィドにツッコミを入れる。
「ええい、こうなったらもう暴力よ!! 暴力は全てを解決するって相場が決まってんだよーーーー!!」
「わーーーー!? 止めろリズーーーー!?」
めんどくさいとばかりにリズが両手にキーブレードを取り出して暴れ始め、悲鳴を上げるグラッセ。
会議室内で爆発が起こる。壁が破壊され、そこから悲鳴と煙と激しい音が響き渡る。
リズ達は気づかない。その破壊された壁の傍に、散らばった書類と瓦礫と共に――1冊の本が落ちている事に。
その本のタイトルは、
《朝朗の記憶》