序章:決意の園
見渡す限り広がるのは、どこまでも続く、闇、闇、闇。
上も下も、右も左もわからない真っ暗な空間の中、その扉は音も無く現れた。
そしてその扉を中心に広がるのは、蒼い満月とそれを仰ぐようにそびえ立つ巨大な樹をモチーフにした幻想的な文様が描かれたステンドグラスのような円形の床。
どこからか、声が聞こえた。
――扉の先には、キミの求めているものがある
――そしてそのカギを、キミは持っている
――それがやさしい嘘なのか、残酷な真実なのかは、わからない
――けれど、恐れないで
――キミは本当の強さが何か知っている
――運命に立ち向かう強さを持っている
――Fiat Lux・・・
――あなたの心に、光の恩寵があらんことを・・・
扉はゆっくりと開き、その隙間からは眩い光が溢れ出してくる。
やがて光は闇を侵食し、瞬く間に世界を包み込んだ。
※
空に佇む満月は、その光を優しく降り注ぐ。
聞こえるのは潮騒の静かな音だけ。
目の前には、どこまでも広がる黒々とした海。
大きな木が生えている、小さな小島の真ん中に【彼女】は佇んでいた。
何かをするわけでもなく、ただじっと。月明かりに照らされあいまいになった水平線を眺めながら。
どのくらい時間が経っただろうか。
不意に彼女は、開いていた眼をゆっくりと閉じ、代わりに口を開く。
彼女の口から発せられる旋律は、風に乗り空を超え、世界中に響き渡るような澄んだ美しいものだった。
波の音は、まるでその歌を引き立てるようにそっと寄り添うのであった
上も下も、右も左もわからない真っ暗な空間の中、その扉は音も無く現れた。
そしてその扉を中心に広がるのは、蒼い満月とそれを仰ぐようにそびえ立つ巨大な樹をモチーフにした幻想的な文様が描かれたステンドグラスのような円形の床。
どこからか、声が聞こえた。
――扉の先には、キミの求めているものがある
――そしてそのカギを、キミは持っている
――それがやさしい嘘なのか、残酷な真実なのかは、わからない
――けれど、恐れないで
――キミは本当の強さが何か知っている
――運命に立ち向かう強さを持っている
――Fiat Lux・・・
――あなたの心に、光の恩寵があらんことを・・・
扉はゆっくりと開き、その隙間からは眩い光が溢れ出してくる。
やがて光は闇を侵食し、瞬く間に世界を包み込んだ。
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空に佇む満月は、その光を優しく降り注ぐ。
聞こえるのは潮騒の静かな音だけ。
目の前には、どこまでも広がる黒々とした海。
大きな木が生えている、小さな小島の真ん中に【彼女】は佇んでいた。
何かをするわけでもなく、ただじっと。月明かりに照らされあいまいになった水平線を眺めながら。
どのくらい時間が経っただろうか。
不意に彼女は、開いていた眼をゆっくりと閉じ、代わりに口を開く。
彼女の口から発せられる旋律は、風に乗り空を超え、世界中に響き渡るような澄んだ美しいものだった。
波の音は、まるでその歌を引き立てるようにそっと寄り添うのであった