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Names 〜Atonement Requiem〜

星三輪サナ

INDEX

  • あらすじ
  • 01 序章:決意の園
  • 02 第一章:望月の歌姫T
  • 03 第一章:望月の歌姫U
  • 04 第一章:望月の歌姫V
  • 05 第一章:望月の歌姫W
  • 06 第二章:与えられた存在T
  • 07 第二章:与えられた存在U
  • 08 第二章:与えられた存在V
  • 09 第二章:与えられた存在W
  • 10 第二章:与えられた存在X
  • 11 第二章:与えられた存在Y
  • 12 第二章:与えられた存在Z
  • 13 第二章:与えられた存在[
  • 14 オリキャラ設定
  • 15 第三章:旅立ちの序曲T(前編)
  • 16 第三章:旅立ちの序曲U(前編)
  • 17 第三章:旅立ちの序曲V(前編)
  • 18 第三章:旅立ちの序曲W(前編)
  • 19 第三章:旅立ちの序曲X(前編)
  • 20 第三章:旅立ちの序曲Y(前編)
  • 21 第四章:旅立ちの序曲T(後編)
  • 22 第四章:旅立ちの序曲U(後編)
  • 23 第四章:旅立ちの序曲V(後編)
  • 24 第四章:旅立ちの序曲W(後編)
  • 25 第四章:旅立ちの序曲X(後編)
  • 26 第四:旅立ちの序曲Y(後編)
  • 27 第四章:旅立ちの序曲Z(後編)
  • 28 第四章:旅立ちの序曲[(後編)
  • 29 第五章:再会T
  • 30 第五章:再会U
  • 31 第五章:再会V
  • 32 第五章:再会W
  • 33 第五章:再会X
  • 34 第五章:再会Y
  • 35 第五章:再会Z
  • 36 第五章:再会[
  • 37 第五章:再会\
  • 38 第六章:ようこそ、不思議の国へ(前編)T
  • 39 第六章:ようこそ、不思議の国へ(前編)U
  • 40 第六章:ようこそ、不思議の国へ(前編)V
  • 41 第六章:ようこそ、不思議の国へ(前編)W
  • 42 第六章:ようこそ、不思議の国へ(前編)X
  • 43 第六章:ようこそ、不思議の国へ(前編)Y
  • 44 第六章:ようこそ、不思議の国へ(前編)Z
  • 45 第六章:ようこそ、不思議の国へ(前編)[
  • 第五章:再会T

    サクヤが立っていた場所は、人気のない路地裏のようだった。
    冷たく澄んだ空気が、ここが夢の世界ではないことを知らせる。

    夢でないことは、もう一つあった。

    サクヤの右腰に、鞘に収まった一本の剣があった。

    鞘から抜き出してみると、青白い刀身が静かにサクヤの顔を映している。

    それよりも、ここはいったいどこなのだろうか。

    サクヤは剣をしまうと、人がいそうな場所を探して歩き出した。

    路地裏を出ると、広場のような場所がサクヤの目に飛び込んできた。

    煉瓦でできた壁や建物が立ち並び、街を淡く照らすのは街灯。
    遠くには大きな扉のようなものがあり、すべての物がサクヤにとって知らないものだらけであった。

    ――外の世界。

    あれほど待ち望んでいたはずなのに、そこには大切な家族や友人は誰もいない。

    ソラは?リクは?カイリは?
    そして、闇に飲まれてしまったという島はいったいどうなってしまったのだろうか。

    「・・・ソラ」

    無意識に一番会いたい人の名前を呟くも、その言葉は夜空に溶けて消えていく。

    これからどうしようか。

    そんなことを考えていると、どこからかくぐもったうめき声のようなものが聞こえてきた。

    反射的に振り返ると、サクヤの左前方にたくさんの木箱が山積みになっていた。

    そしてその中から、大きな丸いものが生えているのが見えた。

    そっと近づいてみると、

    「た・・・助けて・・・クポ〜」

    どうやら中で誰かが助けを求めているようだった。

    サクヤは、丸い物のそばに積み上がっている木箱を少しずつどかしていった。

    やがて丸い物の元と思われる白い物体が見えてくると、サクヤは白い部分を掴み思いっきり引っ張った。

    すると、スポン、という音と共に、白いものが山の中から飛び出して転がった。

    「ふ〜、死ぬかと思ったクポ。助けてくれてありがとうクポ」

    そう言ってサクヤの前に現れた生き物は、白い体に黒い羽を付けた、何とも不思議な姿をしていた。

    「モグはモーグリのクピポだクポ。このトラヴァースタウンでお店を開く予定クポ」
    「わたし、サクヤ。気が付いたらここにいたの。わたしの大切な人たち、見なかった?」

    サクヤが問いかけると、クピポは頭を横に振った。
    がっかりする彼女に、彼はある一軒の店を指差して言った。

    「何か知りたい時はシドに聞けばいいクポ」
    「シド?」
    「あのアクセサリーショップの店主クポ。きっと君の力になってくれるクポ」

    そう言ってクピポは、散らばっていた木箱を頭に乗せると、ふわふわと飛んで行ってしまった。
    残されたサクヤは、とりあえず彼に紹介された店へと足を進めた。

    そんな彼女の上空で、星がまた、一つ消えた。

    15/01/12 20:55 星三輪サナ   

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