第四章:旅立ちの序曲T(後編)
翌日。
サクヤ達は今日も島へと遊びに来ていた。
することはもちろん、旅立ちの準備だ。
今日はイカダに乗せる食料を集めることになり、ソラは魚、リクはウミドリの卵、カイリは飲み水と木の実、そしてサクヤはキノコを探す係になった。
前日の事でカイリにこってりとしぼられてしまい、今日は皆必死で自分の役目をこなしていた。
キノコは日の当たらない、じめじめしたところにあると彼女から教えられたサクヤは、入り江近くの岩の中や物見やぐらの下で次々と見つけて行った。
だが、4人分にはまだ足りない。
他にキノコが生えていそうな場所を探して歩いていると、足元にボールが転がってきた。
それは、ワッカがよく試合で使っているものだった。
サクヤがボールを拾うと、それを追って走ってきたワッカが目の前にやってきた。
「ああ、拾ってくれたのか。ありがとな」
そう言って彼はサクヤからボールを受け取って笑った。
サクヤはワッカにキノコのある場所を聞こうとしたが、計画の事は誰にも喋ってはいけないとソラに釘を刺されていたため口をつぐんだ。
「あ、そうだサクヤ。お前、あの場所にあるひみつの洞窟、知ってるか?今日はティーダ達と探検に来たんだよ」
「探検?」
「ああ。あそこには絶対何かあるぜ。俺の勘がそう言ってる」
ワッカの言葉を聴いて、サクヤは何か思いつた様に目を見開いた。
幸運なことに、ワッカはそんな彼女に気づかないままボールを持って駆け出して行った。
そんな彼の後姿を見送った後、サクヤはそっと秘密の洞窟へ進んで行った。
洞窟の中はひんやりしていて、隙間から入ってくる光が岩肌に反射して幻想的な美しさを醸し出している。
ソラたち同様、サクヤもこの場所は好きだった。
2年前。ソラと交わした大切な約束の場所。
あのときには少ししかなかったラクガキが、今やあちこちに増えている。
ソラとリクに教えてもらって、サクヤもその岩のキャンパスにいくつかのラクガキを残した。
そんな中。
小さな岩の隙間に、キノコが生えているのが見えた。
サクヤの勘は当たっていたのだ。
キノコを引っこ抜き、これで人数分がそろった。
後はカイリに渡すだけだったのだが、ふと。
キノコが生えていた岩の影に、小さなラクガキを見つけた。
それは、少年と少女の笑った顔が描かれたもの。
少年の髪はあちこちとがっていて、少女の方は短い髪をしている。
どこかで、見覚えのある二人。
その中でも少年の方は、少女の口元に向かって星形の何かを差し出しているように見えた。
これは、なんだろう?
何故か、それが気になってそっと手を伸ばした時。
「遅かったね」
誰かの声が聞こえた。
サクヤ達は今日も島へと遊びに来ていた。
することはもちろん、旅立ちの準備だ。
今日はイカダに乗せる食料を集めることになり、ソラは魚、リクはウミドリの卵、カイリは飲み水と木の実、そしてサクヤはキノコを探す係になった。
前日の事でカイリにこってりとしぼられてしまい、今日は皆必死で自分の役目をこなしていた。
キノコは日の当たらない、じめじめしたところにあると彼女から教えられたサクヤは、入り江近くの岩の中や物見やぐらの下で次々と見つけて行った。
だが、4人分にはまだ足りない。
他にキノコが生えていそうな場所を探して歩いていると、足元にボールが転がってきた。
それは、ワッカがよく試合で使っているものだった。
サクヤがボールを拾うと、それを追って走ってきたワッカが目の前にやってきた。
「ああ、拾ってくれたのか。ありがとな」
そう言って彼はサクヤからボールを受け取って笑った。
サクヤはワッカにキノコのある場所を聞こうとしたが、計画の事は誰にも喋ってはいけないとソラに釘を刺されていたため口をつぐんだ。
「あ、そうだサクヤ。お前、あの場所にあるひみつの洞窟、知ってるか?今日はティーダ達と探検に来たんだよ」
「探検?」
「ああ。あそこには絶対何かあるぜ。俺の勘がそう言ってる」
ワッカの言葉を聴いて、サクヤは何か思いつた様に目を見開いた。
幸運なことに、ワッカはそんな彼女に気づかないままボールを持って駆け出して行った。
そんな彼の後姿を見送った後、サクヤはそっと秘密の洞窟へ進んで行った。
洞窟の中はひんやりしていて、隙間から入ってくる光が岩肌に反射して幻想的な美しさを醸し出している。
ソラたち同様、サクヤもこの場所は好きだった。
2年前。ソラと交わした大切な約束の場所。
あのときには少ししかなかったラクガキが、今やあちこちに増えている。
ソラとリクに教えてもらって、サクヤもその岩のキャンパスにいくつかのラクガキを残した。
そんな中。
小さな岩の隙間に、キノコが生えているのが見えた。
サクヤの勘は当たっていたのだ。
キノコを引っこ抜き、これで人数分がそろった。
後はカイリに渡すだけだったのだが、ふと。
キノコが生えていた岩の影に、小さなラクガキを見つけた。
それは、少年と少女の笑った顔が描かれたもの。
少年の髪はあちこちとがっていて、少女の方は短い髪をしている。
どこかで、見覚えのある二人。
その中でも少年の方は、少女の口元に向かって星形の何かを差し出しているように見えた。
これは、なんだろう?
何故か、それが気になってそっと手を伸ばした時。
「遅かったね」
誰かの声が聞こえた。