第五章:再会U
店の扉を開けると、カランカランというドアベルの音とカウンターに立っている一人の男がサクヤの目と耳に飛び込んできた。
頭にはゴーグル、シャツに腹巻、挙句にはくわえ煙草とアクセサリーショップの店主には似つかわしくない出で立ちの男だった。
男はサクヤを見るなり、「またガキか」と小さくつぶやいた。
「ガキ?」
サクヤは少しむっとしたものの、クピポの言葉を信じてそっと声をかけた。
「あなたが、シド?」
すると男は鼻の頭をこするような動作をして言った。
「いかにも。俺様がこの店の店主兼・・・おっと、それは内緒か。この店の店主のシドだ。で、なんか用か?お嬢ちゃん」
「わたし、大切な人たちを捜してるの。大切な家族と、大切な友達。見かけた?」
サクヤの言葉に、シドは腕組みをして考えるような動作をした。
「悪ィな、ここしばらくは目立った情報は入ってねぇんだ」
「・・・そう」
頼みの綱であるシドも、サクヤの捜し人に心当たりはないらしく彼女は小さくうめいてうなだれた。
そんな彼女を、シドは横目で見ていたが、ふとはっとしたように眼を見開いた。
「紫色の髪にクローバーの首飾り・・・なあ、お前さん。もしかして「サクヤ」って名前じゃねぇか?」
不意に、まだ名乗っていないはずの自分の名を呼ばれ、サクヤは反射的に顔を上げた。
「サクヤはわたし。わたしの名前。わたしを知っているの?」
「知っているっつーか、お前を捜している奴が少し前にこの店に来たんだよ」
サクヤの言葉に、シドはそう言って関上げる仕草をした。
「お前さんより少し年上っぽい、ツンツン頭のガキだ。確か名前は・・・ソラ、だったか」
「ソラ!?」
ソラの名前がシドの口から出た瞬間、突然彼の顔の前に二つの目が現れた。
シドは驚き、思わず体をのけぞらせた。
「ソラはどこ!?どこにいるの!?わたし、ソラを捜してる。ソラに会いたい!」
「落ち着けって。たぶんこの町からは出ちゃいねぇ。この町にはここ1番街の他にも2番街、3番街って場所があるんだ」
シドはそう言ってカウンターの下から地図を取り出し、サクヤの前に広げた。
「ここが、今お前さんがいる1番街。そして、ここが2番街、3番街だ。わかるか?」
シドは地図を指差しながら、サクヤが理解するのを確認しながら教えた。
「今1番街から3番街に続く扉は、訳あって封鎖中だ。だから、2番街へいった可能性は高いな。だが、2番街にはハートレスが――」
そう言ってシドが顔を上げると、すでにサクヤの姿はなかった。
ドアベルの鳴る音だけが、退店者の存在を告げている。
「やれやれ・・・あいつといい、落ち着きのねえ奴ばかりだな」
彼はカウンターに肘をつきながら、誰に聞かせるでもなくつぶやいた。
頭にはゴーグル、シャツに腹巻、挙句にはくわえ煙草とアクセサリーショップの店主には似つかわしくない出で立ちの男だった。
男はサクヤを見るなり、「またガキか」と小さくつぶやいた。
「ガキ?」
サクヤは少しむっとしたものの、クピポの言葉を信じてそっと声をかけた。
「あなたが、シド?」
すると男は鼻の頭をこするような動作をして言った。
「いかにも。俺様がこの店の店主兼・・・おっと、それは内緒か。この店の店主のシドだ。で、なんか用か?お嬢ちゃん」
「わたし、大切な人たちを捜してるの。大切な家族と、大切な友達。見かけた?」
サクヤの言葉に、シドは腕組みをして考えるような動作をした。
「悪ィな、ここしばらくは目立った情報は入ってねぇんだ」
「・・・そう」
頼みの綱であるシドも、サクヤの捜し人に心当たりはないらしく彼女は小さくうめいてうなだれた。
そんな彼女を、シドは横目で見ていたが、ふとはっとしたように眼を見開いた。
「紫色の髪にクローバーの首飾り・・・なあ、お前さん。もしかして「サクヤ」って名前じゃねぇか?」
不意に、まだ名乗っていないはずの自分の名を呼ばれ、サクヤは反射的に顔を上げた。
「サクヤはわたし。わたしの名前。わたしを知っているの?」
「知っているっつーか、お前を捜している奴が少し前にこの店に来たんだよ」
サクヤの言葉に、シドはそう言って関上げる仕草をした。
「お前さんより少し年上っぽい、ツンツン頭のガキだ。確か名前は・・・ソラ、だったか」
「ソラ!?」
ソラの名前がシドの口から出た瞬間、突然彼の顔の前に二つの目が現れた。
シドは驚き、思わず体をのけぞらせた。
「ソラはどこ!?どこにいるの!?わたし、ソラを捜してる。ソラに会いたい!」
「落ち着けって。たぶんこの町からは出ちゃいねぇ。この町にはここ1番街の他にも2番街、3番街って場所があるんだ」
シドはそう言ってカウンターの下から地図を取り出し、サクヤの前に広げた。
「ここが、今お前さんがいる1番街。そして、ここが2番街、3番街だ。わかるか?」
シドは地図を指差しながら、サクヤが理解するのを確認しながら教えた。
「今1番街から3番街に続く扉は、訳あって封鎖中だ。だから、2番街へいった可能性は高いな。だが、2番街にはハートレスが――」
そう言ってシドが顔を上げると、すでにサクヤの姿はなかった。
ドアベルの鳴る音だけが、退店者の存在を告げている。
「やれやれ・・・あいつといい、落ち着きのねえ奴ばかりだな」
彼はカウンターに肘をつきながら、誰に聞かせるでもなくつぶやいた。