第六章:ようこそ、不思議の国へ(前編)[
なんだか釈然としないまま、4人はハスの森を進む。
空を覆わんばかりの木、否ハスの葉のせいか奥へ進むごとに薄暗くなっていく。
それを好機と踏んでか、またハートレスが襲い掛かってきた。
「しつこいな!」
先ほどの出来事もあってついに怒りが爆発したドナルドが、特大の魔法をハートレスの群れに当てる。
燃え盛る炎に飲まれ、ハートレスは銀色のハートを出しながら消えて行った。
しかし、黄の影に隠れていたハートレスにドナルドは気付いていなかった。
「危ない!!」
今襲い掛かろうとしていたハートレスの前に、サクヤが瞬時に立ち塞がった。
「サクヤ!?」
ソラが叫ぶと同時に、ハートレスの鋭い爪がサクヤの太ももを掠めた。
わずかに顔をゆがめるサクヤ。
だが、すぐさま剣をハートレスに突き刺して反撃を完了させた。
「サクヤ!大丈夫か!?」
尻餅をつくサクヤに、ソラは慌てて駆け寄る。
ドナルドとグーフィーも血相を変えて走ってきた。
サクヤは慌てて、爪が掠めた太ももを手で押さえる。
「お前、怪我したんじゃないか?」
「大丈夫。これくらい」
「大丈夫じゃもんか!すぐに見せて・・・」
ソラはサクヤの制止も聞かず、足を押さえていた手を強引にどける。
だが、そこには傷はなくスパッツが切れているだけであった。
「あれ?傷、ないね」
「本当に大丈夫みたいだ。よかったよ」
サクヤがけがをしていないことが分かり、3人はほっと胸をなでおろした。
「なあ、これ証拠にならないか?ハートレスの爪痕って奴で」
「女の子の服を証拠に出すの?それってどうかと思うなあ」
ソラの提案を、ドナルドは渋い顔をしながら言った。
「じゃああれはどう?変な足跡が付いたあの葉っぱ」
そう言ってグーフィーが指をさしたところには、奇妙な跡がついたハスの葉っぱがあった。
だが、結構な高さの位置に生えている。
「随分高いな。ジャンプじゃ無理そう」
ソラが困ったように葉を見上げていると、グーフィーがおもむろに手を上げた。
「じゃあ肩車しようよ。ボクが下になるからソラとドナルドが上に上って葉っぱを取るんだ。サクヤは下で葉っぱを受け止めてくれるかな?」
彼の提案に他の3人は頷くと、すぐさま行動を開始した。
結果は予想以上にうまく行き、足跡が付いた葉っぱを手に入れることができた。
「おやおや、よく見つけたね」
どこからか声がして、チシャ猫がサクヤのすぐそばに現れた。
彼は相変わらずニヤニヤしながら、サクヤの持っている葉を見つめている。
「これでアリスを助けられるよ」
ソラがうれしそうにそう言うと、チシャ猫は口元をゆがめながら後ろ足で立ち上がる。
「そうと決まったわけじゃない。アリスは助かっても、君達はどうなるかな?」
「ええっと・・・どういうこと?」
グーフィーは首をかしげながら、疑問を口にする。
しかし、チシャ猫は「教えてあげない」とだけ答え、再び闇の中に姿を消した。
「どういう意味だろう?」
皆チシャ猫の言葉の意味が分からず、困ったように首をかしげる。
「意味は分からない。だけど、今はアリスを助ける方が先。証拠はもうここにある」
「サクヤの言うとおりだ。チシャ猫の言葉は気になるけど、とにかく城へ戻ろう」
ソラはそう言って城に向かって駆け出し、その後ろをサクヤ、ドナルド、グーフィーが続く。
そんな様子を、二つの目玉は三日月形に光りながら、面白そうに見つめていた。
END
空を覆わんばかりの木、否ハスの葉のせいか奥へ進むごとに薄暗くなっていく。
それを好機と踏んでか、またハートレスが襲い掛かってきた。
「しつこいな!」
先ほどの出来事もあってついに怒りが爆発したドナルドが、特大の魔法をハートレスの群れに当てる。
燃え盛る炎に飲まれ、ハートレスは銀色のハートを出しながら消えて行った。
しかし、黄の影に隠れていたハートレスにドナルドは気付いていなかった。
「危ない!!」
今襲い掛かろうとしていたハートレスの前に、サクヤが瞬時に立ち塞がった。
「サクヤ!?」
ソラが叫ぶと同時に、ハートレスの鋭い爪がサクヤの太ももを掠めた。
わずかに顔をゆがめるサクヤ。
だが、すぐさま剣をハートレスに突き刺して反撃を完了させた。
「サクヤ!大丈夫か!?」
尻餅をつくサクヤに、ソラは慌てて駆け寄る。
ドナルドとグーフィーも血相を変えて走ってきた。
サクヤは慌てて、爪が掠めた太ももを手で押さえる。
「お前、怪我したんじゃないか?」
「大丈夫。これくらい」
「大丈夫じゃもんか!すぐに見せて・・・」
ソラはサクヤの制止も聞かず、足を押さえていた手を強引にどける。
だが、そこには傷はなくスパッツが切れているだけであった。
「あれ?傷、ないね」
「本当に大丈夫みたいだ。よかったよ」
サクヤがけがをしていないことが分かり、3人はほっと胸をなでおろした。
「なあ、これ証拠にならないか?ハートレスの爪痕って奴で」
「女の子の服を証拠に出すの?それってどうかと思うなあ」
ソラの提案を、ドナルドは渋い顔をしながら言った。
「じゃああれはどう?変な足跡が付いたあの葉っぱ」
そう言ってグーフィーが指をさしたところには、奇妙な跡がついたハスの葉っぱがあった。
だが、結構な高さの位置に生えている。
「随分高いな。ジャンプじゃ無理そう」
ソラが困ったように葉を見上げていると、グーフィーがおもむろに手を上げた。
「じゃあ肩車しようよ。ボクが下になるからソラとドナルドが上に上って葉っぱを取るんだ。サクヤは下で葉っぱを受け止めてくれるかな?」
彼の提案に他の3人は頷くと、すぐさま行動を開始した。
結果は予想以上にうまく行き、足跡が付いた葉っぱを手に入れることができた。
「おやおや、よく見つけたね」
どこからか声がして、チシャ猫がサクヤのすぐそばに現れた。
彼は相変わらずニヤニヤしながら、サクヤの持っている葉を見つめている。
「これでアリスを助けられるよ」
ソラがうれしそうにそう言うと、チシャ猫は口元をゆがめながら後ろ足で立ち上がる。
「そうと決まったわけじゃない。アリスは助かっても、君達はどうなるかな?」
「ええっと・・・どういうこと?」
グーフィーは首をかしげながら、疑問を口にする。
しかし、チシャ猫は「教えてあげない」とだけ答え、再び闇の中に姿を消した。
「どういう意味だろう?」
皆チシャ猫の言葉の意味が分からず、困ったように首をかしげる。
「意味は分からない。だけど、今はアリスを助ける方が先。証拠はもうここにある」
「サクヤの言うとおりだ。チシャ猫の言葉は気になるけど、とにかく城へ戻ろう」
ソラはそう言って城に向かって駆け出し、その後ろをサクヤ、ドナルド、グーフィーが続く。
そんな様子を、二つの目玉は三日月形に光りながら、面白そうに見つめていた。
END