第10章 異変… V
スカーレットの言葉通り、しばらく経つと、サイムという少年が食事を運んでやって来た。ロイン達はみな、ガランとした礼拝堂に集まっていた。
「悪いな、サイム。ありがとう。」
食事を受け取ったカイウスの言葉に、サイムはへへっと笑いを返した。
「いいって。カイウスには、前に世話になったもんな。…それより、ルビアのこと泣かせるようなことしたら、おいら怒るからな。」
「お前、ルビアのことまだ…!?」
「あったりまえだろ!ま、今日はいろいろあって疲れてるだろうからって、スカーレット姉ちゃんにさっさと帰ってくるように言われてんだ。本当はルビアと一緒にご飯食べたかったけど、仕方ないから帰ってやるよ。感謝しろよな!」
サイムはそう言うと満面の笑みを浮かべ、手を振って教会から去っていった。そんな彼に、カイウスは唖然として立ち尽くし、ルビアは微笑を浮かべてその背を見送っていた。
「くすくす。サイム坊や、相変わらずね。」
「なになに?ルビアって、もしかしてモテモテ?」
「どこがっ!村にいる同じ年頃の女がルビアしかいないからだって。」
「何よ、それ!失礼しちゃうわね!」
「だって事実だろ?」
「そんなことないわよ!カイウスってば、女を見る目ないんじゃないの?」
「なんだと!?」
「何よ!」
彼らのやりとりを見守っていたティマの言葉に思わず噛み付くカイウス。その反応にルビアがつっかかると、さらにカイウスは口論を展開していく。いつもつまらないことで始まる彼らの口喧嘩。それは、久々に目にした光景だった。ティマは笑い声を上げ、ロインは呆れてため息をつく。
「ちょっとぉ。ケンカしてないで、さっさと飯にしようぜ?あたい、お腹すいた。」
一方でベディーは少し戸惑いを見せ、その隣のラミーは足をバタつかせて食事を要求していた。そこでようやく彼らのケンカは収まったのだった。
「そういえば、あれから何があったの?ロイン。」
食事の最中、ふとティマが尋ねた。その質問に、彼女以外の全員がピタッと動きを止め、しばし硬直した。それに対し、ティマはキョロキョロと彼らを見回し、不思議そうに首を傾げている。その奇妙な空気の中、思い切ってルビアが口を開く。
「ティマ。あなた、どこから記憶がないの?」
「ガルザに捕まって、船でアレウーラに渡るまでは覚えてる。上陸してすぐのあたりからは、あまり…。気が付いたら、身体がすっごく重くて、ルビアとラミーがそばにいたって感じかな?」
顎に手をあて、う〜んと唸りながらティマは答えた。それを聞いた5人は顔を見合わせた。ティマは『冥府の法』に関わる戦いの最中の記憶を持っていない。それは、彼女にとって危険であり、ある意味幸せな事だったと言える。少なくとも、彼女がロインをプリセプツで負傷させたということを、ロインは彼女に知られたくないと思うだろう。一方で、『冥府の法』施行のために利用され、そして危うく命を落としかけたという事実は伝えなければならない。加えて、ロインとカイウスとルビア、ラミーとベディーのそれぞれが戦っていた間の出来事について、互いの情報を交換しなければならない。
「ちょうどいい。ここで状況を把握しなおそう。アール山での出来事を中心に…。」
ベディーは腕を組み、全員を見回した。皆もうなずき返し、そのままベディーを中心にそれぞれの持つ情報を打ち明けていった。
ガルザに取り憑いていたスポットの存在。変わってしまったガルザを案じていたフレア。現れた黒幕バキラ。彼の正体とその目的。ティマを利用して『冥府の法』を施行したこと。絶体絶命の時に響いた声の存在。そして、自分達を逃がすためにバキラに向かって行ったガルザについて…。
それらを、順を追って話していく。時々、ティマは驚いて声を出したり、彼らの表情を窺ったりしながら、それでも余計な口は挟まずに話を聞いていた。そして、彼らの話が一通り終了すると、ティマは手を顎に添えて考えるようにして口を開いた。
「そんなことが…。でも、私本当に意識なかったのよ。どうやって気を失ってる人に詠唱をさせたの?」
「確かに。オレもそれは気になってた。」
「そのことだけど…」
ロインもその時のことを思い出して視線を下げる。あの生気のない瞳で見られたときの事を思い出すと、今でも思わず背筋が凍ってしまう。ルビアもその時のことを思い出し、真顔で切り出した。全員の視線がルビアに集中する。
「カイウス、覚えてるよね?その…2年前、アーリアと2人になった時に起きたときの事…。」
「! 呪縛の魔法(プリセプツ)のことか?」
ルビアは苦しそうにカイウスに尋ねた。だが、カイウスはルビアの予想より彼女の指す過去に影響されなかった。少しだけ苦い顔をしたが、それは過去を思い返したことに対してではなく、次にカイウスが発した『呪縛の魔法』というプリセプツの存在にだった。
「なんだよ、その呪縛の魔法って?」
ラミーが問いかける。
「公式禁術に指定されているプリセプツのひとつよ。対象の心を支配して意のままに操ることができる魔法。」
「あれなら、たとえティマに意識がなくたって関係ないはずだ。それに、仮に意識があったとしても、術者の思い通りにしか動けない。」
「…っ!」
びくりとティマの体が震えた。自分の意思に反して仲間を危険にさらす光景を想像したのだろう。耐えられない。そう言うように、両手で自身の体を抱きしめた。その肩を優しく抱きしめるのは、彼らの話に驚きを隠せずも冷静を保っていたベディーだった。ラミーはひざの上に両手を置き、ぎゅっと強く握り締めている。
「ラミー?」
その時、俯き加減だったロインが、彼女から何かを感じ取った。思わず声をかけた、それとほぼ同じタイミングの事だった。
「あんの白髪じじい、絶対許せねえ!刺し違えてでも構わねえ!!その首とってやっから覚悟しやがれ!!」
ダンッと礼拝堂の椅子を力任せに踏みつけ、短剣を抜いて威勢よく叫んだ。そのあまりの声の大きさに、今度は違う理由でティマはびくつき、ロインたちは思わず怯んでしまう。そんな中、カイウスはなんとか彼女を落ち着かせようと試みた。
「お、おい!落ち着けって、ラミー。」
「これが落ち着いていられるか!あのじじい、あたいらのこと散々バカにしやがって…おい、ルビア!あんた、転移の魔法使ってアール山まで飛ばせよ!今すぐにでもやり返しに行かないと気が済まねえ……痛ってええ!!」
しかし、ラミーの言葉とは反対に、彼女の体は悲鳴を上げた。包帯の巻かれた左腕から鋭い痛みが走り、思わず絶叫を上げて椅子に座り込む。カランと乾いた音と立てて、取り出した短剣は床に転がり、右手で痛む箇所を押さえつける。それでも舌を打つ彼女の眼は、涙目になりながらも激しい怒りを宿したままだった。
「…無茶言わないで。」
ルビアはため息をつきながらラミーに言った。
「大体あたし、転移の魔法なんて習得してないもの。それに、もし使えたとしても今のその状態じゃ無理よ。」
「けどさ〜!」
ラミーはルビアの言葉を聞いても引き下がろうとしない。苛立ちを彼女に向けようとした時、冷たい一声が耳に届いた。
「ルビアの言う通りだ。今のラミーじゃ…いや、僕達じゃバキラには敵わない。」
目を伏せながら言うベディー。まだ食って掛かろうという目を向けたラミーも、冷たい淡紫の瞳に睨まれて思わず動きを固めた。頭を冷やせ。ベディーの目はそう言っているようでもあった。
「冷静に考えてみろ。あのバキラに、いくら先の戦闘で負傷していたとはいえ、僕達は何も出来なかった。カイウスたちも見ただろう?僕とラミーが、吹き飛ばされて大怪我したのを。…ほんとに一瞬のことだった。」
「「“何かに憑かれた”?」」
フレアの言葉に互いの顔を見合わせ、ラミーとベディーは首を傾げた。それから宮殿へと目を向ける。ただ、嫌な予感は少なからずし、急いでその足を宮殿へと向けた。
「…どこへ行く?」
その時、聞きなれない声が背後から2人を呼び止めた。振り返ると、つむじ風と共にひとりの老人が姿を現した。
「バキラ様…!」
老人の名を呼ぶフレアの顔から、少し血の気が引いたようだった。だが、その顔は次の瞬間に驚愕へと変わる。ゴッと何やら凄い音を立てて、フレアとセイルの身体が吹き飛ばされた。そばの岩壁に全身を強打した彼女は、悲鳴をあげる前に口から血を吐き出した。ベディーが呆気にとられていると、バキラの視線はこちらへと向く。その目と目が合った途端、彼は背筋が凍るのを感じた。そして目の前の人物が誰なのか、それを思い出すと同時にラミーへと走り出す。
「ラミー、まずい!逃げるんだ!」
「え…?」
わけがわからず立ち尽くすラミー。そんな彼女だけでも助けようとしたが、遅かった。バキラの右手がすっと彼らの前に出ると同時に、2人は爆音に包まれ、宮殿へと吹き飛ばされたのだった。
「…それに、スポットという存在について僕たちは無知すぎる。弱点でも見つけて攻めない限り、きっと奴らは倒せない。」
ギリッと奥歯を鳴らし、ベディーは腕を組む手に力を込めた。
「けど、スポットならカイウスとルビアが倒せてた。なんとかなるんじゃないのか?」
ロインがそう口を挟み、カイウスを見た。しかし、カイウスはバツが悪そうな顔をし、ロインが期待した自信のある表情は見せてくれなかった。
「悪いな、サイム。ありがとう。」
食事を受け取ったカイウスの言葉に、サイムはへへっと笑いを返した。
「いいって。カイウスには、前に世話になったもんな。…それより、ルビアのこと泣かせるようなことしたら、おいら怒るからな。」
「お前、ルビアのことまだ…!?」
「あったりまえだろ!ま、今日はいろいろあって疲れてるだろうからって、スカーレット姉ちゃんにさっさと帰ってくるように言われてんだ。本当はルビアと一緒にご飯食べたかったけど、仕方ないから帰ってやるよ。感謝しろよな!」
サイムはそう言うと満面の笑みを浮かべ、手を振って教会から去っていった。そんな彼に、カイウスは唖然として立ち尽くし、ルビアは微笑を浮かべてその背を見送っていた。
「くすくす。サイム坊や、相変わらずね。」
「なになに?ルビアって、もしかしてモテモテ?」
「どこがっ!村にいる同じ年頃の女がルビアしかいないからだって。」
「何よ、それ!失礼しちゃうわね!」
「だって事実だろ?」
「そんなことないわよ!カイウスってば、女を見る目ないんじゃないの?」
「なんだと!?」
「何よ!」
彼らのやりとりを見守っていたティマの言葉に思わず噛み付くカイウス。その反応にルビアがつっかかると、さらにカイウスは口論を展開していく。いつもつまらないことで始まる彼らの口喧嘩。それは、久々に目にした光景だった。ティマは笑い声を上げ、ロインは呆れてため息をつく。
「ちょっとぉ。ケンカしてないで、さっさと飯にしようぜ?あたい、お腹すいた。」
一方でベディーは少し戸惑いを見せ、その隣のラミーは足をバタつかせて食事を要求していた。そこでようやく彼らのケンカは収まったのだった。
「そういえば、あれから何があったの?ロイン。」
食事の最中、ふとティマが尋ねた。その質問に、彼女以外の全員がピタッと動きを止め、しばし硬直した。それに対し、ティマはキョロキョロと彼らを見回し、不思議そうに首を傾げている。その奇妙な空気の中、思い切ってルビアが口を開く。
「ティマ。あなた、どこから記憶がないの?」
「ガルザに捕まって、船でアレウーラに渡るまでは覚えてる。上陸してすぐのあたりからは、あまり…。気が付いたら、身体がすっごく重くて、ルビアとラミーがそばにいたって感じかな?」
顎に手をあて、う〜んと唸りながらティマは答えた。それを聞いた5人は顔を見合わせた。ティマは『冥府の法』に関わる戦いの最中の記憶を持っていない。それは、彼女にとって危険であり、ある意味幸せな事だったと言える。少なくとも、彼女がロインをプリセプツで負傷させたということを、ロインは彼女に知られたくないと思うだろう。一方で、『冥府の法』施行のために利用され、そして危うく命を落としかけたという事実は伝えなければならない。加えて、ロインとカイウスとルビア、ラミーとベディーのそれぞれが戦っていた間の出来事について、互いの情報を交換しなければならない。
「ちょうどいい。ここで状況を把握しなおそう。アール山での出来事を中心に…。」
ベディーは腕を組み、全員を見回した。皆もうなずき返し、そのままベディーを中心にそれぞれの持つ情報を打ち明けていった。
ガルザに取り憑いていたスポットの存在。変わってしまったガルザを案じていたフレア。現れた黒幕バキラ。彼の正体とその目的。ティマを利用して『冥府の法』を施行したこと。絶体絶命の時に響いた声の存在。そして、自分達を逃がすためにバキラに向かって行ったガルザについて…。
それらを、順を追って話していく。時々、ティマは驚いて声を出したり、彼らの表情を窺ったりしながら、それでも余計な口は挟まずに話を聞いていた。そして、彼らの話が一通り終了すると、ティマは手を顎に添えて考えるようにして口を開いた。
「そんなことが…。でも、私本当に意識なかったのよ。どうやって気を失ってる人に詠唱をさせたの?」
「確かに。オレもそれは気になってた。」
「そのことだけど…」
ロインもその時のことを思い出して視線を下げる。あの生気のない瞳で見られたときの事を思い出すと、今でも思わず背筋が凍ってしまう。ルビアもその時のことを思い出し、真顔で切り出した。全員の視線がルビアに集中する。
「カイウス、覚えてるよね?その…2年前、アーリアと2人になった時に起きたときの事…。」
「! 呪縛の魔法(プリセプツ)のことか?」
ルビアは苦しそうにカイウスに尋ねた。だが、カイウスはルビアの予想より彼女の指す過去に影響されなかった。少しだけ苦い顔をしたが、それは過去を思い返したことに対してではなく、次にカイウスが発した『呪縛の魔法』というプリセプツの存在にだった。
「なんだよ、その呪縛の魔法って?」
ラミーが問いかける。
「公式禁術に指定されているプリセプツのひとつよ。対象の心を支配して意のままに操ることができる魔法。」
「あれなら、たとえティマに意識がなくたって関係ないはずだ。それに、仮に意識があったとしても、術者の思い通りにしか動けない。」
「…っ!」
びくりとティマの体が震えた。自分の意思に反して仲間を危険にさらす光景を想像したのだろう。耐えられない。そう言うように、両手で自身の体を抱きしめた。その肩を優しく抱きしめるのは、彼らの話に驚きを隠せずも冷静を保っていたベディーだった。ラミーはひざの上に両手を置き、ぎゅっと強く握り締めている。
「ラミー?」
その時、俯き加減だったロインが、彼女から何かを感じ取った。思わず声をかけた、それとほぼ同じタイミングの事だった。
「あんの白髪じじい、絶対許せねえ!刺し違えてでも構わねえ!!その首とってやっから覚悟しやがれ!!」
ダンッと礼拝堂の椅子を力任せに踏みつけ、短剣を抜いて威勢よく叫んだ。そのあまりの声の大きさに、今度は違う理由でティマはびくつき、ロインたちは思わず怯んでしまう。そんな中、カイウスはなんとか彼女を落ち着かせようと試みた。
「お、おい!落ち着けって、ラミー。」
「これが落ち着いていられるか!あのじじい、あたいらのこと散々バカにしやがって…おい、ルビア!あんた、転移の魔法使ってアール山まで飛ばせよ!今すぐにでもやり返しに行かないと気が済まねえ……痛ってええ!!」
しかし、ラミーの言葉とは反対に、彼女の体は悲鳴を上げた。包帯の巻かれた左腕から鋭い痛みが走り、思わず絶叫を上げて椅子に座り込む。カランと乾いた音と立てて、取り出した短剣は床に転がり、右手で痛む箇所を押さえつける。それでも舌を打つ彼女の眼は、涙目になりながらも激しい怒りを宿したままだった。
「…無茶言わないで。」
ルビアはため息をつきながらラミーに言った。
「大体あたし、転移の魔法なんて習得してないもの。それに、もし使えたとしても今のその状態じゃ無理よ。」
「けどさ〜!」
ラミーはルビアの言葉を聞いても引き下がろうとしない。苛立ちを彼女に向けようとした時、冷たい一声が耳に届いた。
「ルビアの言う通りだ。今のラミーじゃ…いや、僕達じゃバキラには敵わない。」
目を伏せながら言うベディー。まだ食って掛かろうという目を向けたラミーも、冷たい淡紫の瞳に睨まれて思わず動きを固めた。頭を冷やせ。ベディーの目はそう言っているようでもあった。
「冷静に考えてみろ。あのバキラに、いくら先の戦闘で負傷していたとはいえ、僕達は何も出来なかった。カイウスたちも見ただろう?僕とラミーが、吹き飛ばされて大怪我したのを。…ほんとに一瞬のことだった。」
「「“何かに憑かれた”?」」
フレアの言葉に互いの顔を見合わせ、ラミーとベディーは首を傾げた。それから宮殿へと目を向ける。ただ、嫌な予感は少なからずし、急いでその足を宮殿へと向けた。
「…どこへ行く?」
その時、聞きなれない声が背後から2人を呼び止めた。振り返ると、つむじ風と共にひとりの老人が姿を現した。
「バキラ様…!」
老人の名を呼ぶフレアの顔から、少し血の気が引いたようだった。だが、その顔は次の瞬間に驚愕へと変わる。ゴッと何やら凄い音を立てて、フレアとセイルの身体が吹き飛ばされた。そばの岩壁に全身を強打した彼女は、悲鳴をあげる前に口から血を吐き出した。ベディーが呆気にとられていると、バキラの視線はこちらへと向く。その目と目が合った途端、彼は背筋が凍るのを感じた。そして目の前の人物が誰なのか、それを思い出すと同時にラミーへと走り出す。
「ラミー、まずい!逃げるんだ!」
「え…?」
わけがわからず立ち尽くすラミー。そんな彼女だけでも助けようとしたが、遅かった。バキラの右手がすっと彼らの前に出ると同時に、2人は爆音に包まれ、宮殿へと吹き飛ばされたのだった。
「…それに、スポットという存在について僕たちは無知すぎる。弱点でも見つけて攻めない限り、きっと奴らは倒せない。」
ギリッと奥歯を鳴らし、ベディーは腕を組む手に力を込めた。
「けど、スポットならカイウスとルビアが倒せてた。なんとかなるんじゃないのか?」
ロインがそう口を挟み、カイウスを見た。しかし、カイウスはバツが悪そうな顔をし、ロインが期待した自信のある表情は見せてくれなかった。