第4章 復讐の闇 \
その光景を見た全員に緊張がはしった。ケノンへ行くには、あの獰猛な化け物のような樹を倒さなければならないのだ。だが、その力の強さを目にしたティマに怯えが見えた。
「あ、あんなの倒せるの?」
「簡単にはいかないと思うけど、弱点のひとつやふたつくらいあるはずさ。」
「カイウス、あんた弱点がわかったのか?」
「いや、そこまでは…」
言葉を詰まらすカイウスに「それじゃダメね」とルビアが口を開いた。
「見た目が樹なんだから、火属性の術技を試してみればいいじゃない。」
「あー。あたいらは火属性の術技持ってなかったからな。試す価値はあるかも。」
「ちょっと待て!そんな簡単に…」
カイウスは慌てて制止をかけたが、もはやラミーの耳には入っていなかった。
「よっし!火の術技使える奴はそれに専念!他はとにかく攻撃で隙作るなり援護に集中!これでいくよ!!」
「…いつからあいつがこのメンバーのリーダーになったんだ?」
「申し訳ない。」
ラミーの発言に「ええ!?」という表情を見せる仲間達の様子に、ロインとアインスはひそかに呟いていた。
「そしたら、作戦通り行くぞ。」
カイウスの言葉に皆が頷く。そして各自武器を構えると、ロインが先頭を切って怪腕樹に向かって行った。それに気がついた相手も、素早く“狩り”の体勢に入る。そして、剣を向けて駆けてくるロインを宙へと放り投げた。だが、そうしている隙にカイウスとラミーが敵に接近した。
「食らいな!ファングエッジ!!」
「虎牙破斬!!」
ラミーが一瞬で間合いをつめ、右手に持った短剣を使って一撃を、続いてカイウスの上下二段の斬撃が怪腕樹を襲った。一瞬ひるんで動きを止めたように見えた敵だったが、すぐに体勢を立て直し、手のように見える太い枝で二人を殴り飛ばした。何とか受身を取り、態勢を立て直すことができた二人。その間に、今度は宙に放り出されていたロインがうまく着地を決め、その勢いを利用して再び怪腕樹に攻撃を仕掛けていた。だが、先ほどのカイウス達と同様に殴り飛ばされ、樹に体を叩きつけられてしまった。かはっと血を吐くロインに、じりじりと敵が近づいてくる。その危機を救おうと、カイウスがロインに駆け寄ろうとした刹那、怪腕樹の周囲の地面が赤くなりだした。
「イラプション!!」
茂みに隠れ、詠唱を完成させたルビアが叫ぶと、バーンという音と共に、怪腕樹の姿は地面から噴出した炎に包まれた。じたばたとその場を逃れようとする怪腕樹だったが、勢いよく燃える炎で、その姿は見えなくなった。
「やったか…?」
打ちつけた箇所に手をあてながら立ち上がり、ロインは目の前の炎を見つめた。
「は!ざまぁないね。今までてこずらせた割にあっけなく決まっちまうなんて。」
「ラミー、不用意に近づくな。まだ倒せていないかもしれないんだぞ。」
炎の反対側で、カイウスは炎に近づくラミーに忠告していた。だが、勝利を確信したラミーはそれに耳をかそうとしない。
「大丈夫だって。こんな炎に焼かれて平気なやつなんか……!!?」
バシッと鋭い音がしてラミーの言葉は途切れた。驚くカイウス達の前に、イラプションをうけても平然と向かってくる敵が再び現れた。それを見たルビアは「そんな!」と声を上げた。
「あまり効いてない!」
「じゃあ、あいつの弱点は火じゃなかったってこと!?」
後衛のルビアとティマが話していると、突如悲鳴が聞こえた。見ると、先ほど怪腕樹に飛ばされたラミーが、その手のような太い枝で締め付けられていた。ギリギリと強く締め付けられ、うめき声を上げるラミー。それを目撃したアインスが、彼女の元へと駆けていった。
「ラミー様!!」
「…っ!バカ!!逃げろぉ!!」
ラミーの言葉が終わるか終わらないかの瞬間、敵はラミーをつかんだまま、アインスをティマたちのところまで殴り飛ばした。腹部を強打し、血を吐き出す彼に、ルビアはすぐに治癒術を唱える。カイウスとロインもラミーを開放しようとするが、不用意に近づくことはできない。下手をすればラミーを巻き込んでしまう可能性もあった。うかつに攻撃が出来ないでいた。
「あ、あんなの倒せるの?」
「簡単にはいかないと思うけど、弱点のひとつやふたつくらいあるはずさ。」
「カイウス、あんた弱点がわかったのか?」
「いや、そこまでは…」
言葉を詰まらすカイウスに「それじゃダメね」とルビアが口を開いた。
「見た目が樹なんだから、火属性の術技を試してみればいいじゃない。」
「あー。あたいらは火属性の術技持ってなかったからな。試す価値はあるかも。」
「ちょっと待て!そんな簡単に…」
カイウスは慌てて制止をかけたが、もはやラミーの耳には入っていなかった。
「よっし!火の術技使える奴はそれに専念!他はとにかく攻撃で隙作るなり援護に集中!これでいくよ!!」
「…いつからあいつがこのメンバーのリーダーになったんだ?」
「申し訳ない。」
ラミーの発言に「ええ!?」という表情を見せる仲間達の様子に、ロインとアインスはひそかに呟いていた。
「そしたら、作戦通り行くぞ。」
カイウスの言葉に皆が頷く。そして各自武器を構えると、ロインが先頭を切って怪腕樹に向かって行った。それに気がついた相手も、素早く“狩り”の体勢に入る。そして、剣を向けて駆けてくるロインを宙へと放り投げた。だが、そうしている隙にカイウスとラミーが敵に接近した。
「食らいな!ファングエッジ!!」
「虎牙破斬!!」
ラミーが一瞬で間合いをつめ、右手に持った短剣を使って一撃を、続いてカイウスの上下二段の斬撃が怪腕樹を襲った。一瞬ひるんで動きを止めたように見えた敵だったが、すぐに体勢を立て直し、手のように見える太い枝で二人を殴り飛ばした。何とか受身を取り、態勢を立て直すことができた二人。その間に、今度は宙に放り出されていたロインがうまく着地を決め、その勢いを利用して再び怪腕樹に攻撃を仕掛けていた。だが、先ほどのカイウス達と同様に殴り飛ばされ、樹に体を叩きつけられてしまった。かはっと血を吐くロインに、じりじりと敵が近づいてくる。その危機を救おうと、カイウスがロインに駆け寄ろうとした刹那、怪腕樹の周囲の地面が赤くなりだした。
「イラプション!!」
茂みに隠れ、詠唱を完成させたルビアが叫ぶと、バーンという音と共に、怪腕樹の姿は地面から噴出した炎に包まれた。じたばたとその場を逃れようとする怪腕樹だったが、勢いよく燃える炎で、その姿は見えなくなった。
「やったか…?」
打ちつけた箇所に手をあてながら立ち上がり、ロインは目の前の炎を見つめた。
「は!ざまぁないね。今までてこずらせた割にあっけなく決まっちまうなんて。」
「ラミー、不用意に近づくな。まだ倒せていないかもしれないんだぞ。」
炎の反対側で、カイウスは炎に近づくラミーに忠告していた。だが、勝利を確信したラミーはそれに耳をかそうとしない。
「大丈夫だって。こんな炎に焼かれて平気なやつなんか……!!?」
バシッと鋭い音がしてラミーの言葉は途切れた。驚くカイウス達の前に、イラプションをうけても平然と向かってくる敵が再び現れた。それを見たルビアは「そんな!」と声を上げた。
「あまり効いてない!」
「じゃあ、あいつの弱点は火じゃなかったってこと!?」
後衛のルビアとティマが話していると、突如悲鳴が聞こえた。見ると、先ほど怪腕樹に飛ばされたラミーが、その手のような太い枝で締め付けられていた。ギリギリと強く締め付けられ、うめき声を上げるラミー。それを目撃したアインスが、彼女の元へと駆けていった。
「ラミー様!!」
「…っ!バカ!!逃げろぉ!!」
ラミーの言葉が終わるか終わらないかの瞬間、敵はラミーをつかんだまま、アインスをティマたちのところまで殴り飛ばした。腹部を強打し、血を吐き出す彼に、ルビアはすぐに治癒術を唱える。カイウスとロインもラミーを開放しようとするが、不用意に近づくことはできない。下手をすればラミーを巻き込んでしまう可能性もあった。うかつに攻撃が出来ないでいた。