第1章 影と少年 [
静寂の闇が去り、藍色に染まっていたイーバオの海が赤い日の出に照らされる。地下にこもっていたイーバオの住人にその光は届かなかったが、彼らの日常は今までと変わらずに始まった。彼らは、朝食前の軽食をとると地下から出て、改めて町の惨状を目の当たりにした。生き残った大人達は、協力して町中から遺体を運び出し、子供たちは彼らの墓穴を掘っていた。カイウスとルビアが目覚めた頃には、地下に残っていたのはマリワナとティマ、そして負傷して外の手伝いができない者達だけだった。ティマとカイウス、ルビアの三人は朝食をとった後、外で遺体を片付けているイーバオの人たちを見ていた。
「あたしたちがもう少し早くここに来ていたら、助けられた人もきっといたよね。」
「そうかもな。けど、過ぎたことはどうにもならない。オレ達が今しなきゃいけないのは」
「亡くなった人たちのためにも、ティマを首都まで無事送り届けること。…わかってる。」
悲しそうに町の様子を見ているティマを見て、二人は改めて心を決めた。
それから間もなくして、ロインがマリワナの家にやってきた。四人が出発する、と言って町の人に別れを告げると、皆が手を止め、気をつけてな、ティマとロインをよろしくお願いします、と声をかけ、送り出してくれた。
四人がイーバオを離れて少しした頃、ルビアが歩みを止め、ティマに話し掛けた。
「とても温かい場所ね、イーバオって。」
「ええ。自慢の故郷よ!だから私、あの町のために力になりたいの。」
ティマは力強く、決意のこもった顔でそう言った。その言葉に賛同するように、三人は頷いた。
「で、これからどこへ行くんだ?」
カイウスが尋ねると、ルビアが呆れて溜息をついた。
「もう、カイウスったら。このサヌヴァ島には、イーバオの他にセビアっていう港町があったでしょ。そこから首都に向けて船で移動するの。」
「セビアは『バオイの丘』をこえた場所にありますよ。」
「っていうか、あたしたちそこから来たでしょ?」
「あ、そうだったな。」
そんなカイウスにルビアはさらに呆れ、ティマは二人の様子を見て笑っていた。ロインも呆れた様子を見せたが、ルビアと違い、侮蔑している態度も見られた。
「とにかく、バオイの丘に行くんだな。」
「うん。」
ティマはそう言ってロインに笑顔を向けた。
そして、港町セビアに続く場所、バオイの丘に向けて、一行は再び歩き始めた。
「あたしたちがもう少し早くここに来ていたら、助けられた人もきっといたよね。」
「そうかもな。けど、過ぎたことはどうにもならない。オレ達が今しなきゃいけないのは」
「亡くなった人たちのためにも、ティマを首都まで無事送り届けること。…わかってる。」
悲しそうに町の様子を見ているティマを見て、二人は改めて心を決めた。
それから間もなくして、ロインがマリワナの家にやってきた。四人が出発する、と言って町の人に別れを告げると、皆が手を止め、気をつけてな、ティマとロインをよろしくお願いします、と声をかけ、送り出してくれた。
四人がイーバオを離れて少しした頃、ルビアが歩みを止め、ティマに話し掛けた。
「とても温かい場所ね、イーバオって。」
「ええ。自慢の故郷よ!だから私、あの町のために力になりたいの。」
ティマは力強く、決意のこもった顔でそう言った。その言葉に賛同するように、三人は頷いた。
「で、これからどこへ行くんだ?」
カイウスが尋ねると、ルビアが呆れて溜息をついた。
「もう、カイウスったら。このサヌヴァ島には、イーバオの他にセビアっていう港町があったでしょ。そこから首都に向けて船で移動するの。」
「セビアは『バオイの丘』をこえた場所にありますよ。」
「っていうか、あたしたちそこから来たでしょ?」
「あ、そうだったな。」
そんなカイウスにルビアはさらに呆れ、ティマは二人の様子を見て笑っていた。ロインも呆れた様子を見せたが、ルビアと違い、侮蔑している態度も見られた。
「とにかく、バオイの丘に行くんだな。」
「うん。」
ティマはそう言ってロインに笑顔を向けた。
そして、港町セビアに続く場所、バオイの丘に向けて、一行は再び歩き始めた。