第2章 萌える丘と蒼き海 T
ロイン達がイーバオを出発してから2日。彼らは所々に巨大な岩のある丘を歩いていた。赤・黄・白などさまざまな色の花が咲き、彼らの歩く道の両脇には木々も多くあり、心地よい風が吹く。「イーバオ」と「セビア」をつなぐ「バオイの丘」は、とても緑豊かな土地だった。
「うわ〜!私バオイの丘って初めて来たけど、自然が綺麗なところですね。」
ティマはそう言って嬉しそうに、一行の先頭を歩いていた。イーバオを出てからは、数えるほどの魔物としか遭遇していない。戦闘経験の浅いロインとティマも、魔物相手の戦いに慣れ始め、町にいたときの緊張もほぐれ出していた。…だが、未だにほぐれぬ緊張もあった。
「確かに綺麗だけど、魔物が出やすいから場所だから気を付けてね。」
「え、そうなんですか。」
「ああ。ロインも気をつけろよ?」
「……」
「おい、ロイン?」
「…うるさい。」
ロインはそう言って、カイウスとルビアの忠告に耳をかそうとしない。町を出てから、二人が積極的に声をかけても、ティマが彼らの仲を取り繕うとしても、ロインのこの態度だけは変わる気配がなかった。それは魔物との戦闘時も変わらず、独断で敵に立ち向かっていくことも多かった。酷い時では、カイウスかルビアが用意した食事だと手をつけようとしないことがあった。
「この調子で行けば、あと2日程でセビアに着けそうだな。」
道から少し外れた木々に囲まれた場所で、野宿の準備をしながら、カイウスが言った。
「2日かぁ。」
傍で夕食の準備をしていたティマが、それを聞いて溜息をついた。
「どうした、ティマ。疲れたのか?」
「はい。ずっと海路を使ってたので…」
「イーバオって港町だものね。」
「ええ。カイウスさん達は陸の移動に慣れてるんですね。」
「その『さん』ってのやめろよ。大して歳に差はないんだし。」
「そうよね。カイウスに敬語なんてもったいないし。」
「…ルビア、それどういう意味だ。」
「言ったとおりだけど、何か?」
再び始まったカイウスとルビアの言い合いに、ティマはおもわず笑い声をあげた。ふと木によりかかっているロインに視線を向けると、彼は相変わらず呆れた様子でいた。
(この二人くらい、ロインも仲良くすればいいのに。)
ティマはそう思いながら、夕食の準備を続けた。
「うわ〜!私バオイの丘って初めて来たけど、自然が綺麗なところですね。」
ティマはそう言って嬉しそうに、一行の先頭を歩いていた。イーバオを出てからは、数えるほどの魔物としか遭遇していない。戦闘経験の浅いロインとティマも、魔物相手の戦いに慣れ始め、町にいたときの緊張もほぐれ出していた。…だが、未だにほぐれぬ緊張もあった。
「確かに綺麗だけど、魔物が出やすいから場所だから気を付けてね。」
「え、そうなんですか。」
「ああ。ロインも気をつけろよ?」
「……」
「おい、ロイン?」
「…うるさい。」
ロインはそう言って、カイウスとルビアの忠告に耳をかそうとしない。町を出てから、二人が積極的に声をかけても、ティマが彼らの仲を取り繕うとしても、ロインのこの態度だけは変わる気配がなかった。それは魔物との戦闘時も変わらず、独断で敵に立ち向かっていくことも多かった。酷い時では、カイウスかルビアが用意した食事だと手をつけようとしないことがあった。
「この調子で行けば、あと2日程でセビアに着けそうだな。」
道から少し外れた木々に囲まれた場所で、野宿の準備をしながら、カイウスが言った。
「2日かぁ。」
傍で夕食の準備をしていたティマが、それを聞いて溜息をついた。
「どうした、ティマ。疲れたのか?」
「はい。ずっと海路を使ってたので…」
「イーバオって港町だものね。」
「ええ。カイウスさん達は陸の移動に慣れてるんですね。」
「その『さん』ってのやめろよ。大して歳に差はないんだし。」
「そうよね。カイウスに敬語なんてもったいないし。」
「…ルビア、それどういう意味だ。」
「言ったとおりだけど、何か?」
再び始まったカイウスとルビアの言い合いに、ティマはおもわず笑い声をあげた。ふと木によりかかっているロインに視線を向けると、彼は相変わらず呆れた様子でいた。
(この二人くらい、ロインも仲良くすればいいのに。)
ティマはそう思いながら、夕食の準備を続けた。