第2章 萌える丘と蒼き海 Y
突然その姿を変えたカイウス。彼の髪と同じ茶色がかった体毛が全身を覆い、その咆哮は周囲にいるもの全てを畏怖させた。
ロインは、目の前で起きている現実に目を疑った。目の前で起きている現象。彼はたった一度だけ、それと似た現象を見たことがあった。
それは、かつて、アレウーラ大陸の支配権を握っていた種族が持ち、今となっては恐れられるだけとなってしまった能力。その身を獣の姿に変え、戦闘能力をあげることが可能となるが、時には我を失うこともあると言われている力。
「獣人化」
だが、それを使えるものには特殊なアザがあると聞く。カイウスには、それがなかったはずだ。彼は何故、その能力を持っているのだろう?
さまざまな疑問がロインの脳裏を駆け巡る中、辺りに静寂が訪れた。襲い掛かってきた魔物を、獣人化したカイウスが全て倒したのだった。カイウスは魂を静めるかのように、深い深呼吸をひとつする。すると、再び彼の体を光が包み、元の人の姿になった。元に戻ったカイウスは、突然の事態に呆然としているロインに視線を向けた。手にしていた剣を収めながら、ロインに歩み寄るカイウス。ロインは、カイウスがすぐ目の前に来て、やっと動けるようになった。
「…お前、今のは………ッ!!」
言葉が途切れ、代わりに鈍い音がロインの頭に響いた。カイウスは息を荒げ、拳を堅く握りしめていた。ロインの鋭い眼光が再びカイウスを捕らえようとした。だが、その前に彼は胸倉を掴まれ、抵抗するより先にカイウスが怒鳴り声を上げた。
「いい加減にしろっ!!お前がどんな理由で他人に心を閉ざそうと勝手だが、それで他人を危険に陥れるようなことだけはすんじゃねぇっ!!」
今までにない怒りの眼差しがロインに向けられる。だが、その状態で黙っているようなロインではなかった。
「…が…かる……てめぇに…何がわかるっ!!」
彼も大声をあげ、剣を掴んでいた手を離し、カイウスの顔面に一撃を与えた。その衝撃でカイウスはロインの胸倉を離し、ロインは数歩カイウスから遠ざかった。
「…突然家族を奪われてみろ。それも、昨日まで親しかった奴に…家族同然だった奴にだっ!!!……許せるかよ。信じるもんか……あんな目にあって、他人を信じられるものかッ!!!!」
ロインは顔を伏せたまま、今まで誰にも語らなかった苦痛を吐き出した。その言葉の直後、カイウスが表情を変え、再び剣を抜き、迫ってきた。
そして、辺りに血飛沫が飛散した。
ロインは、目の前で起きている現実に目を疑った。目の前で起きている現象。彼はたった一度だけ、それと似た現象を見たことがあった。
それは、かつて、アレウーラ大陸の支配権を握っていた種族が持ち、今となっては恐れられるだけとなってしまった能力。その身を獣の姿に変え、戦闘能力をあげることが可能となるが、時には我を失うこともあると言われている力。
「獣人化」
だが、それを使えるものには特殊なアザがあると聞く。カイウスには、それがなかったはずだ。彼は何故、その能力を持っているのだろう?
さまざまな疑問がロインの脳裏を駆け巡る中、辺りに静寂が訪れた。襲い掛かってきた魔物を、獣人化したカイウスが全て倒したのだった。カイウスは魂を静めるかのように、深い深呼吸をひとつする。すると、再び彼の体を光が包み、元の人の姿になった。元に戻ったカイウスは、突然の事態に呆然としているロインに視線を向けた。手にしていた剣を収めながら、ロインに歩み寄るカイウス。ロインは、カイウスがすぐ目の前に来て、やっと動けるようになった。
「…お前、今のは………ッ!!」
言葉が途切れ、代わりに鈍い音がロインの頭に響いた。カイウスは息を荒げ、拳を堅く握りしめていた。ロインの鋭い眼光が再びカイウスを捕らえようとした。だが、その前に彼は胸倉を掴まれ、抵抗するより先にカイウスが怒鳴り声を上げた。
「いい加減にしろっ!!お前がどんな理由で他人に心を閉ざそうと勝手だが、それで他人を危険に陥れるようなことだけはすんじゃねぇっ!!」
今までにない怒りの眼差しがロインに向けられる。だが、その状態で黙っているようなロインではなかった。
「…が…かる……てめぇに…何がわかるっ!!」
彼も大声をあげ、剣を掴んでいた手を離し、カイウスの顔面に一撃を与えた。その衝撃でカイウスはロインの胸倉を離し、ロインは数歩カイウスから遠ざかった。
「…突然家族を奪われてみろ。それも、昨日まで親しかった奴に…家族同然だった奴にだっ!!!……許せるかよ。信じるもんか……あんな目にあって、他人を信じられるものかッ!!!!」
ロインは顔を伏せたまま、今まで誰にも語らなかった苦痛を吐き出した。その言葉の直後、カイウスが表情を変え、再び剣を抜き、迫ってきた。
そして、辺りに血飛沫が飛散した。