第4章 復讐の闇 T
夜
雨
たくさんの木
白い石のペンダント
二人の人影
ぶつかり合う剣の音
噴出す鮮血
響く女性の叫び
何もかも覚えている
この光景は―――
「……イ…ロイン!!」
「!!」
目を開けると、自分を叩き起こすカイウスの姿が目に入った。
「ロイン、大丈夫か!?すごくうなされてたみたいだけど…」
「あ、ああ…。」
そう言って、ロインはゆっくりと身体を起こした。全身から汗が噴出すように出て、服がぐっしょりとぬれていた。手の甲で額の汗をぬぐい、深呼吸を一つした。
夢、か…。
ロインはそう理解するも、まだどこか混乱していた。ようやく、自分がスディアナの宿にいることを思い出すと、ほっとしたように息を吐いた。周りを見ると、ティマとルビアは、まだベッドの中で寝息を立てていた。日が出たばかりらしく、空は薄紫色をしていた。
「本当に、大丈夫か。」
カイウスはまだ心配そうに、ロインを見ていた。ロインは小さく頷き、ベッドから出た。あんな夢を見た後で、再び寝付く気にはなれない。だが、朝食までは時間があった。何をして時間を潰そうか考えていた時だった。
「なあ、目が覚めたんなら、少し付き合わないか?」
カイウスの声に振り返ると、ロインの剣が飛んできた。ロインはそれを受け止め、カイウスの方を見ると、彼は自身の剣を持ち、部屋の扉を開けて出て行こうとしていた。
他にすることもないし、な。
すやすやと眠っているティマの顔を見ながら、ロインは心の中で呟き、カイウスの後を追って、部屋を出た。
宿を出ると、カイウスはすでに素振りを始めていた。さすがに旅をしているだけあり、一振り一振りにキレがあった。しばらくカイウスの太刀筋を眺めていたロインだったが、突然自身の剣を抜き、カイウス目掛けて駆け出した。
「瞬迅剣!」
並みの魔物であれば吹き飛ばせるほどの突きを、カイウスは左腕の防具で辛うじて受け止めた。ロインはすぐさま剣を振り上げ、連続してカイウスに斬りかかる。カイウスは攻撃を左で受けつつ、隙を見て反撃にでる。バックステップでかわそうとしたロインだったが、カイウスは引き離されることなく、彼についてくる。今度はロインが剣で防御の体制をとり続け、思いっきり剣を横に振る。だが、それはカイウスにあたることはなく、彼は宙返りをしてロインの後ろに回った。そして、振り向きざまに一撃を与えようとしたが、辛うじて防がれ、バックステップである程度の距離を保たれてしまった。
「少しは強くなったみたいだな。」
カイウスは楽しそうに、剣を構えながら言った。ロインはその剣先を見つめ、次の動きに備えていた。
「…嫌って程戦ってるから、な!」
そう言うが早いか、ロインは魔神剣を放ち、カイウスも同じ技を繰り出す。二つの衝撃波がぶつかり合い、小規模の爆発が起きる中、二人は剣をぶつけ合った。
「な〜んだ。結構仲良くなってるじゃない。」
その様子を、宿の窓から覗くルビアの姿があった。窓枠に肘をつきながら、楽しそうに剣を振るカイウスと、それに負けじとついてくるロインの姿を、どこか羨ましそうに、微笑みながら見ていた。
「ま、せいぜい疲れて足手まといにならないように頑張ってね♪」
その声は二人に届いていなかったが、ルビアはそう言うと窓から離れ、荷物をまとめ始めた。
雨
たくさんの木
白い石のペンダント
二人の人影
ぶつかり合う剣の音
噴出す鮮血
響く女性の叫び
何もかも覚えている
この光景は―――
「……イ…ロイン!!」
「!!」
目を開けると、自分を叩き起こすカイウスの姿が目に入った。
「ロイン、大丈夫か!?すごくうなされてたみたいだけど…」
「あ、ああ…。」
そう言って、ロインはゆっくりと身体を起こした。全身から汗が噴出すように出て、服がぐっしょりとぬれていた。手の甲で額の汗をぬぐい、深呼吸を一つした。
夢、か…。
ロインはそう理解するも、まだどこか混乱していた。ようやく、自分がスディアナの宿にいることを思い出すと、ほっとしたように息を吐いた。周りを見ると、ティマとルビアは、まだベッドの中で寝息を立てていた。日が出たばかりらしく、空は薄紫色をしていた。
「本当に、大丈夫か。」
カイウスはまだ心配そうに、ロインを見ていた。ロインは小さく頷き、ベッドから出た。あんな夢を見た後で、再び寝付く気にはなれない。だが、朝食までは時間があった。何をして時間を潰そうか考えていた時だった。
「なあ、目が覚めたんなら、少し付き合わないか?」
カイウスの声に振り返ると、ロインの剣が飛んできた。ロインはそれを受け止め、カイウスの方を見ると、彼は自身の剣を持ち、部屋の扉を開けて出て行こうとしていた。
他にすることもないし、な。
すやすやと眠っているティマの顔を見ながら、ロインは心の中で呟き、カイウスの後を追って、部屋を出た。
宿を出ると、カイウスはすでに素振りを始めていた。さすがに旅をしているだけあり、一振り一振りにキレがあった。しばらくカイウスの太刀筋を眺めていたロインだったが、突然自身の剣を抜き、カイウス目掛けて駆け出した。
「瞬迅剣!」
並みの魔物であれば吹き飛ばせるほどの突きを、カイウスは左腕の防具で辛うじて受け止めた。ロインはすぐさま剣を振り上げ、連続してカイウスに斬りかかる。カイウスは攻撃を左で受けつつ、隙を見て反撃にでる。バックステップでかわそうとしたロインだったが、カイウスは引き離されることなく、彼についてくる。今度はロインが剣で防御の体制をとり続け、思いっきり剣を横に振る。だが、それはカイウスにあたることはなく、彼は宙返りをしてロインの後ろに回った。そして、振り向きざまに一撃を与えようとしたが、辛うじて防がれ、バックステップである程度の距離を保たれてしまった。
「少しは強くなったみたいだな。」
カイウスは楽しそうに、剣を構えながら言った。ロインはその剣先を見つめ、次の動きに備えていた。
「…嫌って程戦ってるから、な!」
そう言うが早いか、ロインは魔神剣を放ち、カイウスも同じ技を繰り出す。二つの衝撃波がぶつかり合い、小規模の爆発が起きる中、二人は剣をぶつけ合った。
「な〜んだ。結構仲良くなってるじゃない。」
その様子を、宿の窓から覗くルビアの姿があった。窓枠に肘をつきながら、楽しそうに剣を振るカイウスと、それに負けじとついてくるロインの姿を、どこか羨ましそうに、微笑みながら見ていた。
「ま、せいぜい疲れて足手まといにならないように頑張ってね♪」
その声は二人に届いていなかったが、ルビアはそう言うと窓から離れ、荷物をまとめ始めた。