第4章 復讐の闇 U
「どうしたの、その顔?」
それが、朝食に起きてきたティマの第一声であった。テーブルには、頬に思いっきり殴られた跡の残ったロインとカイウスと、その横でニコニコしながらティマにおはようの挨拶をするルビアが座っていた。ティマの問いに、ロインはなんでもないと言うが、カイウスはルビアを恨めしそうな目つきで見ながら説明した。
「こいつ、剣の練習して傷ついた俺たちに回復術かけてくれたはいいけど、一発殴りやがった。」
「あら。また長い道を歩くっていう日の朝に、動けなくなるほど疲れた上に、傷だらけになって戻ってきたのは何処の誰だったかしら。」
「だからなんで殴られなきゃならねーんだよ!?」
「あのねえ、余計に術技使わせないでくれない?これから何があるかわからないって言うのに。」
「別に減ったりしないだろ。」
「減るわよ、体力とか精神力が!!」
再びいがみ合う二人に、ロインとティマは、朝からよくやるよ、と別の意味で感心していた。
その後、朝食と出発の準備を終えた四人はスディアナを出た。
「ねえロイン、『エルナの森』ってどれくらい暗いの?」
ケノンとエルナの森に続く街道を進む途中、ティマが尋ねた。ロインは少し考えてから口を開いた。
「確か、昼でも新月の夜と同じくらいだったから…夜になったらまさに暗闇だな。」
「そんだけ暗かったら、アンデッドの一体や二体出そうだな。」
「え、まさか、出たりする?」
ふと呟いたカイウスの言葉に、ティマはどこか怯えたような表情になった。それに気がついたルビアは、少し意地悪くティマに尋ねた。
「あら、ティマはお化け嫌い?」
「そ、そんなんじゃ…!」
「平気よ。カイウスもお化け嫌いでね、一人で夜トイレに起きれない事があるから。」
「そ、そうなの?」
「だから子供の頃の話出すなって言ってるだろ!!」
カイウスは顔を赤らめてルビアに怒鳴った。だが、ルビアはお構いなしとでもいうように、ティマにカイウスについての昔話を聞かせている。それを全力で阻止しようと奮闘しているカイウスに、ロインは哀れみに近い気持ちを感じた。
「まぁ、アンデッドが出るって言われてるのは『ホッポ遺跡』の方だから、大丈夫だと思うけど。」
「そ、そう。」
その言葉に、ティマはほっとした表情をみせた。一方カイウスは、「お化けが出なくて良かったね」とルビアにからかわれ続けていた。その様子に、ティマは苦笑し、ロインは呆れて溜息をつき、一人先に歩いていった。
「アンデッドは出ねぇけど、夜に動くと道を見失うから、昼しか進めねぇぞ。いいな?」
喧嘩している二人はほっとき、ロインはティマにそう忠告した。ティマは素直に頷き、ロインの横に並んで歩いた。
「わかった。でも、なんでそこまで詳しいの?」
「…まあ、ちょっとな。」
ロインはそう言って、暗い顔になった。それを見たティマは、彼に何か事情があるように思い、それ以上は聞かなかった。
それが、朝食に起きてきたティマの第一声であった。テーブルには、頬に思いっきり殴られた跡の残ったロインとカイウスと、その横でニコニコしながらティマにおはようの挨拶をするルビアが座っていた。ティマの問いに、ロインはなんでもないと言うが、カイウスはルビアを恨めしそうな目つきで見ながら説明した。
「こいつ、剣の練習して傷ついた俺たちに回復術かけてくれたはいいけど、一発殴りやがった。」
「あら。また長い道を歩くっていう日の朝に、動けなくなるほど疲れた上に、傷だらけになって戻ってきたのは何処の誰だったかしら。」
「だからなんで殴られなきゃならねーんだよ!?」
「あのねえ、余計に術技使わせないでくれない?これから何があるかわからないって言うのに。」
「別に減ったりしないだろ。」
「減るわよ、体力とか精神力が!!」
再びいがみ合う二人に、ロインとティマは、朝からよくやるよ、と別の意味で感心していた。
その後、朝食と出発の準備を終えた四人はスディアナを出た。
「ねえロイン、『エルナの森』ってどれくらい暗いの?」
ケノンとエルナの森に続く街道を進む途中、ティマが尋ねた。ロインは少し考えてから口を開いた。
「確か、昼でも新月の夜と同じくらいだったから…夜になったらまさに暗闇だな。」
「そんだけ暗かったら、アンデッドの一体や二体出そうだな。」
「え、まさか、出たりする?」
ふと呟いたカイウスの言葉に、ティマはどこか怯えたような表情になった。それに気がついたルビアは、少し意地悪くティマに尋ねた。
「あら、ティマはお化け嫌い?」
「そ、そんなんじゃ…!」
「平気よ。カイウスもお化け嫌いでね、一人で夜トイレに起きれない事があるから。」
「そ、そうなの?」
「だから子供の頃の話出すなって言ってるだろ!!」
カイウスは顔を赤らめてルビアに怒鳴った。だが、ルビアはお構いなしとでもいうように、ティマにカイウスについての昔話を聞かせている。それを全力で阻止しようと奮闘しているカイウスに、ロインは哀れみに近い気持ちを感じた。
「まぁ、アンデッドが出るって言われてるのは『ホッポ遺跡』の方だから、大丈夫だと思うけど。」
「そ、そう。」
その言葉に、ティマはほっとした表情をみせた。一方カイウスは、「お化けが出なくて良かったね」とルビアにからかわれ続けていた。その様子に、ティマは苦笑し、ロインは呆れて溜息をつき、一人先に歩いていった。
「アンデッドは出ねぇけど、夜に動くと道を見失うから、昼しか進めねぇぞ。いいな?」
喧嘩している二人はほっとき、ロインはティマにそう忠告した。ティマは素直に頷き、ロインの横に並んで歩いた。
「わかった。でも、なんでそこまで詳しいの?」
「…まあ、ちょっとな。」
ロインはそう言って、暗い顔になった。それを見たティマは、彼に何か事情があるように思い、それ以上は聞かなかった。