第4章 復讐の闇 [
夢の中の叫び声で、ロインははっと目を覚ました。スディアナの宿で目覚めた時と同じように、ぐっしょりと嫌な汗をかき、加えて全身のあちこちがズキズキと痛んだ。
「ロイン、目が覚めたか?」
聞きなれた声がして、その方向に顔を向けると、火を取り囲んでいるカイウスやルビアの姿が目に入った。その奥のほうには、横になっているティマと、意識を失う直前に目にした人物も座っていた。
「ラミー、やっぱりてめぇだったか。」
「なんだよ、その言い方。あのまま死にたかったのか?」
「…いや、助かった。」
そう言うと、ロインは痛みがはしる身体をゆっくりとおこし、周囲を確認した。どうやら、カイウス達と別れたあの広間にいるらしい。日はすっかり暮れ、藍色に染まる空に星が瞬いていた。
「ロイン、オレ達と別れた後に何があったんだ?」
「…」
「あんた、仲間に心配かけといて黙ったままってのはどうかと思うよ。」
「てめぇの知った事かよ。…それより、火消した方がいいぜ。魔物が集まる。」
ロインのその言葉に、ルビアは慌てて火を消した。幸い、魔物は集まってきてはいないようだった。
「おい、なんでそんなこと…」
「地元の人間じゃなきゃ、こんなこと知らないだろうね。」
「…知るか。」
カイウスとラミーの言及から逃れるかのように、ロインは再び横になった。その様子を見たカイウス達も、肩をすくめると横になった。
目が覚め、朝食を取った一行は、再びケノンへと向かい、森の中を歩いていた。
「…で、何故てめぇがいる。」
ロインが目を向けた先には、部下のアインスを連れたラミーがいた。
「なんでって、あたいもちょうどケノンに用事があるんだ。途中まで一緒にいたって構わないだろ。」
それが当たり前とでも言うような口調で、ラミーはロイン達について来る。
「ま、いいじゃない。これでもっと賑やかになるね♪」
ロインが元気になったことで機嫌のいいティマは、楽観的にそう言った。カイウスとルビアも、仲間は多い方がいいと二人を歓迎した。溜息をついているのはロインだけだった。
「ま。本当はもう一つ理由があるんだけど。」
「理由?」
「そ。まぁ先に行けばわかるって。ほら、さっさと行くぞ。」
そう言うが早いか、ラミーは無邪気な子供のようにどんどん先へと進んでいく。その後を、ティマ、カイウス、ルビアが追っていく。
「すまんな、ロイン。」
「首領(ボス)だからって、甘やかしてんじゃねぇぞ。」
アインスに向けてそう言い捨てると、ロインも四人の後を追って走り出した。その最後尾を、少し困った表情のアインスがついていった。
もう少しでエルナの森を抜けるという所まで来て、ラミーの足が止まった。後を追ってきたティマ達の足も止まり、彼女の目線の先にあるものを見つめた。と、同時にティマとルビアは小さな悲鳴をあげ、カイウスは慌てて二人の口をふさいだ。
「何だ、あれ…?」
「もしかして、『あれ』がもう一つの理由?」
「そ。アインスは『雷嵐の波』の中でも腕の立つメンバーなんだが、そのアインスと組んでもなかなか倒せなくってな。」
ラミーはそう言いながら、森の出口に繋がる道をふさいでいる巨大な一本の木―――否、巨大な木の姿をした魔物、怪腕樹を見つめていた。
「マウディーラにはあんな魔物もいるのか。」
「あんなのが出てくるのなんて稀だよ。それだけに厄介なんだけどね。…気をつけな。動くものには何にでも反応して襲ってくるよ。」
ラミーがそう忠告した先から、怪腕樹の前を別の魔物が通りかかった。その魔物は一瞬にして怪腕樹に捕らえられ、そして、絶命した。
「ロイン、目が覚めたか?」
聞きなれた声がして、その方向に顔を向けると、火を取り囲んでいるカイウスやルビアの姿が目に入った。その奥のほうには、横になっているティマと、意識を失う直前に目にした人物も座っていた。
「ラミー、やっぱりてめぇだったか。」
「なんだよ、その言い方。あのまま死にたかったのか?」
「…いや、助かった。」
そう言うと、ロインは痛みがはしる身体をゆっくりとおこし、周囲を確認した。どうやら、カイウス達と別れたあの広間にいるらしい。日はすっかり暮れ、藍色に染まる空に星が瞬いていた。
「ロイン、オレ達と別れた後に何があったんだ?」
「…」
「あんた、仲間に心配かけといて黙ったままってのはどうかと思うよ。」
「てめぇの知った事かよ。…それより、火消した方がいいぜ。魔物が集まる。」
ロインのその言葉に、ルビアは慌てて火を消した。幸い、魔物は集まってきてはいないようだった。
「おい、なんでそんなこと…」
「地元の人間じゃなきゃ、こんなこと知らないだろうね。」
「…知るか。」
カイウスとラミーの言及から逃れるかのように、ロインは再び横になった。その様子を見たカイウス達も、肩をすくめると横になった。
目が覚め、朝食を取った一行は、再びケノンへと向かい、森の中を歩いていた。
「…で、何故てめぇがいる。」
ロインが目を向けた先には、部下のアインスを連れたラミーがいた。
「なんでって、あたいもちょうどケノンに用事があるんだ。途中まで一緒にいたって構わないだろ。」
それが当たり前とでも言うような口調で、ラミーはロイン達について来る。
「ま、いいじゃない。これでもっと賑やかになるね♪」
ロインが元気になったことで機嫌のいいティマは、楽観的にそう言った。カイウスとルビアも、仲間は多い方がいいと二人を歓迎した。溜息をついているのはロインだけだった。
「ま。本当はもう一つ理由があるんだけど。」
「理由?」
「そ。まぁ先に行けばわかるって。ほら、さっさと行くぞ。」
そう言うが早いか、ラミーは無邪気な子供のようにどんどん先へと進んでいく。その後を、ティマ、カイウス、ルビアが追っていく。
「すまんな、ロイン。」
「首領(ボス)だからって、甘やかしてんじゃねぇぞ。」
アインスに向けてそう言い捨てると、ロインも四人の後を追って走り出した。その最後尾を、少し困った表情のアインスがついていった。
もう少しでエルナの森を抜けるという所まで来て、ラミーの足が止まった。後を追ってきたティマ達の足も止まり、彼女の目線の先にあるものを見つめた。と、同時にティマとルビアは小さな悲鳴をあげ、カイウスは慌てて二人の口をふさいだ。
「何だ、あれ…?」
「もしかして、『あれ』がもう一つの理由?」
「そ。アインスは『雷嵐の波』の中でも腕の立つメンバーなんだが、そのアインスと組んでもなかなか倒せなくってな。」
ラミーはそう言いながら、森の出口に繋がる道をふさいでいる巨大な一本の木―――否、巨大な木の姿をした魔物、怪腕樹を見つめていた。
「マウディーラにはあんな魔物もいるのか。」
「あんなのが出てくるのなんて稀だよ。それだけに厄介なんだけどね。…気をつけな。動くものには何にでも反応して襲ってくるよ。」
ラミーがそう忠告した先から、怪腕樹の前を別の魔物が通りかかった。その魔物は一瞬にして怪腕樹に捕らえられ、そして、絶命した。