第5章 騎士と思い出 Z
「母さん!!」
思わずロインはグレシアに駆け寄った。近くで見ると、彼女の傷は深く、おそらく致命傷であった。
「ロイン!あんた、なんでここに…!?」
グレシアは驚き、目を見開いた。そんな彼女の後ろから魔物が一体襲い掛かってきた。
「や、やめろー!!」
ロインはとっさにグレシアと魔物の間に入り、剣を振り上げた。その時、彼の剣気が斬撃となって放たれ、魔物を倒すことができた。その時の彼の技は、いつかグレシアが見せてくれたそれと似ていた。突然できた技にロインは内心驚きでいっぱいだった。
「魔神剣を使えるようになったか。」
ロインの後ろから声がした。ガルザも驚きを隠せないようで、ロインをじっと見ていた。
「…なんで?」
そんなガルザにロインは剣を向けながら言った。
「なんで母さんを斬ったの!?ねぇ!?ガルザ!!」
少年の悲痛な叫びが森に響く。ガルザの顔を見上げるが、影になっていてその表情は読み取れない。ザーッと雨の降る音だけがしばらく続いた後、彼は静かに口を開いた。
「望みを叶える。そのために邪魔だったから斬った。それだけだ。」
「のぞ…み……?」
ロインにはガルザが何を言っているのか判らなかった。それだけの理由で母を手にかけたとでも言うのか?その場に立ち竦んでいると、ガルザはその剣をゆっくりロインへ向けた。
「ロイン、俺はお前を殺る気はない。そこをどけ。」
「嫌だ!!」
即答だった。母を見捨てるなど考えられなかった。そしてガルザへ剣を振りかざし向かっていく。
だが、子どもの力で大人に敵うはずもなく、いとも簡単に突き飛ばされてしまう。すぐに体勢を立て直し、何度向かっても同じことだった。そんなロインの首筋にガルザは剣を突きつけた。ロインの額を汗が伝った。
「もう一度言う。俺はお前を殺る気はない。そこをどけ。」
淡々と口にするガルザ。だが、ロインの答えは変わらない。
「嫌だ!!」
母さんを見捨てて逃げるくらいなら、一緒に死ぬ方がマシだ。
ロインは体を強張らせながらもはっきり叫んだ。ガルザの顔は相変わらずよく見えない。今彼がどんな表情をしているのか、ロインには想像できないが、それでも彼をキッとにらみつけた。それは彼の決意を表していた。その様子を見たガルザは「そうか」と呟いた。
「…残念だ。」
ガルザはロインめがけて剣を振り下ろした。
思わずロインはグレシアに駆け寄った。近くで見ると、彼女の傷は深く、おそらく致命傷であった。
「ロイン!あんた、なんでここに…!?」
グレシアは驚き、目を見開いた。そんな彼女の後ろから魔物が一体襲い掛かってきた。
「や、やめろー!!」
ロインはとっさにグレシアと魔物の間に入り、剣を振り上げた。その時、彼の剣気が斬撃となって放たれ、魔物を倒すことができた。その時の彼の技は、いつかグレシアが見せてくれたそれと似ていた。突然できた技にロインは内心驚きでいっぱいだった。
「魔神剣を使えるようになったか。」
ロインの後ろから声がした。ガルザも驚きを隠せないようで、ロインをじっと見ていた。
「…なんで?」
そんなガルザにロインは剣を向けながら言った。
「なんで母さんを斬ったの!?ねぇ!?ガルザ!!」
少年の悲痛な叫びが森に響く。ガルザの顔を見上げるが、影になっていてその表情は読み取れない。ザーッと雨の降る音だけがしばらく続いた後、彼は静かに口を開いた。
「望みを叶える。そのために邪魔だったから斬った。それだけだ。」
「のぞ…み……?」
ロインにはガルザが何を言っているのか判らなかった。それだけの理由で母を手にかけたとでも言うのか?その場に立ち竦んでいると、ガルザはその剣をゆっくりロインへ向けた。
「ロイン、俺はお前を殺る気はない。そこをどけ。」
「嫌だ!!」
即答だった。母を見捨てるなど考えられなかった。そしてガルザへ剣を振りかざし向かっていく。
だが、子どもの力で大人に敵うはずもなく、いとも簡単に突き飛ばされてしまう。すぐに体勢を立て直し、何度向かっても同じことだった。そんなロインの首筋にガルザは剣を突きつけた。ロインの額を汗が伝った。
「もう一度言う。俺はお前を殺る気はない。そこをどけ。」
淡々と口にするガルザ。だが、ロインの答えは変わらない。
「嫌だ!!」
母さんを見捨てて逃げるくらいなら、一緒に死ぬ方がマシだ。
ロインは体を強張らせながらもはっきり叫んだ。ガルザの顔は相変わらずよく見えない。今彼がどんな表情をしているのか、ロインには想像できないが、それでも彼をキッとにらみつけた。それは彼の決意を表していた。その様子を見たガルザは「そうか」と呟いた。
「…残念だ。」
ガルザはロインめがけて剣を振り下ろした。