第6章 兆し、赤眼が映すモノ X
セイルの素早い斬撃がラミーの頬を掠める。ラミーは銃口をセイルの顔に向けて引き金をひく。ダンッと銃声が鳴り響き、セイルは辛うじてそれをかわす。しかしラミーの口元には僅かに笑みがある。その様子にセイルが警戒していると彼の頭上から何かが落ちてくる音がした。
「食らいな!ピコピコハンマー!!」
何個ものピコハンがセイル目掛けて落下する。しかしセイルは慌てる様子もなく剣を上空に向ける。
「獅子戦吼!」
剣先から放たれた闘気が上空のピコハンを弾き飛ばした。それを見たラミーは目を見開き舌打ちをした。
「ふっ。同じ手が通用すると思うなよ。」
「へん。てめぇもバカじゃねぇってか?」
そう言って、お互い武器を構えなおす。「エルナの森」での戦闘では圧倒的に見えた2人の実力差。しかし、セイルがロインに気をとられ、且つ不意打ちを食らったためと考えればそうではないのかもしれない。事実、今はこうしてラミーと対等に戦えている。セイルの攻撃は速く、そして重い。まともに力でぶつかればラミーは勝てない。だからといってラミーに勝機がないわけではない。セイルは自身の攻撃を最大限に引き出そうした結果なのか、他の兵達と比べるとやや軽装だった。他の兵よりもダメージは与えやすい、と考えてもいいだろう。それにスピードならラミーも負けていない。二人はお互いを睨み合い、そして同時に地面を蹴った。セイルが剣を突き出せば、ラミーはそれをかわしその懐に入り込む。そして右手の短剣で切りつける。だがセイルは上体を上手く逸らしてかわし、おまけに蹴りの一撃を食らわせる。ラミーもただではやられない。地面を転がりながら狙いを定めて弾丸を打ち込む。それはセイルの右腕にあたった。腕から血が飛び散るのを目にしたセイルは舌打ちをする。
―――武器が持てなくなる傷を先に負わせたほうが、この勝負を制す!
当たり前かもしれないが、そうでもしなければ決着はつきそうもない。ラミーとセイルはそう理解していた。そしてお互い剣と剣をぶつけ合う。力では押し負かされる。だからラミーは無理にセイルの剣を受けようとはせず、その斬撃を上手く受け流し、しかし自分の攻撃はしっかり放つ。時には左の拳銃で攻撃を受け止め反撃に出る。何度か相手の服を切り裂いた。剣が自分の体を掠める。宙に舞う血がどちらのものかはわからない。ただ体力が削られるだけで勝負はまだつきそうにない。お互い息が上がってきた。一瞬でも隙をみせればそれで決められてしまうだろう。両者がそう察した。するとラミーがセイルから距離をとった。そして銃を短剣に持ち換え、今までとは少し違う構えをとった。次の一撃で勝負を決めにでるつもりだ。それを見たセイルも面白い、とでもいわんばかりに笑みを浮かべる。剣先をまっすぐラミーにむけ、その一撃が放たれる瞬間を待つ。
同じ頃、ロインの動きが鈍くなり始めた。さっきから何度もうけたガルザの技と疲労のせいだった。それをカバーするようにカイウスが猛攻を仕掛ける。ガルザはその太刀を受けきれずに何回か斬撃をうけた。しかし、ガルザはそのくらいでは止まらない。
「秋沙雨!」
ガルザの剣がカイウスを襲う。カイウスはそれを左手の篭手でなんとか受け止める。そして斬撃がやんだ瞬間に反撃に出ようとした。しかしその行動を見据えていたかのように、ガルザはカイウスが防御を緩めた途端、剣の柄で彼の腹に一撃をいれ、頭を蹴り飛ばした。
「ぐあっ!!」
「魔神剣!!」
カイウスが倒れたのとほぼ同時に入れ替わるようにしてロインが魔神剣を連続してはなった。ガルザがその攻撃を受けている間に一気に距離を詰める。そして両者が剣をぶつけ合っている合間にカイウスが攻撃の態勢を整えていた。
「斬光時雨!!」
秋沙雨から飛天翔駆の動きへとつなげる奥義。ガルザはすぐにロインを突き放しそれを受け止めようとした。だがカイウスの方が早かった。加えてロインが直後に瞬迅剣でガルザを吹き飛ばす。両者は荒い息をして対峙した。
「ロイン、カイウス、頑張って!アグリゲットシャープ!!」
ティマが放った魔法が2人に活力を与える。疲労で重くなり始めていた身体が軽くなる。2人は気を引き締め再びガルザと対峙する。さすがの彼も疲れと出血で少しふらついている。油断は出来ないが、決めるなら今だろう。
「ロイン、一気に行くぞ!」
「うるせぇよ!」
カイウスの言葉にそう言いつつも、ロインは剣を強く握りなおす。素直ではないが了解した、ということだろう。カイウスは微笑みをうかべ、その茶色の瞳でガルザをしっかり捕らえた。
「食らいな!ピコピコハンマー!!」
何個ものピコハンがセイル目掛けて落下する。しかしセイルは慌てる様子もなく剣を上空に向ける。
「獅子戦吼!」
剣先から放たれた闘気が上空のピコハンを弾き飛ばした。それを見たラミーは目を見開き舌打ちをした。
「ふっ。同じ手が通用すると思うなよ。」
「へん。てめぇもバカじゃねぇってか?」
そう言って、お互い武器を構えなおす。「エルナの森」での戦闘では圧倒的に見えた2人の実力差。しかし、セイルがロインに気をとられ、且つ不意打ちを食らったためと考えればそうではないのかもしれない。事実、今はこうしてラミーと対等に戦えている。セイルの攻撃は速く、そして重い。まともに力でぶつかればラミーは勝てない。だからといってラミーに勝機がないわけではない。セイルは自身の攻撃を最大限に引き出そうした結果なのか、他の兵達と比べるとやや軽装だった。他の兵よりもダメージは与えやすい、と考えてもいいだろう。それにスピードならラミーも負けていない。二人はお互いを睨み合い、そして同時に地面を蹴った。セイルが剣を突き出せば、ラミーはそれをかわしその懐に入り込む。そして右手の短剣で切りつける。だがセイルは上体を上手く逸らしてかわし、おまけに蹴りの一撃を食らわせる。ラミーもただではやられない。地面を転がりながら狙いを定めて弾丸を打ち込む。それはセイルの右腕にあたった。腕から血が飛び散るのを目にしたセイルは舌打ちをする。
―――武器が持てなくなる傷を先に負わせたほうが、この勝負を制す!
当たり前かもしれないが、そうでもしなければ決着はつきそうもない。ラミーとセイルはそう理解していた。そしてお互い剣と剣をぶつけ合う。力では押し負かされる。だからラミーは無理にセイルの剣を受けようとはせず、その斬撃を上手く受け流し、しかし自分の攻撃はしっかり放つ。時には左の拳銃で攻撃を受け止め反撃に出る。何度か相手の服を切り裂いた。剣が自分の体を掠める。宙に舞う血がどちらのものかはわからない。ただ体力が削られるだけで勝負はまだつきそうにない。お互い息が上がってきた。一瞬でも隙をみせればそれで決められてしまうだろう。両者がそう察した。するとラミーがセイルから距離をとった。そして銃を短剣に持ち換え、今までとは少し違う構えをとった。次の一撃で勝負を決めにでるつもりだ。それを見たセイルも面白い、とでもいわんばかりに笑みを浮かべる。剣先をまっすぐラミーにむけ、その一撃が放たれる瞬間を待つ。
同じ頃、ロインの動きが鈍くなり始めた。さっきから何度もうけたガルザの技と疲労のせいだった。それをカバーするようにカイウスが猛攻を仕掛ける。ガルザはその太刀を受けきれずに何回か斬撃をうけた。しかし、ガルザはそのくらいでは止まらない。
「秋沙雨!」
ガルザの剣がカイウスを襲う。カイウスはそれを左手の篭手でなんとか受け止める。そして斬撃がやんだ瞬間に反撃に出ようとした。しかしその行動を見据えていたかのように、ガルザはカイウスが防御を緩めた途端、剣の柄で彼の腹に一撃をいれ、頭を蹴り飛ばした。
「ぐあっ!!」
「魔神剣!!」
カイウスが倒れたのとほぼ同時に入れ替わるようにしてロインが魔神剣を連続してはなった。ガルザがその攻撃を受けている間に一気に距離を詰める。そして両者が剣をぶつけ合っている合間にカイウスが攻撃の態勢を整えていた。
「斬光時雨!!」
秋沙雨から飛天翔駆の動きへとつなげる奥義。ガルザはすぐにロインを突き放しそれを受け止めようとした。だがカイウスの方が早かった。加えてロインが直後に瞬迅剣でガルザを吹き飛ばす。両者は荒い息をして対峙した。
「ロイン、カイウス、頑張って!アグリゲットシャープ!!」
ティマが放った魔法が2人に活力を与える。疲労で重くなり始めていた身体が軽くなる。2人は気を引き締め再びガルザと対峙する。さすがの彼も疲れと出血で少しふらついている。油断は出来ないが、決めるなら今だろう。
「ロイン、一気に行くぞ!」
「うるせぇよ!」
カイウスの言葉にそう言いつつも、ロインは剣を強く握りなおす。素直ではないが了解した、ということだろう。カイウスは微笑みをうかべ、その茶色の瞳でガルザをしっかり捕らえた。