CROSS CAPTURE3 「廻りあうものたち」
ゆっくりと球体に触れようとしたその時だ、上から声がする。神無の声ではなかった。
「な、なんだこりゃあ!?」
それは近くで宴を広げていた睦月たちで、突如の衝撃に落下地点へ駆け込んできた次第であった。
イリアドゥスは記憶をすぐ手繰り、それらの声の主が誰であるか理解して、そのまま球体に触れた。
球体は光を大きく放ち始めていく。その様子は上からは落下地点から光が立ち上る勢いだった。
戸惑う睦月らに遅れて飛んできた神無が着地し、剣を虚空へ消し、翼を霧散させる。
「おい、神無……いったい、何が?」
「こっちの台詞だ。―――何か来るとイリアドゥスは言っていたが……」
怪訝に様子を見ていた彼らを尻目に、光は次第に消えていった。完全に消えた後、睦月たちはゆっくりとクレーターの底を見た。
そこには、数人の男女――少年少女から成人の男女が入り混じった正体不明の一団だった。
そして、その一団は戦ったのか、酷く傷だらけの様相をしている。そんな中にイリアドゥスが一人、佇んでいる(正確には蒼い影を密かに伸ばし、一団全員の記憶を読み取っていた)。
「おいおい、だれだあいつら……ひでぇ怪我をしてるみたいだぜ」
「兄さん。とりあえず助けようよ」
「そうね。ハオス、手伝ってくれる?」
「勿論です。あの、シュテンさん、ゼロボロスさんたちも手伝ってもらっていいでしょうか。アビスとシンメイさんは城の方に連絡をお願いします」
「うむ。承知した……どうした、ゼロボロス。顔が青ざめとるぞ……ん?」
睦月、皐月、シュテンらが負傷した一団の救助を、アビスとシンメイが城への連絡を決め、行動しようとしたが、二人だけ動きを止め、言葉を発せずに居る。
そう、神無とゼロボロスであった。二人して、驚愕して、蒼白の色合いを強めている。
「どうしたのじゃ、おぬしら…?」
「……夢じゃねえよな」
「わからねえ」
二人は睦月らより先にクレーターの底へと駆け出した。倒れこんでいる一団はどこか見覚えのあるものも居るが、その中で特にそれぞれが際立って覚えている者達が居る。
イリアドゥスはやって来た二人へ振り向いた。落ち着き据わった蒼の双眸が真っ直ぐ二人を捉える。
「そうね、彼らを見てそうなるのは解るわ」
「………親、父…………?」
「紫苑……!」
それぞれが呟く。倒れて居る一団の中の二人の名前を。
一人は一団の中で一番年長そうな風体をした長い乱した黒髪に藤色の着物の装束を身に纏った男性――無轟。
一人は成人ほどの風体をした黒髪に白い衣装を身に纏った青年――紫苑。
片や、無轟は此処では神無の父として既に死去し、
片や、紫苑は此処ではゼロボロスの因縁を、その因果を断ち切っていた。
しかし、相違する箇所を探り出すと、今目の前で倒れこんでいる無轟は死去した頃と比べ、亡き父と自分よりも若い。
同じように紫苑もその身なり等は以前の、自分を内包して旅をしていた頃のものと酷似であった。
戸惑う二人に、イリアドゥスは淡々と記憶を読み取った上での結論を突きつける。
「彼らは此のセカイとは異なるセカイよりやって来たものたちよ」
「な、なんだこりゃあ!?」
それは近くで宴を広げていた睦月たちで、突如の衝撃に落下地点へ駆け込んできた次第であった。
イリアドゥスは記憶をすぐ手繰り、それらの声の主が誰であるか理解して、そのまま球体に触れた。
球体は光を大きく放ち始めていく。その様子は上からは落下地点から光が立ち上る勢いだった。
戸惑う睦月らに遅れて飛んできた神無が着地し、剣を虚空へ消し、翼を霧散させる。
「おい、神無……いったい、何が?」
「こっちの台詞だ。―――何か来るとイリアドゥスは言っていたが……」
怪訝に様子を見ていた彼らを尻目に、光は次第に消えていった。完全に消えた後、睦月たちはゆっくりとクレーターの底を見た。
そこには、数人の男女――少年少女から成人の男女が入り混じった正体不明の一団だった。
そして、その一団は戦ったのか、酷く傷だらけの様相をしている。そんな中にイリアドゥスが一人、佇んでいる(正確には蒼い影を密かに伸ばし、一団全員の記憶を読み取っていた)。
「おいおい、だれだあいつら……ひでぇ怪我をしてるみたいだぜ」
「兄さん。とりあえず助けようよ」
「そうね。ハオス、手伝ってくれる?」
「勿論です。あの、シュテンさん、ゼロボロスさんたちも手伝ってもらっていいでしょうか。アビスとシンメイさんは城の方に連絡をお願いします」
「うむ。承知した……どうした、ゼロボロス。顔が青ざめとるぞ……ん?」
睦月、皐月、シュテンらが負傷した一団の救助を、アビスとシンメイが城への連絡を決め、行動しようとしたが、二人だけ動きを止め、言葉を発せずに居る。
そう、神無とゼロボロスであった。二人して、驚愕して、蒼白の色合いを強めている。
「どうしたのじゃ、おぬしら…?」
「……夢じゃねえよな」
「わからねえ」
二人は睦月らより先にクレーターの底へと駆け出した。倒れこんでいる一団はどこか見覚えのあるものも居るが、その中で特にそれぞれが際立って覚えている者達が居る。
イリアドゥスはやって来た二人へ振り向いた。落ち着き据わった蒼の双眸が真っ直ぐ二人を捉える。
「そうね、彼らを見てそうなるのは解るわ」
「………親、父…………?」
「紫苑……!」
それぞれが呟く。倒れて居る一団の中の二人の名前を。
一人は一団の中で一番年長そうな風体をした長い乱した黒髪に藤色の着物の装束を身に纏った男性――無轟。
一人は成人ほどの風体をした黒髪に白い衣装を身に纏った青年――紫苑。
片や、無轟は此処では神無の父として既に死去し、
片や、紫苑は此処ではゼロボロスの因縁を、その因果を断ち切っていた。
しかし、相違する箇所を探り出すと、今目の前で倒れこんでいる無轟は死去した頃と比べ、亡き父と自分よりも若い。
同じように紫苑もその身なり等は以前の、自分を内包して旅をしていた頃のものと酷似であった。
戸惑う二人に、イリアドゥスは淡々と記憶を読み取った上での結論を突きつける。
「彼らは此のセカイとは異なるセカイよりやって来たものたちよ」
■作者メッセージ
2、3と文字数の差が激しいのは……5000字オーバーしちゃったからです
一応、今回のライン「NANAさんキャラとの遭遇」まで書きました もしかしたら追記修正しますかも
一応、今回のライン「NANAさんキャラとの遭遇」まで書きました もしかしたら追記修正しますかも