メモリー編17 「もう一つのセカイについて・2」
星も見えない真っ暗な夜。冷たい雨が一面に降り注ぐ。
原型も無い程に崩れ落ちた廃墟の中、血塗れの状態で本来とは違う服を着ていたウィドが横たわっていた。
「私……」
「頼む、動かないでくれ」
感情が抜け落ちたかのような平淡な声色に、ウィドは身体が動かないのかゆっくりと顔だけ向ける。
すると、すぐ近くで身体中傷だらけのクウが悲しげな表情で座り込んでいた。
「お前…なんの、つもりだ?」
「応急治療でごめん。俺には、これが精一杯だから」
頭を下げて謝るクウに、ウィドは目を背けるように雨が降り注いでいる黒い空を仰ぐ。
「…助けられる、筋合いはない…もう忘れたか……私は、お前を刺したんだぞ……どうせなら…あのままトドメを刺せば、よかったものを…」
「出来るかよ。お前にまで、スピカと同じ事したくない」
そこで会話は途切れ、二人の間に重苦しい沈黙が続く。
辺りに雨が降る音がしきりに響く中、しばらくしてようやくクウが口を開いた。
「なあ、ウィド。お前さ、今は何をやっているんだ?」
「お前に復讐する以外の時間は……教師を目指して、勉強に費やしてた…」
「へぇ、教師か。そう言えば、スピカの夢だったな」
「姉さんの、夢…一つでも代わりに…叶えようと思ったから」
ウィドは僅かだが、ここで初めて嬉しそうな微笑みを浮かべる。
その横でクウもまた、雨に濡れながら過去を懐かしむ様に目を細めていた。
「そっか。あとさ――」
ここで言葉を切ると、近くに転がっていた銀の細剣――シルビアを握ってウィドに見せつけた。
「この剣を持ってるって事は、スピカに勝ったのか?」
「勝ってない…渡された、だけだ…」
「じゃあ、あの約束はまだ有効か」
突然納得するような口調に、ウィドは違和感を感じたのか再度クウを見る。
すると、ウィドの見る前でクウは何の躊躇もなく自分の首元に刃を突き立てた。
「お、まえ…?」
「わりぃ…どう言う訳か、キーブレードが出せないんだ。俺の闇の力も…お前を助ける為に、使い果たして…もう、残ってないんだ…」
今まで変化のなかったクウの声が、まるで大事な何かが壊れたかのように震えている。
そう思っている間にも、クウは両手で剣を握り締めると涙を流しながらウィドへと笑顔を見せつけた。
「お前の事、スピカにちゃんと伝えておくから……じゃあな」
直後、刃を動かして一気に自分の首元を斬り裂いた。
「エ…」
ウィドが固まると同時に、まるで糸が切れたようにクウはその場に倒れ込む。
自ら命を絶つ行為を行ったクウに、何時しかウィドは全身を震わせていた。
「う、あ…あっ…!?」
「――復讐、果たせて良かったじゃないですか。僕達の手で、とはいきませんでしたけど」
激しく動揺する中、背後から声がかけられる。
泣きそうな表情でウィドが振り返ると、そこには黒縁の眼鏡をかけた長い銀髪に青い目の少年が無表情を作ってこちらを見ていた。
「ジャ、ス…!」
現れた少年の正体は、ウィドと同じように成長したジャスの姿だ。
ジャスはウィドに近づくとポケットから『エリクサー』を取り出して、そのままウィドに投げつける。
そうして傷を完治させると、すぐ傍で倒れているクウを一瞥した。
「こいつの身勝手な行動の所為で、僕達は苦しめられた。僕達に取って大切な人を、こいつは気持ちすら踏み躙って消した……当然の報いだ」
憎しげに話すと、クウへと軽く蹴りを入れる。
それでも動く素振りを見せないクウを見て、ジャスは元来た道を戻っていく。
「早くここから去りましょう。あなただって傷が治っている訳じゃない、すぐに治療を――」
今後の事を話しながらジャスが振り返った瞬間、目を疑った。
「なにを…しているんです?」
信じられないとジャスが呟く先には、何とウィドが自身の服の袖を破き、必死でクウの首元の傷を塞ごうとしていた。
「分からない…分からないけど、いやなんです…!」
まるで子供の様に首を振り、泣きながらも応急手当をする手を止めない。
「このままにしてしまったら…私は、一生後悔してしまう…! こいつの事が憎いのに、消えてしまえばいいと願って来たのに……何でか分からないけど、嫌なんですっ!」
そうやって心の内を叫ぶが、ウィド自身も混乱しているようで戸惑いを浮かべている。
だが、それでもクウを生き延びさせようと、懸命に手当して首の傷を縛り上げる。
ジャスは唖然としてその様子を見ていたが、徐に二人へ近づくとクウを肩に背負うように担いだ。
「ジャス…?」
「傷を治したばかりのあなたに負担をかけない為です。間違っても、こんな奴の為ではない」
そう言うと、クウを引き摺る形で歩き出す。
「こんな時まで僕達に迷惑をかけるのか、この馬鹿は…」
雨の中で僅かに苛立ったジャスの声が、聞こえた気がした…。
「ウィド…」
記憶を見終わると、クウは何処か驚いた様に茫然としている。
やがて軽く首を振ると、後ろにいたイリアへと顔を向ける。
「あんな事しても、心の何処かであいつは俺を許していた。俺とウィドも分かり合える事、期待していいんだよな…」
何処となく不安げに質問すると、イリアただは静かに答える。
「それは、あなた次第」
「だったな…よし、次行こうぜ」
少しだけ自信がついたのか、クウは次の記憶の歪みへと入っていく。
イリアも僅かに微笑して、彼の後を追った。
町全体を見舞わせる、ある丘の上。霊園なのか、幾つもの墓が並べられている。
その内の一つの真新しい墓の前で、ジャスは見覚えのある青年と向かい合っていた。
「そうだな…もうやるべき事も、この世界に居る理由も、僕には何もない」
静かに語ると、すぐ横にある墓に目を向ける。
まだ表面が輝いている石碑には、大きく『スピカ』と言う文字が書かれている。
僅かにジャスの目元が潤むが、すぐに視線を外すと再び青年へと向かい合った。
「行きますよ。この世界の“外”…《夢の世界》に」
決意と共に、青年へと手を伸ばすジャス。
それに合わせるように青年も手を伸ばし、ジャスの手を握ろうとした。
「――ジャス…?」
だが、突如聞こえた一つの呟きに二人は動きを止める。
声のした方を振り返ると、まるで大事な何かが抜けたのようにウィドが立っていた。
「ウィド…何故ここに?」
「彼は、一体…?」
ジャスが問いかけるが、聞いていないのか何処かボンヤリとしながら青年を見ている。
青年はジャスへ伸ばしていた手を引っ込めると、ウィドに向かって軽く頭を下げた。
「初めまして。僕は紫苑(しおん)、こことは違う世界を渡り歩く『夢の旅人』と言う者さ。僕は彼を迎えに来たんだ。これから、彼の存在が必要になるから」
「ジャスを、迎えに…? どうして…?」
「止めないでください、ウィド。僕はこの人と共に行くと決めましたから――」
これ以上留まる事はしたくないとばかりに、ジャスはウィドに背を向けた時だ。
「待ってください……私も、一緒に連れて行ってくれませんか?」
ウィドの放った思わぬ言葉に、ジャスは慌てて振り返る。
未だにウィドの目はボンヤリとしているが、確かに青年―――紫苑を見ている。
当の紫苑は目を細め、ウィドへと首を傾げた。
「どうして?」
「…復讐を止めると決めたら、私は何をすればいいのか分からなくなった。探したいけど、私一人ではきっと何も分からないままだ」
そう言いながら、ウィドはギュと辛そうに胸を押さえつける。
未来への迷いと戸惑い・心に空いた空虚の感情がウィドを支配されている。二人ともそれに気付いていると、ゆっくりと首を横に振る。
「和解したとは言え、クウと一緒に行動するなんてまだ私には出来ない…そうなるともう、ジャスしか頼れないんです」
「ウィド…」
「ずっとじゃなくていい。少しだけ…お互いのやるべき道を見つけるまでは…」
このウィドの思いに、紫苑は軽く腕を組んで彼を見据えた。
「彼と近しい人なら、僕はとやかくは言わないよ。だけど、この世界を出ると言う事は、あなたにとって残酷な真実を知る事になる」
「真実…?」
「そうだ。その真実は、この世界の秘密に関わるもの。それでも、僕達と歩む覚悟はあるかい?」
何処となく怖さを感じる笑みを浮かべ、ウィドへと手を伸ばす紫苑。
若干ウィドの表情に迷いが浮かび、そのまま顔を俯かせる。
「…私は――」
ウィドが答えようとした所で、記憶の映像が途切れてしまう。
しかし、クウはウィドの出した回答よりも気になっている事があった。
「し、おん? あいつ、ゼロボロスじゃねーのかよ…?」
「そう言えば、貴方達は知らなかったわね」
ジャスと会合していた人物に対して何も知っていないクウに、イリアは改めて説明する。
「彼の本名は紫苑(しおん)。『ゼロボロス』と言うのは、かつて彼が自分の身に封じた龍の名。そして貴方達と一緒にいる方の彼は、今は二つの意思が混ざり合っている状態よ」
「マジか……そういや俺、あいつの事全然知らなかったな…」
「会合した時間が少なかったのだから、仕方ない事と言えるわ」
イリアの言う通り、クウ達が彼に出会ったのは二回ほど。しかも、どちらも戦いでの最中だった。
それに戦いを終えて、このセカイに飛ばされても、スピカに関する自分達の亀裂でマトモに話し合う事すらままならない状況だったのだ。ゼロボロス――否、紫苑だけでない。テラと無轟以外のメンツは、お互い詳しい事までは知っていない。
「修行ばっかりしてられねーな…ウィド達だけじゃなく、城にいる奴とも話す時間くらいは作らないと…」
改めて今の状況を思い知らされつつも、クウは進む足を止めようとはしなかった。
原型も無い程に崩れ落ちた廃墟の中、血塗れの状態で本来とは違う服を着ていたウィドが横たわっていた。
「私……」
「頼む、動かないでくれ」
感情が抜け落ちたかのような平淡な声色に、ウィドは身体が動かないのかゆっくりと顔だけ向ける。
すると、すぐ近くで身体中傷だらけのクウが悲しげな表情で座り込んでいた。
「お前…なんの、つもりだ?」
「応急治療でごめん。俺には、これが精一杯だから」
頭を下げて謝るクウに、ウィドは目を背けるように雨が降り注いでいる黒い空を仰ぐ。
「…助けられる、筋合いはない…もう忘れたか……私は、お前を刺したんだぞ……どうせなら…あのままトドメを刺せば、よかったものを…」
「出来るかよ。お前にまで、スピカと同じ事したくない」
そこで会話は途切れ、二人の間に重苦しい沈黙が続く。
辺りに雨が降る音がしきりに響く中、しばらくしてようやくクウが口を開いた。
「なあ、ウィド。お前さ、今は何をやっているんだ?」
「お前に復讐する以外の時間は……教師を目指して、勉強に費やしてた…」
「へぇ、教師か。そう言えば、スピカの夢だったな」
「姉さんの、夢…一つでも代わりに…叶えようと思ったから」
ウィドは僅かだが、ここで初めて嬉しそうな微笑みを浮かべる。
その横でクウもまた、雨に濡れながら過去を懐かしむ様に目を細めていた。
「そっか。あとさ――」
ここで言葉を切ると、近くに転がっていた銀の細剣――シルビアを握ってウィドに見せつけた。
「この剣を持ってるって事は、スピカに勝ったのか?」
「勝ってない…渡された、だけだ…」
「じゃあ、あの約束はまだ有効か」
突然納得するような口調に、ウィドは違和感を感じたのか再度クウを見る。
すると、ウィドの見る前でクウは何の躊躇もなく自分の首元に刃を突き立てた。
「お、まえ…?」
「わりぃ…どう言う訳か、キーブレードが出せないんだ。俺の闇の力も…お前を助ける為に、使い果たして…もう、残ってないんだ…」
今まで変化のなかったクウの声が、まるで大事な何かが壊れたかのように震えている。
そう思っている間にも、クウは両手で剣を握り締めると涙を流しながらウィドへと笑顔を見せつけた。
「お前の事、スピカにちゃんと伝えておくから……じゃあな」
直後、刃を動かして一気に自分の首元を斬り裂いた。
「エ…」
ウィドが固まると同時に、まるで糸が切れたようにクウはその場に倒れ込む。
自ら命を絶つ行為を行ったクウに、何時しかウィドは全身を震わせていた。
「う、あ…あっ…!?」
「――復讐、果たせて良かったじゃないですか。僕達の手で、とはいきませんでしたけど」
激しく動揺する中、背後から声がかけられる。
泣きそうな表情でウィドが振り返ると、そこには黒縁の眼鏡をかけた長い銀髪に青い目の少年が無表情を作ってこちらを見ていた。
「ジャ、ス…!」
現れた少年の正体は、ウィドと同じように成長したジャスの姿だ。
ジャスはウィドに近づくとポケットから『エリクサー』を取り出して、そのままウィドに投げつける。
そうして傷を完治させると、すぐ傍で倒れているクウを一瞥した。
「こいつの身勝手な行動の所為で、僕達は苦しめられた。僕達に取って大切な人を、こいつは気持ちすら踏み躙って消した……当然の報いだ」
憎しげに話すと、クウへと軽く蹴りを入れる。
それでも動く素振りを見せないクウを見て、ジャスは元来た道を戻っていく。
「早くここから去りましょう。あなただって傷が治っている訳じゃない、すぐに治療を――」
今後の事を話しながらジャスが振り返った瞬間、目を疑った。
「なにを…しているんです?」
信じられないとジャスが呟く先には、何とウィドが自身の服の袖を破き、必死でクウの首元の傷を塞ごうとしていた。
「分からない…分からないけど、いやなんです…!」
まるで子供の様に首を振り、泣きながらも応急手当をする手を止めない。
「このままにしてしまったら…私は、一生後悔してしまう…! こいつの事が憎いのに、消えてしまえばいいと願って来たのに……何でか分からないけど、嫌なんですっ!」
そうやって心の内を叫ぶが、ウィド自身も混乱しているようで戸惑いを浮かべている。
だが、それでもクウを生き延びさせようと、懸命に手当して首の傷を縛り上げる。
ジャスは唖然としてその様子を見ていたが、徐に二人へ近づくとクウを肩に背負うように担いだ。
「ジャス…?」
「傷を治したばかりのあなたに負担をかけない為です。間違っても、こんな奴の為ではない」
そう言うと、クウを引き摺る形で歩き出す。
「こんな時まで僕達に迷惑をかけるのか、この馬鹿は…」
雨の中で僅かに苛立ったジャスの声が、聞こえた気がした…。
「ウィド…」
記憶を見終わると、クウは何処か驚いた様に茫然としている。
やがて軽く首を振ると、後ろにいたイリアへと顔を向ける。
「あんな事しても、心の何処かであいつは俺を許していた。俺とウィドも分かり合える事、期待していいんだよな…」
何処となく不安げに質問すると、イリアただは静かに答える。
「それは、あなた次第」
「だったな…よし、次行こうぜ」
少しだけ自信がついたのか、クウは次の記憶の歪みへと入っていく。
イリアも僅かに微笑して、彼の後を追った。
町全体を見舞わせる、ある丘の上。霊園なのか、幾つもの墓が並べられている。
その内の一つの真新しい墓の前で、ジャスは見覚えのある青年と向かい合っていた。
「そうだな…もうやるべき事も、この世界に居る理由も、僕には何もない」
静かに語ると、すぐ横にある墓に目を向ける。
まだ表面が輝いている石碑には、大きく『スピカ』と言う文字が書かれている。
僅かにジャスの目元が潤むが、すぐに視線を外すと再び青年へと向かい合った。
「行きますよ。この世界の“外”…《夢の世界》に」
決意と共に、青年へと手を伸ばすジャス。
それに合わせるように青年も手を伸ばし、ジャスの手を握ろうとした。
「――ジャス…?」
だが、突如聞こえた一つの呟きに二人は動きを止める。
声のした方を振り返ると、まるで大事な何かが抜けたのようにウィドが立っていた。
「ウィド…何故ここに?」
「彼は、一体…?」
ジャスが問いかけるが、聞いていないのか何処かボンヤリとしながら青年を見ている。
青年はジャスへ伸ばしていた手を引っ込めると、ウィドに向かって軽く頭を下げた。
「初めまして。僕は紫苑(しおん)、こことは違う世界を渡り歩く『夢の旅人』と言う者さ。僕は彼を迎えに来たんだ。これから、彼の存在が必要になるから」
「ジャスを、迎えに…? どうして…?」
「止めないでください、ウィド。僕はこの人と共に行くと決めましたから――」
これ以上留まる事はしたくないとばかりに、ジャスはウィドに背を向けた時だ。
「待ってください……私も、一緒に連れて行ってくれませんか?」
ウィドの放った思わぬ言葉に、ジャスは慌てて振り返る。
未だにウィドの目はボンヤリとしているが、確かに青年―――紫苑を見ている。
当の紫苑は目を細め、ウィドへと首を傾げた。
「どうして?」
「…復讐を止めると決めたら、私は何をすればいいのか分からなくなった。探したいけど、私一人ではきっと何も分からないままだ」
そう言いながら、ウィドはギュと辛そうに胸を押さえつける。
未来への迷いと戸惑い・心に空いた空虚の感情がウィドを支配されている。二人ともそれに気付いていると、ゆっくりと首を横に振る。
「和解したとは言え、クウと一緒に行動するなんてまだ私には出来ない…そうなるともう、ジャスしか頼れないんです」
「ウィド…」
「ずっとじゃなくていい。少しだけ…お互いのやるべき道を見つけるまでは…」
このウィドの思いに、紫苑は軽く腕を組んで彼を見据えた。
「彼と近しい人なら、僕はとやかくは言わないよ。だけど、この世界を出ると言う事は、あなたにとって残酷な真実を知る事になる」
「真実…?」
「そうだ。その真実は、この世界の秘密に関わるもの。それでも、僕達と歩む覚悟はあるかい?」
何処となく怖さを感じる笑みを浮かべ、ウィドへと手を伸ばす紫苑。
若干ウィドの表情に迷いが浮かび、そのまま顔を俯かせる。
「…私は――」
ウィドが答えようとした所で、記憶の映像が途切れてしまう。
しかし、クウはウィドの出した回答よりも気になっている事があった。
「し、おん? あいつ、ゼロボロスじゃねーのかよ…?」
「そう言えば、貴方達は知らなかったわね」
ジャスと会合していた人物に対して何も知っていないクウに、イリアは改めて説明する。
「彼の本名は紫苑(しおん)。『ゼロボロス』と言うのは、かつて彼が自分の身に封じた龍の名。そして貴方達と一緒にいる方の彼は、今は二つの意思が混ざり合っている状態よ」
「マジか……そういや俺、あいつの事全然知らなかったな…」
「会合した時間が少なかったのだから、仕方ない事と言えるわ」
イリアの言う通り、クウ達が彼に出会ったのは二回ほど。しかも、どちらも戦いでの最中だった。
それに戦いを終えて、このセカイに飛ばされても、スピカに関する自分達の亀裂でマトモに話し合う事すらままならない状況だったのだ。ゼロボロス――否、紫苑だけでない。テラと無轟以外のメンツは、お互い詳しい事までは知っていない。
「修行ばっかりしてられねーな…ウィド達だけじゃなく、城にいる奴とも話す時間くらいは作らないと…」
改めて今の状況を思い知らされつつも、クウは進む足を止めようとはしなかった。
■作者メッセージ
【KHHD2.5 一部のプレイ感想】(KH2編)
NANA「コーデットも見終わった事で、次はいよいよKH2プレイ! とりあえず、隠しムービーの事があるからプラウドで挑戦するとして…」(操作中)
クウ「いよいよ本腰か…で、何でまたこのメンツ?」
ウィド「面倒なだけでしょう」
スピカ「まあまあ、そう言わないの」
NANA「あー、OPが懐かしい。青春時代を思い出す…いろんなKHシリーズプレイしているから、今見ると何と言うかこう…」
それから時間は進み、ロクサス編4日目―――
NANA「ふ、ふふふふふ…!!」(怒りで震えてる)
クウ「これでアクセル戦4回連続でゲームオーバー…完全に積んでるよな?」
NANA「だー! めんどくさい!! せめてアクセル戦からやらせろ!! 何でビビ、ダスク戦と毎回毎回やり直しにしなきゃならないんだよー!! つーかアクセルってこんなに強かったっけ!? プラウドか、プラウドモードがいけないのかぁぁ!!?」
ウィド「…どうします?」
スピカ「ほおっておくしかないでしょ?」
―――さらにさらに時間は進み、ロクサス編6日目
ロクサス《俺の夏休み…終わっちゃった…》
一同「………」(放心)
ソラ「――でさー、ようやくKH2始めるんだって。俺も呼んで欲しかったなー」
ヴェン「ダメだって、俺達いたらネタバレになるだろ。あ、なあゲーム進んだ――」
クウ&ウィド&スピカ「「「ロ…ロクサスー!!」」」(一斉に抱き着く)
ヴェン「ぐぇ!? って、みんな…俺、ヴェン…!!」(締められる)
クウ「俺の事、お兄ちゃんって呼んでもいいんだぞ!?」(涙目)
スピカ「お、お姉ちゃんって言ってもいいのよロクサス!!」(同文)
ウィド「何かあれば、すぐに私に相談しなさい!」(同文)
ヴェン「ぐ、ぐるじ…!?」(顔面蒼白)
NANA「やばい…初プレイでも胸をグッて掴まれたけど、今見ても何かがじんわりとくるなんて…!!」(顔を押えてる)
ソラ「みんな…何があったの?」
NANA「コーデットも見終わった事で、次はいよいよKH2プレイ! とりあえず、隠しムービーの事があるからプラウドで挑戦するとして…」(操作中)
クウ「いよいよ本腰か…で、何でまたこのメンツ?」
ウィド「面倒なだけでしょう」
スピカ「まあまあ、そう言わないの」
NANA「あー、OPが懐かしい。青春時代を思い出す…いろんなKHシリーズプレイしているから、今見ると何と言うかこう…」
それから時間は進み、ロクサス編4日目―――
NANA「ふ、ふふふふふ…!!」(怒りで震えてる)
クウ「これでアクセル戦4回連続でゲームオーバー…完全に積んでるよな?」
NANA「だー! めんどくさい!! せめてアクセル戦からやらせろ!! 何でビビ、ダスク戦と毎回毎回やり直しにしなきゃならないんだよー!! つーかアクセルってこんなに強かったっけ!? プラウドか、プラウドモードがいけないのかぁぁ!!?」
ウィド「…どうします?」
スピカ「ほおっておくしかないでしょ?」
―――さらにさらに時間は進み、ロクサス編6日目
ロクサス《俺の夏休み…終わっちゃった…》
一同「………」(放心)
ソラ「――でさー、ようやくKH2始めるんだって。俺も呼んで欲しかったなー」
ヴェン「ダメだって、俺達いたらネタバレになるだろ。あ、なあゲーム進んだ――」
クウ&ウィド&スピカ「「「ロ…ロクサスー!!」」」(一斉に抱き着く)
ヴェン「ぐぇ!? って、みんな…俺、ヴェン…!!」(締められる)
クウ「俺の事、お兄ちゃんって呼んでもいいんだぞ!?」(涙目)
スピカ「お、お姉ちゃんって言ってもいいのよロクサス!!」(同文)
ウィド「何かあれば、すぐに私に相談しなさい!」(同文)
ヴェン「ぐ、ぐるじ…!?」(顔面蒼白)
NANA「やばい…初プレイでも胸をグッて掴まれたけど、今見ても何かがじんわりとくるなんて…!!」(顔を押えてる)
ソラ「みんな…何があったの?」