CROSS FRAGMENT2 「闇祓いし者達」
ソラ。その少年はクウ達の仲間であり、あちらのセカイでは何度も闇や狭間の脅威から世界を救ったとされるキーブレードの勇者と呼ばれる存在だ。
しかし、闇に染まった彼は今や黒い影となって縦横無尽に彼らに襲い掛かっていた。
「バーニングアロー!!」
フレイアは全身に炎を纏い、高速の蹴りをアンチソラに向かって放つ。
攻撃が入るがアンチソラは僅かによろめき、お返しとばかりに身体を回転させてフレイアの身体を連続で切り裂いた。
「ぐぅ!?」
この反撃にフレイアが身動ぎすると、更にアンチソラは追撃を仕掛けようとする。
だが、虚空から現れた七本の剣がフレイアとアンチソラの間に突き刺さる。この牽制には思わずアンチソラは攻撃の手を止める。
一方、援護攻撃にフレイアが後ろを振り返ると、剣を操ったであろうジェミニが永遠剣を持って笑っていた。
「牽制は任せろ」
「サンキュ、オッサン!」
「オッ…」
若干無礼なフレイアの言葉に、ジェミニは絶句してしまう。
女性なのに男勝りな性格と言い、少々荒い言葉遣いと言い、育てたであろう親の顔が見てみたい。そんな事を心の中で思っているジェミニの横から、ティオンが飛び出した。
「よそ見してる暇はないわよ!!」
剣を振るい空間の力を発動させると、アンチソラの周りに歪みを作る。
すると、その歪みから光弾を発射してアンチソラへと被弾させる。
「ケアルラ! プロテガ!」
相手が怯んだ隙を見て、遠くにいたルシフが魔法を唱える。
同時に、フレイアに癒しの光が集って先程の傷を癒し、アガレスを含めた全員物理から守る魔法の障壁に包まれた。
【カオス】と言う強大な闇を抱える者にはあまり似つかわしくない他者を癒し、守る力に、ティオンは驚くようにルシフへと顔を向けた。
「あなた、援護魔法使えるのね」
「はい、僕は回復と補助魔法の相性はいいんです。代わりに攻撃魔法は一切使えませんが、カオスの力があれば十分補えますし」
「だったら、俺からも全員にプレゼントだ!」
アルガはそう言うと、手を真上に翳す。
瞬間、今度はアガレスを除いた全員に時計の様な文様が浮かび上がって吸収される様に消える。
最初は何が起きたか分からなかったが、すぐに自分達の時間を早めて素早さを上げてくれた事に気付いた。
「ありがとうございます、アルガさん!」
こうして出来る限りの強化をし終え、それぞれがアンチソラへと向かい合う。
影の様に動き回るアンチソラにフレイアが強力な攻撃を繰り出す中、八つの剣を操って牽制するジェミニと時間の力で不意打ちを仕掛けるアルガ。ティオンは空間の力を活用して遠距離から攻撃し、ルシフも回復魔法を使ってそれぞれの傷を癒す。
その一連の戦いの流れを、負傷して動けないアガレスは後ろで眺めていた。
(会ったばかりだと言うのに、上手く連携が取れている。こちらに分が出来て良い事だが……決定打まではいかない)
五人と戦っている相手は、助けなければいけない人物。かつてカルマに洗脳させられ『Sin化』された人達と同じだが、生身の人間と違いハートレスに近い状態。下手にダメージを与えすぎれば、消滅しかねない。
それはアルガ、ティオン、ルシフだけでなく、話を聞かされていないジェミニ、容赦なく格闘術を繰り出しているフレイアですらそれを薄々感じて手加減している。
対して、アンチソラは力を出し惜しみすることなく全力で向かってくる。ハッキリ言えば、嫌でも防戦に持ち込まれている状態だ。
「ルシフ、あとどれぐらい!」
「さすがにそこまでは分かりません…!」
「ああ、めんどくさい!! こうなったら全員で特攻をかけて終わらせるよ!!」
「そんな事出来る訳ないだろ!! あいつを消す気か!?」
背後から聞こえるティオンとルシフの会話に、フレイアは我慢の限界と言わんばかりに全身に気を高める。
さすがにマズいと落ち着かせる為にアルガが叫んでいる隙に、アンチソラは八つの剣の攻撃を潜り抜けてジェミニに猛攻を繰り出した。
「ぐあああぁ!?」
「ジェミニ!!」
見えない速さで繰り出された影の攻撃に傷を負ってしまうジェミニに、ティオンが悲鳴を上げる。
すぐにフレイアとアルガがアンチソラに攻撃してジェミニから引き剥がすと、ルシフが『ケアルガ』を発動させて即座に傷を癒した。
「少々手荒だけど、やるしかない…!!」
ジェミニの傷を癒すなり、ルシフは何かを決意したように優しげだった目を鋭くさせた。
手加減しながら、相手の攻撃を封じる方法。それは攻撃の暇を与えない程、手数で攻めればいい。
「――ジェミニさん、一旦後退してください!! 姉さん達も10秒後に引いて!!」
「あ、ああっ!」
「OK!」
「10秒後!? どういう事だ!」
ルシフの指示にジェミニはすぐに後ろに下がる。
そんな中、意味を知っているフレイアはニッと笑って大きく頷く横では、何も分からないアルガが聞き返す。
この問いに答える代わりに、ルシフは持っていた銃をクロスするように交差に構えた。
「カオスファクター・インストール――アクセス」
「ルシフくん…!!」
何をするのか分かったのか、目を見開く様にアガレスが声をかける。
しかし、そんなアガレスの前でルシフの青い目に宿る光が消え、急に淀んで虚ろとなる。
そのままルシフは早口で聞き取れない言葉を紡いでいき、時間が経つごとにルシフの全身から赤黒いオーラが立ち上っていく。
やがて10秒に差し掛かろうとした時、全身に纏うオーラが最高潮に達するとまるで爆発するかのように霧散した。
「みんな、引け!! 巻き込まれるぞ!!」
「二人とも、じっとして!!」
アガレスの叫びに反応し、ティオンが心剣を使ってフレイアとアルガをこちら側に転移する。
周りにいた敵がいなくなった事に動きを止めるアンチソラ。そんな彼に、遠くにいた筈のルシフが一瞬で間合いを詰めて現れた。
「対象認識――コード開始。ワン、ドゥ、トゥリ、クワト、クィン、シクス、セプテ…」
感情の無い機械的な声と共に、見えないスピードで両手の銃と足技でアンチソラに次々と反撃すらも許さない乱舞をお見舞いする。そんな彼の目はまるで人形やロボットのように何も映ってはいない。
戦い方だけでなく人まで変わったと言ってもいいルシフの姿に、いち早く退いていたジェミニは茫然としていた。
「な、何だこれは…?」
「ルシフくんが最近手に入れた力だ。カオスの因子に刻まれた闘争心を自身の身体に呼び起こす事で、一時的だが普段ひ弱な彼でも肉体が強化されてあのような戦い方が出来るんだ」
「ただし、人間の身体でカオスの能力を発動させていから今の状態では敵味方の区別がつかず、行動した後の負担が一気に襲い掛かるけど…――そこを補うのが、今のあたし達の役目だ…!!」
アガレスが説明すると、フレイアも話しに加わりつつ拳を構え身を低くする。何時でもアンチソラに飛び掛かれるように。
やがてルシフは両手の銃で辺り一帯ドーム状に発砲させると、アンチソラに背を向けるように少し離れた所に瞬間移動し、それぞれの銃を真横に合わせるようにして目の前で叩きつける。
同時に、アンチソラを中心に黒い魔方陣が浮かび上がった。
「エクシ――ディストラクション・プリズン」
そう呟くと、地面の魔方陣が大爆発を起こしてアンチソラを空中へと吹き飛ばした。
「す、凄い…」
「これでも手加減している方だ! フレイアさん!!」
「わざわざ指図すんじゃないよっ!! おらぁ!」
この攻撃にティオンが感想を漏らしていると、アガレスはフレイアに向かって叫ぶ。
フレイアは地を蹴って、地面に蹲ったルシフと入れ替わるように一気に空中のアンチソラへと飛び掛かる。
そのまま胸倉を鷲掴みすると、真下へとぶん投げて地面に叩きつけた。
「こいつで、トドメだぁぁぁ!!!」
落下しながら叫ぶと、右足をアンチソラへと伸ばす。
そんなフレイアに対し、アンチソラは蹲ったまま全身に闇を纏い――
「――あれ…?」
そのまま払う様に霧散させると、茶髪に青い目の全体的に黒い服を着た少年の姿へと戻った。
「「「「「エ…!?」」」」」
元に戻ったソラの姿、そして今にも攻撃を繰り出そうとするフレイアの光景に、五人は思わず固まってしまう。
僅かな希望を込め、とっさに全員がフレイアを見るが。
「ファイナル・アーツ!!! ウララララララララララァ!!!」
空中斜め上から両足で繰り出される怒涛の蹴りをソラへと喰らわせるフレイアに、その希望は儚く散る事となった。
「ぶっ飛べぇぇぇーーーーーーーーっ!!!」
最後にボコボコになったソラへと接近すると、フレイアは右足を上げて思いっきり上空へと蹴り上げた。
「うわあああああああああああああああぁ!!!??」
悲鳴を上げながらソラはタルタロスの闇夜へと飛んでいき、やがてキラリと光る星となってしまった。
「……………ネ、ネエサン…?」
誰もが言葉を失って固まる中、ルシフがようやく口を開く。
すると、フレイアは輝かしい笑みで親指を上げた。
「敵は取ったよ、ルシフ!」
「『敵は取ったよ』――じゃなーーーーーーーーーーーーいっ!!!??」
反省する素振りを見せないフレイアを見て、思わずアルガは怒鳴った。
それに感化するように、他の人達も我に返ってフレイアに詰め寄る。
「折角あの少年が元に戻ったのに、何で全力で攻撃したぁ!!?」
「大丈夫だろ、それなりに手加減したつもりだし」
「今の何処か手加減だ!? 完全にあいつを星にしてるだろ!?」
「何処まで飛んで行ったのよ!? 早く追いかけないとぉ!?」
詰め寄ったジェミニにあっけらかんと答えるフレイアに、アルガとティオンは飛んで行った方向に目を向ける。
そうしていると、永遠城の方に何やら黒い物体が落下している。
二人が嫌な予感でそれを見ていると、その物体は城の頂上へと落下した。
「ふぐぉ!?」
「あー、今でっかい城の頂上に落ちたの。あれじゃないか――って何やってんの?」
フレイアもそれに気付いて城から目を離して振り返ると、妙な悲鳴を上げたジェミニが頭を押さえ蹲っていた。
「ジェニミ、急にどうしたぁ!?」
「あ、頭が…割れる…!!」
「えーと、えーと……ケ、ケアルガ!」
思わぬアクシデントで負傷したジェミニに、アルガとルシフが慌てて介抱する。
ある意味で混沌に陥った状況をアガレスは眺めると、大きな溜息を吐いて心の中で呟いた。
(ビフロンスへの帰還はしばらく延長になりそうだ…)
しかし、闇に染まった彼は今や黒い影となって縦横無尽に彼らに襲い掛かっていた。
「バーニングアロー!!」
フレイアは全身に炎を纏い、高速の蹴りをアンチソラに向かって放つ。
攻撃が入るがアンチソラは僅かによろめき、お返しとばかりに身体を回転させてフレイアの身体を連続で切り裂いた。
「ぐぅ!?」
この反撃にフレイアが身動ぎすると、更にアンチソラは追撃を仕掛けようとする。
だが、虚空から現れた七本の剣がフレイアとアンチソラの間に突き刺さる。この牽制には思わずアンチソラは攻撃の手を止める。
一方、援護攻撃にフレイアが後ろを振り返ると、剣を操ったであろうジェミニが永遠剣を持って笑っていた。
「牽制は任せろ」
「サンキュ、オッサン!」
「オッ…」
若干無礼なフレイアの言葉に、ジェミニは絶句してしまう。
女性なのに男勝りな性格と言い、少々荒い言葉遣いと言い、育てたであろう親の顔が見てみたい。そんな事を心の中で思っているジェミニの横から、ティオンが飛び出した。
「よそ見してる暇はないわよ!!」
剣を振るい空間の力を発動させると、アンチソラの周りに歪みを作る。
すると、その歪みから光弾を発射してアンチソラへと被弾させる。
「ケアルラ! プロテガ!」
相手が怯んだ隙を見て、遠くにいたルシフが魔法を唱える。
同時に、フレイアに癒しの光が集って先程の傷を癒し、アガレスを含めた全員物理から守る魔法の障壁に包まれた。
【カオス】と言う強大な闇を抱える者にはあまり似つかわしくない他者を癒し、守る力に、ティオンは驚くようにルシフへと顔を向けた。
「あなた、援護魔法使えるのね」
「はい、僕は回復と補助魔法の相性はいいんです。代わりに攻撃魔法は一切使えませんが、カオスの力があれば十分補えますし」
「だったら、俺からも全員にプレゼントだ!」
アルガはそう言うと、手を真上に翳す。
瞬間、今度はアガレスを除いた全員に時計の様な文様が浮かび上がって吸収される様に消える。
最初は何が起きたか分からなかったが、すぐに自分達の時間を早めて素早さを上げてくれた事に気付いた。
「ありがとうございます、アルガさん!」
こうして出来る限りの強化をし終え、それぞれがアンチソラへと向かい合う。
影の様に動き回るアンチソラにフレイアが強力な攻撃を繰り出す中、八つの剣を操って牽制するジェミニと時間の力で不意打ちを仕掛けるアルガ。ティオンは空間の力を活用して遠距離から攻撃し、ルシフも回復魔法を使ってそれぞれの傷を癒す。
その一連の戦いの流れを、負傷して動けないアガレスは後ろで眺めていた。
(会ったばかりだと言うのに、上手く連携が取れている。こちらに分が出来て良い事だが……決定打まではいかない)
五人と戦っている相手は、助けなければいけない人物。かつてカルマに洗脳させられ『Sin化』された人達と同じだが、生身の人間と違いハートレスに近い状態。下手にダメージを与えすぎれば、消滅しかねない。
それはアルガ、ティオン、ルシフだけでなく、話を聞かされていないジェミニ、容赦なく格闘術を繰り出しているフレイアですらそれを薄々感じて手加減している。
対して、アンチソラは力を出し惜しみすることなく全力で向かってくる。ハッキリ言えば、嫌でも防戦に持ち込まれている状態だ。
「ルシフ、あとどれぐらい!」
「さすがにそこまでは分かりません…!」
「ああ、めんどくさい!! こうなったら全員で特攻をかけて終わらせるよ!!」
「そんな事出来る訳ないだろ!! あいつを消す気か!?」
背後から聞こえるティオンとルシフの会話に、フレイアは我慢の限界と言わんばかりに全身に気を高める。
さすがにマズいと落ち着かせる為にアルガが叫んでいる隙に、アンチソラは八つの剣の攻撃を潜り抜けてジェミニに猛攻を繰り出した。
「ぐあああぁ!?」
「ジェミニ!!」
見えない速さで繰り出された影の攻撃に傷を負ってしまうジェミニに、ティオンが悲鳴を上げる。
すぐにフレイアとアルガがアンチソラに攻撃してジェミニから引き剥がすと、ルシフが『ケアルガ』を発動させて即座に傷を癒した。
「少々手荒だけど、やるしかない…!!」
ジェミニの傷を癒すなり、ルシフは何かを決意したように優しげだった目を鋭くさせた。
手加減しながら、相手の攻撃を封じる方法。それは攻撃の暇を与えない程、手数で攻めればいい。
「――ジェミニさん、一旦後退してください!! 姉さん達も10秒後に引いて!!」
「あ、ああっ!」
「OK!」
「10秒後!? どういう事だ!」
ルシフの指示にジェミニはすぐに後ろに下がる。
そんな中、意味を知っているフレイアはニッと笑って大きく頷く横では、何も分からないアルガが聞き返す。
この問いに答える代わりに、ルシフは持っていた銃をクロスするように交差に構えた。
「カオスファクター・インストール――アクセス」
「ルシフくん…!!」
何をするのか分かったのか、目を見開く様にアガレスが声をかける。
しかし、そんなアガレスの前でルシフの青い目に宿る光が消え、急に淀んで虚ろとなる。
そのままルシフは早口で聞き取れない言葉を紡いでいき、時間が経つごとにルシフの全身から赤黒いオーラが立ち上っていく。
やがて10秒に差し掛かろうとした時、全身に纏うオーラが最高潮に達するとまるで爆発するかのように霧散した。
「みんな、引け!! 巻き込まれるぞ!!」
「二人とも、じっとして!!」
アガレスの叫びに反応し、ティオンが心剣を使ってフレイアとアルガをこちら側に転移する。
周りにいた敵がいなくなった事に動きを止めるアンチソラ。そんな彼に、遠くにいた筈のルシフが一瞬で間合いを詰めて現れた。
「対象認識――コード開始。ワン、ドゥ、トゥリ、クワト、クィン、シクス、セプテ…」
感情の無い機械的な声と共に、見えないスピードで両手の銃と足技でアンチソラに次々と反撃すらも許さない乱舞をお見舞いする。そんな彼の目はまるで人形やロボットのように何も映ってはいない。
戦い方だけでなく人まで変わったと言ってもいいルシフの姿に、いち早く退いていたジェミニは茫然としていた。
「な、何だこれは…?」
「ルシフくんが最近手に入れた力だ。カオスの因子に刻まれた闘争心を自身の身体に呼び起こす事で、一時的だが普段ひ弱な彼でも肉体が強化されてあのような戦い方が出来るんだ」
「ただし、人間の身体でカオスの能力を発動させていから今の状態では敵味方の区別がつかず、行動した後の負担が一気に襲い掛かるけど…――そこを補うのが、今のあたし達の役目だ…!!」
アガレスが説明すると、フレイアも話しに加わりつつ拳を構え身を低くする。何時でもアンチソラに飛び掛かれるように。
やがてルシフは両手の銃で辺り一帯ドーム状に発砲させると、アンチソラに背を向けるように少し離れた所に瞬間移動し、それぞれの銃を真横に合わせるようにして目の前で叩きつける。
同時に、アンチソラを中心に黒い魔方陣が浮かび上がった。
「エクシ――ディストラクション・プリズン」
そう呟くと、地面の魔方陣が大爆発を起こしてアンチソラを空中へと吹き飛ばした。
「す、凄い…」
「これでも手加減している方だ! フレイアさん!!」
「わざわざ指図すんじゃないよっ!! おらぁ!」
この攻撃にティオンが感想を漏らしていると、アガレスはフレイアに向かって叫ぶ。
フレイアは地を蹴って、地面に蹲ったルシフと入れ替わるように一気に空中のアンチソラへと飛び掛かる。
そのまま胸倉を鷲掴みすると、真下へとぶん投げて地面に叩きつけた。
「こいつで、トドメだぁぁぁ!!!」
落下しながら叫ぶと、右足をアンチソラへと伸ばす。
そんなフレイアに対し、アンチソラは蹲ったまま全身に闇を纏い――
「――あれ…?」
そのまま払う様に霧散させると、茶髪に青い目の全体的に黒い服を着た少年の姿へと戻った。
「「「「「エ…!?」」」」」
元に戻ったソラの姿、そして今にも攻撃を繰り出そうとするフレイアの光景に、五人は思わず固まってしまう。
僅かな希望を込め、とっさに全員がフレイアを見るが。
「ファイナル・アーツ!!! ウララララララララララァ!!!」
空中斜め上から両足で繰り出される怒涛の蹴りをソラへと喰らわせるフレイアに、その希望は儚く散る事となった。
「ぶっ飛べぇぇぇーーーーーーーーっ!!!」
最後にボコボコになったソラへと接近すると、フレイアは右足を上げて思いっきり上空へと蹴り上げた。
「うわあああああああああああああああぁ!!!??」
悲鳴を上げながらソラはタルタロスの闇夜へと飛んでいき、やがてキラリと光る星となってしまった。
「……………ネ、ネエサン…?」
誰もが言葉を失って固まる中、ルシフがようやく口を開く。
すると、フレイアは輝かしい笑みで親指を上げた。
「敵は取ったよ、ルシフ!」
「『敵は取ったよ』――じゃなーーーーーーーーーーーーいっ!!!??」
反省する素振りを見せないフレイアを見て、思わずアルガは怒鳴った。
それに感化するように、他の人達も我に返ってフレイアに詰め寄る。
「折角あの少年が元に戻ったのに、何で全力で攻撃したぁ!!?」
「大丈夫だろ、それなりに手加減したつもりだし」
「今の何処か手加減だ!? 完全にあいつを星にしてるだろ!?」
「何処まで飛んで行ったのよ!? 早く追いかけないとぉ!?」
詰め寄ったジェミニにあっけらかんと答えるフレイアに、アルガとティオンは飛んで行った方向に目を向ける。
そうしていると、永遠城の方に何やら黒い物体が落下している。
二人が嫌な予感でそれを見ていると、その物体は城の頂上へと落下した。
「ふぐぉ!?」
「あー、今でっかい城の頂上に落ちたの。あれじゃないか――って何やってんの?」
フレイアもそれに気付いて城から目を離して振り返ると、妙な悲鳴を上げたジェミニが頭を押さえ蹲っていた。
「ジェニミ、急にどうしたぁ!?」
「あ、頭が…割れる…!!」
「えーと、えーと……ケ、ケアルガ!」
思わぬアクシデントで負傷したジェミニに、アルガとルシフが慌てて介抱する。
ある意味で混沌に陥った状況をアガレスは眺めると、大きな溜息を吐いて心の中で呟いた。
(ビフロンスへの帰還はしばらく延長になりそうだ…)
■作者メッセージ
これでソラ救出編の断章は終了です。え? 短い? これでも断章ですからねぇ…。
断章では出番の少ない一部のキャラを目立たせられましたし(夢キャラの技は省く形でしたが)、ラストはKHでよくある(?)ようなコミカルな演出を入れられ楽しかったです。あんな形でしたがソラもようやく正式に出せましたし。
そんな彼らが何時ビフロンスで合流するか、それは先を読んでいけば分かります。
では、最後に今回出た技を紹介して終わりたいと思います。
ルシフ技紹介
『ケアルガ』:言わずと知れた、癒しの上級魔法。味方一人を大きく回復する。
『プロテガ』:物理攻撃を軽減する守護の魔法。味方全員に障壁を張るだけでなく、効果も長めとなる。
【カオスインストール】:ルシフのスキル技。カオスに変身せずに生身の状態で力を発動させる事で、一時的に肉体が強化されて銃と格闘による接近戦を行える。ちなみに、戦う際の掛け声はラテン語で数字を数えており、10まで数えると終了となって強化が解除される。
デメリットとしては発動に時間がかかる事、意思を失くすので敵と戦う味方すらも区別がつかなくなる事、そして解除後に能力を使った反動でしばらく動けなくなる事の三つ。元ネタは某蒼の格ゲーのヒロイン、ノ○ル=ヴァーミ○オンのド○イブ技『○ェーンリ○ルバー』から。
『ディストラクション・プリズン』:【カオスインストール】時に使用可能。相手から離れた場所に移動し、両手の銃を叩く様に真横に合わせて黒い魔方陣を浮かばせて闇の大爆発を起こす。強力な技な分、これを行うと10数えてなくても強制的に強化が解除されてしまう。
フレイア技紹介
『バーニングアロー』:瞬時に炎を纏い、高速の蹴りを放つ格闘技。前作の断章でシャオも使用した技。
『ファイナル・アーツ』:格闘術を極めたフレイアが使う、最上級に値する格闘技。空中で怒涛の蹴りを浴びせた後、最後に空中へと蹴り上げる。
断章では出番の少ない一部のキャラを目立たせられましたし(夢キャラの技は省く形でしたが)、ラストはKHでよくある(?)ようなコミカルな演出を入れられ楽しかったです。あんな形でしたがソラもようやく正式に出せましたし。
そんな彼らが何時ビフロンスで合流するか、それは先を読んでいけば分かります。
では、最後に今回出た技を紹介して終わりたいと思います。
ルシフ技紹介
『ケアルガ』:言わずと知れた、癒しの上級魔法。味方一人を大きく回復する。
『プロテガ』:物理攻撃を軽減する守護の魔法。味方全員に障壁を張るだけでなく、効果も長めとなる。
【カオスインストール】:ルシフのスキル技。カオスに変身せずに生身の状態で力を発動させる事で、一時的に肉体が強化されて銃と格闘による接近戦を行える。ちなみに、戦う際の掛け声はラテン語で数字を数えており、10まで数えると終了となって強化が解除される。
デメリットとしては発動に時間がかかる事、意思を失くすので敵と戦う味方すらも区別がつかなくなる事、そして解除後に能力を使った反動でしばらく動けなくなる事の三つ。元ネタは某蒼の格ゲーのヒロイン、ノ○ル=ヴァーミ○オンのド○イブ技『○ェーンリ○ルバー』から。
『ディストラクション・プリズン』:【カオスインストール】時に使用可能。相手から離れた場所に移動し、両手の銃を叩く様に真横に合わせて黒い魔方陣を浮かばせて闇の大爆発を起こす。強力な技な分、これを行うと10数えてなくても強制的に強化が解除されてしまう。
フレイア技紹介
『バーニングアロー』:瞬時に炎を纏い、高速の蹴りを放つ格闘技。前作の断章でシャオも使用した技。
『ファイナル・アーツ』:格闘術を極めたフレイアが使う、最上級に値する格闘技。空中で怒涛の蹴りを浴びせた後、最後に空中へと蹴り上げる。