CROSS CAPTURE97 「開花する力」
「『雷光剣』!!」
「「ぐあぁ!!」」
細剣で切りつけると同時に、大量の雷が降り注ぐ。
思わず膝を付くクウとゼツに、スピカは仮面越しに冷めた視線を送る。
「やっぱり、回復の手段は11年経っても習得出来なかったようね」
「クウさん!」
クウの行動パターンを分析するスピカに、急いでレイアが回復を試みる。
魔法を発動させる為に魔力を高める。だが、それよりもスピカが早かった。
「『ダークサンダガ』」
「きゃあぁ!?」
手を掲げると同時に、黒い雷がレイアへと襲い掛かる。
横槍が入り、回復が封じられてしまう。しかも悪い事に、体に痺れが走った。
「あ、う…!」
「レイア…!」
麻痺を起こしたレイアに、王羅が戸惑う。
シュレリアも躊躇して、どちらを優先して回復すべきか迷いを見せる。
そんな二人に、クウが立ち上がって叫んだ。
「俺よりレイアとゼツを!」
「でも!?」
シュレリアが何か言う前に、クウは現在ウィドと神月と戦っているスピカへと向かって駆けだす。
二人の剣捌きをスピカは鮮やかに、かつ無駄のない動きで一本の細剣だけで受け流す。なかなかダメージを与えられず、二人は一度攻撃の手を止める。
そこを、クウが割り込んだ。
「おらぁ!!」
「っ…!」
片手でキーブレードを振るい、スピカに強力な一撃を与える。
どうにか受け流すものの、完全には威力を殺しきれずによろめいてしまう。
そこを狙い、クウは空いている手から黒の羽根を作り出して投げつける。さすがに避けきれずに、脇腹に刺さってしまう。
スピカの身体に傷が作られる。すると、そこから赤黒いオーラが漏れ出してクウへと引き寄せられて吸収されていく。
「今のは…?」
「――俺、体質的に魔法は苦手だろ。師匠のおかげで人並みぐらいには使えるが、攻撃以外はどうにも使えない」
淡々と話しながら、再びスピカにキーブレードを構える。
「だからこうして身体張ってしか、守る術がないんだ。でも、俺が傷つけば悲しむ人達がいる。シルビアから貰った、この力を使えば…――少なからず、それを解消出来るんじゃないかってさぁ!!!」
一歩踏み込むと同時に、黒い衝撃波を繰り出す。
『ブラッティウェーブ』を出され、スピカは『リフレガ』で防御する。クウはキーブレードを二本に変えて一気に攻め込む。
魔法による障壁に一点集中で連撃を浴びせる事で、罅を作り出す。スピカは無理やり抑え込もうと魔力を高めるが、その前にクウが力づくで破った。
勢いは殺さず、その一撃をスピカに諸に喰らわせて吹き飛ばされる。すると再びスピカから体力がオーラとなって飛び出し、クウへと吸収されて傷が若干だが治った。
「お前、何時の間に…!?」
「神月との特訓のおかげだ。名付けるなら、『ドレイン・ウェポン』って所だな」
驚くゼツに今の技を教えると、不敵な笑みを浮かべて立ち上がるスピカに切っ先を向けた。
「さーて、スピカ。お前の体力が無くなるか、それとも俺の体力が無くなるのが先か…――我慢比べと行こうかぁ!!!」
城の一階の通路。崩れた天井の瓦礫に押し潰された三人を背に、ルキルは単身でKR達と戦っていた。
手に握っているのは、新しく手に入れたキーブレード。相手の握る贋作ではない、正真正銘の本物を。
(今度こそ守ると、決めたんだ)
静かな闘志を胸に秘め、ルキルは的確にKRを一体ずつ倒す。
だが、敵の数は多く空中を飛び回るノーバディが一斉に急降下してルキルに攻撃してきた。
(シオン…力を貸してくれるか)
心の中で問いかけると、一瞬だがキーブレードが光った気がした。
気の所為かもしれない。見間違えかもしれない。それでも、信じた。
キーブレードから伝わってくる力を――それが彼女の思いだと。
「――『サンダガ』!!」
切っ先を上に掲げると同時に、辺り一帯に稲妻が発生する。
上空にいた下位ノーバディ達を一掃すると、近くで怯んでいるKRに向けて再び魔法を放つ。
「凍りつけ!!」
直後、氷塊が飛び出してKRの鎧を貫いて核であるハートが飛び出した。
「魔法!? リク、いつの間に使えるようになったの!?」
「いや…俺は使えないはずなのに…!!」
先程から魔法を使うルキルに、カイリも本人であるリクも驚きを隠せない。
現在、リクが使える魔法は闇に部類させる。ヴェンの習った修行法で闇以外の強力な魔法も伝授しつつあるが、通常の魔法は初級も含めて一切使えない。
オリジナルであるリクが使えない技術を、ルキルは使えている。こんな成長見せられては、驚く以外ないだろう。
しかし、魔法を使えると言っても状況は1対多数。しかも、何日も眠っていた分体の疲労が溜まりやすく段々と腕が鈍くなる。
「くそ、しつこい…!」
「戦いにくそうだね、ルキル…」
息切れを起こすルキルに、心配そうにカイリが呟く。
同じようにオパールも見ていたが、突然歯を食い縛って瓦礫に埋もれた身体を動かし始めた。
「…ッ…!」
「オパール?」
「あと…ちょ、っと…!」
必死になって身体を捻じり、どうにか隙間を作りながらズボンのポケット部分に手を届かせる。
そうして中に指を入れこみ、一つの結晶を摘まんで掌の中に握り込んだ。
「ルキル! この力、使って!!」
「え!?」
「あんたも同じ【リク】でしょ!? だったら、きっと使える筈だから!!」
「――分かった!!」
真剣に叫ぶオパールから何かを感じ取ったのか、ルキルは大きく頷く。
そしてオパールは掌に力を込め、ポケットから取り出した結晶を砕いた。
次の瞬間、ルキルに風の力が纏い背には悪魔の翼が出現した。
「翼!?」
「どうよ、あたしの傑作――【ライジングウィング】は!」
ルキルの変化にリクが叫ぶと、ようやくお披露目となった強化にオパールは得意げに笑う。
強化したルキルは低空飛行をして一気に近づくと、風の力を使い広範囲でKR達に斬撃を浴びせていく。
「いっけぇぇ!!」
上空に飛び上がるように切り上げると、KRとノーバディ達が吹き飛ぶ。
それがトドメになったようで、残りのノーバディは消え去りKRも砕けた鎧からハートが飛びてて機能を停止した。
「はぁ、はぁ…」
戦いが終わると、ルキルに纏っていた力も霧散して膝に手を置いて息を整える。
それからリク達の方に振り返ると、瓦礫に埋もれたままだと言うのに三人ともこちらに笑顔を見せていた。
「やったね!」
「やるじゃないか、ルキル」
「…ふん」
カイリとリクに言われ、ルキルは軽く鼻を鳴らすとそのまま瓦礫をどかす作業に移った。
誰かの偽物でも、こうして共に存在していられる。空っぽの人形でも、何かを感じれる心がある。
ずっと遠回りして、選択を間違えて、意地を張り続けて。けど、やっと本当に欲しかったモノを掴んだ気がした。
「おらぁぁ!!」
「そこっ!」
現在、クウとウィドが優先的にスピカに攻撃を仕掛ている。上手く防御しても、後にゼツと神月とシェルリアが控えていて追撃を繰り出す。
どうにか剣技と魔法でいなすものの、やはり限度はある。スピカは一度距離を置くと、即座に魔法を発動させる。
「『リジェネ』、『ヘイスト』!」
時間経過によって回復する魔法の上に、速度向上の魔法を上乗せで発動する。
「回復しますよ!?」
「だったらその分削るまでだ!」
相手が強化したのを見て、レイアを回復していた王羅が焦るとクウが動く。
「『ホーリー』!!」
しかし、時間を早くしたスピカの方が攻撃の手は早く、上空から幾多もの光の光線が降り注いだ。
「くそ! こんなの喰らったら、タダじゃすまないぞ!?」
「大丈夫だ」
どうにか避ける神月に、クウは立ったまま翼を広げる。
「策はちゃんと考えてあるぜ、うらぁ!!」
白の翼だけを大きく羽ばたかせると、何枚もの白い羽根が弾丸のように飛び出して床に突き刺さった。
地面に刺さった羽根に、ウィドは訝し気に眉を顰める。
「地面に羽を突き刺して、何を?」
彼が訊いた直後、スピカの放った光線が霧散し白い羽根に吸収されていく。
あれだけの攻撃を無効化した方法に、回復したレイアが歓声を上げた。
「すごいです、クウさん! あの魔法を吸収しましたよ!」
「シルビアの『分離』の力だけ使う訳ないだろ? 『融合』も使わせて貰ったぜ?」
「なるほど、この白い羽に魔法を構築している魔力を吸収させているんですね」
「ああ、名付けて『アスピルフェザー』ってな。じゃあ、さっそく反撃と行くぜ! 『ダークソード』!!」
お返しとばかりに、今度はクウが魔法を放つ。
先程とは逆にスピカに向けて闇の剣が襲い掛かる。が、どう言う訳か先程と同じように剣はスピカに届く前に霧散して白い羽根へと吸い込まれていった。
「あ、あれ?」
「クウさんよ…どうして、あんたのも吸収されてるんだ?」
「ま、まだ改良の余地が必要だったな…ハ、ハハハ…」
どうやら制御は不完全なようで、どんな魔法も羽根に吸収されてしまっているようだ。
ジト目で睨むゼツに、クウは冷や汗を垂らしながら目を背ける。すると、敵であるスピカも呆れの籠った眼差しを送ってきた。
「ホント、クウって攻撃魔法“以外”は駄目ね。昔から変な失敗ばっかりするのは全然変ってないんだから」
「少しでもあなたに関心寄せた私がバカでした」
「あなた、もう変な小細工技考えない方がいいですよ」
「ああ。もう怪我気にせず突っ走った方がお似合いだ」
「クウさん、幻滅しました…」
「何だよ!? 失敗は誰にでもあるだろ!? これでも役に立ってるだろぉ!!」
スピカだけでなく、ウィド、王羅、神月、レイアにまで続けざまに言われてしまい、居た堪れない気持ちでクウが騒ぎ立てる。
さっきまでの緊張感が嘘のように感じるが、それもすぐに終わった。
「そうね、『融合』の力で魔力を吸収して溜めこんでいるもの。役には立ってるわ」
まるでスピカが助け舟を出すように肯定すると、羽根に向かって手を翳す。
「――その溜めこんだ魔力を、敵味方関係なく使えるんだからねっ!!」
羽を巻き込む様に風の魔法を起こすと、白い羽根は溶ける様に霧散していく。
そうして風と混ざり合った魔力は、暴風の中に雷を作り出した。
「潰れなさい!! 『バーストトルネド』!!」
塔の一帯に竜巻による暴風域が作り出され、激しい雷が容赦なくクウ達に叩きつけられた。
「「ぐあぁ!!」」
細剣で切りつけると同時に、大量の雷が降り注ぐ。
思わず膝を付くクウとゼツに、スピカは仮面越しに冷めた視線を送る。
「やっぱり、回復の手段は11年経っても習得出来なかったようね」
「クウさん!」
クウの行動パターンを分析するスピカに、急いでレイアが回復を試みる。
魔法を発動させる為に魔力を高める。だが、それよりもスピカが早かった。
「『ダークサンダガ』」
「きゃあぁ!?」
手を掲げると同時に、黒い雷がレイアへと襲い掛かる。
横槍が入り、回復が封じられてしまう。しかも悪い事に、体に痺れが走った。
「あ、う…!」
「レイア…!」
麻痺を起こしたレイアに、王羅が戸惑う。
シュレリアも躊躇して、どちらを優先して回復すべきか迷いを見せる。
そんな二人に、クウが立ち上がって叫んだ。
「俺よりレイアとゼツを!」
「でも!?」
シュレリアが何か言う前に、クウは現在ウィドと神月と戦っているスピカへと向かって駆けだす。
二人の剣捌きをスピカは鮮やかに、かつ無駄のない動きで一本の細剣だけで受け流す。なかなかダメージを与えられず、二人は一度攻撃の手を止める。
そこを、クウが割り込んだ。
「おらぁ!!」
「っ…!」
片手でキーブレードを振るい、スピカに強力な一撃を与える。
どうにか受け流すものの、完全には威力を殺しきれずによろめいてしまう。
そこを狙い、クウは空いている手から黒の羽根を作り出して投げつける。さすがに避けきれずに、脇腹に刺さってしまう。
スピカの身体に傷が作られる。すると、そこから赤黒いオーラが漏れ出してクウへと引き寄せられて吸収されていく。
「今のは…?」
「――俺、体質的に魔法は苦手だろ。師匠のおかげで人並みぐらいには使えるが、攻撃以外はどうにも使えない」
淡々と話しながら、再びスピカにキーブレードを構える。
「だからこうして身体張ってしか、守る術がないんだ。でも、俺が傷つけば悲しむ人達がいる。シルビアから貰った、この力を使えば…――少なからず、それを解消出来るんじゃないかってさぁ!!!」
一歩踏み込むと同時に、黒い衝撃波を繰り出す。
『ブラッティウェーブ』を出され、スピカは『リフレガ』で防御する。クウはキーブレードを二本に変えて一気に攻め込む。
魔法による障壁に一点集中で連撃を浴びせる事で、罅を作り出す。スピカは無理やり抑え込もうと魔力を高めるが、その前にクウが力づくで破った。
勢いは殺さず、その一撃をスピカに諸に喰らわせて吹き飛ばされる。すると再びスピカから体力がオーラとなって飛び出し、クウへと吸収されて傷が若干だが治った。
「お前、何時の間に…!?」
「神月との特訓のおかげだ。名付けるなら、『ドレイン・ウェポン』って所だな」
驚くゼツに今の技を教えると、不敵な笑みを浮かべて立ち上がるスピカに切っ先を向けた。
「さーて、スピカ。お前の体力が無くなるか、それとも俺の体力が無くなるのが先か…――我慢比べと行こうかぁ!!!」
城の一階の通路。崩れた天井の瓦礫に押し潰された三人を背に、ルキルは単身でKR達と戦っていた。
手に握っているのは、新しく手に入れたキーブレード。相手の握る贋作ではない、正真正銘の本物を。
(今度こそ守ると、決めたんだ)
静かな闘志を胸に秘め、ルキルは的確にKRを一体ずつ倒す。
だが、敵の数は多く空中を飛び回るノーバディが一斉に急降下してルキルに攻撃してきた。
(シオン…力を貸してくれるか)
心の中で問いかけると、一瞬だがキーブレードが光った気がした。
気の所為かもしれない。見間違えかもしれない。それでも、信じた。
キーブレードから伝わってくる力を――それが彼女の思いだと。
「――『サンダガ』!!」
切っ先を上に掲げると同時に、辺り一帯に稲妻が発生する。
上空にいた下位ノーバディ達を一掃すると、近くで怯んでいるKRに向けて再び魔法を放つ。
「凍りつけ!!」
直後、氷塊が飛び出してKRの鎧を貫いて核であるハートが飛び出した。
「魔法!? リク、いつの間に使えるようになったの!?」
「いや…俺は使えないはずなのに…!!」
先程から魔法を使うルキルに、カイリも本人であるリクも驚きを隠せない。
現在、リクが使える魔法は闇に部類させる。ヴェンの習った修行法で闇以外の強力な魔法も伝授しつつあるが、通常の魔法は初級も含めて一切使えない。
オリジナルであるリクが使えない技術を、ルキルは使えている。こんな成長見せられては、驚く以外ないだろう。
しかし、魔法を使えると言っても状況は1対多数。しかも、何日も眠っていた分体の疲労が溜まりやすく段々と腕が鈍くなる。
「くそ、しつこい…!」
「戦いにくそうだね、ルキル…」
息切れを起こすルキルに、心配そうにカイリが呟く。
同じようにオパールも見ていたが、突然歯を食い縛って瓦礫に埋もれた身体を動かし始めた。
「…ッ…!」
「オパール?」
「あと…ちょ、っと…!」
必死になって身体を捻じり、どうにか隙間を作りながらズボンのポケット部分に手を届かせる。
そうして中に指を入れこみ、一つの結晶を摘まんで掌の中に握り込んだ。
「ルキル! この力、使って!!」
「え!?」
「あんたも同じ【リク】でしょ!? だったら、きっと使える筈だから!!」
「――分かった!!」
真剣に叫ぶオパールから何かを感じ取ったのか、ルキルは大きく頷く。
そしてオパールは掌に力を込め、ポケットから取り出した結晶を砕いた。
次の瞬間、ルキルに風の力が纏い背には悪魔の翼が出現した。
「翼!?」
「どうよ、あたしの傑作――【ライジングウィング】は!」
ルキルの変化にリクが叫ぶと、ようやくお披露目となった強化にオパールは得意げに笑う。
強化したルキルは低空飛行をして一気に近づくと、風の力を使い広範囲でKR達に斬撃を浴びせていく。
「いっけぇぇ!!」
上空に飛び上がるように切り上げると、KRとノーバディ達が吹き飛ぶ。
それがトドメになったようで、残りのノーバディは消え去りKRも砕けた鎧からハートが飛びてて機能を停止した。
「はぁ、はぁ…」
戦いが終わると、ルキルに纏っていた力も霧散して膝に手を置いて息を整える。
それからリク達の方に振り返ると、瓦礫に埋もれたままだと言うのに三人ともこちらに笑顔を見せていた。
「やったね!」
「やるじゃないか、ルキル」
「…ふん」
カイリとリクに言われ、ルキルは軽く鼻を鳴らすとそのまま瓦礫をどかす作業に移った。
誰かの偽物でも、こうして共に存在していられる。空っぽの人形でも、何かを感じれる心がある。
ずっと遠回りして、選択を間違えて、意地を張り続けて。けど、やっと本当に欲しかったモノを掴んだ気がした。
「おらぁぁ!!」
「そこっ!」
現在、クウとウィドが優先的にスピカに攻撃を仕掛ている。上手く防御しても、後にゼツと神月とシェルリアが控えていて追撃を繰り出す。
どうにか剣技と魔法でいなすものの、やはり限度はある。スピカは一度距離を置くと、即座に魔法を発動させる。
「『リジェネ』、『ヘイスト』!」
時間経過によって回復する魔法の上に、速度向上の魔法を上乗せで発動する。
「回復しますよ!?」
「だったらその分削るまでだ!」
相手が強化したのを見て、レイアを回復していた王羅が焦るとクウが動く。
「『ホーリー』!!」
しかし、時間を早くしたスピカの方が攻撃の手は早く、上空から幾多もの光の光線が降り注いだ。
「くそ! こんなの喰らったら、タダじゃすまないぞ!?」
「大丈夫だ」
どうにか避ける神月に、クウは立ったまま翼を広げる。
「策はちゃんと考えてあるぜ、うらぁ!!」
白の翼だけを大きく羽ばたかせると、何枚もの白い羽根が弾丸のように飛び出して床に突き刺さった。
地面に刺さった羽根に、ウィドは訝し気に眉を顰める。
「地面に羽を突き刺して、何を?」
彼が訊いた直後、スピカの放った光線が霧散し白い羽根に吸収されていく。
あれだけの攻撃を無効化した方法に、回復したレイアが歓声を上げた。
「すごいです、クウさん! あの魔法を吸収しましたよ!」
「シルビアの『分離』の力だけ使う訳ないだろ? 『融合』も使わせて貰ったぜ?」
「なるほど、この白い羽に魔法を構築している魔力を吸収させているんですね」
「ああ、名付けて『アスピルフェザー』ってな。じゃあ、さっそく反撃と行くぜ! 『ダークソード』!!」
お返しとばかりに、今度はクウが魔法を放つ。
先程とは逆にスピカに向けて闇の剣が襲い掛かる。が、どう言う訳か先程と同じように剣はスピカに届く前に霧散して白い羽根へと吸い込まれていった。
「あ、あれ?」
「クウさんよ…どうして、あんたのも吸収されてるんだ?」
「ま、まだ改良の余地が必要だったな…ハ、ハハハ…」
どうやら制御は不完全なようで、どんな魔法も羽根に吸収されてしまっているようだ。
ジト目で睨むゼツに、クウは冷や汗を垂らしながら目を背ける。すると、敵であるスピカも呆れの籠った眼差しを送ってきた。
「ホント、クウって攻撃魔法“以外”は駄目ね。昔から変な失敗ばっかりするのは全然変ってないんだから」
「少しでもあなたに関心寄せた私がバカでした」
「あなた、もう変な小細工技考えない方がいいですよ」
「ああ。もう怪我気にせず突っ走った方がお似合いだ」
「クウさん、幻滅しました…」
「何だよ!? 失敗は誰にでもあるだろ!? これでも役に立ってるだろぉ!!」
スピカだけでなく、ウィド、王羅、神月、レイアにまで続けざまに言われてしまい、居た堪れない気持ちでクウが騒ぎ立てる。
さっきまでの緊張感が嘘のように感じるが、それもすぐに終わった。
「そうね、『融合』の力で魔力を吸収して溜めこんでいるもの。役には立ってるわ」
まるでスピカが助け舟を出すように肯定すると、羽根に向かって手を翳す。
「――その溜めこんだ魔力を、敵味方関係なく使えるんだからねっ!!」
羽を巻き込む様に風の魔法を起こすと、白い羽根は溶ける様に霧散していく。
そうして風と混ざり合った魔力は、暴風の中に雷を作り出した。
「潰れなさい!! 『バーストトルネド』!!」
塔の一帯に竜巻による暴風域が作り出され、激しい雷が容赦なくクウ達に叩きつけられた。
■作者メッセージ
【重要なお知らせ】
こちらの方での投稿は実に数ヶ月ぶりです。このリレー小説を書かせて貰っているNANAです。
実は今回、リレー小説を手掛けて下さった夢旅人様からある報告が6月にありました。その一部をこちらに載せたいと思います。
【まことに勝手な申し出なのですが、私の小説などを打ち切りしたいと思ってます。リレー小説も含めて。
現状、作品の更新がまったく手をつけずにいます。
リレー小説を降りる形をとりたいのです。
私のパート全てを削除する作業や修正が大変だと思いますので、その時は新しく小説を作り直すかしてください。
自分の小説・キャラも全て削除もしくはこれ以上の更新は無いと思います。
いつか、やり直す勢いはあるか、わかりません。
まずはモチベが完全に死んでいる自分がこれ以上NANAさんの足を引っ張るわけにはいかないので、
一方的ですが、そのようにお願いします】
一緒に活動してきた夢旅人さんから、こちらのメッセージを貰いました。長年作品作りに付き合って頂いたので、引き留めはせずに了承しました。
その後でしばらく、リレー小説の方針を考えていました。削除して新しく自分だけで書くか、それともこのまま残すか。
色々考え、流石に数年もかけてここまで作り上げた作品を全部消すのももったいないので一応は残したいと考えました。(その事を夢さんに話した所『とりあえずは小説方面の活動を停止したいという方向』と言う風におっしゃっていました)
で、私も活動を停止するべきか考えたのですが…一応書き溜めてはいたし、何よりこの中途半端な状態で消すのは打ち切りエンドより酷いかもしれないと思い、一旦切りのいい所まで書き上げる事に決めました。(本当は夢さんの返事待ちだったのですが、一ヵ月経っても返信がこなかったので…とりあえず、自分の話の区切りの良い部分までと決めました)
そのような訳で、夢旅人様はリレー小説・他の作品からも降りると言う形になりました。夢旅人様に代わり、代役としてNANAがお伝えしました。
こちらの方での投稿は実に数ヶ月ぶりです。このリレー小説を書かせて貰っているNANAです。
実は今回、リレー小説を手掛けて下さった夢旅人様からある報告が6月にありました。その一部をこちらに載せたいと思います。
【まことに勝手な申し出なのですが、私の小説などを打ち切りしたいと思ってます。リレー小説も含めて。
現状、作品の更新がまったく手をつけずにいます。
リレー小説を降りる形をとりたいのです。
私のパート全てを削除する作業や修正が大変だと思いますので、その時は新しく小説を作り直すかしてください。
自分の小説・キャラも全て削除もしくはこれ以上の更新は無いと思います。
いつか、やり直す勢いはあるか、わかりません。
まずはモチベが完全に死んでいる自分がこれ以上NANAさんの足を引っ張るわけにはいかないので、
一方的ですが、そのようにお願いします】
一緒に活動してきた夢旅人さんから、こちらのメッセージを貰いました。長年作品作りに付き合って頂いたので、引き留めはせずに了承しました。
その後でしばらく、リレー小説の方針を考えていました。削除して新しく自分だけで書くか、それともこのまま残すか。
色々考え、流石に数年もかけてここまで作り上げた作品を全部消すのももったいないので一応は残したいと考えました。(その事を夢さんに話した所『とりあえずは小説方面の活動を停止したいという方向』と言う風におっしゃっていました)
で、私も活動を停止するべきか考えたのですが…一応書き溜めてはいたし、何よりこの中途半端な状態で消すのは打ち切りエンドより酷いかもしれないと思い、一旦切りのいい所まで書き上げる事に決めました。(本当は夢さんの返事待ちだったのですが、一ヵ月経っても返信がこなかったので…とりあえず、自分の話の区切りの良い部分までと決めました)
そのような訳で、夢旅人様はリレー小説・他の作品からも降りると言う形になりました。夢旅人様に代わり、代役としてNANAがお伝えしました。