GM「さて――セッションが終わったが、SM以外のメンバーは残って貰って申し訳ない。次回のセッションなんだが、サプリメントの一つ【インフィニティコード】――略してICを取り入れるつもりなんだ。
　で、ICを導入するにあたって、特殊なルール…FS判定を取り入れるからさ。最後にその練習に付き合って欲しいんだ」

男三人「「「FS判定？」」」

ツバサ「フォーカス判定って言って、一定な作業を段階的に判定する際に使うルールなんだ。例えば、崩壊する建物から脱出するとか、何かを探して見つけたりとか、カーチェイスとか…一回の判定で行えない、複雑な行動を扱うルールだよ」

グラッセ「へ〜…なんか難しそうですね…」

GM「最初はね。慣れたらそこまでではないよ。もちろん、タダでとは言わない。もしクリア出来た場合、特別に経験点を3点あげよう。FS判定はクリアすれば経験点を獲得出来るシステムだからね」

ムーン「そうか？　だったら、練習がてらに参加してみるか」

クウ「上手くいけば40点、翼は39点になるしな。練習だから、特にデメリットもないだろ」

GM「それじゃあ、FS判定の練習イベントを始めるよー！」

全員『おおー！』



GM「舞台は戦闘用人格事件から1週間過ぎた後。空が無事に退院した辺りだね。君達は羽狛の喫茶店に呼ばれていた」

羽狛『急に呼び出してすまないな。今日は大事な客が来るから、二人には厨房を仕切ってもらいたい。お前達の料理の腕は信用しているからな』

凍矢『大丈夫ですよ。俺、料理得意ですから！』

月『ところで、大事な客って誰だ？』

羽狛『ああ、霧谷雄吾とテレーズ・ブルムの二人だ』

凍矢＆月『『めっちゃ大御所じゃないかぁ！！？』』

羽狛『UGN支部の定例会議が終わり次第、この店に食事に来るそうだ。そこでお前らは二人が来る前に料理を完成させてくれ。助っ人も呼んであるから人手は足りる筈だ、頼むぞ』

凍矢『…助っ人って、誰の事だろう？』

月『さあ？』

GM「では、二人はそんな疑問を抱きながら厨房に入る。すると、そこには既に羽狛が呼んだ助っ人が待っていたよ」

翼『やっほー、二人とも！』

空『…よぉ』

凍矢＆月『『何でお前らがこんな所にいるんだよっ！！？』』

翼『羽狛さんに頼まれたんだよ。それに、この前のお礼もしたかったからね』

空『そう言う訳だ。お前らには借りがあるし、今回は何でも屋として協力するぜ』

凍矢『あなた達仮にもFHでしょ…大丈夫なんですか？』

月『まあ、厨房に詰め込んどけば大丈夫…なのか、これ？』



GM「さあ、それではFS判定を始めよう。練習だから、全員一律で浸食率を50％にしておくよ。
　まずは、レギュレーションの説明だ。今回の目的は下のとおりだ」


　【時間内に料理を完成させよ】　終了条件5ラウンド経過
　判定〈調達〉　難易度6　最大達成値30　進行値20


グラッセ「何か、色々書いてますね」

ツバサ「一つ一つ説明すると、このFS判定も戦闘同様ラウンド制で行うんだ。マイナー・メジャーはもちろん、セットアップ・クリンナップも使えるんだよ。
　次に、判定の仕方。最初の判定は〈調達〉って書いてあって、難易度6だから、〈調達〉判定で6以上だせばクリア出来る。ただし、この判定は進行値を手に入れると変わる場合もあるんだよ。
　次に進行値の説明だけど、例えば〈調達〉判定で9出たとする。成功した場合に限り、「（出た数字）÷10（端数切捨て）＋1」…達成値によるダメージの計算と一緒だね。今回の場合で計算すると、1,9…1だから、進行値は1点獲得できる。
　ただし、最大達成値の欄に30と書いてあるでしょ？　これは上限で、ダイスを振って達成値が40出たとしても、達成値30で打ち止めになってしまう。運が良くてダイスが回っても、最大で4点しか貰えないんだ。
　今回の目標は、5ラウンドで20点獲得出来ればいいんだよ。――どう？　ついてこられてる？」

クウ「あ〜…どう、にか？」

ムーン「とにかく、判定に成功しつつ進行値を集めればいいって事だろ？　やっていけば分かるだろ」

GM「その心意気だ。習うより慣れろ、早速始めていこう」


　第1ラウンド


GM「最初は調理器具や材料を揃えないと料理は作れない。それらを持ってくるんだ。
　セットアッププロセス。エフェクトの宣言と共に、必ず既存のハプニングチャートを振って貰う。GMが振ってもいいんだが、折角だしPC順に振って貰おうか」

ツバサ「はーい、ハプニングチャートの説明だね。これはFS判定の際、毎ラウンドで起こるイベントみたいなものだよ。まず表を用意して、1D100振る。んで、出た数字の表のイベントが起こるって訳だよ。上手く行けば有利に進められるし、逆にピンチになったりするよ」

グラッセ「なるほど。それじゃ、最初は俺ですね。よし、行け！」


　1D100→64（あるかなきかのチャンス。このラウンド中、最大達成値＋10）


ツバサ「なるほど、ラウンド中最大達成値は40…上手く行けば進行値を5稼げるわけだね」

三人「いや素振りじゃ無理だろ！？」

GM「では、ハプニングチャートを振り終えた。エフェクトの宣言もないからイニシアチブ順に進めるよ。まずは翼からだ」

ツバサ「うーん、〈調達〉だよね…支援判定してもいいんだけど、ここは待機をするよ。進行値を上げれば判定も変わるだろうしね」

GM「分かった。なら、次は空だね」

クウ「待機も可能なんだな。なら、俺も念の為待機だ。社会力が高い奴がいるからな」

グラッセ「では、俺の番ですね！　俺は素で振りましょう！」

　〈調達〉難易度6
　凍矢4D＋3→12　成功

グラッセ「よし、これで進行値は2点獲得ですね！」

ムーン「次は俺が行くとして…確かイージーエフェクトも使えるんだったよな？　《獣の直感》で材料を集める事は出来るか？」

GM「ふむ、確かに使えそうだね…よし、なら達成値に＋2だ」

ムーン「それじゃ、行くぜ！」

　〈調達〉難易度6
　月2D＋2→9　成功

ムーン「どうにか成功。進行値は1点獲得だ」

GM「それでは、進行値が3になったから進行イベントが入るよ。
　調理器具と材料は揃った。羽狛特性のレシピを見ながら料理を作っていこう。
　と言う事で、ここからは〈調達〉から【感覚】に判定を変更だ。難易度も8に上がるぞ。では、待機を宣言した空からだ」

クウ「【感覚】か。翼程じゃないが、そこそこあるからな」

　【感覚】難易度8
　空4D→14　成功

クウ「クリティカル出たか。とりあえず、2点は獲得だな」

ツバサ「さすがピュアのブラム＝ストーカーだよ。それじゃ、ボクもエンジェルハイロゥの力を見せてやろうじゃないか――の前に、マイナーで《オリジン：ヒューマン3》の効果発動！　シーン中の達成値を3上げるよ、浸食率は52％！」

　【感覚】難易度8
　翼5D＋3→12　成功

ツバサ「ふふん、どうだ！　ボクも2点獲得！」

GM「ふむ。進行値が7になったから進行イベントが起こるよ。
　君達はレシピを熟読して作り方を覚え、料理の下拵えを進めていく。だが、固い材料を切ったり、鍋で具材を煮込んだり泡だて器で長い時間掻き混ぜたりと肉体や忍耐の労働が続く。
　ここからは【感覚】から、〈白兵〉もしくは〈意思〉に判定を変更するよ。そして全員の行動が終わったから次のラウンドに進むよ」


　第2ラウンド


GM「それではイニシアチブ。次のハプニングチャートは月の番だね」

ムーン「任せろ、おりゃ！」


　1D100→9（専門的知識が必要。そのラウンドの間、指定された技能が4レベル以下のキャラクターが獲得する進行値は−1となる）


三人『ムーーーーーン！！？』

ムーン「わ、悪い…！」

GM「ここで読者に分かりやすく説明しよう。指定された技能値が5以上なければ、ペナルティとして取った進行値が−1されてしまう。
　今現在の難易度は8。これに成功したとしても、出た達成値が8、9なら1−1＝0となり進行値は貰えなくなる事態にもなってしまうのだ」

ツバサ「えーと、今は〈白兵〉と〈意思〉だから…月以外駄目じゃん！？」

グラッセ「例え成功しても、クリティカル起こさない限りポイントが貰えない…！」

クウ「料理の腕良すぎて、素人相手に鉄人級の指示でも出してるのかよこれ…」

ムーン「本当にすまん…！」

GM「まさかここでこうなるとは…さて、セットアップ終了。翼の番だがどうする？」

ツバサ「支援判定…と言いたい所だけど、ここは《解放の雷1》を空さんに当ててC値を減らすよ！　浸食率は56％！」

クウ「それじゃ、やるとするか…〈白兵〉なら《コンセントレイト：ブラム＝ストーカー2》、《鮮血の一撃2》だ。ダイスは8個にC値は7だ。浸食率54％」

　〈白兵〉難易度8
　空8D＋3（C値7）→18

クウ「くそ、1点しかもらえない！？　あと、HP30に減らすぞ！」

グラッセ「えーと…俺は月に支援判定に行きます！　《炎の理》と《氷の理》を使って材料を効率よく調理します！　〈RC〉で判定をさせて下さい！」

ツバサ「ここで支援判定の説明だよ！
　支援判定と言うのは、その名の通り他の人をサポートする為の判定だよ。イニシアチブプロセスで行えて、宣言すると成功失敗問わず行動済みになるよ。
　支援判定を行う場合、そのキャラは自分以外の対象のPCを選択。その後GMが指定した技能・能力値の行為判定を行うよ。ちなみに、自分の有利な技能や能力値で行為判定をしたいと思ったら、それなりの理由や使い方を説明するのもありだよ。理に適っていれば、GMが許可を出してくれたりするしね。
　そうして行為判定を行うけど、難易度はFS判定と同一…今は難易度8だから、それになるよ。成功したら、指定したPCに次の達成値＋3の補正が受けられるよ。効果は判定を受けた一回きりだけど、同じPCに重ね掛けも出来たりするからね。これで一通りの説明は終わりだよ！」

GM「説明ありがとう――では、凍矢の案を受け入れよう。それでは振ってくれ」

　〈RC〉難易度8
　凍矢3D＋2→18　成功

グラッセ「こんな時にクリティカル！？」

ムーン「まあ後は俺に任せろよ」

クウ「誰の所為でこうなったと思ってんだよ？」

ムーン「それじゃ、俺も《コンセントレイト2：バロール》、《漆黒の拳2》を合わせるぜ。支援を貰って8だ」

　〈白兵〉難易度8
　月9D＋8（C値8）→22

ムーン「よし、3点獲得だ！」

GM「では、進行値が11点になったから変更だ。
　材料の下拵えも終わり、君達は本格的に料理を完成させる。味はもちろん、見た目にも重視しないといけない。ここからは〈芸術：料理〉か〈知識：料理〉での判定、難易度は9に変更される。
　さて、全員の行動が終わっているから次のラウンドに突入だ」