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ダブルクロスThe 3rd Edition【Dual Trigger】

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INDEX

  • あらすじ
  • 01 セッション準備前&プリプレイ
  • 02 ハンドアウト&PC紹介・前編
  • 03 ハンドアウト&PC紹介・後編
  • 04 オープニングフェイズ1&2
  • 05 オープニングフェイズ3&4
  • 06 ミドルフェイズ1
  • 07 ミドルフェイズ2
  • 08 ミドルフェイズ3&4&5
  • 09 ミドルフェイズ6&7
  • 10 ミドルフェイズ7(前編)
  • 11 ミドルフェイズ7(中編)
  • 12 ミドルフェイズ7(後編)
  • 13 ミドルフェイズ8
  • 14 ミドルフェイズ9
  • 15 ミドルフェイズ10(前編)
  • 16 ミドルフェイズ10(後編)
  • 17 クライマックスフェイズ1
  • 18 クライマックスフェイズ2
  • 19 クライマックスフェイズ3
  • 20 クライマックスフェイズ4&バックトラック
  • 21 エンディングフェイズ1
  • 22 エンディングフェイズ2
  • 23 エンディングフェイズ3
  • 24 エンディングフェイズ4
  • 25 FS判定・練習編(前編)
  • 26 FS判定・練習編(後編)
  • クライマックスフェイズ1


     マスターシーン2 シーン16〈不穏〉


     壁には大量の機械が、床には様々なチューブが敷地を詰めている暗い通路。鈍い音を響かせて稼働しては、チューブに繋がれた幾つもの人一人は余裕で入るだろう巨大なカプセルの中に溜めている濃い緑の液体がゴボリ、と泡立っている。
     そんな通路を、カツ、カツと足音を響かせながら、符宴はカプセルに入っている液体を眺めていた。

    『ヒヒヒ…UGN共に邪魔されたが、駒も結構集まってきた。すげぇな、この薬は…』

     緑色の液体――否、この工場で作られているαトランスに嫌らしい笑みを浮かべる符宴。
     その時、彼の背後で人の気配がする。振り返ると、闇に紛れ込む様に黒いローブを来た人物が静かに立っていた。

    『――“ディザスターペイン”、奴はどうした?』

    『さあな。あれから連絡がない――あのガキどもにやられたかもしれねえな。これを使った実験体って言うから期待したのに、結局弱かった訳だ』

    『…果たしてそれはどうでしょうかね』

    『何?』

     意味ありげな言葉を放つ黒コートに、符宴は反応する。
     しかし、それ以上答える気がないのか彼は背を向けると反対方向へと歩いていく。

    『仮にも生き残った実験体だ、我々の仲間に加えろ。万が一、抵抗を見せるようなら…』

    『ああ。始末はキッチリとしてやるよ』

     そうして浮かべた彼の顔は、歪んだ笑みを浮かべていた。
     ディザスターペイン――災厄の苦痛。その名に恥じない、歪な心と共に。



     クライマックスフェイズ シーン17〈二人の紅の刃〉
     シーンプレイヤー 七雲空

     《シーン登場》
     凍矢1D→4 77%→81%
     月2D→10 113%→123%
     空1D→1 121%→122%
     翼1D→8 82%→90%

    クウ「おっしゃあ!! 最小出た!!」

    ムーン「やべぇ、今回なんか俺のダイスおかしいぞ…!?」

    ツバサ「一気に月がぶっちぎったね…」

    グラッセ「俺のカバーリングでどうにか二人のロイスを節約出来ればいいけど…」

    ツバサ「うん、最低で2ラウンド以内で倒せればいいけど…――あ、戦闘前に装備とかしてもいい?」

    GM「ああ。ならば――」



     凍矢とテレーズによって掴んだ情報を頼りにやってきた、工場跡地。
     一つだけ稼働している工場近くの物陰で、集まった四人は装備の確認をしていた。

    『――これでよしと』

    『若干動き辛いが、仕方ないな…』

    『解毒剤もよし、と。準備は万端ですね』

    『………』

     事前に手配した防具を着込んでいる翼と空の横で、凍矢も持ち物を確認する。
     一方、月は何も言わずに見張りをしている。しかし、その背からは拒絶が滲んでいる。

    『ムーン、どうかしたの?』

    『…別に。それより早く行くぞ』

     そう言うと、話しかけた凍矢を置いてさっさと工場へと進む月。
     明らかに様子がおかしく、凍矢と翼は顔を見合わせる。だが、空だけはじっと月の背中を見つめていた。



     四人が工場の中へ足を踏み入れる。廃棄されてそれなりの年月が経っており、あちこちボロボロだ。しかし奥の方からゴウンゴウン、と機械が作動する音が聞こえてくる。
     奥に続く扉を開けると、通路には液体で満たされたカプセルやチューブや敷き詰められている。
     それらの光景に、空はデジャヴを覚える。UGNの任務で自分が配属され、壊した施設。その一角で、このような景色を…機械が使われていた。

    『何で、これが…?』

    『空さん、何か知ってるんですか?』

    『…ああ、ちょっとな』

     さすがに教える訳にもいかず、凍矢の問いをはぐらかす。

    『………』

     そして、黙ったまま先を進む月を見て後ろから肩を叩いた。

    『月、ちょっといいか?』

    『…なんだよ』

    『まだお礼言ってなかったからさ。ありがとう、“俺”を止めてくれて』

    『…んだよ…』

     お礼を言うと、月が震えてようやく振り返る。
     その顔は任務の時のように感情のない表情じゃなく、隠し切れない程の動揺が浮かんでいる。

    『お前、分かってるのか…? 俺はお前を…お前ごと殺そうとしたんだぞ? そんな奴にお礼を言うって、バカか!?』

    『あの時はお互い敵だった。そうなっても仕方ない事だ…でも、今は違うだろ?』

    『とんだお人よしだな、お前…本当にFHかよ?』

    『ああ。これでもブラックスカル団セル所属の紅の刃(ブラッドエッジ)だ。表の俺が求めてるのは戦いだけど――俺が求めているのは、俺の信じる世界だ』

    『…それが、お前の欲望(ねがい)なのか? お前の信じる世界って何だよ?』

    『まぁ手っ取り早く言うなら、俺を信じてくれる奴ら、俺が信じたいと思う奴ら、そいつらを護る事だな。ちなみに、お前もその中に入ってるぜ』

    『はぁ!? 何勝手に――!!』

    『そうだ、勝手に決めた。俺としては、お前も守るべき対象だ…こんな俺を受けいれてくれた、この町の奴ら同様にな』

    『なんてお人よしだよ、お前…!』

     サラリと物事を言う空に、月は顔を背ける。その顔が赤く染まっていた気がしたが、あえて何も言わなかった。
     そんな二人の後ろ。翼は動いているカプセルの機材を見ながら険しい表情を浮かべていた。

    『………』

    『翼、なんか顔が険しいよ』

    『…大丈夫かなって思って』

     ポツリと呟くと、翼は凍矢に胸の内を明かす。

    『空さんの洗脳は完全に解けたから敵に回る恐れはない。けど、それとこれとは別だ…相手は戦力と共に空さんを狙っていたんだから。それに、集めた情報の中には空さんの過去――正確には、UGNの違法実験が関わっている。それってつまり、相手の目的は空さん個人じゃなくて実験成果って事でしょ?』

    『つまり…符宴は、空さんが巻き込まれていた実験に関係している?』

    『一見すると狙った事。だけど、その裏に何か大きな…途方もない闇が隠れている気がする。その闇が、ボク達を…この町を狙って来たりしたら…!』

    『大丈夫だよ、翼。例えこの先何があろうと…あの時みたいに帰ってこれる。俺だって弱いままじゃない――この戦いで、証明してみせる』

    『凍矢、ありがとう』



     お互いに会話をして交流を深め、ようやく最深部に到着する。
     電源が通っていないのか薄暗く広々とした空間の部屋。四人が足を踏み入れると、奥から人影が現れる。
     今回の事件の首謀者、金符宴だ。

    『おーおー、どうした空さんよ? ガキどもにやられちまったか?』

    『――“俺”が随分世話になったな、符宴』

    『へぇ…まさかお前、宿主か? 報告で聞いていたが、マジで生きていたとはなぁ!』

    『笑っていられるのも今のうちだよ――勝手に志武谷(うち)を荒らしたらどうなるか、その身で味わって貰うよ』

    『UGNとしても、てめえみたいな奴は野放しにしておけねぇ。この町に手を出した事、地獄で後悔させてやるぜ』

     下品に笑う符宴に、翼は拳銃を、月は拳を見せつけて冷めた目で睨みつける。

    『ガキは黙ってな! よぉ宿主よ、どの面下げて表に出てこれたんだ! 知ってるぜ、てめえはお前の中にいる戦闘用人格(そいつ)に全部押し付けて逃げたんだろうが! 特調もUGNも、現実にも逃げっぱなしの貧弱な宿主に何が出来るって言うんだ!?』

    『空さん…』

    『――逃げねぇよ』

     心配そうに凍矢が声をかけると、一拍置いて返事が返ってくる。
     冷酷な事を言われても、空は符宴を睨む事を止めなかった。

    『俺はもう逃げない…!! 裏切られて傷つけられたのなら、その痛みを背負っていく!! 居場所がなくなったとしても、また新しい居場所を探し出す!! こいつらは、この町は壊させない!! 勝手でもいい!! 俺に託してくれた人としての記憶や思いも、こんな俺を信じてくれた奴ら全部、命を賭けてでも俺が守るっ!!!』

    『口だけは一人前だな! だがよ、結局結果は変わらねえ! てめえら何かに、戦闘に特化した俺らが負ける要素なんて何一つない!!』

    『口だけ、か…』

     誰にも聞こえない様に空は呟く。
     すると、そのまま振り返り仲間である三人に向かって笑みを見せた。

    『凍矢、月、翼。表の俺と混同するだろうから…俺の事、今後は蒼空(そら)と呼べ!!』

    『いいの…!? だって、その名前って!!』

    『構わない!! これが俺の本気だ!!』

    『何かよく分からないけど…分かりましたよ、蒼空さん!』

    『そこまで啖呵切ったんだ! あいつの言う通り口だけじゃない事証明しろよ、蒼空!』

    『――あぁ!!』

    『上等だ!! てめえらも、こんなイカれた世界も、全部ぶっ壊してやらぁ!!!』



    GM「符宴から放たれる戦闘本能による威圧。それに比例するように充満する高濃度のレネゲイドが、君達のレネゲイドを蝕むように共鳴させる。
     ここで、難易度9の意思判定だ。失敗で〈暴走〉のバッドステータス、そして成功失敗問わず2D10の浸食率増加だ」

    《意思判定》
     凍矢5D+1→10 成功
     月5D+1→9 成功
     空9D+1→16 成功
     翼5D+1→24 成功

    ムーン「あ、あぶねぇ!? 〈意思〉取ってなかったら暴走だった!」

    ツバサ「わーい、連続クリティカル!」

    GM「では、全員成功。このまま浸食率増加のダイスを振って貰うぞ」

    《浸食率増加》
     凍矢2D→10 81%→91%
     月2D→5 123%→128%
     空2D→18 122%→140%
     翼2D→9 90%→99%

    クウ「ゲホォ…!?」(吐血)

    グラッセ&ムーン&ツバサ「「「うわあああああああ!!?」」」

    GM「うわぁ…空は下手に攻撃出来ないねぇ…」

    ツバサ「ま、まだ大丈夫だよ師匠! 最悪倍振りして追加振り、通称3倍振りすれば戻っては来れる筈!」

    グラッセ「俺カバーリングしますから! ある程度余裕はありますから!」

    ムーン「空に比べたら、俺もある程度は無茶出来る…こりゃ凍矢の支援が鍵になりそうだな」

    GM「それでは…これより、金符宴との戦闘に入るぞ!」

    16/05/03 02:10 NANA   

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