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ダブルクロスThe 3rd Edition【Dual Trigger】

NANA

INDEX

  • あらすじ
  • 01 セッション準備前&プリプレイ
  • 02 ハンドアウト&PC紹介・前編
  • 03 ハンドアウト&PC紹介・後編
  • 04 オープニングフェイズ1&2
  • 05 オープニングフェイズ3&4
  • 06 ミドルフェイズ1
  • 07 ミドルフェイズ2
  • 08 ミドルフェイズ3&4&5
  • 09 ミドルフェイズ6&7
  • 10 ミドルフェイズ7(前編)
  • 11 ミドルフェイズ7(中編)
  • 12 ミドルフェイズ7(後編)
  • 13 ミドルフェイズ8
  • 14 ミドルフェイズ9
  • 15 ミドルフェイズ10(前編)
  • 16 ミドルフェイズ10(後編)
  • 17 クライマックスフェイズ1
  • 18 クライマックスフェイズ2
  • 19 クライマックスフェイズ3
  • 20 クライマックスフェイズ4&バックトラック
  • 21 エンディングフェイズ1
  • 22 エンディングフェイズ2
  • 23 エンディングフェイズ3
  • 24 エンディングフェイズ4
  • 25 FS判定・練習編(前編)
  • 26 FS判定・練習編(後編)
  • ミドルフェイズ10(後編)

     黒須によって意識が遠ざかり、気が付くと全てが真っ暗の空間にいた。
     だが、全てが黒に染まっている訳ではない。目の前には、赤い瞳を除けば全てが自分と瓜二つの人物が向かい合わせのように立っている。
     直感する。彼が自分の中にいる、戦闘用人格だと。

    『――あ』

    『やっと会えたな、宿主様よ?』

    『あ、あぁ…』

    『状況はもう分かってるんだろ? 今の俺はあいつの操り人形だ…あの野郎を倒すどころか、道具と成り果てて何れはジャームと化す。そして…お前は俺の敵だ。洗脳がなかったとしても、お前は邪魔な存在なんだよ』

    『そう、だな…』

    『…何とも思わないのか、てめぇは? 全てを奪った俺を憎まないのかよ?』

    『憎いとは思ってないよ…俺はあの時死んだんだ。存在自体が罪で処分された身だぞ? 誰も助けられなかった俺が生きて何になる? 名前も、存在も、力も、命も…俺が持っていた物全てが、もうあんたの物だ』

    『ああ、そうだな…だったら一番障害となるてめぇを消し去ってやるよ宿主ぃ!!』

     憎悪を剥き出しにし、赤い大剣を作り出して斬りかかる“空”。
     己の身を斬り裂くであろう刃が、すぐそこまで迫り――防がれた。
     自分の手の中で作られた、大鎌によって。

    『エ――っ!?』

    『ったく――それだけの力持っていながら…本来“俺”が持つべき力を奪っておいて、好きに生きろだぁ…!!』

    『どうして、俺…!? 体が、力が勝手に…!?』

    『それが“俺(戦闘用人格)”と言う力だ!! てめぇが生まれながらにして持っていた力、蓄積されてきた経験、今まで心に刻んだ記憶――それらを糧にしてレネゲイドの作用で生まれたのが俺なんだよ!!』

     鍔迫り合いの状況で叫び、“空”が押し返そうとする。まだ心に迷いや葛藤があるのに、その意思とは反対に空の身体は大剣を弾き返そうとする。

    『あの日、初めて俺が出て来れた時に俺達の人格は入れ替わった。だから俺はお前の持つ通常の力しか使えず、代わりにてめえが威力を発揮出来てしまってる。
     てめえを消して、お前と同じ場所に立った…自由で好きに出来る、そう思ってた。なのに、満たされないんだよ!! どれだけ暴れても!! どれだけ戦っても!! どれだけ壊しても!! 完全に満たされない!!
     お前は消えていいって言った…――なのに、どうして抗ってる? 忌むべき力で? 俺の持つべき力で? 消えたいならとっととやられろぉ!!』

    『――消えたいのは、嘘じゃない。表に出たいとはもう思わない…だけど、だけど俺は怖いんだっ!! 俺が消えたら、みんなの…《大事な恋人》が人として生きた記憶まで消えてしまう!! だけど、俺が救えなかったのも事実で!! 分からない…どうすればいいか分からないんだ!!』

    『人との繋がりなんて意味ねーよ!! どんなに近い存在だろうと、心を許した存在だろうと、どうせ最後には裏切られる!! あの月ってガキも結局俺を殺そうとした――それなら、いっそ何もかも失くせばいいだろ!!』

    『…失くしたから、こんなにも痛いんだろ…満たされないんだろ…!! それだけ俺達にとって大事なモノなんだろ!? だったら裏切られてもいい、傷つけられてもいい!! 絶対にこの絆は、人としての心は手放さない!! それが――俺の進むべき道だぁ!!!』



    クウ「GM、これらのRPから判定を〈白兵〉で行いたい。出来るか?」

    GM「ふっ…海岸で殴り合うこの青春くさいシーン――大好物だっ!! 判定は決闘と言う事で〈白兵〉、ただし相手も本気を出すから難易度は12としよう」

    クウ「是が非でも成功させる!!」

     《決闘判定》
     空12D+3→17 成功

    ツバサ「さすがは師匠…戦闘用人格と浸食ボーナス合わさって素のダイスが普通に多いよ」

    グラッセ「その分ジャーム化待ったなしだけど」

    クウ「エフェクト使わなかっただけでも収穫だろうが」



    『――ぁぁぁあああああっ!!』

    『っ、ぐっ…!!』

     一瞬で互いの武器が振るわれ、それぞれが交差する。
     戦闘用人格としての力を本気で出した空に叶うはずもなく、“空”が膝を付いた。

    『何で、この俺が…!!』

     精神の世界とは言え、切り傷は深い。抵抗は出来ないだろう。
     そんな“空”に、空は黙って傍に座り込んだ。

    『んだよ…トドメ刺したいならやれよ…! 俺を消したいんだろ…!』

    『俺が望むのは、支配でも浸食でもない――



     ――共存だ』

     柔らかい笑みを浮かべ、ゆっくりと“空”に向かって手を差し出した。

    『バカか、そんな甘ったれた誘いに乗るほど俺は…!!』

    『乗るさ。だってお前は俺だろ? バカで、単純で、足を止めて投げやりになるけど――どんなに裏切られても誰かを信じたい、力になりたいって考えてしまう。俺はお前なんだ』

    『…とんだお人よしの宿主様だ、ホントに――後は、任せたからな。負けたら今度こそ消してやる』

     吐き捨てるように“空”は宣言し…差し出したその手を取った。



    クウ「それじゃ“もう一人の俺”にロイスを取るぜ。ポジティブは親近感、ネガティブは食傷。表はポジティブ…そのロイスをSロイスにするぜ」

    GM「空はSロイスを獲得した。自分自身に繋いだ強固な絆により『歪んだ囁き』の効果は消失する。同時に『砕け散る絆』の効果も連動で消失し、一度は消失したロイスと記憶を取り戻す事が出来たよ」



     手を取り合った瞬間、ずっと胸にこびり付いていた黒い塊が浄化されるように消えていく。
     直後、脳裏に様々な人達が鮮明に浮かぶ。他者との触れ合い、思い出、記憶が、まるで鎖で連なるように蘇っていく。
     壊されていた絆、繋がりを感じながら現実へと意識を戻すと、心配そうに顔を覗き込む翼と目が合った。

    翼『えーと…?』

    空『…ただいま、翼。セルの皆に…凍矢達にも迷惑かけたな』

    翼『記憶、戻ったの!?』

     軽く頷き、空はその場で起き上がる。
     そのまま翼と同じように自分を見守っていたであろう黒須を見て、困ったように笑みを浮かべた。

    空『悪いな、黒須。やっぱり俺は消す事は出来なかった。こいつと共に進んでいく』

    黒須『…いずれ裏切られるぞ。UGNがお前を裏切ったように』

    空『この人生で、俺はもう何度も裏切られてる。この先一人になっても、俺は誰かを信じ続けるさ。これから先もずっと』

    黒須『まるで人とオーヴァードの共存を謳うUGNのお偉いさんのような腐れた思考だな』

    空『そんなんじゃねーよ…だって、裏切られたとしても全部を憎む必要なんてないだろ? だから俺は信じると決めた物を信じていく。最後まで人として生きていきたい…それが俺の欲望(ねがい)だ』

    黒須『…助けるんじゃなかったな。やはりお前はオーヴァードだ』

    空『ああ。お前と一緒ではないな』

     キッパリと断言すると、黒須は話は終わりだと言わんばかりに背を向けて路地の奥へと去っていく。
     拒絶しているのに何処か寂しげな背中を最後まで見送ると、翼は不安そうに空を見上げた。

    翼『あれで良かったの?』

    空『いいんだよ。あいつと俺じゃ考えが違う。根本的な――大事な人を大切に思っている点は一緒なんだろうけどさ』

    翼『それじゃあ、空さん…行っちゃう?』

    空『ああ。あの二人も一緒に来るんだろ?』

     パンッ、と乾いた音が辺りに響く。
     握った拳を掌で叩き、空は不敵な笑顔を満面に宣言した。

    空『俺の“相棒”を好き勝手に使ってくれたんだ――それ相応の礼をしてやらないとな!!』



    ツバサ「その前に、最後の情報収集するよ。《インスピレーション1》を使って、最後の情報を抜くよ。と言う訳で、残りの情報教えてー?」

    GM「分かった。浸食率は82%に上げておいてくれ。これが最後の情報だ」


     UGN・FH16
     《人変わり》を起こした者達は、オーヴァードとなったもの、負荷に耐え切れずにジャームとなってしまったもの、半覚醒したオーヴァードまでもが『戦闘用人格』を有していた。人々の性格が変わったのは、内に潜む人格に入れ変わったからだ。
     更に、体内には何らかの薬品を投入された形跡があり、データベースには登録されていない特殊なαトランスではないかと推測されている。
    (この後、αトランスについてが追加される)


    ツバサ「この情報…もしかして、空さんが仲間にならなかった場合の保険?」

    GM「少し違う。正確には、空の浸食率が100%にならずに情報共有が出来ないのを想定して作っていたんだ。もしあのまま空をロストさせていたら――君ら、浸食率がとんでもない事になっていただろうねぇ…?」

    ムーン「他人との繋がりが如何に大事か、よーく思い知らされました…」

    グラッセ「どんな奴だろうと、仲間意識は大切だな…」



    GM「それでは、無事に空の洗脳も解けたし情報も全部出た。いよいよクライマックスだが、入る前にロイスの確認をしよう」

    SM「今回は宣言が殆どなかったからね。Sロイスの事もあるし、ここで取りたかったら取っていいよ。それじゃ、凍矢からやってくれ」

    グラッセ「ああ! 俺はこんな感じだ!」


     Dロイス『触媒(カタリスト)』
     恩人・テレーズ・ブルム(○尊敬/憐憫)
     支部長・羽狛早苗(○尽力/不安)
     シナリオ・七雲空(○同情/猜疑心)
     友人・闇代月(○友情/劣等感)
     仲間・御坂翼(○連帯感/劣等感)


    グラッセ「俺は一つ余ってますね…ボス戦なので、一応取っておきます。あとSロイスですが…七雲空に取ります。今回の件に関しては空さんに頑張ってほしいですからね!」

    クウ「サンキュ、凍矢!」

    ムーン「次は俺だな」


     Dロイス『実験体(ロストナンバー)』
     実父・闇代 陸(執着/○憤懣)
     友達・海命凍矢(○友情/悔悟)
     シナリオ・マスターレイス(○好奇心/脅威)
     敵・七雲空(○興味/憐憫)タイタス
     仲間・御坂翼(○連帯感/嫉妬)


    ムーン「俺も一つ空いてる状態なんだよな。しかも、空のロイスをタイタスにしているし…うーん、どうするか」

    GM「決まった?」

    ムーン「ああ。再度本当の空に取るぜ。Pは信頼、Nが悔悟。本当の空って事で普段の奴よりも信頼できる。だが、戦闘の事もあって悪いなって気持ちがある。表はNだ。けど、俺も凍矢と同じようにそれをSロイスに指定するぜ」

    クウ「じゃ、次は俺だな」


     Dロイス『戦闘用人格(デュアルフェイス)』
     恋人:天義星華(○純愛/無関心)
     恩人:御剣祥耶(○有為/不快感)
     シナリオ:金符宴(連帯感/○嫌気)
     同志:御坂翼(○信頼/憐憫)
     S相棒:もう一人の俺(○親近感/食傷)


    クウ「表の感情は裏側の俺が出たって事で、一部変更した。この設定は既に話し合いでGMから許可を貰っているから、真似する際はその卓のGMと事前に相談してくれ。さて、ようやくロイスが取れたからな…折角だし、最後は黒須左京にするぜ。Pは懐旧、Nは隔意。俺と同じで懐かしい感じはするが、結局分かり合えないからな。表はPだ」

    ツバサ「それじゃ、最後はボクだよ!」


     Dロイス『生還者(リターナー)』
     友人:エリー(○オタクは文化!/現実は厳しい…)
     上司:狩谷(○好意/不安)
     シナリオ:黒須左京(やばい/○アカン)
     仲間・海命凍矢(○有為/頑張れ)
     友人・闇代月(○連帯感/隔意)


    ツバサ「ボクも一つ余ってるんだよねー。最後はもちろん空さんに取るよ! Pは好意で、Nは猜疑心。今の空さんは憑き物が取れたように清々しくて、キラキラしている。だけど、事件の事もあって本当に接触して大丈夫かなって心の何処かで警戒している。表はPで、ボクもそのロイスをSロイスにするよ!」

    クウ「Sロイスに指定されるってだけなのに、PL的にも嬉しく感じるな。ここまで大事にしてくれるんだ、意地でも期待に応えないとな」

    GM「それじゃあ、ロイスの確認は終わりだね。いよいよクライマックスフェイズに行くぞー!!」

    四人「「「「おおー!!」」」」

    16/05/02 01:07 NANA   

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