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ダブルクロスThe 3rd Edition【Dual Trigger】

NANA

INDEX

  • あらすじ
  • 01 セッション準備前&プリプレイ
  • 02 ハンドアウト&PC紹介・前編
  • 03 ハンドアウト&PC紹介・後編
  • 04 オープニングフェイズ1&2
  • 05 オープニングフェイズ3&4
  • 06 ミドルフェイズ1
  • 07 ミドルフェイズ2
  • 08 ミドルフェイズ3&4&5
  • 09 ミドルフェイズ6&7
  • 10 ミドルフェイズ7(前編)
  • 11 ミドルフェイズ7(中編)
  • 12 ミドルフェイズ7(後編)
  • 13 ミドルフェイズ8
  • 14 ミドルフェイズ9
  • 15 ミドルフェイズ10(前編)
  • 16 ミドルフェイズ10(後編)
  • 17 クライマックスフェイズ1
  • 18 クライマックスフェイズ2
  • 19 クライマックスフェイズ3
  • 20 クライマックスフェイズ4&バックトラック
  • 21 エンディングフェイズ1
  • 22 エンディングフェイズ2
  • 23 エンディングフェイズ3
  • 24 エンディングフェイズ4
  • 25 FS判定・練習編(前編)
  • 26 FS判定・練習編(後編)
  • オープニングフェイズ3&4


     オープニングフェイズ3 シーン4〈新たなる危機〉
     シーンプレイヤー 闇代月

     《シーン登場》
     月1D→7 36%→43%

    ムーン「俺も上がったな。前回の低すぎるダイス運が嘘のようだ」

    ツバサ「分からないよ。後半になって低くなるんじゃない?」

    GM「それじゃ、月もやっていこう」



     夕暮れに染まった都会の中にある一軒の喫茶店。
     一見すると普通の喫茶店だが、その実態は陰ながらこの町を、世界を守るUGN志武谷支部の拠点だ。
     その喫茶店に、表向きはバイトとして。裏ではUGNチルドレンの顔を持つ月が学校帰りにやってきた。

    月『羽狛、来たぜー。今日は何か依頼があったりするかー?』

     カランコロンとベルが鳴り響き店内に月が入る。
     既に店の中には支部長の羽狛はもちろん、支部のメンバーであるネク・シキ・ビイト・ライム・ヨシュアもいる。
     だが、誰もが表情を硬くしており、神妙な空気が流れている。

    羽狛『ムーン、いい所に来たな』

    月『どうした? 空気が重いようだが』

    ?《それは私からお話しします》

     ここにいる人達ではない、別の声が割り込む。
     カウンターの上にはノートPCのディスプレイが開いている形で鎮座されており、画面には人の好さそうなスーツ姿の男性がにこやかな表情を浮かべて映っている。

    霧谷《初めまして、私はUGN日本支部長の霧谷雄吾です。君が闇代月君ですね、先日志武谷で起きた爆破事件…いえ、遺産争奪戦を収束させてくれてありがとうございます。UGNを代表して心よりお礼を申し上げます》

    月『いや、俺は大した事は何にもしてないよ…だから顔を上げてくれ』

    羽狛『霧谷支部長、志武谷支部のメンバーはイリーガルを除いてこれで全員です。わざわざ支部長自らこうして連絡を入れた理由をお聞かせください』

    霧谷《そうですね。では要件を掻い摘んでお話しましょう》

     すると、霧谷は柔和から一変して真剣な眼差しを見せつける。
     態度を変わっただけなのに、画面越しでも月は肌で感じるだろう。日本と言う一つの国を担う者としての彼の力量と意思を。“リヴァイアサン”――全てを飲み込む海竜のコードネームを持つ意味を。
     羽狛を除く子供達が固唾を飲み込む中、霧谷は今回の件について口を開いた。

    霧谷《志武谷にマスターレイスの一人が潜伏したそうです。相手が誰かはまだ不明、ですが厳重な警戒態勢を敷いて置いて欲しいのです》

    ネク『マスターレイスだって!?』

    ヨシュア『FHの中でも特別と言える存在…厄介所の話じゃないよ…!』


    ムーン「えーと、マスターレイスについては三つともルルブ読んでるからある程度知ったけど…俺はその情報を知ってていいのか?」

    GM「月はUGNチルドレンだからね、知っててもおかしくないから大丈夫。逆に凍矢はイリーガルになって日が浅いから、知らない方向で頼むよ」

    グラッセ「分かりました。こういう所も主人公っぽいよな!」

    クウ「おい、今回の主人公俺だからな? 忘れるなよ?」

    ツバサ「はいはい、師匠。ボクら関係ないから引っ込もうねー」


    月『マスターレイス、とんでもない奴がやってきやがったな…!』

    ビイト『何だよ、要は敵のお偉いさんだろ? だったら俺達で倒せば――!!』

    ライム『駄目だよ、ビイト! マスターレイスの称号を持っているって事は、それだけの力があるって事だよ。今の僕達の力量じゃ、ミイラ取りがミイラになっちゃうのと同じだ』

    ヨシュア『ライムの言う通りだ。マスターレイスは、かつてUGNを作った創設者であり、後にFHへと幹部として入り統括した人物――【アルフレッド・J・コードウェル博士】直属の部下だ。悔しいが、今僕達に出来る事はマスターレイスの企みを阻止する事だけだろうね。真っ正面から戦ったら勝ち目はない』

    月『そう言う事だ。話には聞いてたけど、実際にそんな奴がこの町に現れるなんて…』

    シキ『ネク…私達、大丈夫なのかな?』

    霧谷《この件に関しては、我々も全力でバックアップをするつもりです。なにせ相手がマスターレイスですからね…何かありましたら、日本支部に連絡を下さい。それでは》

     そうして、霧谷との通信は切れて画面が真っ暗になる。
     羽狛はノートパソコンを閉じると、真剣な顔をして全員を見回す。

    羽狛『俺は今から、他の町の支部長にも協力を仰いで志武谷での厳重体制を敷く。ヨシュア、留守は任せたぞ』

    ヨシュア『分かった。そう言う訳だから、羽狛さんが戻るまで皆はここで大人しくする事。いいね?』

    ビイト『だけどよ、ここでじっとしている間に敵が何かしてきたらどうするんだ!!』

    ヨシュア『その時は月の《ディメンジョンゲート》を使えば問題ないさ。月、凍矢にも連絡を入れて支部に来てもらうようにしてくれ。この状態で単独行動は危なすぎる』

    月『分かった』


    ムーン「じゃあ、俺は凍矢に連絡を入れるけど、シーンはここで切ってもいいのか?」

    GM「ああ、構わないよ。では、最後のオープニングに入ろう」



     オープニングフェイズ4 シーン5〈マスターレイス14・黒須左京〉
     シーンプレイヤー 御坂翼

     《シーン登場》
     翼1D→5 37%→42%

    ツバサ「よーし、まずまずだ!」

    GM「君、前回は凄かったからねぇ…」

    ツバサ「ある意味トラウマだから言わないでよ…!」



     夕方の志武谷は、一番人が多い。
     学校帰りの学生、仕事帰りの大人、やるべき事を終えてこれからを楽しむ人達。そんな人達がこの時間帯に入り混じるからだ。
     そんな人混みに紛れながら、学校帰りの二人の少女が走っていた。

    エリー『早く早くっ! 今日発売される【妖怪ニャンズラ】の限定フィギュアが売り切れになっちゃうー!』

    翼『もー、エリーってば足が速いんだから…』

    エリー『どうにか整理券はゲット出来たぁ…翼、そこで待ってて! 手に入れたらすぐに来るから!』

    翼『うん、分かったよ』

     店の前に翼を残し、エリーは行列に並ぶ。
     翼は近くのベンチに座り、軽く背伸びをする。

    翼『今日はどうしようかな〜? 新作バーガー食べてー、新刊の雑誌立ち読みしてー、それから…』

    ?『――お前が雷光(ライトニング)か?』

    翼『え…?』

     急に声をかけられ、振り返る。
     そこにはショートの黒髪に眼鏡をかけた目つきの鋭い男性が、翼を見下ろす形で立っていた。

    翼『だ、だれ?』

    黒須『マスターレイス14(グサイ)、黒須左京と言えば分かるか?』

    翼『くろす、さきょう…!?』

    黒須『…確かにお前はオーヴァードでなく“レネゲイドビーイング”だな。資料通りで助かる』

    翼『ファ、ファルスハーツのお偉い様が、このボクに何の御用でしょうか…!?』

    黒須『お前が協力しているセルに、UGNから離脱した『七雲空』と言う人物がいると聞いた。そいつは何処にいる?』

    翼『え、えと…! 確か空さんは別の任務に行ってた筈…待ってください、リーダーの狩谷さんに聞いて』

     鞄から携帯を取り出した直後、音を立てて内部が爆発し破壊された。


    GM「ぶっちゃけた話、ブラックドックのイージーエフェクト《ショート》の効果だ」

    ツバサ「あー、確か過電流によって電源が必要な機械を破壊するエフェクトだよね」

    グラッセ「ブラックドックってそんな事も出来るんですねー。どこぞの電撃使いは力に任せての攻撃が主流だから、こんな繊細な使い方思い付かないでしょうねー?」

    ムーン「…お前、意外とウラノスの事嫌ってるんだな」

    グラッセ「当然だろ!! あいつの所為で俺がどれだけ酷い目にあってると思っているんだよ!?」

    クウ「グラッセ、愚痴りたい気持ちは分かるがゲームしてる最中だからな。話は後で聞いてやるから、な?」


    翼『ヒイィ!?』

    黒須『滅ぼすべきオーヴァードの手など借りるか…虫唾が走る!!』

    翼(こ、こここ…殺されるぅぅぅーーーー!!! 誰か助けてぇ!!? お願い三百円上げるからぁぁぁ!!!)

     僅かに電流が漏れる指を向けられながら黒須に睨まれ、翼が声無き悲鳴を上げる。
     絶体絶命に追いつめられた少女の叫びは――神に届いた。

    エリー『翼、お待たせぇ!!』

    翼『エ、エリー!?』

    エリー『見て見て、ニャンズラゲットしたよ!! 丁度私で最後だったのよ! 私、今朝の星占いの順位は一位で何やっても上手く行くんだよ、ドンピシャでしょ!? 今日は本当についてる〜!!』

    黒須『…誰だ?』

    エリー『やだ、イケメン! まさか翼の彼氏?』

    翼『止めて!? お願いエリー、これ以上危険人物を刺激しないでぇ!!』

    エリー『翼の知り合いって事は、もしかしてあなたも“オーヴァード”って人なんですか?』

    黒須『何だ? FHの連中か?』

    エリー『いやー、残念ながら私そう言う…レネゲイドだっけ? 発症してないんです。だからこう、特殊な能力とか使える翼とか羨ましくて。あ、あなたはどんな事が出来るんですか!?』

    黒須『…良い物か、こんな忌まわしい力…!!』

    翼『ッ! エ、エリー逃げてぇ!』

     更に目つきを鋭くして肩を震わせる黒須に、翼はポケットに仕込んであるコインを取り出す。
     そのまま《ワーディング》を展開…しようとするが、その前に黒須は二人に背を向けて離れていった。

    黒須『そこのレネゲイドビーイングはともかく、人であるお前は今後一切オーヴァードに関わるな。オーヴァードは抹消しなければならない存在だ。自ら足を踏み入れる必要などない』

    エリー『なんか、ミステリアスな雰囲気…これぞ運命の出会いって感じ!? で、結局あの人誰なの?』

    翼『エ、エ…』



    翼『エリーーーーーーーーーー!!!』



     黒須が完全に離れたのを見計らって、翼は涙目でエリーに抱き着いた。

    エリー『つ、翼?』

    翼『しししししし死ぬかと思ったぁぁぁーーーーーーーーーーーーー!!!!! 今すぐ家に帰って引き籠りたいぃぃぃ!!! うわあああああああああん!!!』

    エリー『翼ー!?』

     半ばパニックに陥っていると、翼の脳内に電波が届く。
     無意識に能力を使っていたのか、壊された携帯に届く筈の狩谷の携帯の電場を自ら受信していた。


    GM「これも翼の《タッピング&オンエア》の効果だ。自動的と言う事で、浸食率は上げなくても構わないよ」

    ツバサ「わーい、浸食率が節約されるのは嬉しいよね!」

    ムーン「あ! だったらGM、次俺出る時《ディメンジョンゲート》を使って凍矢を支部に連れていく描写にしたいんだが、浸食率上げなくてもいいか?」

    GM「そう来たか…まあいいだろう。浸食値は上げないが、描写は使った後と言う事で頼むよ」

    ムーン「おっしゃ! 行ってみるもんだな!」

    グラッセ「二人ともいいな…俺も早くイージーエフェクトを使いたい!」

    クウ「今度から俺もイージーエフェクト取るかなぁ。三人と違ってピュアのブラム=ストーカーだから多く取れないのが難点だけど…」


    狩谷《翼、いるカ? 緊急の連絡が》

    翼『狩谷さーーーーーーん!!! うわあああああああん!!! ボク生きてるよね生きてるよねぇぇぇ!!?』

    狩谷《つ、翼…?》

    翼『生きてるよね!? 死んでないよね!? ボクもエリーも雷電で殺されたりしてないよねぇぇぇ!!?』

    狩谷《…とりあえず報告ダ。別のセル部隊がこの町にやって来て活動をしようとしているらしイ。管轄である俺達に内緒でダ。至急セルについての動向を調べてクレ、俺は他のメンバーに連絡をスル》

    翼『ムリムリムリ!! あんな後で行動なんて絶対ムリーーーーー!!!』

    エリー『翼、落ち着いてよー!?』


    ツバサ「ってな感じで、ボクもシーンを退場するよ。少しでも黒須さんがヤバイ人物だって分かってくれればいいんだけど」

    GM「うん、分かってくれたんじゃないかなぁ…」(遠目)

    SM「さて、これで全員オープニングフェイズは終了だ。ここからはいよいよミドルフェイズに入るよ」

    16/03/20 00:33 NANA   

    ■作者メッセージ
     補足コーナー

     黒須左京:マスターレイス14(グサイ)のコードネームを持ち、あらゆるオーヴァードへ激しい憎悪をぶつける青年。特にUGNに向ける憎しみは病的で、無差別に狩りだしている程。シンドロームはピュアブリードのブラックドック。
     かつてはUGNイリーガルとして活動していたが、ある事件でUGNエージェントの一人が彼の家族を誤って殺してしまった事が原因で敵として変わってしまった。詳しい経緯は不明だが、その事件以降姿を消していた際、コードウェル博士のスカウトによって彼は博士直属の部下としてFHへと鞍替えした。
     彼の望みは「すべてのオーヴァードの殺害」。その為、FH内でも孤立しており何らかの行動をする際は常に単独で行っている。
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