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ダブルクロスThe 3rd Edition【Dual Trigger】

NANA

INDEX

  • あらすじ
  • 01 セッション準備前&プリプレイ
  • 02 ハンドアウト&PC紹介・前編
  • 03 ハンドアウト&PC紹介・後編
  • 04 オープニングフェイズ1&2
  • 05 オープニングフェイズ3&4
  • 06 ミドルフェイズ1
  • 07 ミドルフェイズ2
  • 08 ミドルフェイズ3&4&5
  • 09 ミドルフェイズ6&7
  • 10 ミドルフェイズ7(前編)
  • 11 ミドルフェイズ7(中編)
  • 12 ミドルフェイズ7(後編)
  • 13 ミドルフェイズ8
  • 14 ミドルフェイズ9
  • 15 ミドルフェイズ10(前編)
  • 16 ミドルフェイズ10(後編)
  • 17 クライマックスフェイズ1
  • 18 クライマックスフェイズ2
  • 19 クライマックスフェイズ3
  • 20 クライマックスフェイズ4&バックトラック
  • 21 エンディングフェイズ1
  • 22 エンディングフェイズ2
  • 23 エンディングフェイズ3
  • 24 エンディングフェイズ4
  • 25 FS判定・練習編(前編)
  • 26 FS判定・練習編(後編)
  • ミドルフェイズ6&7


     ミドルフェイズ6 シーン11〈黒須の目的〉
     シーンプレイヤー 御坂翼

    GM「さて、黒須について調べたからトリガーイベントを発生させて貰おう。ここでは黒須左京との接触のシーンを行う。シーンプレイヤーは翼だ」

     《シーン登場》
     翼1D→1 47%→48%

    ツバサ「いやー、前回の酷さが嘘のようだよ!」

    GM「それじゃあ、黒須左京との接触だけど、二人も出たかったら出てもいいよ?」
    グラッセ「いえ。俺達浸食率がマズイし、何より上級ルルブでキャラの確認したんですが…UGNを憎む理由が分かったので、極力は避けます」

    ムーン「上に同じだ。これは憎まれても仕方ない」

    GM「それでは、描写をしようか。君は依然シキと戦った公園ガード下で《ワーディング》を張って待ち合わせをすると、黒須が現れるよ」



    黒須『…よく俺の連絡先が分かったな』

    翼『ボクもブラックドックだからね』

    黒須『それで、わざわざ呼び出したと言う事は七雲空を連れてきたのか?』

    翼『いいや。空さんは現在行方不明なんだ――黒須さん、何か心当たりとかある?』

    黒須『【デュアルコンバート】に先を越されたか…!』

    翼『それ、戦闘用人格で構成されたセルだよね?』

    黒須『話が早いな。流石は管理セルと言った所か――まあいい、ここに来た理由を教えよう』

     そう言うと、黒須は腕を組む。
     眼鏡を軽く押しやると、改めてツバサを見遣る。

    黒須『俺がここに来たのは“戦闘用人格”に関してだ。その為に七雲空に接触しようとした。その過程で、【デュアルコンバート】も七雲空を狙っている事を知ったんだ』

    翼『どうしてそのセルが空さんを狙ったのか分かる?』

    黒須『…なぜお前に教える必要がある?』

    翼『…質問を変えるよ。黒須さん、あなたはどうして空さんに接触しようとするの? 戦闘用人格は珍しいかもしれないけど、FHを探せば何人もいる筈だ。なのに、どうして入ってきたばかり、しかも元UGNエージェントである空さんにしたの?』

    黒須『…奴の経歴に興味を惹かれた。それだけだ』

    翼『経歴?』

    黒須『知らないのか? まあ、奴の記録は抹消されたからな』

    翼『ちょっと待って、抹消って何!?』

    黒須『ライトニング、お前は公安警察特殊犯罪調査室――特調の事は知ってるか?』

    翼『それ、UGNとパイプのある警察組織だよね。でもUGNを嫌っていて、オーヴァードも同じように嫌悪している…オーヴァードを殲滅する事で事件を解決させようとする過激派でもある。あなたと同じように』

    黒須『否定はしない。七雲空――奴はその幹部の息子だ』

    翼『う、嘘!? それってお偉いさん!?』

    黒須『俺も完全に調べきれていないが…奴は特調に所属する幹部の一人息子だったそうだ。レネゲイドの存在が公になって10年以上だ…これからの特調を引っ張る人間として教育されてきた、期待の星と言っても過言ではなかっただろう』

     だが、とここで言葉を切る。

    黒須『将来を約束されていた男が、オーヴァードに発症していたとしたら? 嫌っている存在が紛れ込んだと組織が知ったら? 相対する敵と教えられて、いざ自分がその立場だと突きつけられたら?』

    翼『……空さんは社会的抹消される代わりに、UGNに入った?』

    黒須『可能性は大いにある。俺は本人から話を聞いてみたい、そう思った。そして戦闘用人格についてもな。オーヴァードを根絶やしにするヒントがあるかもしれない。丁度良かったんだ。奴の戦闘用人格は“特別”だからな』

    翼『特別?』

    黒須『だが、【デュアルコンバート】に誘い込まれたならば…少し対策を練らなければならない。奴を見つけたら呼んでくれ、場合によっては力を貸そう』

    翼『待って!』

     話も終わり、去っていく黒須の背中に翼は声をかける。
     もう彼女には激しい復讐者に対する畏怖や怯えはない。あるのは、ノイマン能力によって導き出した彼の本音。

    翼『黒須さん、空さんに接触したい本当の理由……今の自分を空さんに重ねたんじゃないの? オーヴァード排除の思想、UGNに裏切られた、復讐の為にFHに鞍替え…だから!』

    黒須『勘違いするな』

     翼が語り掛けるが、黒須は振り返るなり冷たい視線を浴びせて遮った。

    黒須『オーヴァードは全て排除する。一度見逃したとしても何時か必ず俺もろとも滅ぼす――それが俺の欲望(ねがい)だ』

     それは、揺ぎ無い欲望(ねがい)。FHならば、誰しもが内に持っているモノ。
     力でねじ伏せても、心に響かせてたとしても、彼の思いは何をもってしても曲げる事は叶わない。その事を翼がひしひしと感じている間に、黒須はその場を去っていく。
     《ワーディング》を解いても尚、翼はしばらく動く事はなかった…。



     ミドルフェイズ7 シーン12〈亀裂〉
     シーンプレイヤー 闇代月

    GM「それでは、アジトに潜入だね。ここでは全員登場、まずは三人からダイスを振って貰おう」

    三人「「「シーンイン!」」」

     《シーン登場》
     凍矢1D→3 51%→54%
     月1D→8 53%→61%
     翼1D→1 48%→49%

    ツバサ「相変わらず少ない。うーん、《リザレクト》に余裕は出来るけど」

    ムーン「おい、俺60%超えたぞ? いやここからダイスボーナス貰えるけどよ…」

    グラッセ「戦闘になっても、火力は大丈夫そうだな」

    GM「さあ、開始するよ!」



     日も半分くらい傾き、そろそろ夕暮れになろうとする時刻。
     少し薄暗い町外れの廃倉庫の前へと三人は辿り着いた。

    月『ここのようだな』

    翼『見た所、人は誰もいない感じだけど…』

    凍矢『月、何か分かる?』


    ムーン「GM、《獣の直感》で何か探れるか?」

    GM「うーん、そうだね…なら、こうしよう」


    月『奥から気配がする――っ!』

    凍矢『どうしたんだ、ムーン?』

    月『…一つは見知った奴だ。空だろう』

    翼『そっか…』

    凍矢『翼』

    翼『大丈夫、行こう。話は聞いてたし、連れ戻せばいいよ』

    凍矢『分かった』



     倉庫の中に足を踏み入れる三人。
     光は入り口だけを照らすだけで、先の見えない闇が中を包んでいる。
     そこで凍矢は《炎の理》で掌に炎を生み出して中を照らし出す。照らされた場所は一見すると何の変哲もない倉庫で、凍矢を先頭にして一行は奥へと歩きだした。

    『凄いね凍矢、炎を使えるんだ』

    『ああ、最近使えるようになったんだ。それにしても、誰もいない…妙だ』

    『でも、気配はあるぜ。そいつを倒せばいい話だ』

     三人が会話をしていると、翼が思い出したように凍矢に話しかけた。

    『ねえ、凍矢。いつの間にかボクの名前呼び捨てにしてるよね?』

    『あ…、だ、駄目だった?』

    『駄目じゃない。寧ろ嬉しいよ、ボクは凍矢の信用を得れたんだなって』

    『そうだな、一緒に戦い合った仲だし』

    『最初はFHと組んでどうなるかと思ったが、こうして二回も組む事になるとはな。って言うか、お前の方はいいのか? 俺達UGNと組む事になって』

    『ん? ボクの方はそんなの気にしないよ。ボク達のセルって基本自由だから。この町のUGN支部と敵対する気もないし』

     月の質問に答えると、凍矢は意外な表情を浮かべる。

    『FHって、無差別に犯罪を起こす集団で俺達と敵対関係って聞いたけど…本当は違うの?』

    『あ〜…その考えで当たってるよ。ただ、FHのセルは個々で方針が違うんだよ。ボクらの場合は、むやみやたらに犯罪を起こすような集団じゃなくて、普通の人として過ごす日常や自由を満喫したい。ただそれだけなんだ。その辺は時間があったら説明するよ』

    『うん。ありがとう、翼』

    『おい、あれ』

     月の指した方向に、二人は会話を止めて前を見る。
     突き当たりとなる壁に、両開きの大きな扉がその存在を知らしめていた。



    ツバサ「それじゃ、ここで月にロイス取ろうかな。Pは連帯感で、Nが隔意。仲間として意識してるけど、組織の壁があるから時折隔たりを感じてしまう。表はPね」

    グラッセ「俺も翼に取ろう。俺も仲間意識があるからPは連帯感。俺の知らないFHの事を詳しく知っているから、Nは劣等感。表はPにしよう」

    月「俺も翼に取っておくか。Pは二人と同じように連帯感、Nは昔の俺と同じFHなのに環境が全然違う事に対する嫉妬だな。表はPにしとく」



     三人が扉を開けると、部屋の奥から人影が現れる。

    符宴『おうおう、誰かと思ったらガキどもか。俺達も舐められたもんだな』

    月『てめえ、デュアルコンバートの一員か? 志武谷で何をしようとしてる?』

    符宴『ああ? 何だっていいだろ?』

    翼『空さんは何処!! ボク達のメンバーを返してもらうよ!!』

    符宴『んだよ? あのガキども、お前の知り合いか?』


     《シーン登場》
     空1D→7 51%→58%


    空『――知らないな』

    翼『…っ! な、何言ってるの…!?』

    凍矢『空さん! 俺達はともかく、翼はあなたの事を心配して――!!』

    空『知らねえって言ってんだろ、ガキ共。符宴…ぶった斬ってもいいよな、こいつら?』

    符宴『構わないぜ。さーて、餌も来た事で…お前ら、作戦を開始しな!!』



    GM「ここで凍矢のみ〈RC〉での判定をして貰おう」

    ツバサ「え? グラッセだけ?」

    GM「たまたまグラッセは判定出来る条件を満たしているんだ。難易度は7としよう」

    グラッセ「意地でも当てる!」

     RC判定
     凍矢3D+2→16 成功

    グラッセ「フッ、これが俺の実力だ!」

    ムーン「すげえな、グラッセ!」

    ツバサ「前回同様、クリティカルバンバン出しちゃってるよ!」

    クウ「まあ、戦闘じゃ女神に見捨てられるけどな」

    グラッセ「ぐふ!」



    凍矢『この感覚…!』

    月『どうしたグラッセ!?』

    凍矢(間違いない、《声無き声》だ! 一体誰に、いや発信先は――町中!)

     発動したエフェクトの正体が分かり、凍矢もすぐに《声なき声》を発動させる。

    凍矢(ヨシュア! 聞こえるかヨシュア!)

    ヨシュア(凍矢か、丁度連絡しようと思っていたよ…ジャームの群れが現れた)

    凍矢(そんな! 町は!?)

    ヨシュア(今は広範囲の《ワーディング》を張っているおかげで、一般人は無力化した! だが、長くは持たない! 数が多すぎるんだ、至急戻って加勢してくれ!)

    翼『凍矢?』

    凍矢『町中にジャームが現れた! お前の差し金か!!』

    符宴『チッ、ソラリス持ちがいたとは想定外だ…だが、気づいた所でてめえらは何もできやしない!! おい、空! 足止めは任せたぜ!』


    SM「そうして符宴は《瞬間退場》でその場を去るぜ」

    ツバサ「ずるーい! 逃げたー!」


    空『さてと、そんじゃま仕事をするか』

    翼『空さん…』

    凍矢『空さん、本当に俺達と戦うんですか!? あいつらに脅されているとか、操られているだけなんですよね? 好きでやってる訳じゃないですよね?』

    空『グダグダうるせぇんだよ。てめえらの事なんぞ知らない――俺は邪魔する敵を殺せればそれでいいんだよぉ!!!』

     獰猛な笑みを浮かべ、血の剣を作り出す空。
     敵となった空に翼も凍矢も怯む。が、月だけは変わり果てた彼の姿を見て乾いた笑みを作っていた。

    月『――それがてめえの本心か、FH…!!』

    翼『月…!』

    月『凍矢、翼。お前らは町に戻れ。こいつは俺が――』


    ムーン「ここで言葉を切り、《ディメンジョンゲート》を使うぜ。浸食率は64%に上げる。そのまま二人を闇の回廊に似たゲートの中に押し込むぜ」


    凍矢『待ってくれ、ムーン!!』

    月『いいから行け!! 志武谷の方は任せたからなぁ!!』

    翼『待ってよ、月ぃ――…!!』

    空『自分を犠牲に仲間を逃がしたか? ハッ、泣かせるなぁ?』

    月『逃がしたんじゃねぇ……あいつらには絶対に出来ない、仕事の邪魔になるから引っ込ませただけだ』

     断言すると、月は振り返る。
     彼の全身から、獣並みの鋭い敵意を滲ませて。

    月『お前は連れて帰らない。てめえは俺が――始末する。元仲間であろうと、FHは…危険分子は始末する。それがUGNの仕事だ!!』



    ムーン「ここで、空のロイスをタイタスに変化するぜ。敵であるこいつに情は抱かない。始末すべき対象だ」

    グラッセ「い、いいのか?」

    ツバサ「昇華じゃないから大丈夫。まあ、バックトラックでのダイスは無くなっちゃうけど」

    ムーン「だが、それだけの価値はあるだろ?」

    16/04/09 15:14 NANA   

    ■作者メッセージ
     補足コーナー:タイタス化について

     セッション中、ゲームの進行によりPCとロイスで結ばれたキャラクターの関係が劇的に変化したりした場合、ロイスをタイタス化する事がある。
     具体的は、今回のように『ロイスを結んだキャラがPCを裏切った』。他には『ロイスを結んだキャラが死亡してしまった』、『ロイスを結んだキャラがPCを拒絶した』など。人間関係が急激に変化した場合にこのような処置がなされる。
     タイタス化はそのようなシチュエーションになった場合は必ずしもしなければならないと言う訳ではない。GMとPCで相談してタイタス化してもいいし、しなくてもいい。
     と言うのも、ダブルクロスのシナリオの中には、登場するキャラのロイスをタイタス化や昇華するとPCにとってメリットとなるイベントが消えてしまうギミックが盛り込まれていたりするからだ。実は今回のシナリオには、そのギミックを含ませていたりする。

     尚、ロイスをタイタス化した場合でもそのタイタス化のロイスはタイタス昇華に使える。しかし、バックトラックで振るダイスはその分減ってしまう。(例:残ったロイス4・タイタス化1・タイタス昇華1の場合、振れるダイスは4個)
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