第四試合(ライダー)
「さーあ、いよいよこの試合も折り返し地点! 次はライダークラスだー!!」
休憩を挟んでエリちゃんのダメージを回復させ、盛り上がりを見せて次なる試合を開始する藤丸。
気になる対戦相手の発表…と言う所で、突如コロシアム全部の電気が消えて真っ暗になってしまう。
「ん? 何?」
「停電か?」
突然の停電だが、リズとグラッセは慌てる事なく落ち着いて辺りを見回す。すると、前触れもなく激しい光源がコロシアムに現れた。
「うわ、眩しっ!?」
暗闇の中から現れた光源に、慌てて目を瞑るムーン。それは三人だけでなく、カルデア側の人達も同じだ。
どうにか目が慣れて、改めて前を見ると――そこには、金で出来た見上げるほど巨大な玉座が現れている。
そんな玉座に、一人の男が座っていた。
「余が、余こそが! ライダークラスの頂点にしてファラオの中のファラオ! 太陽の化身、オジマンディアスである! 余を崇める事を許す! 貴様らの持つ刃を余に向けて戦う事を許す! 存分に余の輝きに平伏すが良い!」
褐色の肌に金の装飾、白いマントを羽織ったその男――オジマンディアス。謳い文句を言いながら、玉座から立ち上がり笑いながらリズ達を見下してきた。
「なんかすんごいのが出てきたんですけどー!?」
今までのサーヴァントとは全く比べ物にならない高次元の威厳、圧倒的なオーラ、高圧的な態度。一目で王とも呼べる存在の登場にグラッセがツッコミと言う名の叫びを発揮する。
そんな一般人の感性を持つグラッセに、藤丸は得意げに鼻を鳴らす。
「先に言っておこう。俺のオジマン様は沖田さんなんかとは比べ物にならないほど強いぞ」
「マ、マスター!? 今聞き捨てならない台詞言いませんでしたか!?」
吐血でベンチにいた沖田が詰め寄るが、藤丸はリズ達に、これまでのオシマンディアスの武勇伝を語り出す。
「あらゆるキャスタークラスのボスでは確実にスタメン入り。概念礼装の【起源弾】と共に、その破壊力で何もかもを葬り去ってきた。神聖円卓領域、絶対魔獣戦線、そして冠位時間神殿のラスボスですら相性関係なくメンバーに加えてきた。特に〇ー〇〇アのラストバトル二連戦では、オジマン様がいなければ石使わずに令呪復活だけで勝利なんて出来なかった。いやマジで」
「その戦い私も入ってたじゃないですかマスター!? そもそも6章は私がクラスの相性的に作戦の要でしたし、7章のラスボスは私が限界までゲージをブレイクしてHPを削っていたじゃないですか!?」
自分の立場がなくなる危機感に、その時の戦いを思い出させようとする沖田。必死な彼女の横で、マシュは眼鏡越しに遠い目を浮かべる。
「まあ、オジマンディアスさんを当てたのは本当に偶然なんですがね。当初はピックアップされていたギルガメッシュ(キャスター)狙いで10連したら、なぜか二枚出てきたという豪運を発揮しまして…しかもその後に10連したら、今度は星4ライダーのマルタさんまで2枚やってきて…」
「狙って引いた訳でもないのにうちのカルデアにやってきたんですか、この傲慢は!? マルタさんも何か言ってやってください、同じ同期のライダーでしょう!!」
仲間を作ろうと沖田は、白と赤の修道服風の衣装を着た女性――マルタに賛同を求めるが。
「そりゃ私だって、ガチの殴りあ…こほん。私は聖女ですよ? スキルもサポートが中心なんです。ルーラーならともかく、そんな物騒な事出来るはずがありませんわオホホホホ」
「ふむ…あのマルタって奴は私と同類と見た」
「ルーラーならいいのか…?」
一瞬聖女らしからぬ言葉がマルタの口から出た事で、リズはマルタに対しての好感度が上がった。対するグラッセは若干引いてしまった。
「私は文句ありまくりだけどね! ライダーなら女神たる私だっているのよ! どうしてあんなギルガメッシュと同等の男に全部任せる訳よ!」
ブツブツと文句を吐きながら乱入したのは、赤い悪魔と呼ばれる少女を依り代にした女神…ピンクのパーカーを羽織った水着仕様のイシュタル(ライダー)だ。
彼女は確かに強い。本来はアーチャーだが、ライダーにクラスチェンジした事で八極拳で戦うスタイルとなった。…ライダーに八極拳関係ある? とか言っちゃいけない。
そんな彼女にも、弱点が一つ。
「イシュタルさんは、そのうっかりスキルと言う名のデメリットを自力で克服出来たら出してやってもいいけど?」
「うっ…私、用事思い出しちゃった…!」
藤丸の言葉に、イシュタルは顔が引きつって後ずさる。
彼女の弱点として、スキルに1ターン行動不能のデメリット付属効果持ちである事。これを解消する為に、マルタを入れたり魔術礼装を使ったりするので、一人だと使い方を間違えると一気に窮地に陥る爆弾持ちなのだ。
「そう言う訳で、今回の相手は小細工なしの実力勝負だ。さあ、誰がオジマン様と戦うか決めるがいい」
「どうしてさっきから私の訴えがスルーされているんですか!?」
スズノヨミまで話を聞いてくれない状況に沖田が叫ぶ。
さて。カルデア内の強敵ともいえる、オジマンディアスに立ち向かうのは…やはりと言うべきか、リズだった。
「ふん。相談するまでもないわ。私が相手よ、ピラミッド男! てか、その上から目線な態度気に喰わねぇ!! 降りてきて堂々と勝負しやがれぇ!!」
「ふん。小娘、光の力を持つと聞いていたが…太陽と比べて、何とまあちっぽけな光な事か。お前の光など、神たるファラオから見ればそこらの街灯…いや、豆電球とやらの光源しかないな! フハハハハハ!」
「おーし、こいつはぶっ殺す!! 霊基消失だかしても、復活出来ないまでボッコボコにしてやらぁぁぁ!!!」
完全に馬鹿にした発言に、リズは雄たけびを上げて勢い付けて突っ込む。
そしてキーブレードを振り下ろし、砂埃を起こすほど玉座を破壊した。
「やったか!」
「ムーン、それフラグ!」
思わずグラッセがガッツポーズを作るムーンにツッコミを入れていると、砂埃が払われる。
リズの渾身の一撃は、オジマンディアスに確かに直撃していた。
だが、殴られた傷は瞬く間に回復した。
「その程度か? 準備運動にもならぬ」
「んだとぉ!!」
「攻撃とは――こうするものだ!!」
オジマンディアスが叫んだ瞬間、頭上から巨大な光の光線が地面に沿いながらリズへと襲い掛かった。
「あぶなっ!?」
「って、こっちきたぁ!?」
リズがとっさに避けると、光線はそのままグラッセ達のいるベンチの方まで伸びてきた。
二人も慌ててて横に避けて、ホッと一息…したのも束の間。光線で焼けた地面が連続で爆発を起こして追撃した。
「「のわあぁ!?」」
「グラッセ、ムーン!?」
「もう終わりか、小娘! この程度でファラオたる余を倒すとはよくほざいたものだ! 惰弱もここまでくれば笑えて来る!! ファラオの神威を見るがいい、フフフフ、フハハハハハ!!」
馬鹿にしているのか、怒っているのか。口を動かしながら浴びせる程巨大な光線を、リズの頭上だけでなくベンチを含めたコロシアム全体へと降り注がせる。
「なにこのファラオ!? もう試合関係なく、お構いなしに暴れてるだけじゃないかぁぁぁ!!」
「大体ファラオってなんだよ!? なんでスフィンクスからもビーム出るんだよ、もはやファラオ関係なくないかこれー!?」
そんな死に物狂いでオジマンディアスの攻撃を避けているグラッセとムーン。一方、観戦席は…。
「概念礼装【月霊髄液】」
「魔術礼装《緊急回避》」
「『時に煙る白亜の壁』」
スズノヨミは装備用のカードを、藤丸はカルデア衣装に込められた回避スキルを、マシュもデミ・サーヴァントとなって無敵スキルを発動させる事で、ちゃっかりとオジマンディアスの流れ弾を防いでいた。
「って味方にまで攻撃しているぞ、このファラオ!?」
「フハハハハハ! ファラオに不可無し、万物万象我が手中にあり!」
「ファラオって言えば何でもかんでも理屈が通ると思ってんですかこの慢心は!! 傲慢は!! いやファラオはー!!」
もはや、コロシアムにはオジマンディアスによる攻撃音と、ムーンとグラッセの悲鳴しか聞こえなくなる。
戦っているリズの声は一切聞こえない――静かすぎるほどに。
「ふん。もう終わってしまったか? あっけないものだ――」
「隙だらけすぎるわファラオーーーーー!!!」
攻撃の手を止めた瞬間。なんと、具現化したスフィンクスに隠れていたリズが頭上をから飛び出す。
そして、振り返ったオジマンディアスの顔面目掛けて飛び蹴りを喰らわせた。
「「「「「えええええーーーーーーー!!?」」」」」
「攻撃の手を止める、この瞬間を待っていた! さっさと倒れろや!! ファラオー!! 光竜閃光剣!! 更におまけじゃー!!」
ベキバキとキーブレードで殴る連続攻撃、更に光の竜の波動を使った大技をオジマンディアスに諸に喰らわせ、更にトドメとばかりに再び飛び蹴りを放った。
「あの破天荒…一方的にやられたからか、物凄い勢いでオジマンに攻撃してるぞ…」
「そうですね、実況者のスズさん。今の彼女の攻撃を例えるなら、B(バスター)、B(バスター)、宝具、そしてエクストラアタック――リズ選手、流れるような連携コンボを見せつけています」
「先輩、試合中の映像が出ました――まさか、オジマンディアスさんのスフィンクスにしがみついて攻撃をやり過ごしていたとは…あの人、何者なんですか!?」
「あ? ただの頭のネジが何本も抜けた化け物だよ」
((なんでだろう、否定が出来ない…))
スズノヨミが発するリズの悪口に、幼馴染二人は怒るに怒れなかった。目の前で圧倒していたオジマンディアスを、容赦なくボコボコにしている光景を目の当たりにすれば、そうなっても当然だろう。
現に彼女は、勝ち誇った様子で倒れたオジマンディアスの背中を踏んづけて踏ん反り返っている。
「あっはっはー! ファラオ破れたり、これが私の実力じゃー! おらぁ、散々人をバカにしやがって!! 神様ってのも大した事ないな、ええ!?」
「もう止めてリズー!! うちの子がすいませんー!!」
ゲシゲシと踏んづけるリズに、グラッセが土下座する勢いでオジマンディアスに謝り倒す。これには観戦席の三人も遠い目を浮かべるしかなかった。
「…あいつ、サーヴァントになったら絶対バーサーカークラスだな」
「ニトクリスさん、この場にいなくて良かったですね…先輩」
「ああ。この試合見てたら絶対、カルデアに死者が大量発生していたよ…」
ニトクリス。最古のファラオの一人と言われる女性であるがゆえに、ファラオの頂点に立つオジマンディアスを崇拝している。別名天空の神ホルス、そして冥界の神。そんな彼女の得意技は、鏡を使った高確率の全体即死攻撃である。味方ならありがたいが、敵ならば死ねる強さだ。
そんなこんなで、ライダークラスの対決はリズの勝利で終わり、ついでにグラッセの胃痛がマッハになったと言う。
■作者メッセージ
なぜなにFGOコーナー3
藤丸「マスターと!」
マシュ「後輩の!」
藤丸&マシュ「「なぜなにFGO〜!」」
藤丸「このコーナーも三回目! 剣豪編のボスが毎回強かったけど、どうにか令呪だけでクリア! そして幕間の物語追加&二部4章配信おめでとう! マスター藤丸と!」
マシュ「現在1.5章のセイレム編を攻略中! 魔女裁判の裏に潜む、触れてはいけない狂気の影! 囚われた先輩もアビゲイルさんも私が救います! と言う状態の後輩マシュがお送りします!」
ムーン「ゲストのムーンだ。よろしくなー」
藤丸「それじゃ、早速質問コーナー行ってみようか」
ムーン「おう。今回スズノヨミが使った、カードみたいなの…確か【概念礼装】って言ってたよな。あれって、どう言うのなんだ?」
藤丸「【概念礼装】って言うのは、言ってみれば装備品のようなものだね。これにもレア度はちゃんとあって、サーヴァントにつける事でステータスをアップするだけじゃなく、カードごとに特殊効果も得れるんだ」
マシュ「例えば、先輩がオジマンディアスにつけていたと言う【起源弾】。これはキャスタークラスに対して、特攻効果…ダメージを増やすだけでなく『無敵貫通』と言う、敵が無敵効果と回避効果を使っていてもすり抜けでダメージを与える事が出来るんです。ちなみに、このカードは星5です」
藤丸「あと、スズノヨミが使っていた【月霊髄液】。これは与ダメージを増やしつつ、無敵効果を3回つけられるんだ。攻撃を3回だけ無効化出来る代物さ。もちろん、これも星5だけど」
ムーン「へー。でも、色んなイラストがあるんだよなー」
藤丸「そう。これは装備品だけでなく、イラストの解説も見れるんだ。イラストに描かれているアイテムがどう言ったものか。それだけでなく、人物のイラストも沢山あるから結構面白いな」
マシュ「はい。概念礼装ごとに効果も様々ですので、強化するもよし、集めるもよしです。レア度が低くても、役に立つものは沢山ありますからね。何より、パーティを組むにはコストの関係だってありますから、強いサーヴァントに礼装と組み合わせればすぐにコストオーバーになってしまいます。何事も上手い組み合わせを見つけるのも大事です」
ムーン「ふーん。…でも、こう言った装備があるのは面白いよな。もし俺達がこんなイラストで装備品になったらどうなるんだろ? マシュやマスターのイラストだってあるし」
マシュ「それは…確かに面白そうです。先輩、せっかくですし礼装を皆さんで考えてみるのはどうでしょうか?」
藤丸「んー…うん、確かに面白そうだな。なら、次回はみんなで新礼装を考えてみるか!」
ムーン「やっりー! じゃあ、次はリズとグラッセも呼んでみんなで新しい装備品作ってみるぜー!」
スズノヨミ(………嫌な予感しかしない)(セットの裏手で)
オマケ
先輩マスター(代役、ナナ)「――さて。FGOを紹介した訳だが、リラさん最初の金枠サーヴァントは何を手に入れた?」
ぐだ子(リラ)「ああ。エミヤ(弓)とアキレウス手に入れました。強いの?」
先輩マスター「(しょっぱなからすげーの当てたなおい!?)エミヤは最初は弱いけど、強化すれば化ける。アキレウスは、星5もあって結構強い。何より、その二人は原作あるから! アキレウスはアポクリファ見ると良い!」(アポクリファのアニメ全て見た人)
ぐだ子「なるほど。じゃあこの二人育てよう」
先輩マスター「ちなみに、今どこまで進めた?」
ぐだ子「今は、ネロの王様の章」
先輩マスター「一週間でそこまで進めたのかよ!?」
1週間後…
ぐだ子「ロンドン編クリアした!」
先輩マスター「はやくね!? いくら自分がフレンドになったとはいえ、早過ぎね!?」
ぐだ子「ちなみに、パーティはマシュ・エミヤ・アキレウス・アンデルセン・ベディだ!」
先輩マスター「事前情報もなしに何気に育てれば役に立つキャラ育ててるなおい!? 野生の勘発揮させたのかよ!?」
ぐだ子「え? そうなの? 普通に何か気に入ったのと、育てたら強いだろうなって思ったから育ててるんだけど」
先輩マスター「それを野生の勘って言うんだよ!? ん…? ねえ、アサシンとかどうしてる?」
ぐだ子「育ててない。だって好みのアサシンいないもん」
先輩マスター「そんなんでよく4章まで行けたな!? そんなんで6章行ったら泣きを見るよ!?」
更に一週間後…
ぐだ子「キャメロット編突入! ファラオ二人倒してお城に向かう所だー!」
先輩マスター「ねえ本当に早くね!? ごり押しプレイ酷くね!? 石か、石割ったのか己はぁぁぁ!?」