復刻ネロ祭・超高難易度1
第一演技「十二の試練」
「最初はヘラクレス戦かぁ…」
6月に始まった復刻ネロ祭。数年前に行われた高難易度に本格的に挑戦すると言う事で、先輩ことマスターは、過去の攻略方法を見ながら編成を行ってた。
その隣で、マシュも補佐として情報を閲覧している。
「ギミックとしては、ガッツが12回。そして開幕アーツ性能ダウンが発生します。幸い、後者は解除可能ですが」
「解除可能なら、キャストリアは入れておこうか。そしてマシュも前線に入れて…後は、アタッカーのメンバーだよなぁ。フレンド、特攻礼装入れているの少ないし……あ、でも弱体とかは効くのか。ならエウリュアレ……いや、エウリュアレは耐久が低い。それなら…」
歓声響き渡るコロシアム。本命の前に待ち受ける敵軍が行く手を陣取っている。
立ち向かうスタメンは、マシュ、キャストリア、そして弓を番える野性味あふれる大男。
「頼むぞ、フレンドの超人オリオン!」
マスターの声援に、サポートとしてやってきた人としてのオリオンは大声で笑う。
「おう、任せな! いやー、両手に女の子。これはお得ぎにゃー!?」
マシュとキャストリアに鼻の下を伸ばした瞬間、背後から高速の光の矢が襲い掛かる。
呆れながらマスターが振り返ると、そこには怖い笑顔を浮かべたアルテミスと、彼女の頭の上で震えあがっているマスコットのオリオンがいた。
「ダーリン? 目の前で浮気は許さないわよ?」
「何でアルテミス編成してるのー!?」
後方にいるアルテミスに悲鳴を上げる超人オリオンに、同じく後方に待機しているクーフーリン(槍)は思わず修羅場から目を逸らす。
「まあ、男性特攻持ちだからなぁ…」
「しかも、この前宝具2になりましたしね…ぐぬぬ、私だってマスターの幸運EXで…!」
バーサーカー対策として編成した主力のフォーリナー、ヒロインXX。過激な痴話喧嘩を前にしても変わらぬマイペースである。
そうこう騒いでいるうちに、バーサーカーによる前哨戦が始まる。
「雑魚戦が全部バーサーカーで厳しいけど、どうにか…オリオンも宝具使って強化出来た! ヘラクレス戦だー!」
マシュとキャストリアの守り、そして超人オリオンの『月女神の無垢な愛(アルテミス・アグノス)』の強化を受けて、ガッツが12回も付いているヘラクレスへと対峙する。
最初はマシュとキャストリアに守られながら、超人オリオンのクリティカル攻撃で着々とHPやガッツを削ったが…。
「あっ…!」
「マシュ!? やばい、マシュがやられた!」
攻撃力を強化したヘラクレスの攻撃で、マシュの体力が大幅に削られて退場となってしまう。
「任せて! 私とダーリンでヘラクレス倒しちゃうんだからー!」
「おい、アルテミス! このメンバー、防御は出来ても回復出来ないメンツだからな!」
颯爽と前に出るアルテミスに、超人オリオンが注意する。
ヘラクレスの猛攻は厳しいが、男性特攻と言うアルテミスの長所で着々とガッツを削っていく。
「どうにか、残り7回まで削れたけど…オリオンもアルテミスもボロボロだ…! 2人ともガッツがあるけど、連続で喰らったら終わる…!」
相手のガッツを減らしたのはいいが、守るのに必死でアルテミスの回避は既に使っている。アトラス院による魔術礼装の無敵も既に使った後だ。唯一残っているのは、キャストリアのスキルの無敵のみ。
マスターが戦況を確認していると、ヘラクレスのチャージがMAXになっている事に気づく。
「まず、宝具来る!? キャストリアのNP溜まってない! だ、誰に無敵を…!」
焦るマスターに、超人オリオンが叫ぶ。
「マスター、キャストリアを守れ! 俺とアルテミスがいなくなっても、キャストリアさえ残っていれば後の二人で削れるはずだ!」
「――オリオンごめん!! キャストリア!!」
「はい!」
スキルを発動し、キャストリアに無敵を付与させる。
そして、ヘラクレスの宝具が発動する。狙われたのは――キャストリアだった。
「があああああああああ!!」
「キャストリアに来た! あ、あぶねぇ!!」
ヘラクレスの猛攻を防ぎきったキャストリア。このナイスな判断にマスターは叫びを上げる。
だが、ヘラクレスの攻撃はこれで終わらず、何と瀕死の超人オリオンにトドメの一撃を喰らわせた。
「ダーリン!?」
「…はっ、これくらい、何てことねーよ…!!」
「ガッツで耐えたー!!」
スキルで発動していた超人オリオンのガッツに、またもやマスターは心から叫ぶ。
「ガアアアアアアアアア!!」
「しまった、アルテミス!!」
だが、防御が疎かになった瞬間を狙われ、今度はアルテミスがやられる。
マスターが悲鳴を上げる中、アルテミスはよろよろと立ち上がる。
「私だって…一回は耐えるわ!」
今回のイベント特攻礼装による恩恵で立ち上がるアルテミス。この姿にマスターは冷汗を拭う。
「イベント礼装で何とか耐えた…!! 残り、ガッツは4回…!」
ピンチに陥りつつも、ここまで生き延び、着々と削った成果。
マスターと同じく超人オリオンもまた、荒い息をしながらヘラクレスを見据えている。アルテミスはボロボロの状態だから、フラフラして今にも倒れそうだ。
そんなアルテミスに、超人オリオンは静かに話しかける。
「なあ、アルテミス」
「…どうしたの、ダーリン…?」
「もう半分以上は相手のガッツを削った。ここで俺らが倒れても、後はどうにでもなるメンツだ」
そう言って…彼は、とびっきりの笑顔を見せる。
「でもよ…ここまで来たら、一緒に勝ちたいと思わないか?」
この言葉に、満身創痍だったアルテミスの身体に活力が戻り出す。
「ダーリン…そうね。こんな機会、滅多にないもの!」
やる気を見せたアルテミスは、同じようにとびっきりの笑顔を浮かべる。
調子を取り戻した姿に、超人オリオンは後方にいるキャストリアに声をかける。
「キャストリア。これは俺の我儘だが…貴重な守り、アルテミスにくれないか?」
念のために取っていた守りのリソース。それを、アルテミスの為だけに使って欲しいとのお願い。
それを断る理由は、キャストリアにも、マスターにもなかった。
「ええ…行ってください、お二人とも!! 一回は守ります、選定の剣!」
「ありがとー、キャストリアちゃん。それじゃ…愛のフルパワー、行っちゃうんだから!!」
「行くぜ、アルテミス!!」
アルテミスの『月女神の愛矢恋矢(トライスター・アモーレ・ミオ)』に続くように、超人オリオンもまたヘラクレスへと攻撃を繰り出した。
それから少しして――超人オリオンは退場席に移動させられた。ヘラクレスの猛攻に最後まで耐えられなかったからだ。
コロシアムでは、交代で登場したクーフーリンが、丁度宝具でガッツを削り終えたヘラクレスにトドメを刺した所だった。
勝利出来たのは嬉しいが、謎の虚しさに襲われてゴロンと仰向けになる。
「やれやれ……かっこいい事行ったくせに、途中で力尽きちまったなぁ。トドメ刺したのも、槍のにーちゃんだしよ。あー、サポートで来たくせになっさけねぇ」
「そんな事ねーさ、俺」
超人オリオンに声をかけたのは、マスコット姿のオリオン。
どういう事だと聞こうとしたが、その前に何かが勢いよく抱き着いてきた。
「ダーリーン!! 勝ったわー! これもダーリンのおかげね!」
嬉しそうにはしゃぐのが誰か、見なくても分かる。
身体を退かす気にもなれず、アルテミスに為されるがままの状態で思った言葉を口にする。
「おいおい、アルテミス。俺は何にもしてねーよ」
「そんな事ないわ! ダーリンが守ってくれたから、私は最後まで戦えた! ダーリンの仇だってみんなで取ったんだから! この勝利はダーリンがいたからこそよ!」
ニコニコと熱弁するアルテミスに、さっきまで感じていた心の虚しさが消えていく。
やがてアルテミスはそっと顔を見合わせ、さっきとは違って優しくギュっと抱き寄せた。
「このカルデアには人としてのあなたはまだ居ないけど。私の為に戦ってくれて、守ってくれてありがとう、ダーリン」
優しく、いつでも自分を思う月の女神様。
愛が重いと常々感じるが――この時ばかりは、悪い気はしなかった。
「はは…まあ、こう言うのも悪くはねーわな」
「だろ?」
第二演技「光と影の師弟」
「次はスカサハとクーちゃんコンビか」
次の対戦相手は、スカサハとクーフーリン。こちらも、攻略を見ながらマスターとマシュは対策を立てる。
「どうやら、片方を倒すと全体即死を使ってくるみたいです。それ以外には、開幕宝具封印と回避を多く使ってくるとか」
「うへー、まあ回避関連はこっちもお世話になってるからなぁ。聖杯戦線とか本当にクーちゃん強いわ…何で第五次聖杯戦争、なんやかんやで途中で退場するんだろ」
「奴が幸運Eだからだろう、マスター」
「おい何か言ったか弓兵?」
しれっと作戦会議に交じって嫌味を吐くエミヤに、遠くで対戦相手としてスタンバっているクーフーリンが青筋を立てる。
「無敵貫通か必中…ホームズがいるけど、長期戦はマズイって言うしなぁ。それなら、強化解除の天草とか…」
「でも、宝具は3ターン封印されるそうですし…魔術礼装なら何とかなりますが、それも一人だけですし」
あーだこーだと編成を考えるマスターとマシュ。その姿を、スカサハが見守るように遠くから眺めている。
「ふふふ。強敵を前にしての作戦会議。悩み、考えた末の決断もまた、将にとっては必要な経験だぞマスター」
「そう言いつつも、相手がどんな策をぶつけてこようが真正面から叩き潰すってのがアルスター流だろ、師匠?」
「当然だ。戦いとは、生きるか死ぬかだからな」
キッパリと述べて、不敵な笑みを浮かべるスカサハ。
相手が誰だろうか迎え撃つその姿勢に、クーフーリンはマスターに同情する。だからと言って、手加減はしないが。
「へいへい……にしても、何だろうなぁ。さっきから物凄くいやーな予感が…」
「お待たせ!」
いつの間にか始まっていたようで、前哨戦を蹴散らしやってきたマスター。
そんな彼の前にいるのは、やはりというべきか、守りに特化したキャストリア。
そして――千子村正とモルガンだ。
「行くぞ、村正・礼装凸したフレンドのモルガン!!」
「なんじゃそのメンツはーーー!?」
思わずクーフーリンは悲鳴を上げる。
片方は最近来た、無敵貫通スキル持ちのアーツ全体宝具セイバー。もう片方は新しく実装された異聞帯の人特攻型のバースト全体宝具のバーサーカー。しかもどちらも特攻礼装付きだ。
ハッキリ言おう、どちらも攻撃を喰らったらタダじゃ済まない。
「ほう、二部6章で登場したと言う妖精郷を束ねていると言う王か。腕が鳴るな」
「やる気なってんじゃねーよ師匠!? どう見てもヤバイ奴じゃねーか!! いや待て、落ち着け俺! 宝具封印されているから、初っ端開幕宝具は――!!」
「キャストリアで村正にアーツ強化しての、オーダーチェンジ! マルタさん回復しちゃってください!!」
「ええ!」
キャストリアでアーツ強化を行った直後、カルデア戦闘服によるスキル効果でマルタが前線に出てくる。
そして『奇蹟』のスキルで二人の宝具封印のデバフが解除される。
「ウソダロ」
白目になったクーフーリンに、更なる追い打ちがかかる。
「はい、全体強化! ダメ押しの聖女の誓いでスカサハの防御も下げて…やっちまえー、モルガン&村正ーーーーー!!」
「よし、来い!!」
「来いじゃねーー!!! 死ぬ死ぬ死ぬ死ぬぎゃああああああ!!!」
抵抗も虚しく、モルガン、村正の宝具が連続で襲い掛かった後――クーフーリンは地面に突っ伏していた。
「これくらいで死ぬとは、クーフーリンも情けない奴だ…だが、連続宝具は耐えた」
「まだ終わりじゃねえぞぉ!! クリティカル攻撃!!」
最後に村正のバスター攻撃が、スカハサに襲い掛かる。
残り8万弱のHPを削り取り――スカサハも一手遅れて地面に倒れ伏した。
「一・掃!!」
ボスを無傷で勝ち上がったマスターは、堂々と拳を突き上げる。
ファンファーレがコロシアム内に鳴り響く中、エミヤは電光板を見上げていた。
「試合終了、4ターン――スカサハも編成を見誤ったな、幸運Eの弟子を持ったばかりに」
やれやれと肩を竦めるエミヤに、言い返す体力も残っていないクーフーリンだった。
「最初はヘラクレス戦かぁ…」
6月に始まった復刻ネロ祭。数年前に行われた高難易度に本格的に挑戦すると言う事で、先輩ことマスターは、過去の攻略方法を見ながら編成を行ってた。
その隣で、マシュも補佐として情報を閲覧している。
「ギミックとしては、ガッツが12回。そして開幕アーツ性能ダウンが発生します。幸い、後者は解除可能ですが」
「解除可能なら、キャストリアは入れておこうか。そしてマシュも前線に入れて…後は、アタッカーのメンバーだよなぁ。フレンド、特攻礼装入れているの少ないし……あ、でも弱体とかは効くのか。ならエウリュアレ……いや、エウリュアレは耐久が低い。それなら…」
歓声響き渡るコロシアム。本命の前に待ち受ける敵軍が行く手を陣取っている。
立ち向かうスタメンは、マシュ、キャストリア、そして弓を番える野性味あふれる大男。
「頼むぞ、フレンドの超人オリオン!」
マスターの声援に、サポートとしてやってきた人としてのオリオンは大声で笑う。
「おう、任せな! いやー、両手に女の子。これはお得ぎにゃー!?」
マシュとキャストリアに鼻の下を伸ばした瞬間、背後から高速の光の矢が襲い掛かる。
呆れながらマスターが振り返ると、そこには怖い笑顔を浮かべたアルテミスと、彼女の頭の上で震えあがっているマスコットのオリオンがいた。
「ダーリン? 目の前で浮気は許さないわよ?」
「何でアルテミス編成してるのー!?」
後方にいるアルテミスに悲鳴を上げる超人オリオンに、同じく後方に待機しているクーフーリン(槍)は思わず修羅場から目を逸らす。
「まあ、男性特攻持ちだからなぁ…」
「しかも、この前宝具2になりましたしね…ぐぬぬ、私だってマスターの幸運EXで…!」
バーサーカー対策として編成した主力のフォーリナー、ヒロインXX。過激な痴話喧嘩を前にしても変わらぬマイペースである。
そうこう騒いでいるうちに、バーサーカーによる前哨戦が始まる。
「雑魚戦が全部バーサーカーで厳しいけど、どうにか…オリオンも宝具使って強化出来た! ヘラクレス戦だー!」
マシュとキャストリアの守り、そして超人オリオンの『月女神の無垢な愛(アルテミス・アグノス)』の強化を受けて、ガッツが12回も付いているヘラクレスへと対峙する。
最初はマシュとキャストリアに守られながら、超人オリオンのクリティカル攻撃で着々とHPやガッツを削ったが…。
「あっ…!」
「マシュ!? やばい、マシュがやられた!」
攻撃力を強化したヘラクレスの攻撃で、マシュの体力が大幅に削られて退場となってしまう。
「任せて! 私とダーリンでヘラクレス倒しちゃうんだからー!」
「おい、アルテミス! このメンバー、防御は出来ても回復出来ないメンツだからな!」
颯爽と前に出るアルテミスに、超人オリオンが注意する。
ヘラクレスの猛攻は厳しいが、男性特攻と言うアルテミスの長所で着々とガッツを削っていく。
「どうにか、残り7回まで削れたけど…オリオンもアルテミスもボロボロだ…! 2人ともガッツがあるけど、連続で喰らったら終わる…!」
相手のガッツを減らしたのはいいが、守るのに必死でアルテミスの回避は既に使っている。アトラス院による魔術礼装の無敵も既に使った後だ。唯一残っているのは、キャストリアのスキルの無敵のみ。
マスターが戦況を確認していると、ヘラクレスのチャージがMAXになっている事に気づく。
「まず、宝具来る!? キャストリアのNP溜まってない! だ、誰に無敵を…!」
焦るマスターに、超人オリオンが叫ぶ。
「マスター、キャストリアを守れ! 俺とアルテミスがいなくなっても、キャストリアさえ残っていれば後の二人で削れるはずだ!」
「――オリオンごめん!! キャストリア!!」
「はい!」
スキルを発動し、キャストリアに無敵を付与させる。
そして、ヘラクレスの宝具が発動する。狙われたのは――キャストリアだった。
「があああああああああ!!」
「キャストリアに来た! あ、あぶねぇ!!」
ヘラクレスの猛攻を防ぎきったキャストリア。このナイスな判断にマスターは叫びを上げる。
だが、ヘラクレスの攻撃はこれで終わらず、何と瀕死の超人オリオンにトドメの一撃を喰らわせた。
「ダーリン!?」
「…はっ、これくらい、何てことねーよ…!!」
「ガッツで耐えたー!!」
スキルで発動していた超人オリオンのガッツに、またもやマスターは心から叫ぶ。
「ガアアアアアアアアア!!」
「しまった、アルテミス!!」
だが、防御が疎かになった瞬間を狙われ、今度はアルテミスがやられる。
マスターが悲鳴を上げる中、アルテミスはよろよろと立ち上がる。
「私だって…一回は耐えるわ!」
今回のイベント特攻礼装による恩恵で立ち上がるアルテミス。この姿にマスターは冷汗を拭う。
「イベント礼装で何とか耐えた…!! 残り、ガッツは4回…!」
ピンチに陥りつつも、ここまで生き延び、着々と削った成果。
マスターと同じく超人オリオンもまた、荒い息をしながらヘラクレスを見据えている。アルテミスはボロボロの状態だから、フラフラして今にも倒れそうだ。
そんなアルテミスに、超人オリオンは静かに話しかける。
「なあ、アルテミス」
「…どうしたの、ダーリン…?」
「もう半分以上は相手のガッツを削った。ここで俺らが倒れても、後はどうにでもなるメンツだ」
そう言って…彼は、とびっきりの笑顔を見せる。
「でもよ…ここまで来たら、一緒に勝ちたいと思わないか?」
この言葉に、満身創痍だったアルテミスの身体に活力が戻り出す。
「ダーリン…そうね。こんな機会、滅多にないもの!」
やる気を見せたアルテミスは、同じようにとびっきりの笑顔を浮かべる。
調子を取り戻した姿に、超人オリオンは後方にいるキャストリアに声をかける。
「キャストリア。これは俺の我儘だが…貴重な守り、アルテミスにくれないか?」
念のために取っていた守りのリソース。それを、アルテミスの為だけに使って欲しいとのお願い。
それを断る理由は、キャストリアにも、マスターにもなかった。
「ええ…行ってください、お二人とも!! 一回は守ります、選定の剣!」
「ありがとー、キャストリアちゃん。それじゃ…愛のフルパワー、行っちゃうんだから!!」
「行くぜ、アルテミス!!」
アルテミスの『月女神の愛矢恋矢(トライスター・アモーレ・ミオ)』に続くように、超人オリオンもまたヘラクレスへと攻撃を繰り出した。
それから少しして――超人オリオンは退場席に移動させられた。ヘラクレスの猛攻に最後まで耐えられなかったからだ。
コロシアムでは、交代で登場したクーフーリンが、丁度宝具でガッツを削り終えたヘラクレスにトドメを刺した所だった。
勝利出来たのは嬉しいが、謎の虚しさに襲われてゴロンと仰向けになる。
「やれやれ……かっこいい事行ったくせに、途中で力尽きちまったなぁ。トドメ刺したのも、槍のにーちゃんだしよ。あー、サポートで来たくせになっさけねぇ」
「そんな事ねーさ、俺」
超人オリオンに声をかけたのは、マスコット姿のオリオン。
どういう事だと聞こうとしたが、その前に何かが勢いよく抱き着いてきた。
「ダーリーン!! 勝ったわー! これもダーリンのおかげね!」
嬉しそうにはしゃぐのが誰か、見なくても分かる。
身体を退かす気にもなれず、アルテミスに為されるがままの状態で思った言葉を口にする。
「おいおい、アルテミス。俺は何にもしてねーよ」
「そんな事ないわ! ダーリンが守ってくれたから、私は最後まで戦えた! ダーリンの仇だってみんなで取ったんだから! この勝利はダーリンがいたからこそよ!」
ニコニコと熱弁するアルテミスに、さっきまで感じていた心の虚しさが消えていく。
やがてアルテミスはそっと顔を見合わせ、さっきとは違って優しくギュっと抱き寄せた。
「このカルデアには人としてのあなたはまだ居ないけど。私の為に戦ってくれて、守ってくれてありがとう、ダーリン」
優しく、いつでも自分を思う月の女神様。
愛が重いと常々感じるが――この時ばかりは、悪い気はしなかった。
「はは…まあ、こう言うのも悪くはねーわな」
「だろ?」
第二演技「光と影の師弟」
「次はスカサハとクーちゃんコンビか」
次の対戦相手は、スカサハとクーフーリン。こちらも、攻略を見ながらマスターとマシュは対策を立てる。
「どうやら、片方を倒すと全体即死を使ってくるみたいです。それ以外には、開幕宝具封印と回避を多く使ってくるとか」
「うへー、まあ回避関連はこっちもお世話になってるからなぁ。聖杯戦線とか本当にクーちゃん強いわ…何で第五次聖杯戦争、なんやかんやで途中で退場するんだろ」
「奴が幸運Eだからだろう、マスター」
「おい何か言ったか弓兵?」
しれっと作戦会議に交じって嫌味を吐くエミヤに、遠くで対戦相手としてスタンバっているクーフーリンが青筋を立てる。
「無敵貫通か必中…ホームズがいるけど、長期戦はマズイって言うしなぁ。それなら、強化解除の天草とか…」
「でも、宝具は3ターン封印されるそうですし…魔術礼装なら何とかなりますが、それも一人だけですし」
あーだこーだと編成を考えるマスターとマシュ。その姿を、スカサハが見守るように遠くから眺めている。
「ふふふ。強敵を前にしての作戦会議。悩み、考えた末の決断もまた、将にとっては必要な経験だぞマスター」
「そう言いつつも、相手がどんな策をぶつけてこようが真正面から叩き潰すってのがアルスター流だろ、師匠?」
「当然だ。戦いとは、生きるか死ぬかだからな」
キッパリと述べて、不敵な笑みを浮かべるスカサハ。
相手が誰だろうか迎え撃つその姿勢に、クーフーリンはマスターに同情する。だからと言って、手加減はしないが。
「へいへい……にしても、何だろうなぁ。さっきから物凄くいやーな予感が…」
「お待たせ!」
いつの間にか始まっていたようで、前哨戦を蹴散らしやってきたマスター。
そんな彼の前にいるのは、やはりというべきか、守りに特化したキャストリア。
そして――千子村正とモルガンだ。
「行くぞ、村正・礼装凸したフレンドのモルガン!!」
「なんじゃそのメンツはーーー!?」
思わずクーフーリンは悲鳴を上げる。
片方は最近来た、無敵貫通スキル持ちのアーツ全体宝具セイバー。もう片方は新しく実装された異聞帯の人特攻型のバースト全体宝具のバーサーカー。しかもどちらも特攻礼装付きだ。
ハッキリ言おう、どちらも攻撃を喰らったらタダじゃ済まない。
「ほう、二部6章で登場したと言う妖精郷を束ねていると言う王か。腕が鳴るな」
「やる気なってんじゃねーよ師匠!? どう見てもヤバイ奴じゃねーか!! いや待て、落ち着け俺! 宝具封印されているから、初っ端開幕宝具は――!!」
「キャストリアで村正にアーツ強化しての、オーダーチェンジ! マルタさん回復しちゃってください!!」
「ええ!」
キャストリアでアーツ強化を行った直後、カルデア戦闘服によるスキル効果でマルタが前線に出てくる。
そして『奇蹟』のスキルで二人の宝具封印のデバフが解除される。
「ウソダロ」
白目になったクーフーリンに、更なる追い打ちがかかる。
「はい、全体強化! ダメ押しの聖女の誓いでスカサハの防御も下げて…やっちまえー、モルガン&村正ーーーーー!!」
「よし、来い!!」
「来いじゃねーー!!! 死ぬ死ぬ死ぬ死ぬぎゃああああああ!!!」
抵抗も虚しく、モルガン、村正の宝具が連続で襲い掛かった後――クーフーリンは地面に突っ伏していた。
「これくらいで死ぬとは、クーフーリンも情けない奴だ…だが、連続宝具は耐えた」
「まだ終わりじゃねえぞぉ!! クリティカル攻撃!!」
最後に村正のバスター攻撃が、スカハサに襲い掛かる。
残り8万弱のHPを削り取り――スカサハも一手遅れて地面に倒れ伏した。
「一・掃!!」
ボスを無傷で勝ち上がったマスターは、堂々と拳を突き上げる。
ファンファーレがコロシアム内に鳴り響く中、エミヤは電光板を見上げていた。
「試合終了、4ターン――スカサハも編成を見誤ったな、幸運Eの弟子を持ったばかりに」
やれやれと肩を竦めるエミヤに、言い返す体力も残っていないクーフーリンだった。
■作者メッセージ
今回の復刻で登場する超高難易度。後輩含め色んなマスターが挑戦しているので、普段はチキンな私も行う事にしました。
幸運EXでなかなかこれと言った強力なサーヴァントを引けない自分ですが…いざ挑戦して、なんやかんやちゃんと戦力整っているんだよなと改めて感じた戦いです。花びらBOXと共に着々と勝ち進めているので、攻略も兼ねて期間中までに出していけたらと思います。
ちなみに私の戦力は福袋の天草以外はマジで無課金です。あと令呪も使っていません。今の所は。
その割に、キャストリアやら村正とか当たっているだろとか言っちゃいけない。私もチョコや空腹で来るとは思わなかったんだよ!!(詳しくは過去のピックアップ時日記をご覧ください)
第一演技メンバー
マシュ・超人オリオン(フレ)・キャストリア・アルテミス・クーフーリン・ヒロインXX
第二演技メンバー
村正・モルガン(フレ)・キャストリア・マルタ・アルテラ・マシュ
幸運EXでなかなかこれと言った強力なサーヴァントを引けない自分ですが…いざ挑戦して、なんやかんやちゃんと戦力整っているんだよなと改めて感じた戦いです。花びらBOXと共に着々と勝ち進めているので、攻略も兼ねて期間中までに出していけたらと思います。
ちなみに私の戦力は福袋の天草以外はマジで無課金です。あと令呪も使っていません。今の所は。
その割に、キャストリアやら村正とか当たっているだろとか言っちゃいけない。私もチョコや空腹で来るとは思わなかったんだよ!!(詳しくは過去のピックアップ時日記をご覧ください)
第一演技メンバー
マシュ・超人オリオン(フレ)・キャストリア・アルテミス・クーフーリン・ヒロインXX
第二演技メンバー
村正・モルガン(フレ)・キャストリア・マルタ・アルテラ・マシュ