突如現れた、現代日本での微小特異点。
　この歴史を修正するため、マスターことぐだ子はサーヴァントを送り込む。


「今回の微小特異点は過去に修正した新宿の残り香から生まれたもの。サーヴァントだけを送るのが出来るからマスターは待機可能、送り込める人数は6人のみ――戦力で考えると……先陣は自然と日本を知ってるアルトリア、アタッカーオルジュナ、ジャンヌオルタあたりで様子見かな」

「用はスキルマ集団を送り込むと言う事だろう」

「他人事みたいに言ってるけど第２弾でオカンも送り込むよ」

「私もか！？」

「お願いだから世界を乱さないで」

　何故かメンバーに選ばれた食堂の守護神エミヤの隣で、白目を向くゴルちゃん。その間にも、ミーティングは続く。

「後スタ〇の季節限定の飲み物も美味いぞ」

「何紹介してんの！？」

「今流行してるのマリトッツオだっけかな、最近はコンビニも美味いぞ」

「だから何でおすすめしてるの？これ任務よ？？？」

「いやー日本の食べ物美味しいから気持ちは分かる…だからついね」

「甘やかすなマスター！！！！」

　とうとう胃痛を起こすゴルと叱りつけるエミヤ。
　そして、先陣メンバーが現代日本の都市部にレイシフトする。



『ちょっと早くあの食堂の奴かアキレウス送り込みなさいよぉぉ！！！私にあの２人が手に負える訳ないでしょうがああああ』

「え、何かやらかした？」

『アンタのエースがふらふらどっか行って行方不明よぉ！！！』

「マジか…オルジュナ味覚鈍いから進んでご飯食べるように見えないけど意外とそういうの好きだからな」

「そこはアンタの影響もあるだろう」

　終わらない引率で叫ぶジャンヌオルタ、管制室でのんびりしているぐだ子にツッコミを入れるエミヤ。

「そろそろ第２弾の私も行くが、メンバーは？」

「もちろんアキレウス。面白そうだからマーリンぶちこもうと思ったんだけど村正の方いいかなと思ってぶちこみました☆」

「おう、しっかりとお役目果たして来るわ！」

「」

　村正を見た瞬間にこの世の終わりの顔をするエミヤを余所に、第２弾もレイシフトを開始してアルトリア達と合流に向かう。

「いってらー」

「マスター…大丈夫でしょうか」

「あの６人が揃ったら大丈夫でしょ、今回はゆっくりとなりゆき見守れるから食堂で何か食べてこようーっと♪」

「他人事だからってえええええ！！！」

　心配するマシュを余所にウキウキで食堂に向かうぐだ子の姿に、ゴルちゃんの胃が死んだ。



「これが噂の次〇系ラーメンとやらですか……！　最近は食堂の人達もお替わりが厳しいですからね……戦いに向けて英気を養っておく。これも騎士にとって重要な事です」
「「大将、トッピング全乗せで」」
「「ん？」」

　何故かラーメン屋にいた、アルトリアと同じ顔の男性。


「くっ！　燃やしても燃やしても次々と湧いてくる――今度は何の騒ぎよ！？」
「怪盗天草四郎時貞！　華麗に参上です！　イイィヤッホーーーーウ！」
「( ﾟДﾟ)」

　因縁のある聖人が怪盗衣装で暴れまわる姿に、戦いも忘れて何とも言えない顔を作るジャンヌオルタ。


「粛清、排除――」
「確かにてめえは強い。けどなぁ――」
「っ！？」
「命がけの修羅場を潜った数は、あの中じゃあ俺が一番なんだよ！！」

　ここ一帯を滅ぼす勢いのアルジュナオルタの猛攻を避けながら迫る、ランサーのクー・フーリン。


「くっそ、追いつかねぇ！　クサントス、もっとスピードを上げやがれ――！」
「これでも頑張って走って――あ、この下の道路から何か近づいてます！」
「何だと！？　新たな敵か！？」
「フハハハハ！　我がドラテクを見よ！　どのような乗り物も使いこなしてくれるわぁ！」
「何でこのファラオがこんな所に居やがるんだぁぁぁ！！？」

　上空の戦車から、真下でスポーツカーに乗って迫りくる太陽神のファラオへとツッコミを入れるアキレウス。


「くっ……！」
「見た所はぐれサーヴァント……って訳じゃねーな、おめーさんは」
「だが、これで終わりだ」

　村正とエミヤが燃え盛る瓦礫の中で追い詰めたのは、剣で戦うキャスターの少年。

「っ……！　まだだ！」
「ええ、その通り。まだ魔力は取っておくように」

　２人に向かって牽制として投げられたのは、黒鍵。

「はあぁ、マジかよ！」
「寄りにもよって、相手にしたくない上位に入るサーヴァントがいるとは！」
「天草四郎……助かった。俺を助けてくれるとは思わなかった」
「仲間関係なのですから、当然ですよ。いやはや、良い感じに間に合って良かったです。とは言えピンチには変わりないですが」
「どういう意味だ？」

　直後、すぐ近くで爆炎が鳴り響く。

「はん！　鬼ごっこもこれで終わりよ天草四郎時貞！　あんたには散々イラつかせてくれたからね……念入りに消し炭にしてやるわぁ！！」
「ジャンヌオルタ、丁度いい所に！」
「さあて。強力な助っ人が来たこっちが、どう見ても有利な状態だな。てめえらの知っている事を洗い浚い吐いて貰うか、もしくは消滅のどっちかを選びな！」
「消滅はしたくないな。俺が消えると困る人がいる」
「ですねぇ。さて、勝ちフラグを作った皆様に一言」

　人差し指を当てながら、聖人は不敵に笑う。

「頭上も見ておいた方がよろしいですよ？」
「「「っ！」」」

　とっさにその場からバラバラに跳躍すると同時に、幾つも重なった光線が襲い掛かる。

「――やれやれ。調査から戻って来てみれば新たなトラブル発生か」
「シャーロック・ホームズだと！！」


　新宿に残った残り香とは何か。
　マスター不在の中で、サーヴァント達の激闘が繰り広げられる。
　微小特異点の修復――その行方は如何に。