2023年 2部7章〜ORT戦〜 前編
*2部7章「ナウイミクトラン」におけるORT戦の実話……と言うより、メンバー選出からの妄想です。選出メンバーはまだまたいたのですが、流石に全部は厳しいので印象に残るメンバー達を台詞付きにしてみました。ネタバレ全開の内容なので、ご注意ください。
激戦を勝ち抜いたが、とうとう目覚めたORT――決して勝てないとされる怪物。
それでもマスターはカルデアの最大限の支援を受けながら、サーヴァントを召喚してORTの進行を全力で止めにかかる。ORT相手では、たった一度きりの召喚。ORTに敗北したサーヴァントは即座に情報を食われ、取り込まれたら二度と召喚が出来ない。これまでに縁を結び、召喚したサーヴァント達がいなくなるまでに、ORTを止めなければならない。
今までにない戦い。シャドウボーダーに乗りながらマスターは召喚して戦わせる。何度目かの交戦で体力ゲージを減らすマスターに、同乗しているカドックがORTの解析結果を叫ぶ。
「ORTのクラス変更だ! 次は――セイバーだ!」
「よし、アーチャーで迎え撃て! ただし、主力はまだやめておけ!」
「分かってる! でも、誰を……!」
同じく乗っているゴルドルフの忠告に頷き、マスターはメンバー選出に頭を悩ませる。そんな中、震えながら手を上げるものが。頭にアポロンを乗せたギリシャのアーチャー、パリスだ。
「だ、だったら僕が行きます! ヘクトール兄さんが命がけで削ってくれたんです、僕1人でも――!」
先ほどヘクトールを出陣させ、ORTの中に取り込まれたのを思い出しながら志願するパリス。
「いいえ、ここは私が行くわ」
だが、それを遮る声と共に前に出る者が。
偶像(アイドル)の元となった女神。エウリュアレだ。
「エウリュアレ!?」
「悔しいけど、私じゃあの化け物の主力になりえない。だから先に私を使いなさい――出来る限り、削ってあげるから」
「……分かった」
エウリュアレの志願に、マスターは頷く。
エウリュアレの強みは男性特攻。しかし、相手は性別など存在しないであろう怪物だ。エウリュアレでは戦力になり得ない。ここで削る役回りになるしかない。
シャドウボーダーを後にしたエウリュアレはORTの前へと召喚される。ただただ目の前にある物を無差別に蹂躙し前へと進む巨大な怪物相手に、早速弓を構える。
「これでいいのよ、これで……ま、生贄になるなんてこれっぽっちもないけれど!」
「ううん――エウリュアレは、ボクがまもる!!」
エウリュアレの背後から、影が差す。
そこには両手に斧を構えたバーサーカー、アステリオスがいた。
「アステリオス!? マスター、なんで!!」
『多少なりとも援護出来るんだから一緒に使うのが理想だろ? それに――本人の要望だから』
満足げなマスターの声、そしてアステリオスの姿にエウリュアレは小さく笑う。
「まったく、いらない気づかいを……いいわ。後を託す為にも、私を守りなさいアステリオス!!」
「オオオオオォォォオオオオ!!」
エウリュアレとアステリオスの奮闘により、ORTの体力が削れる。しかし、他のサーヴァント同様に長くは持たずに2人とも取り込まれてしまう。
「2人とも、捕食された。次は――フォーリナー!?」
次に出された解析結果に、カドックはマズイとばかりに声が荒げる。
ゴルドルフも同じ気持ちで、顔を歪める。
「くそ! このカルデアにおいてアルターエゴもフォーリナーも常に人員不足だと言うのに! まだ序盤だと言うのに主力のリソースなぞ避ける訳がない!」
「バーサーカーも駄目なんだろ……誰か1人を犠牲に送り出し、交戦してORTのクラスを変更させると言う方法を取るしかないな……!」
「いや本当にすみませんと言うか、何故かそっちは縁がこなくて……」
アルターエゴにもフォーリナーにも縁がないマスター。そのせいでこの戦いで苦戦させられるなど思ってもみなかった。
「だったら私が行くわ。私も妹と同じであの化け物相手ではどうしようもないもの……ここで離脱しても問題なくてよ」
「ステンノ!?」
次に申し出たのはステンノ。彼女もまた、男性以外では役回りが持てない能力だ。今の先が見えずに主力を切れない状態では、確かにありがたい状況ではある。
「上姉様! でしたら私達も!」
そこに、ランサーとライダーのメデューサ、そしてゴルゴーンも駆け付ける。
「駄目よ、愚妹達。あなた達は主力になりえる存在よ――ここに残りなさい」
「ですが!」
「残りなさい。私の邪魔をしないで」
食い下がろうとするライダーにピシャリと言いつけると、3人は押し黙る。
ストームボーダーの外へ1人向かう。が、その途中で足を止めた。
「信じてるわよ――私の愚かで大好きな妹達。必ず私(エウリュアレ)も一緒に助けに来なさい。いいわね?」
「「「……はいっ!」」」
メデューサとゴルゴーンの力強い頷きに、ステンノは今度こそ出て行った。
ORTのクラスはバーサーカーとなり、次に前に出されたのはクーフーリン(プロト)とキャスターのクーフーリンだ。
「バーサーカー相手に俺達2人。ま、悪くない判断だ」
「俺らで生き残りつつ、後を託すぞ。俺に似たランサー」
「そっちも任せたぜ、キャスターの俺」
「残り体力ゲージ、あと少し! 次はアサシンだ!」
朗報と共に解析結果を伝えるカドックに、マスターは頷く。
「よし、全体攻撃でも削れる範囲! ここはアマデウスかシェイクスピアで――!」
「いやいや、ここは星3のキャスターにお任せした方がいいと思うんだ」
「全くアマデウス殿の言う通りですなぁ!! と言うか、なぜそこでアンデルセン殿を抜かすのでしょうか!」
「そんなのサポート宝具の特権だバカめ!! と言うか俺を巻き込むな!!」
誰も出たくないようで、アンデルセンも巻き添えにぎゃあぎゃあと押しつけが始まる。
作曲家と作家の争いの中、呆れながら1人の女性が手を上げた。
「私が1人で行くわ。私ならスキルで即宝具が打てる、確実にあの怪物を仕留めるために礼装のサポートは任せたわ」
「ありがとう、メディアさん!!」
概念礼装のバックアップを始めると、シェイクスピアが饒舌になる。
「おお、メディア殿が!! なんとお優しい神代の魔女、流石の絶体絶命時には慈悲深き行いも出るものですなぁ!!」
「マスター、私からの遺言よ。次にORTがアサシンになったら容赦なくそいつら陳宮の球にしておやりなさい。ダメージなら結構稼げるはずよ。絶対よ? いいわね?」
「「「悪魔か(ですか)(かな)!?」」」
クラスがキャスターに変更される。
次に前に出たのは、2人の海賊だ。
「やーれやれ。とうとう駆り出されちまったか。そりゃ、国相手に喧嘩売ってきた俺様だけど。世紀末大怪獣相手に大砲ぶち込むとか誰が想像したよ?」
「大好きな女性がパートナーでなくて不満たらたらじゃないか、船長」
ORTを前に遠い目をする黒髭。隣ではバーソロミューが笑っている。
「はん。そりゃ絶対戦っちゃいけない相手ですぞ? どうせ死ぬなら美しーい美女と一緒に心中したいですが、こんな化け物と戦わせるのも気が引けるってもんだし。そっちこそ、メカクレが誰も居ない状態ですけどやる気出てる?」
「もちろん。だって、私が前に出る事で1人でも多くのメカクレ人を守っている――そう思うとやる気も出るってものさ! そして最後にメカクレが助けに来てくれるならなお良し!」
「そうかい。そんじゃ――海賊の底力、見せつけてやろうじゃねーの!!」
そうして2人は海賊船に乗り込み、ORTに大砲を突き付ける。
「行け、呂布! この私がサポートしてみせよう!」
「―――!!」
カエサルの援護を受けて、呂布は宝具を叩き込む。ORTのゲージの体力が残り少ない所まで減った。
「あと、少し――」
「いいや、範囲内だ! 私の宝具で!」
追撃にカエサルの剣が叩き込まれる。連続の宝具攻撃に、ORTのゲージがなくなった。
「さすがカエサル!」
「それでは参りましょう、自爆です!」
「本当にやる奴があるかーー!!」
「アンデルセン殿ー!!」
先に犠牲となったメディアの遺言通り(アマデウスは強化が刺さらないのでお休みにした)、アサシンとなったORTに対してアンデルセンとシェイクスピアのバフを受けた陳宮の自爆が炸裂した。
弾もとい生贄にされたアンデルセンだったが、弱体化を受けたものの何故か無傷のまま蘇る事が出来た。
「お、おお。生きてる……そうか、ORTの作り出す特殊なフィールドの効果でORTの攻撃でないと死なない。そのルールで助かったのか!」
「なるほど。つまり自爆し放題と」
眼鏡を光らせてクイと上げる陳宮。特殊なルールに浮足立つが、シェイクスピアが水を差す。
「あのー……ところで、NPはどう貯めるおつもりで? マスターの令呪も無理でしょう今は?」
「「あ」」
重要な事に気付いた瞬間、ORTの攻撃が3人に直撃してそのまま取り込まれてしまった。
「バカもーーーーーーん!! ほとんど役立たずで終わったではないかぁぁぁ!!」
あまりの酷さに、ゴルドルフは叫びながら泣いた。
「ガレス殿! 私が守ります、ですから!」
「感謝します、レオニダス王! うおおおおお!!!」
レオニダスの防御バフを受け取りながらガレスは槍を叩き込む。
防御やガッツのおかげでどうにか耐えながら攻撃を続けるが、残り体力が少しと言う所で2人は力尽きてしまう。
「くう…ここまで、とは…!」
「あと、ちょっとだったのに……」
レオニダスと共に結晶となって取り込まれる、その寸前ガレスは笑う。
「――でも、次に繋げられる。後はよろしく……円卓の」
「次、フォーリナーだ! だけど、行けるだろ――マシュ!」
カドックの叫びと共に、盾を構えてORTへと向かう少女がいた。
「やあああああぁ!!」
「シャルルマーニュ十二勇姿の奴らと比べたら微々たる力だが、それでも俺が出せる全力を!!」
卑屈でありながらも馬で駆け抜け、マンドリカルドが出せる渾身の一撃をぶつける。
「とうとうこの僕が駆り出されたか……いいさ、巨大な敵は僕の十八番さ。アビシャクの為にも、出来る限り削ってあげようじゃないか!」
笑顔を絶やさず、果敢にダビデが石を投げる。
「ネロォォォ!!!」
月によるカリギュラの宝具によるデバフからの攻撃がORTを襲う。
「バーサーカーの時にダメージ稼ぐってのはそりゃ悪くない手だ……だが、ここで俺まで出すってのは納得いかねえ!! しかも全員全体宝具だぞ!? 3人も出すとか、戦力を無駄にするの前提じゃねーか!!」
白目で絶望を叫ぶイアソン。そんなイアソンに、同じメンバーのカイニスとアタランテが怒鳴る。
「うるせぇ! 大体、お前のバフをアルゴー号の連中にしか渡さねえのが原因だろ。おら、さっさとてめえのバフ寄越せ!!」
「いざと言う時の為に、アスクレピオスとヘラクレスは残したのだ!! とにかく私達3人で一気に削るしかあるまい! 腹を括れ、イアソン!! メディアも待ってるぞ!!」
「だーーー!! 最後は余計だ、行きたくねぇ!! あーもー、分かったよ!! アタランテ、俺、カイニスの順で宝具だ!! 次までに俺様のバフをかけたカイニスの馬鹿力がありゃ、相当削れるはずだ! いいか、俺は絶対に最初の攻撃で離脱確定だ!! お前ら2人で最低でも50万以下、1人だけでブレイク出来る範囲まで、あの化け物の体力を削りきれ!!」
「言われなくてもそのつもりだぁぁぁ!!!」
3人の宝具がORTへと直撃。だが、反撃によって予測通りイアソンは退場となる。
全体宝具で威力は劣るが、次のターンからカイニスの猛攻は最後まで続いた。
「凄い……カイニスの攻撃で、94万の体力が25万まで減ったぞ!!」
「良くやった、カイニス!! お前達の犠牲、無駄にはせん!!」
かつてのキリシュタリアのサーヴァント、その実力を見せつけられてカドックは喜び、ゴルドルフは拳を握った。
「皆が繋いでくれた道、今度は私が!! ガヴェイン卿、ランスロット卿、トリスタン卿、そして異世界を含めた我が王達よ。後は任せます!! スイッチオン・アガートラム!!」
ベディヴィエールの右腕がORTを斬り裂く。
そうしてORTのゲージがある程度減った所で――女神の手助けが入る。
激戦を勝ち抜いたが、とうとう目覚めたORT――決して勝てないとされる怪物。
それでもマスターはカルデアの最大限の支援を受けながら、サーヴァントを召喚してORTの進行を全力で止めにかかる。ORT相手では、たった一度きりの召喚。ORTに敗北したサーヴァントは即座に情報を食われ、取り込まれたら二度と召喚が出来ない。これまでに縁を結び、召喚したサーヴァント達がいなくなるまでに、ORTを止めなければならない。
今までにない戦い。シャドウボーダーに乗りながらマスターは召喚して戦わせる。何度目かの交戦で体力ゲージを減らすマスターに、同乗しているカドックがORTの解析結果を叫ぶ。
「ORTのクラス変更だ! 次は――セイバーだ!」
「よし、アーチャーで迎え撃て! ただし、主力はまだやめておけ!」
「分かってる! でも、誰を……!」
同じく乗っているゴルドルフの忠告に頷き、マスターはメンバー選出に頭を悩ませる。そんな中、震えながら手を上げるものが。頭にアポロンを乗せたギリシャのアーチャー、パリスだ。
「だ、だったら僕が行きます! ヘクトール兄さんが命がけで削ってくれたんです、僕1人でも――!」
先ほどヘクトールを出陣させ、ORTの中に取り込まれたのを思い出しながら志願するパリス。
「いいえ、ここは私が行くわ」
だが、それを遮る声と共に前に出る者が。
偶像(アイドル)の元となった女神。エウリュアレだ。
「エウリュアレ!?」
「悔しいけど、私じゃあの化け物の主力になりえない。だから先に私を使いなさい――出来る限り、削ってあげるから」
「……分かった」
エウリュアレの志願に、マスターは頷く。
エウリュアレの強みは男性特攻。しかし、相手は性別など存在しないであろう怪物だ。エウリュアレでは戦力になり得ない。ここで削る役回りになるしかない。
シャドウボーダーを後にしたエウリュアレはORTの前へと召喚される。ただただ目の前にある物を無差別に蹂躙し前へと進む巨大な怪物相手に、早速弓を構える。
「これでいいのよ、これで……ま、生贄になるなんてこれっぽっちもないけれど!」
「ううん――エウリュアレは、ボクがまもる!!」
エウリュアレの背後から、影が差す。
そこには両手に斧を構えたバーサーカー、アステリオスがいた。
「アステリオス!? マスター、なんで!!」
『多少なりとも援護出来るんだから一緒に使うのが理想だろ? それに――本人の要望だから』
満足げなマスターの声、そしてアステリオスの姿にエウリュアレは小さく笑う。
「まったく、いらない気づかいを……いいわ。後を託す為にも、私を守りなさいアステリオス!!」
「オオオオオォォォオオオオ!!」
エウリュアレとアステリオスの奮闘により、ORTの体力が削れる。しかし、他のサーヴァント同様に長くは持たずに2人とも取り込まれてしまう。
「2人とも、捕食された。次は――フォーリナー!?」
次に出された解析結果に、カドックはマズイとばかりに声が荒げる。
ゴルドルフも同じ気持ちで、顔を歪める。
「くそ! このカルデアにおいてアルターエゴもフォーリナーも常に人員不足だと言うのに! まだ序盤だと言うのに主力のリソースなぞ避ける訳がない!」
「バーサーカーも駄目なんだろ……誰か1人を犠牲に送り出し、交戦してORTのクラスを変更させると言う方法を取るしかないな……!」
「いや本当にすみませんと言うか、何故かそっちは縁がこなくて……」
アルターエゴにもフォーリナーにも縁がないマスター。そのせいでこの戦いで苦戦させられるなど思ってもみなかった。
「だったら私が行くわ。私も妹と同じであの化け物相手ではどうしようもないもの……ここで離脱しても問題なくてよ」
「ステンノ!?」
次に申し出たのはステンノ。彼女もまた、男性以外では役回りが持てない能力だ。今の先が見えずに主力を切れない状態では、確かにありがたい状況ではある。
「上姉様! でしたら私達も!」
そこに、ランサーとライダーのメデューサ、そしてゴルゴーンも駆け付ける。
「駄目よ、愚妹達。あなた達は主力になりえる存在よ――ここに残りなさい」
「ですが!」
「残りなさい。私の邪魔をしないで」
食い下がろうとするライダーにピシャリと言いつけると、3人は押し黙る。
ストームボーダーの外へ1人向かう。が、その途中で足を止めた。
「信じてるわよ――私の愚かで大好きな妹達。必ず私(エウリュアレ)も一緒に助けに来なさい。いいわね?」
「「「……はいっ!」」」
メデューサとゴルゴーンの力強い頷きに、ステンノは今度こそ出て行った。
ORTのクラスはバーサーカーとなり、次に前に出されたのはクーフーリン(プロト)とキャスターのクーフーリンだ。
「バーサーカー相手に俺達2人。ま、悪くない判断だ」
「俺らで生き残りつつ、後を託すぞ。俺に似たランサー」
「そっちも任せたぜ、キャスターの俺」
「残り体力ゲージ、あと少し! 次はアサシンだ!」
朗報と共に解析結果を伝えるカドックに、マスターは頷く。
「よし、全体攻撃でも削れる範囲! ここはアマデウスかシェイクスピアで――!」
「いやいや、ここは星3のキャスターにお任せした方がいいと思うんだ」
「全くアマデウス殿の言う通りですなぁ!! と言うか、なぜそこでアンデルセン殿を抜かすのでしょうか!」
「そんなのサポート宝具の特権だバカめ!! と言うか俺を巻き込むな!!」
誰も出たくないようで、アンデルセンも巻き添えにぎゃあぎゃあと押しつけが始まる。
作曲家と作家の争いの中、呆れながら1人の女性が手を上げた。
「私が1人で行くわ。私ならスキルで即宝具が打てる、確実にあの怪物を仕留めるために礼装のサポートは任せたわ」
「ありがとう、メディアさん!!」
概念礼装のバックアップを始めると、シェイクスピアが饒舌になる。
「おお、メディア殿が!! なんとお優しい神代の魔女、流石の絶体絶命時には慈悲深き行いも出るものですなぁ!!」
「マスター、私からの遺言よ。次にORTがアサシンになったら容赦なくそいつら陳宮の球にしておやりなさい。ダメージなら結構稼げるはずよ。絶対よ? いいわね?」
「「「悪魔か(ですか)(かな)!?」」」
クラスがキャスターに変更される。
次に前に出たのは、2人の海賊だ。
「やーれやれ。とうとう駆り出されちまったか。そりゃ、国相手に喧嘩売ってきた俺様だけど。世紀末大怪獣相手に大砲ぶち込むとか誰が想像したよ?」
「大好きな女性がパートナーでなくて不満たらたらじゃないか、船長」
ORTを前に遠い目をする黒髭。隣ではバーソロミューが笑っている。
「はん。そりゃ絶対戦っちゃいけない相手ですぞ? どうせ死ぬなら美しーい美女と一緒に心中したいですが、こんな化け物と戦わせるのも気が引けるってもんだし。そっちこそ、メカクレが誰も居ない状態ですけどやる気出てる?」
「もちろん。だって、私が前に出る事で1人でも多くのメカクレ人を守っている――そう思うとやる気も出るってものさ! そして最後にメカクレが助けに来てくれるならなお良し!」
「そうかい。そんじゃ――海賊の底力、見せつけてやろうじゃねーの!!」
そうして2人は海賊船に乗り込み、ORTに大砲を突き付ける。
「行け、呂布! この私がサポートしてみせよう!」
「―――!!」
カエサルの援護を受けて、呂布は宝具を叩き込む。ORTのゲージの体力が残り少ない所まで減った。
「あと、少し――」
「いいや、範囲内だ! 私の宝具で!」
追撃にカエサルの剣が叩き込まれる。連続の宝具攻撃に、ORTのゲージがなくなった。
「さすがカエサル!」
「それでは参りましょう、自爆です!」
「本当にやる奴があるかーー!!」
「アンデルセン殿ー!!」
先に犠牲となったメディアの遺言通り(アマデウスは強化が刺さらないのでお休みにした)、アサシンとなったORTに対してアンデルセンとシェイクスピアのバフを受けた陳宮の自爆が炸裂した。
弾もとい生贄にされたアンデルセンだったが、弱体化を受けたものの何故か無傷のまま蘇る事が出来た。
「お、おお。生きてる……そうか、ORTの作り出す特殊なフィールドの効果でORTの攻撃でないと死なない。そのルールで助かったのか!」
「なるほど。つまり自爆し放題と」
眼鏡を光らせてクイと上げる陳宮。特殊なルールに浮足立つが、シェイクスピアが水を差す。
「あのー……ところで、NPはどう貯めるおつもりで? マスターの令呪も無理でしょう今は?」
「「あ」」
重要な事に気付いた瞬間、ORTの攻撃が3人に直撃してそのまま取り込まれてしまった。
「バカもーーーーーーん!! ほとんど役立たずで終わったではないかぁぁぁ!!」
あまりの酷さに、ゴルドルフは叫びながら泣いた。
「ガレス殿! 私が守ります、ですから!」
「感謝します、レオニダス王! うおおおおお!!!」
レオニダスの防御バフを受け取りながらガレスは槍を叩き込む。
防御やガッツのおかげでどうにか耐えながら攻撃を続けるが、残り体力が少しと言う所で2人は力尽きてしまう。
「くう…ここまで、とは…!」
「あと、ちょっとだったのに……」
レオニダスと共に結晶となって取り込まれる、その寸前ガレスは笑う。
「――でも、次に繋げられる。後はよろしく……円卓の」
「次、フォーリナーだ! だけど、行けるだろ――マシュ!」
カドックの叫びと共に、盾を構えてORTへと向かう少女がいた。
「やあああああぁ!!」
「シャルルマーニュ十二勇姿の奴らと比べたら微々たる力だが、それでも俺が出せる全力を!!」
卑屈でありながらも馬で駆け抜け、マンドリカルドが出せる渾身の一撃をぶつける。
「とうとうこの僕が駆り出されたか……いいさ、巨大な敵は僕の十八番さ。アビシャクの為にも、出来る限り削ってあげようじゃないか!」
笑顔を絶やさず、果敢にダビデが石を投げる。
「ネロォォォ!!!」
月によるカリギュラの宝具によるデバフからの攻撃がORTを襲う。
「バーサーカーの時にダメージ稼ぐってのはそりゃ悪くない手だ……だが、ここで俺まで出すってのは納得いかねえ!! しかも全員全体宝具だぞ!? 3人も出すとか、戦力を無駄にするの前提じゃねーか!!」
白目で絶望を叫ぶイアソン。そんなイアソンに、同じメンバーのカイニスとアタランテが怒鳴る。
「うるせぇ! 大体、お前のバフをアルゴー号の連中にしか渡さねえのが原因だろ。おら、さっさとてめえのバフ寄越せ!!」
「いざと言う時の為に、アスクレピオスとヘラクレスは残したのだ!! とにかく私達3人で一気に削るしかあるまい! 腹を括れ、イアソン!! メディアも待ってるぞ!!」
「だーーー!! 最後は余計だ、行きたくねぇ!! あーもー、分かったよ!! アタランテ、俺、カイニスの順で宝具だ!! 次までに俺様のバフをかけたカイニスの馬鹿力がありゃ、相当削れるはずだ! いいか、俺は絶対に最初の攻撃で離脱確定だ!! お前ら2人で最低でも50万以下、1人だけでブレイク出来る範囲まで、あの化け物の体力を削りきれ!!」
「言われなくてもそのつもりだぁぁぁ!!!」
3人の宝具がORTへと直撃。だが、反撃によって予測通りイアソンは退場となる。
全体宝具で威力は劣るが、次のターンからカイニスの猛攻は最後まで続いた。
「凄い……カイニスの攻撃で、94万の体力が25万まで減ったぞ!!」
「良くやった、カイニス!! お前達の犠牲、無駄にはせん!!」
かつてのキリシュタリアのサーヴァント、その実力を見せつけられてカドックは喜び、ゴルドルフは拳を握った。
「皆が繋いでくれた道、今度は私が!! ガヴェイン卿、ランスロット卿、トリスタン卿、そして異世界を含めた我が王達よ。後は任せます!! スイッチオン・アガートラム!!」
ベディヴィエールの右腕がORTを斬り裂く。
そうしてORTのゲージがある程度減った所で――女神の手助けが入る。
■作者メッセージ
年末が近づいてきたので、第1弾として今年のORT戦ダイジェストを上げてみました。
このバトルは本当にハラハラしましたし、リラさんですら「めんどくさい、二度と戦いたくない」と言わしめたボスでした。流石は型月最強と言われる生物。しかも裏話で、戦ったのが実は不調も不調もで汎人類史の2%の能力だったとか。
文字数制限に引っかかったので、後半分も近日中に上げていこうと思います。
このバトルは本当にハラハラしましたし、リラさんですら「めんどくさい、二度と戦いたくない」と言わしめたボスでした。流石は型月最強と言われる生物。しかも裏話で、戦ったのが実は不調も不調もで汎人類史の2%の能力だったとか。
文字数制限に引っかかったので、後半分も近日中に上げていこうと思います。