クライマックスフェイズ5
第三ラウンド・セットアッププロセス短縮化
翼→《戦術4》(凍矢&月&空)140%
星華→《光の剣4》&《戦局判断2》(ベル)
GM「さて、次に僕のセットアップだが…《力場の形成3》を僕に充てる。更に《異形への変貌》を発動!! このシーンの間、僕の浸食値のダイスを2倍にする!!」
四人「「「「はあぁ!?」」」」
SM「ベルの中にあるレネゲイドの力が増幅する。すると子供だった姿から、大人の姿へと変貌していく」
ベル『まさか、この姿を晒すほど追いつめられるとはね…!! だが、それももう終わりだ!! ここまで本気を出させたんだ、跡形もなく消してやるよ!!』
SM「それでは私の番。私はマイナー放棄。メジャーで《エンジェルヴォイス2》、《ハードビード4》でベルの能力を上げるわ。ベルのダイスは2個、攻撃力は8上がるわ」
星華『私の歌、響いて…――奥義、レプレキア!!』(ピッ)
凍矢&月「「ちょ、手に持ってるスマホから壮大な曲が流れてるんだけど!?」」
SM「あら、雰囲気作りは大事でしょ?」
クウ&ツバサ「「いやそれ処刑用BGM!!?」」
GM「さあ、僕の番だ! 僕は先程同様マイナーで《ハンドレットガンズ4》、《黒曜の鎧2》。メジャーで《コンセントレイト3:モルフェウス》、《カスタマイズ3》、《形なき剣2》。更に《ギガノトランス1》を加えて対象を全員に変更だ! ついでに《パーフェクトコントロール1》もつけてHPを5点失う代わりに達成値を10上げる!! ダイスは18個、達成値10、攻撃力は22、君らのドッジダイスは2個減少だ!!」
大人となったベルの鎧から伸びた琴の糸が辺り一帯に張られる。
そうして糸に手を当てると、思いっきりかき鳴らす。それらの音色は一つ一つが同調し、鼓動し、旋律となり、一点へと寄り集まり、大きな力へと変貌する。
『君らの信じる奇跡を壊す、ぶち壊す!! これが奇跡の殺戮者だぁ!!!』
幾多の魔法陣が集まって出来た巨大な魔法陣。今も琴が鳴り響く音色の中で、ベルはその力を背後に宿す。
こうして出来上がった有り余る力を放とうと、四人に手を掲げる――それを見て、月が動く。
『させるかぁ!!! 奇跡を壊すと言うのなら、俺は――そのふざけた幻想をぶち壊す!!!』
獣としての本能が叫ぶのだ。ここであの攻撃を喰らえば、全員タダでは済まないと。
月はレネゲイドの力で一つの黒い球体――“魔眼”を生み出す。
生み出した力の源は――時間だ。
ムーン「ここで《時の棺1》を発動!! 時を止め、お前のその攻撃を自動失敗にさせるぜ!! 浸食率は119%!」
GM「なん…だとぉ…!!?」
グラッセ「おおおおぉ!! さすがだ、ムーン!!」
クウ「今のお前、凄いかっこいいぞ!!」
ツバサ「うん! ムーン輝いてるよ!!」
ムーン「ハッハッハ。そうかそうか、もっと褒めてくれよ〜♪」
ベルの背後に浮かぶ魔法陣から幾多もの光線が解き放たれると同時に、宙に浮かんだ魔眼から時の力を発動する。
直後、月だけでなく凍矢、空、翼以外の時を止めた。
『今のうちだ!! みんな避けろぉ!!』
月の掛け声とともに、三人は反射的に光線が当たらない場所へと全力で移動する。
四人が避難を終えると、魔眼の効力が切れて再び時が動き出す。止まった光線も襲い掛かるが、時間と言う名の支援を受けて無事に攻撃を避ける事が出来た。
『なにぃ!?』
『奥の手は最後まで取っておく、お前と同じ事をしたまでだ…!』
ようやくベルに一杯報いられた事で得意げに笑う月だが、今のでかなりの力を使ったのかさっきよりも辛そうだ。
そんな月を見て、翼と空は凍矢へと振り向いた。
『凍矢、準備はいい?』
『月があそこまでしてくれたんだ…凍矢、後は頼むぜ』
『ええ――任せてください!』
奥の方にあるトランクケースへと視線を移し、右手に熱を込める。極限までに込めた熱は、炎ではなく白い光を作り上げる。炎を超えた熱は、やがてプラズマを生み出して凍矢の右腕にスパークが纏わりつく。
自分の中で活性化し、目覚め始めた力を発揮する。
ツバサ「ボクは待機を宣言。最後に回すよ――グラッセ、やっちゃえぇ!!」
グラッセ「俺の番。マイナーは放棄。メジャーで《コンセントレイト3:サラマンダー》、《プラズマカノン2》を発動し、遺産に攻撃です。浸食率125%、ダイス数は10、達成値なし、攻撃力は10だ!」
凍矢『俺にあるこの力は誰かを傷つけたり、周りから忌み嫌われるモノかもしれない。それでも…俺はっ!! この力で未来を繋いで見せるっ!!!』
グラッセ「達成値――……」
ムーン「……」
クウ「……」
ツバサ「……」
SM「……」
GM「……凍矢、いやグラッセ?」
グラッセ「…た、達成値を元にした…ダメージ判定――」
命中判定
10D+2(C値7)→18
ダメージ
2D+10→(1, 4)15
全員『・・・・・・・・・・・』
ツバサ&GM「「じ…事故ったあああああああああぁぁぁ!!!!!」」
クウ「何でだよ!? 何でここで失敗するんだよ!?」
ムーン「今までの運の良さどこ行ったんだよ!? これぐらい30とか出せるだろ!? クリティカル結構出してただろ!?」
ツバサ「耐久力20って結構優遇して貰った方なんだよ!? 何で失敗するの!? ムーンも奥の手出してもう対処できないよ!? 次のターンで倒しても僕らの誰かは下手したら確実にジャーム化だよ!?」
SM「あれだけRPしておいての、この結果…これ終わったらみんなでお祓い行く?」
GM「スピカ、話しかけるな…!! 今こっち必死になって構成練り直してるんだ…!! キャンペーン考えてたのに、第一回目のプレイでジャーム化決定って…! ああ、もうそれでもいいか。お前らの世界それぐらい酷い話でも普通にぶっ込めるし、きっとこれもハッピーエンドは許さないというお前らの世界の意志なんだろうねアハハハハ」
グラッセ「止めてぇ!!! お願いです、もうそれ以上言わないで!!! 俺のメンタルをズタボロにしないで!!!」
クウ「で、さ…俺、どうすればいいの? 星華に攻撃しても意味ないだろ?」
ツバサ「師匠も待機してよ、ボクがどうにかして壊すから。あと5なら確実に仕留められる《大型拳銃》選んでおけば良かった…」
グラッセ「うううぅ…!」
クウ「分かった…」
ムーン「お、俺の番行ってもいい?」
GM「ああ、行ってくれ…」
ツバサ「待って、ムーンも待機して! 《領域の盾》はまだ2回分残っている。今のままじゃまた星華さんを使って攻撃が防がれる」
ムーン「わ、分かった! 待機するぜ!」
凍矢の掌から放たれたプラズマを帯びた灼熱の光線が、トランクケースを丸ごと巻き込むように貫く。
あんな攻撃に巻き込まれたのだ。ケースも、中にある鉱石も破壊されただろう。誰もがそう思った。
一人青ざめた顔で立ち竦んでいる凍矢を除いて。
『凍、矢? どうしたの?』
『――ごめん、みんな…!!』
心配そうに翼が声をかけると、凍矢が声を出す。
視線を送ると、彼の表情は絶望で塗りつぶされていた。
『俺、無理だった…!!』
灼熱の光線で貫いたケースは溶かされ、煙を上げている。
だが、中に入っていた鉱石は黒く焦げてはいるが、蠢く闇を宿したまま鼓動していた。
『いささか火力が足りなかったか。君らの策もそいつの所為で尽きたようだね?』
『…っ!』
『くそっ…!』
ニヤリと笑うベルの言葉が棘となり、月と空の表情も歪む。
耐え切れず、凍矢はその場で膝をついてしまう。
『俺…やっぱり、駄目だったんだ…!』
『――凍矢、駄目じゃないよ』
誰もが心が折れそうになる中で、翼だけは前を向いたまま拳銃を両手で握りしめる。
そして、遠くにある黒い鉱石に合わせようと銃口を向けて構える。
『翼?』
『知ってる? 物語の主役ってさ、絶望的な状況を覆す力を持ってるんだ。その人に関わる仲間だって、同じ事が出来るんだ』
『遺産を破壊する気なのか!? そんな事しても意味が――!!』
『あるさ。だって――どんな時でも主人公は諦めずに敵に立ち向かう。だから勝つんだ。それに、ボクはトライブリードとは言えノイマン持ちだよ? 凍矢、信じてよ。ボクは無駄な事では動かない』
この銃は、仲間を助ける為に使う武器。一度だって敵に対して引き金を引いた事はない。
しかし、今の自分はもう攻撃する為のコインを使えない。もう、これしか出来ないのだ。
いつも支援するように、真っ直ぐに狙いを定める。余計な事は考えない…考えてはいけないのだ。