ミドルフェイズ3(前編)
ミドルフェイズ3 シーン6〈非日常の崩落、惨劇の開幕〉
シーンプレイヤー 闇代月
グラッセ「…なんていうか、青春楽しんでる場合じゃない気がするんだが」
クウ「ほぉう? 今現在も命狙われている状態なのに、呑気に青春満喫しているお前らを見ている俺の心情を述べてみろ」
ツバサ「…ドンマイ?」
GM「再び学園側に戻るから、学生PC三人が登場だ。シーンプレイヤーは月だよ」
《シーン登場》
凍矢1D→1 41%→42%
月1D→8 50%→58%
翼1D→9 42%→51%
ムーン「また高いな…! クライマックスまで持つか…?」
ツバサ「ボクも高いや…」
GM「さて、時間は進みお昼を過ぎた頃だね。君らは羽粋の提案で中学の体育館でステージの出し物を見ているよ」
グラッセ「ステージの出し物なら、まあ見ていてもおかしくはないかもな」
あちこちの催しを見て回り、売っている者を買って食べ歩く三人。
体育館に行くと、丁度イベントが行われていた。
司会者『ここからは告白大会です! 一般参加も募集中! 皆の心の内を吐き出しましょう!』
羽粋『こう言うのって、テレビの中だけだと思ってた』
凍矢『そうだな。まさか文化祭で行うなんて…どんな羞恥プレイなんだよ』
上級生『3年C組のお化け屋敷、遊びに来てください!!』
ネク『すぅ〜…マーブルスラッシュの対戦相手募集中だ! 俺と戦う奴がいたらかかってこい!!』
凍矢『ネクさん…』
月『いくら嵌ってるからって、ここで対戦相手募集するか…?』
男子生徒『リア充滅びろー!!』
女子生徒『オ、オホン…乗ってるかー、みんなー!!』
生徒全員&羽粋『『おー!』』
凍矢『羽粋、しなくていいよ…』
こうして体育館全体が盛り上がる中、外から二人の小学生が覗き見していた。
エリー『翼ー、こうしてると私達スパイみたいだね?』
翼『そうだね、エリー…ムグムグ、この唐揚げ、衣がベタベタ…』
エリー『焼きそばも焼き過ぎて固いぃ…買うの失敗したね…』
翼『何でボクこんな事しようって考えたんだろう…あぁ、こんなにも良い匂いが漂っているのに…屋台巡りしたいよぉ…』
司会者『次は――あ、そこの手を上げた方お願いしまーす!』
スッと伸びた黒い手に司会者はステージに上がらせる。
だが、人込みから現れた参加者に会場が騒めく。
なぜならその人物は、凍矢達が相対してきた黒コートを着ていたから。
凍矢『えっ…!』
翼『うそ…?』
月『………』
羽粋『凍矢、月?』
エリー『翼、どうしたの?』
ムーン「GM、《ワーディング》は出来るか!?」
SM「ほう、一般人が犇くこの場で《ワーディング》したら敵はどう動くか分からない訳ではなかろう?」
ムーン「いいや、可能だ。俺の《ワーディング》は『ブラックダイアモンド』で一般人に被害は出ない!」
SM「む…!」
ムーン「と言う事で、《ワーディング》だ! 時間が止まったのを見計らって、即座に駆けつけてステージに上がり込む!」
GM「なら月は急いで駆けつけようとするだろう――だが、《ワーディング》が貼られたにも関わらず周りの人は騒めいている」
グラッセ&ムーン「「――エ?」」
ツバサ「ちょ、ちょっと待って? 《ワーディング》張られたのに、一般人が止まってないの?」
GM「ああ。突然の事にざわざわと騒めいているよ」
グラッセ「どうなっているんですか!? まさかここにいる全員オーヴァード!?」
SM「くくく、どうだろうか? それより続きだ」
《ワーディング》は確かに張られた。なのに、生徒達の騒めきは消えない。
凍矢、月、そして外で張り込みしている翼もこの異常事態に固まるしかない。だが、原因ともいえる相手はステージに上がり備え付けられているマイクの前に立つ。
『そ、それでは! お名前と誰にどんなメッセージを向けたいかお願いします!』
『名前は匿名で。どうせ顔を見れば分かりますから。伝えたい相手は――』
フードに手をかけて外す。そこから現れた顔は。
『私を殺した人に』
数か月前。FHと初めて共闘した事件にて、敵対し、倒した――天義星華だ。
グラッセ&ツバサ「「何この展開ーーーーーーっ!!!??」」
SM「さー、なんじゃろうなー?」
ツバサ「ぐぬーーーー!!! 今ここで《インスピレーション》使いたいー!! でもー!? ぬぐあー!!」
グラッセ「あれ…ムーンはなんで反応がな」
ムーン「ブツブツブツブツブツブツブツブツブツ」(高速で話してて、もはや聞き取れない)
グラッセ「ム、ムーン?」
クウ『ズズズズズ…!』(飲料は残っておらず氷を吸ってる状態)
ツバサ「空さん…ううん、師匠?」
グラッセ「明らかに二人の様子がおかしいんだけど!?」
ムーン「いやいやいやそんなことはないんだぜ? はなせないなんてことはないんだぜ?」(虚ろな目)
クウ「ウンウンワルクナイワルクナイダレモワルクナイオレモワルクナイ」(滝汗)
ツバサ「二人のメンタルがかつてない程異常なんだけど!?」
スピカ「……私、クウの秘密が何となく分かった気がするんだけど」
テルス「寧ろムーンも、敵の蘇りに関係がありそうね…」
GM(はぁ…二人に渡した【秘密】の所為で、上手い具合に疑心暗鬼が起こってるよ)
SM(こう言うのは得意だからの)
GM「(威張る事じゃねぇよ!)あー、もう! 先進むよ!」
素っ頓狂な発言にも思える彼女の言葉に、体育館にいる人達は困惑、苦笑、呆れ、様々な表情や呟きを漏らしている。
それが普通の反応。だが、真実を――彼女と死闘を交えていた三人は違う。
凍矢『なんで、星華さんが…!』
月『……っ!』
エリー『あのお姉さん、何を言ってるんだろ?』
翼『エリー、今すぐここから離れて…!』
エリー『翼?』
星華『まずは、軽い挨拶として』
GM「ここで星華は《見放されし地》を発動。体育館――いや、校舎全体を覆うようにして青空が一瞬で闇に染まり、視界もおぼつかなくなるだろう。そして上空に《ミッドナイトシネマ》が発動する。そこには体育館内部の映像が映るよ」
SM「更にここで『悪意の伝染』が発動する。PCだけでなく一般人も含めたエキストラ全員が学園から出れなくなるぞ!」
ツバサ「閉じ込められたぁぁぁ!!?」
それは、まるで巨大な映画館。暗幕の空をバックに巨大なスクリーンが映し出される。
この日の学園は非日常に包まれているとはいえ、魔法のように行ったありえない事象にこの場にいる人達が畏怖の眼差しで星華を見遣る。
星華『見ての通り、私がやったの。でもね…』
薄暗くなった暗闇でも分かるくらい、星華は口元を歪める。
星華『そんな私を殺した“化け物”が、この中にいるの。異能の力で沢山の人を殺したにも関わらず、普通の人として何事もないように紛れ込んでいる。私はそんな人に会いに来て、伝えたいの。貴方達がのうのうと過ごしている間に、死の世界から蘇ってきたってね』
凍矢&月『『っ…!』』
星華『さあ、何時までも隠れてないで出てきなさい。嫌だと言うなら――』
右手を伸ばし、人差し指を銃の形に変えて観客へと向ける。
星華『“化け物”だって、教えるわよ』
GM「そして、星華の方から一閃の光線が凍矢の胸目掛けて飛んでくる。正確には、リアクション不可の攻撃が凍矢を襲うよ」
ムーン「だ、だったら俺がかばう! カバーリングする!」
SM「無駄だ、この攻撃はカバーリングも不可能じゃ!」
GM「さて――悪いが攻撃のダイスも達成値も伏せさせて処理を行う。達成値は39、武器を合わせた合計ダメージ…40だ」
グラッセ「装甲値引いても戦闘不能です…! いつもならここで《リザレクト》します、が…大勢の人が、見てるんですよね?」
SM「見ておるな」
グラッセ「どうすればいいだよぉぉぉ!!? 起きようにも起きれないぃぃ!!!」
ムーン「だったら俺が凍矢を担いで逃げれば――!」
GM「いいや」
凍矢『が、は!』
瞬きする僅かな時間。それだけで、凍矢の胸に光線が貫いていた。
“護る”事に特化した凍矢の力量ならば、攻撃に対して反応も、対応も出来る。だが、彼は空いてしまった胸から血を噴き出しながら床に倒れ込む。
羽粋『え…!? と、とう、や…!?』
月『てっ、てっめぇ!!!』
女子生徒『イ、イヤァァーーーー!!?』
男子生徒『ひ、人殺し!!』
星華『あら、起きないの? それはそれで構わないわ』
暴言を浴びせられるが、何もないように星華は聞き流し、倒れる凍矢へと宣告する。
星華『トドメを刺してあげるから』
GM「星華は《加速する刻2》を発動“しようと”する――このままエフェクト使われたら本当にトドメ刺されるが、どうする?」
ムーン「なら、近くの俺がかばえば…」
ツバサ「それじゃ、二人が殺されるよ…ところでGM、凍矢の攻撃について何か分かったりする? 使用したエフェクトとかそう言うの」
GM「なら〈知覚〉判定。難易度13だ」
ツバサ「意外と高い…けど、やるしかない!」
〈知覚〉判定
6D+1→10 失敗
ツバサ「届かなかった…!」
ムーン「『バディムーヴ』したいが、正直、この状況で翼に援護なんて飛ばせねーよな。お前がこっそり監視しているのも知らないし…」
グラッセ「《リザレクト》するしかないのか…! このままだと死んじゃうので、もうします!」
《リザレクト》
凍矢1D→7
グラッセ「これで浸蝕率も49%…もうどうにでもなれですよ!」