ミドルフェイズ4
ミドルフェイズ4 シーン8〈命がけの逃走劇〉
シーンプレイヤー 七雲空
GM「ここでは全員登場となるが、最初は空だけ。特殊な判定に入る所で、三人も登場して貰う」
グラッセ「分担されているのに、全員登場可能なんですか?」
GM「そこはやってみれば分かるよ。まずは空からだ」
クウ「分かった。シーンインだ」
《シーン登場》
空1D→6 41%→47%
ツバサ「何かボク達と違って、師匠低めだよね」
クウ「まあでも、こんな状況だから浸蝕率上がりそうだけどな…」
空が乗り込んだ御剣達の車は、現在高速道路を走っている。
制限速度は優に超えている。だが、どれだけスピードを飛ばしても車は見えない。
当然だ。高速付近はかなり先まで《ワーディング》が張られており、今も追ってきたエスケープキラーとカーチェイスを続けているのだから。
御剣『しつこい…流石はUGNと言った所でしょうね』
子分『…二人の応急手当は済ませておいた。だが操られていると言う話だから、身体の自由が利かないよう麻酔に似た薬品を注入しておいた。後遺症は出ないようにしているから安心しろ』
空『本当だろうな?』
御剣『彼はソラリスのオーヴァードですが、あなたは我々の協力者。敵に回すような事はしません』
空『そうか…ところで御剣。どうして俺を助けてくれたんだ?』
御剣『丁度あのシマの組との会合がありまして…その帰りに《ワーディング》を感知したらあなたがいた。だから助けただけです』
空『良かったのかよ、UGNの抗争に暴力団如きが突っ込んで?』
子分『なんじゃと貴様ァ!!』
御剣『あのシマを縄張りにしてる組は、資金援助してくれたFHセルが潰された上にUGNの勢力が増した事で治安が回復したそうで。喧嘩を売る事で、恩を作ろうと思ったんですよ。あなたを助けたのも、今繋がっている闇代グループの社長に金をせしめる為です』
空『なるほど。俺達はお前らの大金の餌って事か』
御剣『私とあなたの関係はビジネスです。私はあなたを、あなたは私を利用する事で利益を作る。それだけです』
蒼空(だったら御剣。金は払うからその二人を頼めるか? 出来れば、安全な所まで)
御剣『…ホテル代を払ってくれるのならば』
蒼空(ありがとう、御剣)
その時、前方からガラスの割れる音が鳴る。
強化ガラスごと運転手が狙撃され、一気にスピードが減速して車体も揺れ出した。
御剣『っ、全員掴まってなさい!』
不在となった運転席に向かって御剣が手を伸ばす。すると、車が勝手に動き出して車体もスピードも先程同様に戻り出す。《機械の声》を使って車を運転しているのだ。
空『荒々しい運転だなぁ!』
御剣『嫌なら降りなさい!』
???《――そろそろ諦めたらどうだ。裏切者と日本のギャングども》
上空からやけに高圧的な男性の声と共に、プロペラの音が近づいて来る。
思わず扉を開けて上を見ると、後ろの車に追いつく形で戦闘ヘリがやってくる。
その開け放たれた扉には、黒いサングラスをかけたスーツ姿の男性が自分達を見下ろしている。
空『あの男は――!』
アッシュ《初めましてと言っておこうか? UGN中枢評議会、評議会委員のアッシュ・レドリックだ》
ツバサ「とうとう現れたよ、UGNの改革派代表ーっ!!」
グラッセ「えーと、誰それ?」
ツバサ「あー、ごめん。アッシュはUGN改革派…タカ派と呼ばれている人物なんだ。
霧谷さんやテレーズさんはUGN内では《穏便派》と呼ばれていて、『人とオーヴァードの共存』の為の活動を進めている。それとは反対に、アッシュはUGNを『人との共存よりオーヴァードで構成された部隊で権限を作る組織にする事』を目的として活動しているんだ。
言うなれば、UGN内の悪役って所だね。なにせ自分の気に入らない人は、平気で弱みを探ってはあの手この手で陥れようとするから黒い噂もあるくらいだからね」
クウ「嫌なタイプの敵だな…だが、敵対する立場として不足はないな。俺は…本部エージェントだったし、知ってていいか?」
GM「全然いいよ。そっちの方が盛り上がりそうだしね」
自分達を追って現れた強敵に、真っ先に反応したのは本来の人格――蒼空だった。
蒼空(アッシュ! あんたが直々に現れるなんてどう言う風の吹き回しだ!)
アッシュ《どうもこうもない。FHに寝返った貴様を始末するのに、理由があるか?》
蒼空(ハッ、素直に行ったらどうだ…UGNの闇の秘密を洩らさない為の口封じだってさ?)
アッシュ《ふん、やはり分かっているではないか。それにしても、落ちぶれたものだな七雲空。身体は別人格に乗っ取られ、FHよりも格下のギャングと手を組むなど》
蒼空(確かに暴力団はFHよりも規模も勢力も弱いのは認める。けどな、こいつらは俺が警察時代から張り合っていたんだ。あんまり舐めてると――もう一人の俺のように、痛い目遭うぜ?)
言い終えると同時に、空が開けていた隣の車の扉が開かれる。
そこから身を乗り出した御剣もまた、上空のアッシュを睨みつけた。
御剣『弁明をどうも…我々としても、格下と言われて黙っている程弱者ではない。ここらでUGNのお偉い共に一泡吹かせてやりましょうか』
アッシュ《面白い、纏めて始末してやれマリア》
マリア『ハッ!』
GM「ここで、場面を学園側に移るよ。纏めてシーン登場してくれ」
《シーン登場》
凍矢1D→7 49%→56%
月1D→4 61%→65%
翼1D→5 51%→56%
ツバサ「流石にボクも二人と合流しないとマズイと思うんだけど…」
ムーン「俺もそれには賛成だ」
GM「もちろん認めよう。合流は好きに演出してくれ」
《ディメンジョンゲート》で逃げた先は、どう言う訳か学園の校門だった。
どうやら何らかの力で下界との繋がりは完全に断たれてしまっており、薄暗い闇のドームに閉じ込められてしまったようだ。
今は校庭で殺意剥き出しで追ってくる一般人から凍矢は青い顔で、月は羽粋を背中に担ぎながら逃げていた。
凍矢『はぁ、はぁ!』
月『グラッセ、大丈夫か!?』
凍矢『俺は平気、だけど…!』
月『とにかくどこか、安全な場所を…!』
翼『う〜…このままじゃ逃げ切れないよ…! 凍矢ー、月ー、たーすーけーてーよー!!』
周りを見回していると、すぐ傍の二階の渡り廊下の方で翼の救援が響き渡る。
駆けつけると、エリーをおんぶしながら複数の生徒達に追われていた。
凍矢『翼!?』
翼『いたー! とーぉ!』
月『バッカ!?』
翼が気づくなり、廊下の縁に足をかけて勢いよく一階へと飛び降りる。
オーヴァードと言えど大怪我を負う行為に、慌てて月は翼とエリー二人分の体重を受け止めた。
月『何で上の階から落ちて来たんだよ!? 危ないだろ!?』
翼『大丈夫、月が受け止めてくれるって信じてたからね!』
月『何が大丈夫だよ!? ったく…!』
凍矢『その子…』
翼『凍矢達を助ける為に電撃で照明壊したんだけど、そしたら急におかしくなって…』
凍矢『あれは翼の仕業だったのか! ありがとう、助かったよ!』
思わずお礼を言うが、状況は変わらない。
味方が一人増えた所で、この暴動は治まらない。
月『どいつもこいつも敵だらけだな…何とかして逃げ切るぞ!』
GM「ではここで、FS判定と行こう」
SM「FS判定に参加出来るのは学園にいる三人のみ。空はこれとは別の判定をして貰う」
GM「それが【カーチェイスルール】だ。これも進行値があり、一定数集まればPC達と合流後、学園でのFS判定に参加出来るぞ。説明文は下に載せるが、こちらの最終的な数値は伏せさせてもらうよ」
【カーチェイスルール】
車を運転しながら逃走しているので、空か御剣のどちらかが『高級車』に搭乗状態してないといけない。
自分の番になった時〈白兵〉or〈運転:四輪〉のどちらかで判定。難易度は8。敵はクリンナップで必ず攻撃をしてくる。
〈白兵〉で判定した場合、車の運転は御剣になるのでクリンナップでの敵の攻撃は御剣が受ける形で『高級車』にダメージが入る。
〈運転:四輪〉で判定した場合、車の運転は空になるのでクリンナップでの敵の攻撃は空が受ける。〈回避〉判定に成功すれば攻撃は避けられるが、失敗すれば『高級車』に直接ダメージが入る。
判定に成功した際〈白兵〉はそのままの進行点が、〈運転〉は進行点が2倍になる。
進行値が一定数、もしくは車の耐久が0になった時点でカーチェイスは終了となる。
ツバサ「逃走劇している時にカーチェイスしながら向かうって、何かアクション大作のハリウッド映画みたいだね!」
GM「で、カーチェイスに参加する空にはNPCカードを渡すよ」
NPCカード『御剣祥耶』
1・《妖精の手》オート/カーチェイス中3回使用。判定ダイスを振った直後に使用、ダイス目一つを10にする。1ラウンド1回。
2・《領域の盾》オート/カーチェイス中3回使用。ダメージロール直前に、対象にカバーリングを行わせる。
3・《束縛の領域》オート/カーチェイス中1回使用。相手の攻撃を自動失敗させる。
クウ「あのぉ…1と3はともかく、2ってまさか…」
ツバサ「御剣さんに攻撃が来た際に、空さんが身をもって守れって事だね」
クウ「だよな〜…でも御剣の効果を使えば〈運転〉判定なら4点は確実か。効率よく稼ぐなら後者が一番だが…」
ツバサ「ところで『高級車』のデータに装甲値はあるけど、耐久って書いてないよね? 幾つなの?」
GM「耐久は30に設定してある。装甲値はダメージの際に反映されるよ」
クウ「当たったとしても、ダメージ8点分は軽減できる訳か。了解」
GM「次に、学園側のFS判定の説明だ。今回のレギュレーションだ」
【暴動の嵐から逃げ切れ】 終了条件7ラウンド経過
判定【肉体】 難易度7 最大達成値40 進行値30
支援判定【肉体】【感覚】
グラッセ「前回より進行値が多い…大変そうだ…」
ムーン「その分ラウンドも最大達成値も増えているが…」
ツバサ「今回のFS判定は、空さんが早めに来るか来ないかが鍵になるね…」
GM「ちなみに君らも敵がいた場合、クリンナッププロセスに攻撃を受ける事になるから注意してね。
あと、学園側で行う支援は学園側のメンバーだけしか受ける事が出来ない。例えば、翼が《戦術》で支援する時、学園側に空がいないから空だけ支援は受ける事が出来ないと言う感じだ」
SM「今は暴徒に追いかけられているから、全員2D10のダメージを受ける事になる。上手く進行値を稼いで敵の目をかいくぐりながら逃げ切る事じゃな」
GM「さあ、FS判定&カーチェイスを始めるぞ!!」
■作者メッセージ
補足コーナー:人物&組織紹介
アッシュ・レドリック:UGN中枢評議員の一人でありオーヴァードの男性。元々は各国支部を管理する査察官だったが、死んだと思われたコードウェル博士がFHの幹部へと鞍替えした混乱に便乗する形で評議員のイスを手に入れた。シンドロームはバロール・オルクス・ハヌマーンのトライブリード。
それ以降、改革派の先鋒として「オーヴァード構成員を中心に権限を持たせる」と言った野望を推し進めている。今のUGNの「人とオーヴァードの共存」を推し進める霧谷やテレーズとは対立している状態。
それ以外にも、彼は何かと理由をつけて他のエージェント達を降格・左遷された者がいる。その多くが言いがかりだけでなく、捏造されたものもあったりする。加えて皮肉と嫌味な言い方と性格で、現場のエージェントからは嫌われている。とはいえ、UGN評議会議員としての力量はある為、そこもまた腹が立つ要因であるだろう。
尚、彼はUGN内部の『悪役』ではあるが『敵役』ではない。
マリア・チェスノコフ:UGN本部査察部第4課――エスケープキラーを束ねるオーヴァードの女性。シンドロームはエンジェルハイロゥのピュアブリード。
UGNを裏切り、離脱した者に制裁を加えるのが仕事だが、彼女はアッシュに狂信ともいえるほどの激しい忠誠を捧げている。彼の命令ならば、たとえFH支部だろうと世界の果てだろうと必ず対象を仕留める。
彼女の経歴は一切不明で、第4課に入る前にどこで何をしていたのかは分かっていないが、暗殺に似た仕事をしていたと言う噂がある。
第4課(エスケープキラー):正式名所、UGN本部査察部第4課。主に闇の仕事、組織の内定調査を担当している部署。
組織の不正、裏切者をあぶりだすのが任務なので組織内部を嗅ぎ回る。その為、味方からも恐れられている。
そして内部を調べて不正の証拠を掴むだけでなく、裏切り者の粛清を行う猟犬でもある。その機動力は凄まじく、エスケープキラーと言う名で呼ばれている。
この組織はマリアが束ねている。その為、現在の第4課はマリア、その裏にいるアッシュの私兵のように利用されて操っているような状況である。
アッシュ・レドリック:UGN中枢評議員の一人でありオーヴァードの男性。元々は各国支部を管理する査察官だったが、死んだと思われたコードウェル博士がFHの幹部へと鞍替えした混乱に便乗する形で評議員のイスを手に入れた。シンドロームはバロール・オルクス・ハヌマーンのトライブリード。
それ以降、改革派の先鋒として「オーヴァード構成員を中心に権限を持たせる」と言った野望を推し進めている。今のUGNの「人とオーヴァードの共存」を推し進める霧谷やテレーズとは対立している状態。
それ以外にも、彼は何かと理由をつけて他のエージェント達を降格・左遷された者がいる。その多くが言いがかりだけでなく、捏造されたものもあったりする。加えて皮肉と嫌味な言い方と性格で、現場のエージェントからは嫌われている。とはいえ、UGN評議会議員としての力量はある為、そこもまた腹が立つ要因であるだろう。
尚、彼はUGN内部の『悪役』ではあるが『敵役』ではない。
マリア・チェスノコフ:UGN本部査察部第4課――エスケープキラーを束ねるオーヴァードの女性。シンドロームはエンジェルハイロゥのピュアブリード。
UGNを裏切り、離脱した者に制裁を加えるのが仕事だが、彼女はアッシュに狂信ともいえるほどの激しい忠誠を捧げている。彼の命令ならば、たとえFH支部だろうと世界の果てだろうと必ず対象を仕留める。
彼女の経歴は一切不明で、第4課に入る前にどこで何をしていたのかは分かっていないが、暗殺に似た仕事をしていたと言う噂がある。
第4課(エスケープキラー):正式名所、UGN本部査察部第4課。主に闇の仕事、組織の内定調査を担当している部署。
組織の不正、裏切者をあぶりだすのが任務なので組織内部を嗅ぎ回る。その為、味方からも恐れられている。
そして内部を調べて不正の証拠を掴むだけでなく、裏切り者の粛清を行う猟犬でもある。その機動力は凄まじく、エスケープキラーと言う名で呼ばれている。
この組織はマリアが束ねている。その為、現在の第4課はマリア、その裏にいるアッシュの私兵のように利用されて操っているような状況である。