第一ラウンド


GM「まずはセットアップ。今回は特別に学園とカーチェイス用のハプニングチャートを作った。空が学園の合流に成功したら、次のラウンドから学園用のハプニングチャートに変えるよ」

SM「誰が振るかは、この際お前達で話し合って決めるがいい」

グラッセ「誰が振ります？」

ツバサ「そりゃあ、師匠でしょ。師匠のダイス運は凄いから」

クウ「期待されても困るけどな…じゃ、俺が振るぜ」


　1D100→93（カーチェイス用。一か八かの賭けに出る。このラウンド中、難易度が＋10。判定に成功すれば進行点＋1）


ムーン「ワァア」

ツバサ「さっすが師匠…何でこうなるの？」

クウ「てかこれの何処が一か八かの賭けだ！？　一気に難易度18だぞ！？　賭けどころか無謀な挑戦じゃねーかぁぁ！！！」

GM「ある意味お前らしいけどな。さて、セットアップの宣言はある？」

ツバサ「うーん、学園側のデメリットは特にないし宣言はなし」

GM「では、行動順の確認だ」


　翼（14）
　空（10）
　凍矢（9）
　月（8）


GM「メインプロセス。まずは翼からだ」

ツバサ「とにかく進行値を稼がないといけないけど、【肉体】は低いから…待機で月に譲るよ。クリンナップに攻撃が来るなら、待機で順番遅れても大丈夫だよね？」

GM「ああ、それなら大丈夫だ。なら、次は空の番だ。白兵と運転、どちらを行う？」

クウ「今の状態なら、白兵が無難だが…《妖精の手》を使うなら、運転でもワンチャンあるよな…」

グラッセ「あの、無理せず白兵をしたらどうですか？」

クウ「だが、成功すれば5点は貰えるだろ？　目標がどのくらいか分からない以上、出来るだけ浸食率節約して多く進行点を稼がないといけないし…」

ツバサ「あ、もしかしてこれが一か八かの賭けなのかな？」

クウ「よし、運転で試みるぜ！」

ツバサ「お願いだから成功して…！」


空『御剣、車借りるぞ！』

　倒れたままの運転手を無理やり助手席に押し退けて、空は運転席へと座り込む。

御剣『あなた、免許はバイクしか持っていなかった筈では…？』

空『ああ、それなら原チャリ乗る為にオートマの普通免許習得してる！』

御剣『…この車、マニュアルですが』

空『似たようなもんだろ！』

子分『組長、もう駄目かもしれません…！』


　〈運転：四輪〉
　5D→5　失敗


クウ「やべ！　《妖精の手》を使う！」

グラッセ「どうするんですか！？　《妖精の手》でクリティカルですが、もう振れるダイス1個だけですよ！？　8以上出さないと後がないですよ！？」

ツバサ「うわああああん！！！　奇跡よ起きてー！！！」

クウ「おらぁ！！　…おっしゃ丁度8ィ！！　達成値18で成功だ！！」

グラッセ「本当に一か八かの賭けだったぁ！！！」

ムーン「こいつ、本当に毎回ギリギリの数値を出すよな…！」

GM「おめでとう、そちらの進行値は5点入るよ」


空『え、えーと？　これがどうなって…うぉ！？』

御剣『あぁ、もう！　そのままエンジンを走らせろ！』

　苛立ち交じりに扉から車体に上ると、バンと手を叩きつける。
　すると、ギアが勝手に動いて一気に加速してアッシュ達との距離を離す。

空『サンキュ、御剣！』

御剣『お礼なら後でたんまりと請求する！』


GM「次は凍矢の番だね」

グラッセ「俺も肉体はあまり得意のではないので、月に譲ります。待機で」

GM「なら、月の番だ」

ムーン「任せとけ。進行判定に挑戦するぜ」


　【肉体】判定
　10D→16　成功


ムーン「最初は10が3つ出たから二回連続で行けると思ったのに…」

GM「では、進行点2点獲得。次は凍矢の番だ」

グラッセ「仕方ない！　ここは俺も進行判定に挑戦します！」


　【肉体】判定
　2D→11　成功


グラッセ「やった、クリティカルが出た！」

GM「では進行点2点獲得。進行値4になった所でイベントだ。
　君らは後ろから迫る暴徒から逃げ切る事に成功したが、今度は向かい側から別の暴徒が君達を探している。隠れながらやり過ごさなければならない。以降、進行判定の技能が〈知覚〉の難易度8に変更されるよ」

ツバサ「待ってましたー！　ラウンド最後、進行判定させて貰うよ！」


　〈知覚〉判定
　6D＋1→10　成功


ツバサ「よし、成功！」

ムーン「今の所、俺の支援はいらなさそうだな」

GM「では合計進行値6。イベントは起こらないからクリンナッププロセス――学園側の敵は無し、空はエスケープキラーが攻撃するぞ」

SM「では判定を行うとするか。マリアがセットアップで作った《光の銃3》を構える。メジャーは《コンセントレイト：エンジェルハイロゥ2》《小さな塵7》《ピンポイントレーザー5》じゃ。
　ダイス11個、達成値8、攻撃力19、C値8の装甲値無視攻撃じゃ！！」

クウ「装甲無視！？　しかも何気に強い！！」

ツバサ「C値が低めなのが幸いだけど…」


　《命中判定》
　11D（C値8）＋8→34


SM「さあ、回避せよ」

クウ「出来るかぁ！？　くそ、物は試しで…12で駄目だ！　4D＋19とか一発でやられるだろ、御剣の《束縛する領域》使うぞ！！」


マリア『ふふ――逃げられなくてよ！』

　マリアも車体の上に身を乗せると、ライフルとなった銃でこちらの車を狙撃する。狙いはエンジン部分。
　ルームミラーで彼女の攻撃に気づき、空が避けようとハンドルを切るが間に合わない。

御剣『舐めるなと言った筈だ！』

　直後、片手を付いたままの御剣を中心に目に見えない領域が発動する。
　マリアが撃った銃弾が領域に入り込んだ瞬間、貫通する事なく“消滅”した。

マリア『なに！？』

空『流石は御剣だな！』

御剣『ただし、もう使えません…後は任せますよ』


GM「では無事に防げたところで、第二ラウンドに進むぞ」


　第二ラウンド


GM「セットアッププロセス。次にハプニングチャートを振りたいのは誰だい？」

クウ「…よし、翼。お前が振れ」

ツバサ「ボクでいいの？」

グラッセ「俺達のダイス運はあんまり信用がないから」

クウ「俺ももう主人公展開はごめんだ…！」

ツバサ「そ、そこまで言うなら…良いのが出ますように！」


　1D100→39（カーチェイス用。エスケープキラーが攻撃を仕掛ける。〈運転：四輪〉か〈回避〉で難易度10の判定。失敗すれば本人のHPに1D10のダメージ）


クウ「おいいいい！？」

ツバサ「ごめん、空さん…」

SM「では、判定をして貰おうか？」

クウ「〈回避〉に決まってるだろぉ！」


　〈回避〉判定
　5D＋2→9　失敗


クウ「くっそ、イチタリナイ！」

グラッセ「《妖精の手》使った方がいいのでは？」

クウ「これだけの為に使えるかよ、諦めてダメージ受けるぜ――ダメージは3か。かすり傷で済んだな」


隊員1『マリア様に負けてられない！　田中、お前の力を見せるんだ！』

隊員2『はい、部長！』

　マリアの背後につく車両の一台から、射撃部隊が近づいて運転席を狙う。
　弾丸は斜めに飛んで開けていた窓から前方の強化ガラスに当たり、その破片が空に降り注いだ。

空『っぐ！？』

蒼空（相棒！？）

隊員1『よくやった、田中！』

隊員2『もちろんです！　俺…この戦いが終わったら結婚するんだっ！』

隊員3『僕も奴を倒し、必ず生きて帰るんだ！　妻と、生まれてくる子供の為にも…！』


クウ「NPCが色々うぜぇ！！！　本当に暗殺集団か！？」

SM「エスケープキラーと言えど、UGNの人間だからの」

クウ「アットホーム過ぎんだろ！！　倒しにくいわ！！」

GM「さ、セットアップだが宣言は…ないね。メインプロセスは翼だ」

ツバサ「もちろん、このまま進行判定行くよ！」


　〈知覚〉判定
　6D＋1→10　成功


ツバサ「一回もクリティカルしなかった…」

ムーン「いや、十分だ」

GM「進行点2点。そちらの合計進行値8だ、次は空の番だね」

クウ「敵の攻撃が当たれば確実に終わる。御剣に運転を交代〈白兵〉で挑戦する。ところで、武器を作った場合、何か補正とか貰えたりしないか？」

GM「うーん…特にはないな。遠距離型なら補正は上げたけど」

クウ「…ま、浸蝕率的にはまだ余裕あるし一応使うか。マイナーで《赫き剣3》を使ってHPを6点消費して大剣を作り上げる。メジャーは《コンセントレイト：ブラムストーカー2》《鮮血の一撃2》だ！　ダイス8個、達成値5、C値8で白兵判定だ！」


　〈白兵〉判定
　8D（C値8）＋5→27＋5


クウ「まだまだ、《妖精の手》で続けるぜ！　うらぁ！」

グラッセ「ダイス合計…37、補正合わせて42！」

クウ「進行点5点獲得ってな。あ、HPは21。浸蝕率は54％だ」

SM「…うそ、じゃろ…！？」

GM「そちらの進行値が丁度10に達した所で、イベントが発生する」

ツバサ「それって！」


空『おらぁ！！』

　車体に上ると大剣を作り出し、近づいて来る敵を薙ぎ払う。だが、敵の数は減らない。

空『はっ、しつこいな…』

マリア『――それが私達ですもの』

　背後から声がして急いで振り向く。が、気づけば背中に激痛が走り背中から倒れ込んでいた。
　視界に広がるのは青空と――マリアが眼前に突きつける銃口だ。

空『いつの間に…！？』

マリア『これで終わりね。さよなら、紅の刃（ブラッドエッジ）。その名に敬意を表して、その身を血で染めてあげるわ』

空＆蒼空『（ッ…！）』

隊員1『――マリア様！　身元不明の車両が猛スピードでこちらに近づいております！』

マリア『なんですって？』

隊員2『車両の上に、女性が一人――あ、あれはっ！？』

　隊員が何かを言う前に、マリアと空の間に人影が割り込む。
　そのまま手にした刀でマリアを薙ぎ払いにかかるが、とっさに距離を取る事で斬撃を回避した。

マリア『な、なぜ！？』

？？？『なぜ？　決まっている――我々【ゼノス】は、彼を必要としているからだ』

　そう言って空を庇うのは、刀を携えた一人の女性。更にその横から、一台のワンボックスカーがやってくる。
　運転席の窓が開くと、長い髪の少女が運転しながら叫ぶ。

？？？『飛び移って、ブラッドエッジ！！』


ツバサ「キャァァァーーーーーー！！！　もしかしなくても『坂月那岐』さんと『青峰ミユキ』さんだーーーーーーーーーーーっ！！！」

クウ「ぐぉ…！！　す、すぐ傍で叫ぶな…！！」

ツバサ「学園でFS判定なんてやってる場合じゃない！！！　出る！！　ボクもカーチェイスに参加するぅぅぅ！！！」

グラッセ「それPLとしての意見だよな！？」

ツバサ「何だっていいよ！！　二人と共闘するチャンスだー！！」

ムーン「おいいいい！？　なんかとんでもない力発揮してるぞー！？」

グラッセ「は、早く終わらせてください！！」

ツバサ「放せぇぇぇ！！　ダブルクロスの有名人と一緒に出れるなんてこんな機会ないんだー！！」

クウ「……今のツバサなら、ロクサスをぶっ倒せるんじゃないか？」

SM「熱狂的なファンほど、怖い奴はいないからねぇ…で、どうする？」

クウ「飛び移るに決まってるだろ？」


蒼空（相棒、今は！）

空『言われなくても！』

　すぐに体を起こし、ゼノスの車へと飛び移る。マリアが後を追おうとするが、坂月那岐によって邪魔される。
　車が空を乗せたまま先を走って距離を取ると、後部座席の窓が開いて一人の少女が強風に髪を煽られながら顔を覗かせる。

都築『一先ずは、と言った所でしょうね』

蒼空（あんたがプランナーか？）

都築『ええ。お初にお目にかかります、七雲空…いえ、今の声ですと黒羽蒼空ですかね？』

空『どうして俺達を助けた？』

都築『我々は今、一つの“プラン”を計画しています。それを実現する為には、あなたの手助けをするのが一番だと判断しました』

空『ふーん？　利用されるって分かってて、あんた達の言う通りに俺達が動くとでも？』


都築『今あなたが必死で“探しているモノ”の場所に案内する――と言ってもですか？』


蒼空（……どこだ、そいつは？）

都築『教えると思いますか？』

蒼空（どこだって言っているっ！！？　言わないなら車ごとぶった斬る！！！）

空『宿主、落ち着けっ！！』

蒼空（落ち着けるか！！！　俺から、俺達から“大切なモノ”を奪った奴の居場所を教えろぉ！！？）


ツバサ「な、何か聞き捨てならない台詞言わなかった！？」

クウ「あ〜…今他のPCいないから、ちょろっと秘密を口走ってもいいかなって思ったんだが」

GM「…まあ、煽ったのはこっちだしね。あと根本的な部分は言ってないから良しとするよ」

グラッセ「空さんの秘密…《誰かに何かを奪われた》？」