ミドルフェイズ5(後編)
空『――その後、俺はゼノの居場所を探っていた。今日の早朝に陸のおかげでお前の実家を見つけて乗り込んだが、奴は罠を仕掛けていてな。どうにかゼノスに助けられたが、代わりにあの女を倒すようにこの場所に送り込まれたって訳だ』
月『お前、親父と手を組んで敵組織について一緒に調べていたのかよ…!』
空『お前ら全員学生。なら、調べられる奴は俺しかいないだろ?』
翼『そっか。空さんって言い換えればニートだもんね!』
空&蒼空『(誰がニートだ! 仕事はちゃんとある!)』
凍矢『それより、ゼノがオーヴァードだったなんて…!』
空『冷牙って前例もあるんだ。敵だったとしても不思議はないさ』
クウ「と言う訳で、新しく出た情報を調べたいんだが」
GM「情報はこれだ」
・トワイライトディストについて(FH6/10)
クウ「なら、この情報は俺が調べる。コネは使えないが、FHの技能とダイスボーナスついてるしどうにかなるだろ」
トワイライトディストについて(FH6/10)
空3D+2→10 成功
クウ「よし、丁度成功。全部ぶち抜けたな」
GM「なら、情報を渡そう」
FH6
本名はゼノと名乗る少女。バロールとブラム=ストーカーのクロスブリード。【ダークカオス】の一員で従者や洗脳、煽りを得意とする陰謀家。海命と名乗っていたのは、立場上だったようだ。
“光”の守護者――海命家から光を略奪する為に、義理の子供として海命家に潜入していた。しかし、家の何処を探しても“光”は見つからなく仕方なく家族として過ごしながら情報を得ようとしていた。
だが、冷牙と違い家族仲はあまりよろしくなく、義弟である凍矢を家では率先していじめ、外でも悪質な噂をバラまく事で義理の家族を肩身の狭い立場に追いやっていた。
FH10
彼女には《超人的弱点U》の効果で普通の攻撃が効きにくい。だが、海命家の力には弱いようで、海命家の血を継ぐオーヴァード、もしくはそのオーヴァードの力を纏った攻撃なら通用する。
更に、使えそうなオーヴァードや人質に最適な人間には《鮮血の牙》を使って操る能力がある。何かしら解除方法はあるようだが、その為にはUGNのデータベースにアクセスする必要がある。
その中でも、相手の血を元に作り出す従者には《従者の目覚め》によって『悪夢の虚像』『変異する悪夢』で変質させており、従者自身が『砕け散る絆』の力で消去したロイスを埋め込んでいる。倒した瞬間にその人の事を思い出させる事で、取り戻した筈のロイスを自らタイタスにさせてジャーム化させる戦法だ。
空は一度『砕け散る絆』の効果を受けている為、耐性がついている。今の内に従者を倒せば、奪われたロイスをタイタスする事なく効果を解除出来る。
クウ「つまり、今の内に星華…従者を倒せば俺のロイスはタイタスせずに取り戻せるって事か」
ムーン「ここでようやく、ゼノについての情報が出そろったな」
グラッセ「俺に支援重視と言ったのは、このエフェクトがあったからなんですね」
GM「凍矢は支援とタンク役だからどうしても攻撃面では目立てない。だから、別の方法で目立たせようと思ったんだ。例えば、凍矢が強化や回復を行ったとする。そのオーヴァードがゼノに攻撃する際、《超人的弱点》の効果が発動してより多くのダメージを与える事が出来るよ。ただし、支援を貰ったあと一度何らかの攻撃をする、もしくは支援を受け取った後に攻撃しないままメジャーアクションを終わらせたら、その効果は無くなるから注意だ」
クウ「要は一回につき一発の攻撃にしか付加されないんだな、了解。それと響を助けるには、どうにかして《通信支配》を解除しないといけないようだな。操っているのはゼノで確定だ」
ツバサ「う〜ん…何かおかしくない?」
グラッセ「おかしい?」
ツバサ「ゼノのシンドロームはバロールとブラム=ストーカー、星華さんはエンハヌノイ、響もキュマハヌ、六介さんはエンモル。なら――《通信支配》をやっているのは誰?」
グラッセ「《通信支配》? この中の誰かじゃ――ん? このエネミーエフェクト、よく見たら『ブラックドック』専用か!」
ツバサ「そう。《組織崩壊》はノイマンのエネミーエフェクトだから星華さんがやったと思う。けど、これだけはそれじゃ説明が付かないんだ。だって、ブラックドック能力者はこの街でボクしかいないんでしょ?」
GM「…ああ、そうだね」
ムーン「…一体、どうなっているんだろうな? それより凍矢、キツいとは思うが最後の情報調べてくれないか?」
グラッセ「あ、ああ。なら俺が最後調べます」
ムーン(頼む、この状況を打破する方法が出てくれ…!)
学園の状態(UGN15)
4D+2→9 失敗
グラッセ「駄目だった…」
ムーン「くそ、やっぱコネないとキツいか…!!」
ツバサ(…妙に月が焦っている? この情報を抜きたがっている…?)
GM「では全員の情報収集が終了した所で、ここで動きが「待った」」
クウ「翼?」
ツバサ「ちょっと、RPさせて欲しいんだけどその時間ある?」
GM「うーん、空の情報抜いた訳だし共有する時間くらいなら」
ツバサ「ありがと、GM。それで十分だよ」
隔離された空間では、スマホは圏外となっており使えない。
しかし、通信が出来ないのであって保存されていたデータは普通に見れる。
空は事前にスマホのデータに送られた陸からの情報を凍矢達に見せていた。
空『…これが、陸が事前に送ってくれたゼノについての情報だ』
凍矢『まさか、あのゼノが冷牙と同じだったなんて…!』
月『だが、お前はゼノって奴から酷い目に遭わされたんだろ? だったら家族でも何でもない、俺のように憎めばいい』
凍矢『それはそうだけど…! 待ってください、だったら父さんと母さんは!?』
空『言い忘れてたが、そっちはついさっき俺が救出しておいた』
蒼空(ゼノの操り人形にされてたりエスケープキラーに狙われたりしたが、今はゼノスが保護してる筈だ。それが交換条件だからな)
凍矢『蒼空さん、あんたよく分からない組織に俺の両親を任せたのか!?』
翼『凍矢、落ち着いて! 少なくとも利害が一致しているのなら、ゼノスは悪いようにはしない! それはボクが保証する!』
月『おい、何でお前がゼノスの代表みたいな言い方しているんだ?』
翼『うっ!? ま、まあ…ボクもレネビだからね。あー、それより月に訊きたい事あるんだよねー?』
月『何だよ?』
翼『月――何か、隠してるよね?』
月『…何をだよ?』
翼『んー、ボクの主観だけど何をそんなに焦っているの? 敵を見つける事? 凍矢達を守る事? それとも――この状況から打破する事?』
月『っ…お前には関係ない!』
ムーン「悪いが、そう言って翼から離れる」
ツバサ「だったら、ボクは空さんに近付いて耳打ちするよ――月が何をしたがっているのか《ブラッドリーディング》で調べて、って」
クウ「!?」
GM「おい、流石に《ブラッドリーディング》でRハンドアウトの解除は出来ないぞ?」
ツバサ「“秘密を調べろ”って言ってないよ? ボクは月が“何をしたがっているのか”が知りたいだけ…本当に最後の情報を抜くのが必要だったら《インスピレーション》を使ってGMから情報掻っ攫うつもりだけど、どうする?」
ムーン「…空、お前どうするつもりだ?」
クウ「悪いが、こっちは翼の言う通りに動く。お前の頭をガシガシ撫でつつ、頭皮やおでこに付いた汗で情報読み取るぞ」
GM「月、どうする? 拒否したいなら対抗していいが?」
ムーン「俺が何をしたがっているか、だな……それなら拒否しない。この状況…『何とかして監視の目から掻い潜りたい』と思っている」
ツバサ「なるほどね…使う理由は十分だよ」
クウ「俺の《シークレットトーク》は…駄目か、オーヴァードなら誰もが聞こえるんだったな。オブラートに包む様に伝えるか」
翼に言われた通りに、空は月の頭を撫でつつ感情を読み取る。月が文句を言うが、止める前に彼が『敵の目から逃れたがっている』のが分かる。
これでも月はUGNチルドレン。戦いを幾度も潜り抜けて来たし、洞察力もある。父親の陸のこと以外は、必要な事しか行ってこない。
何故月が一般人でも新人でもないのに、ましてや前線で活躍する戦闘部隊であるのに敵の目を避けようとするのか。その意味を――UGNエージェントであった空は理解する。
空『翼…お前頭良いんだよな?』
翼『うん、そうだね?』
空『もう少し、今の状況に対して情報が欲しいがどうにか出来ないか?』
翼『――! もう、仕方ないね』
その一言で、翼も同じように確信する。
敵に知られるとマズい手札を、月は持っているのだと。
ツバサ「と言う訳で《インスピレーション1》発動するよ、浸蝕率91%。難易度15の情報頂くよ?」
SM「まさか、このターンで全て抜かれるとは…!」
GM「いいだろう、情報受け取れ」
UGN15
どうやら《ミッドナイトシネマ》以外にも、PC達に標準を定めて《第三の瞳》と《ドミネーション2》を複合して常に監視カメラにより建物内で監視が行われている。
この監視を潰すには《セキュリティカット》を使い、難易度12の〈RC〉判定に成功する必要がある。成功すれば監視だけでなく、連動して《ミッドナイトシネマ》の効果も追加で解除される。
もしくは登場しているPC全員がシーン終了に〈RC〉判定と〈知覚〉判定の二つに成功する必要がある。ただし、後者は全員成功すれば相手が監視出来なかった事になるが、次のシーンには再び監視が発動する。
グラッセ「二重の監視ぃ!?」
ムーン「くっそ、本当に胸糞悪いぜ…だが、やっと解除方法が出て来た」
クウ「後者は完全にバクチ技だ。潰すなら前者をするべきだろうな」
ツバサ「もう、浸蝕率がマズいのに…! それにしても《第三の瞳》に《ドミネーション》かぁ…。エンジェルハイロゥとブラックドックのエネミーエフェクトどれだけ使ってるのさ…」
GM「さて、全部の情報をぶち抜いた所で教室の扉が勢いよく叩かれる。見ると、ガラス越しに大量の人影が扉を壊そうと集団になって壊そうとしている」
四人「「「「ハ!? 見つからないんじゃなかったの!?」」」」
GM「『隠している』とは言ったが、『見つからない』とは一言も言ってないぞ? だってお前ら…“監視されている”んだからな」
四人「「「「そうだったぁ!!!」」」」
暴徒に見つかった事により、全員に緊張が走る。この扉を壊されたら最後、みんなやられてしまう。
ヨシュア『シキ君、ライム君! 至急逃げ道を!』
シキ&ライム『『うん!』』
777『全員、耳を塞げ!』
二人がオルクスの力で逃げ道を作る間に、777が指を鳴らす。
すると、扉の向こう側から高周波数の甲高い音が鳴り響く。とっさに耳を塞ぐのと壁と扉がある程度音を跳ね返したおかげで、外の人達のようにその場で卒倒する事は避けられた。
凍矢『う、うるさっ…!』
777『脳を揺さぶるほどの音波を出したからな。とにかく逃げるぞ!』
ライム『固まっての行動は位置を知らせるような物だから、それぞれ分かれるよ!』
グラッセ「あ、羽粋達はどうしよう!」
SM「気絶したままにしておるから、誰かが運んだでもかまわぬ」
ムーン「なら俺が羽粋を、もう一人は空に任せる」
GM「全員退場した所で、シーン終了だ」
月『お前、親父と手を組んで敵組織について一緒に調べていたのかよ…!』
空『お前ら全員学生。なら、調べられる奴は俺しかいないだろ?』
翼『そっか。空さんって言い換えればニートだもんね!』
空&蒼空『(誰がニートだ! 仕事はちゃんとある!)』
凍矢『それより、ゼノがオーヴァードだったなんて…!』
空『冷牙って前例もあるんだ。敵だったとしても不思議はないさ』
クウ「と言う訳で、新しく出た情報を調べたいんだが」
GM「情報はこれだ」
・トワイライトディストについて(FH6/10)
クウ「なら、この情報は俺が調べる。コネは使えないが、FHの技能とダイスボーナスついてるしどうにかなるだろ」
トワイライトディストについて(FH6/10)
空3D+2→10 成功
クウ「よし、丁度成功。全部ぶち抜けたな」
GM「なら、情報を渡そう」
FH6
本名はゼノと名乗る少女。バロールとブラム=ストーカーのクロスブリード。【ダークカオス】の一員で従者や洗脳、煽りを得意とする陰謀家。海命と名乗っていたのは、立場上だったようだ。
“光”の守護者――海命家から光を略奪する為に、義理の子供として海命家に潜入していた。しかし、家の何処を探しても“光”は見つからなく仕方なく家族として過ごしながら情報を得ようとしていた。
だが、冷牙と違い家族仲はあまりよろしくなく、義弟である凍矢を家では率先していじめ、外でも悪質な噂をバラまく事で義理の家族を肩身の狭い立場に追いやっていた。
FH10
彼女には《超人的弱点U》の効果で普通の攻撃が効きにくい。だが、海命家の力には弱いようで、海命家の血を継ぐオーヴァード、もしくはそのオーヴァードの力を纏った攻撃なら通用する。
更に、使えそうなオーヴァードや人質に最適な人間には《鮮血の牙》を使って操る能力がある。何かしら解除方法はあるようだが、その為にはUGNのデータベースにアクセスする必要がある。
その中でも、相手の血を元に作り出す従者には《従者の目覚め》によって『悪夢の虚像』『変異する悪夢』で変質させており、従者自身が『砕け散る絆』の力で消去したロイスを埋め込んでいる。倒した瞬間にその人の事を思い出させる事で、取り戻した筈のロイスを自らタイタスにさせてジャーム化させる戦法だ。
空は一度『砕け散る絆』の効果を受けている為、耐性がついている。今の内に従者を倒せば、奪われたロイスをタイタスする事なく効果を解除出来る。
クウ「つまり、今の内に星華…従者を倒せば俺のロイスはタイタスせずに取り戻せるって事か」
ムーン「ここでようやく、ゼノについての情報が出そろったな」
グラッセ「俺に支援重視と言ったのは、このエフェクトがあったからなんですね」
GM「凍矢は支援とタンク役だからどうしても攻撃面では目立てない。だから、別の方法で目立たせようと思ったんだ。例えば、凍矢が強化や回復を行ったとする。そのオーヴァードがゼノに攻撃する際、《超人的弱点》の効果が発動してより多くのダメージを与える事が出来るよ。ただし、支援を貰ったあと一度何らかの攻撃をする、もしくは支援を受け取った後に攻撃しないままメジャーアクションを終わらせたら、その効果は無くなるから注意だ」
クウ「要は一回につき一発の攻撃にしか付加されないんだな、了解。それと響を助けるには、どうにかして《通信支配》を解除しないといけないようだな。操っているのはゼノで確定だ」
ツバサ「う〜ん…何かおかしくない?」
グラッセ「おかしい?」
ツバサ「ゼノのシンドロームはバロールとブラム=ストーカー、星華さんはエンハヌノイ、響もキュマハヌ、六介さんはエンモル。なら――《通信支配》をやっているのは誰?」
グラッセ「《通信支配》? この中の誰かじゃ――ん? このエネミーエフェクト、よく見たら『ブラックドック』専用か!」
ツバサ「そう。《組織崩壊》はノイマンのエネミーエフェクトだから星華さんがやったと思う。けど、これだけはそれじゃ説明が付かないんだ。だって、ブラックドック能力者はこの街でボクしかいないんでしょ?」
GM「…ああ、そうだね」
ムーン「…一体、どうなっているんだろうな? それより凍矢、キツいとは思うが最後の情報調べてくれないか?」
グラッセ「あ、ああ。なら俺が最後調べます」
ムーン(頼む、この状況を打破する方法が出てくれ…!)
学園の状態(UGN15)
4D+2→9 失敗
グラッセ「駄目だった…」
ムーン「くそ、やっぱコネないとキツいか…!!」
ツバサ(…妙に月が焦っている? この情報を抜きたがっている…?)
GM「では全員の情報収集が終了した所で、ここで動きが「待った」」
クウ「翼?」
ツバサ「ちょっと、RPさせて欲しいんだけどその時間ある?」
GM「うーん、空の情報抜いた訳だし共有する時間くらいなら」
ツバサ「ありがと、GM。それで十分だよ」
隔離された空間では、スマホは圏外となっており使えない。
しかし、通信が出来ないのであって保存されていたデータは普通に見れる。
空は事前にスマホのデータに送られた陸からの情報を凍矢達に見せていた。
空『…これが、陸が事前に送ってくれたゼノについての情報だ』
凍矢『まさか、あのゼノが冷牙と同じだったなんて…!』
月『だが、お前はゼノって奴から酷い目に遭わされたんだろ? だったら家族でも何でもない、俺のように憎めばいい』
凍矢『それはそうだけど…! 待ってください、だったら父さんと母さんは!?』
空『言い忘れてたが、そっちはついさっき俺が救出しておいた』
蒼空(ゼノの操り人形にされてたりエスケープキラーに狙われたりしたが、今はゼノスが保護してる筈だ。それが交換条件だからな)
凍矢『蒼空さん、あんたよく分からない組織に俺の両親を任せたのか!?』
翼『凍矢、落ち着いて! 少なくとも利害が一致しているのなら、ゼノスは悪いようにはしない! それはボクが保証する!』
月『おい、何でお前がゼノスの代表みたいな言い方しているんだ?』
翼『うっ!? ま、まあ…ボクもレネビだからね。あー、それより月に訊きたい事あるんだよねー?』
月『何だよ?』
翼『月――何か、隠してるよね?』
月『…何をだよ?』
翼『んー、ボクの主観だけど何をそんなに焦っているの? 敵を見つける事? 凍矢達を守る事? それとも――この状況から打破する事?』
月『っ…お前には関係ない!』
ムーン「悪いが、そう言って翼から離れる」
ツバサ「だったら、ボクは空さんに近付いて耳打ちするよ――月が何をしたがっているのか《ブラッドリーディング》で調べて、って」
クウ「!?」
GM「おい、流石に《ブラッドリーディング》でRハンドアウトの解除は出来ないぞ?」
ツバサ「“秘密を調べろ”って言ってないよ? ボクは月が“何をしたがっているのか”が知りたいだけ…本当に最後の情報を抜くのが必要だったら《インスピレーション》を使ってGMから情報掻っ攫うつもりだけど、どうする?」
ムーン「…空、お前どうするつもりだ?」
クウ「悪いが、こっちは翼の言う通りに動く。お前の頭をガシガシ撫でつつ、頭皮やおでこに付いた汗で情報読み取るぞ」
GM「月、どうする? 拒否したいなら対抗していいが?」
ムーン「俺が何をしたがっているか、だな……それなら拒否しない。この状況…『何とかして監視の目から掻い潜りたい』と思っている」
ツバサ「なるほどね…使う理由は十分だよ」
クウ「俺の《シークレットトーク》は…駄目か、オーヴァードなら誰もが聞こえるんだったな。オブラートに包む様に伝えるか」
翼に言われた通りに、空は月の頭を撫でつつ感情を読み取る。月が文句を言うが、止める前に彼が『敵の目から逃れたがっている』のが分かる。
これでも月はUGNチルドレン。戦いを幾度も潜り抜けて来たし、洞察力もある。父親の陸のこと以外は、必要な事しか行ってこない。
何故月が一般人でも新人でもないのに、ましてや前線で活躍する戦闘部隊であるのに敵の目を避けようとするのか。その意味を――UGNエージェントであった空は理解する。
空『翼…お前頭良いんだよな?』
翼『うん、そうだね?』
空『もう少し、今の状況に対して情報が欲しいがどうにか出来ないか?』
翼『――! もう、仕方ないね』
その一言で、翼も同じように確信する。
敵に知られるとマズい手札を、月は持っているのだと。
ツバサ「と言う訳で《インスピレーション1》発動するよ、浸蝕率91%。難易度15の情報頂くよ?」
SM「まさか、このターンで全て抜かれるとは…!」
GM「いいだろう、情報受け取れ」
UGN15
どうやら《ミッドナイトシネマ》以外にも、PC達に標準を定めて《第三の瞳》と《ドミネーション2》を複合して常に監視カメラにより建物内で監視が行われている。
この監視を潰すには《セキュリティカット》を使い、難易度12の〈RC〉判定に成功する必要がある。成功すれば監視だけでなく、連動して《ミッドナイトシネマ》の効果も追加で解除される。
もしくは登場しているPC全員がシーン終了に〈RC〉判定と〈知覚〉判定の二つに成功する必要がある。ただし、後者は全員成功すれば相手が監視出来なかった事になるが、次のシーンには再び監視が発動する。
グラッセ「二重の監視ぃ!?」
ムーン「くっそ、本当に胸糞悪いぜ…だが、やっと解除方法が出て来た」
クウ「後者は完全にバクチ技だ。潰すなら前者をするべきだろうな」
ツバサ「もう、浸蝕率がマズいのに…! それにしても《第三の瞳》に《ドミネーション》かぁ…。エンジェルハイロゥとブラックドックのエネミーエフェクトどれだけ使ってるのさ…」
GM「さて、全部の情報をぶち抜いた所で教室の扉が勢いよく叩かれる。見ると、ガラス越しに大量の人影が扉を壊そうと集団になって壊そうとしている」
四人「「「「ハ!? 見つからないんじゃなかったの!?」」」」
GM「『隠している』とは言ったが、『見つからない』とは一言も言ってないぞ? だってお前ら…“監視されている”んだからな」
四人「「「「そうだったぁ!!!」」」」
暴徒に見つかった事により、全員に緊張が走る。この扉を壊されたら最後、みんなやられてしまう。
ヨシュア『シキ君、ライム君! 至急逃げ道を!』
シキ&ライム『『うん!』』
777『全員、耳を塞げ!』
二人がオルクスの力で逃げ道を作る間に、777が指を鳴らす。
すると、扉の向こう側から高周波数の甲高い音が鳴り響く。とっさに耳を塞ぐのと壁と扉がある程度音を跳ね返したおかげで、外の人達のようにその場で卒倒する事は避けられた。
凍矢『う、うるさっ…!』
777『脳を揺さぶるほどの音波を出したからな。とにかく逃げるぞ!』
ライム『固まっての行動は位置を知らせるような物だから、それぞれ分かれるよ!』
グラッセ「あ、羽粋達はどうしよう!」
SM「気絶したままにしておるから、誰かが運んだでもかまわぬ」
ムーン「なら俺が羽粋を、もう一人は空に任せる」
GM「全員退場した所で、シーン終了だ」