ミドルフェイズ9(ハンドアウトシーン&後編)
グラッセ「…それって、どういう事?」
ツバサ「詳しくはその…ねえGM。このRハンドアウトをPLに見せるけど、PCには冒頭部分を改正した伝え方にしてもいいの?」
GM「ふむ。PLに内容を見せる代わりに、PCには暈して伝える形か。全然構わないよ」
ツバサ「ありがと――なら、これがボクのRハンドアウトだ」
PC4 御坂翼用Rハンドアウト
ロイス:狭川波音 推奨感情(P有為/N無関心)
依頼を受け終えてその場を去ろうとした所で、ゼノスエージェントの一人が都築京香へ報告の為に現れる。
どうやらゼノスも【ダークカオス】に対抗する為に独自に動いているらしく、町の近くで彼らが占拠している施設を発見。状況を見計らい襲撃をする予定らしい。
目的は、彼らに囚われてしまったUGNエージェント。“記憶の魔女”のコードネームを持つ狭川波音と言う女性の奪還。話によると、彼女の救出が彼らに対抗するプランの一つらしいが…。
*公開条件:いつでも公開できる。
*このRハンドアウト公開後、〈ゼノスの動き〉が調べられる。
*ただし、公開後に調べられるこの情報は通信手段が整っている環境でなければ調べる事が出来ない。
GM「それでは開示した事で、翼のハンドアウトシーンを始めよう――」
それは、二週間前の事。
都築京香からの指令を正式に受諾した翼。
その時、背後から近づく足音と影。急いで振り返ると――そこにいたのは、長い黒髪の少女だった。
「京香さん、こちらでしたか」
「キャー!! 本物の青峰ミユキさんだー!! あの、ボク御坂翼っていいます!! サインいいですか、この色紙にツバサちゃんへって――!!」
目の色を変えるなり、どこからか色紙を取り出してミユキへと詰め寄る翼。
まるで芸能人に出会ったリアクションを取る翼に、都築京香は苦笑して窘める。
「翼さん、あまりはしゃがない。ミユキさんが困っていますよ」
「ご、ごめんなさい。つい…」
「それで、ミユキさん。報告があるのですよね?」
改めて話を再開すると、ミユキはエージェントとして表情を消して都築京香に向き合う。
「はい。ようやく奴らが拠点としているアジトが分かりました。この街の郊外にある廃工場です。入り口に見張りが数名、中にも複数の敵を確認。目的の要人は地下に軟禁されていると思われます」
「分かりました。警戒を怠らず、そのまま監視を。我々の存在に気づかれては人質である【記憶の魔女】が殺されかねません」
「了解です」
翼を挟んだ形で淡々と報告作業をする二人に、思わず困惑の表情を浮かべてしまう。
「えーと、プランナー。ミユキさんと何の話をしてるの?」
純粋に思った事を質問する翼に、都築京香は僅かばかり笑みを浮かべてカップの持ち手を摘まんで持ち上げた。
「ふむ…翼さんは【ダークカオス】と言うセルは、すでにご存じですよね?」
「…うん。最近この街で活動を始めたFHだよね?」
「ゼノスの目的は知っての通り、レネゲイドによる進化の可能性です。しかし、彼らの存在は我々の側的に反する行為を取るつもりです。ですから、我々ゼノスも秘密裏に彼らに対抗するように動いているのです」
「そうだったんだ…!」
「それで、現在私が京香さんに言い渡されている任務はダークカオスから『狭川波音』と言うUGNエージェントの女性を救出する事なの」
「狭川、波音…? プランナー、狭川って!」
「あなたが考えている通りですよ。彼女は、狭川粋羽の母親です。とはいえ、娘である彼女は非オーヴァードなので、レネゲイドの真実は知っていませんよ」
すさかず補足を伝えると、翼は頷いて再びミユキへと視線を送る。
「ねえ、アジトを見つけたのならミユキさんはすぐに戦いに行くの?」
「いいえ、アジトを見つけたとはいえすぐには助ける事は出来ないの」
「どうして?」
この疑問に答えたのは、優雅にお茶を飲んでいた都築京香だった。
「彼女は人質となっている身ですが、捕まえた人物は過激な思考をお持ちです。何の対策も無しに襲撃をかければ、捉えた人質を何の躊躇もなく殺す事でしょう。そのまま我々ゼノスにその罪を擦り付け、UGNと敵対させる…と言う計画まで練り上げかねません」
「そんな…!」
下手すれば協力すべき組織と悪化の関係になりかねない事態に、翼の顔色が青ざめる。
しかし、不安になる翼にミユキは優しく肩を叩く。
浮かぶ表情は、自信と安心感。
「大丈夫よ、翼ちゃん。私達には京香さん…“プランナー”がついているんですもの。今はまだ無理だけど、必ず彼女を助け出して見せるわ」
「こちらの事はお気になさらずに。あなたはあなたの任務に集中してください、期待していますよ、翼さん」
「もちろん!」
ゼノスの重役とも言える二人に見送られる形で、翼はカフェを出た。
【ダークカオス】と言う謎の集まり。彼らと戦っているのは、自分一人ではないと知ったのだから…。
ツバサ「で、ロイスを都築京香から狭川波音に変更っと。表はPにするよ。あ、そうだ。ロイス枠余ってるしここで改めて都築京香にロイスを習得しておくよ。さて――PLには公開したけど、立場上スパイってバレると困るからPC的には最初だけ偽造して伝えるよ」
GM「では、回想はここで終了。シーンを戻してRPに入ろうか」
翼『実は、二週間前に路地裏でたまたまゼノスエージェントの話を盗み聞きしちゃって――具体的(ミユキさんの任務の内容)にはかくかくしかしが』
凍矢『四角いムーブ――つまり、ゼノスもこの件に関して動いていたって事なのか?』
翼『恐らく、ゼノスが救出する人物が六介さんの妻で羽粋の母親だ。だって、記憶の魔女ってもうこれまんまじゃん!!』
凍矢『メタいわ!!』
ネク『時期的には、二週間くらい前…もしかしたら、作戦を実行しているかもしれないな』
翼『うん、調べる価値は十分にあるよ。ゼノスにレネゲイドビーイングの知り合いがいるから、ボクが調べるよ』
ツバサ「と言う訳で、今開いた情報を調べたいんだけど難易度はどれくらい?」
GM「こんな感じになるよ」
・ゼノスの動き(情報:ゼノス9)
グラッセ「判定が〈ゼノス〉だけですね…翼が情報を成長させておいて良かったです」
ツバサ「Rハン見た時から必要になるって予想つけてたからね。それじゃ、この情報をゼノスで判定するよ」
ゼノスの動き(ゼノス9)
10D+2→19 成功
ツバサ「よし!」
GM「では情報を渡そうか」
ゼノス9
この街の郊外にある廃工場をアジトにしていた【ダークカオス】の一員を、丁度前日にゼノスの部隊が襲撃をかけている。結果、狭川波音の救出に成功しており、今はゼノスによって安全な場所で保護して貰っている。
彼女の証言によれば、一ヵ月近く前に【ダークカオス】の一員である従者使いの少女に囚われてしまい、波音の命を引き換えに夫である六介に揺さぶりをかけていたそうだ。今までは味方であるUGNエージェントと戦う命令を下していたようだが、新しい命令として『海命凍矢及びその協力者を始末する事』と言われていたらしい。
通信は繋がるので、六介の前で波音の声を聞かせてやれば争いをせずに済むだろう。
ツバサ「救出に成功しているって事は、六介さんをこちら側に引き込めるかもしれないんだね」
ムーン「でも、どうして六介は今も戦っているんだ?」
クウ「大方、ゼノが騙している可能性があるぜ。実は人質が手元にいない…なーんて知ったら、六介が反逆とばかりに襲い掛かるだろうしな」
ツバサ「あ〜…あんな化け物とは極力戦いたくないよね…」
グラッセ「ていうか、実はジャームになっているんじゃないのか?」
GM「データ的には浸食率100%超えているが、ロイスとメモリーがあるから戻れる感じだ」
ツバサ「メモリー…【エフェクトアーカイブ】で追加されたルールで、一つ持つ事に浸蝕率を10%引き下げてくれるんだったよね。最大で持てるのは3つまでだけど」
グラッセ「最大で30%も引き下げられるんですね。ちなみに、六介さんのメモリーって?」
SM「狭川羽粋、狭川闇一、狭川波音の三者よ」
クウ「カンスト!? しかも全員家族かよ!!」
GM「さて…二人とも情報収集は終えたね。このままシーンを閉じるかい?」
グラッセ「あ、GM。もう俺達購入判定出来るんですよね? 買い物したいんですが」
ツバサ「ボクも出来れば応急手当キットで回復したいな。今のHPじゃ《ヘヴンアイズ》使えないし。それと《インスピレーション2》使って最後の情報もぶち抜くよ」
GM「いいのかい? 浸蝕率ギリギリだろう?」
ツバサ「ギリギリだからだよ。もうボクは浸蝕率的に出れないから、情報貰ったうえで残りシーンは三人に全部任せるよ」
クウ「ああ。もう無理せず休んでくれ」
ムーン「翼が一番危険域だしな。俺もそこは賛成だ」
GM「…了解。なら、先に最後の情報を渡す。浸蝕率138%だ。購入判定と回復は独自に行ってくれ」
《鮮血の牙》の解除方法
ブラム=ストーカーであるゼノの血は特殊で、埋め込まれた者は彼女の従者となり死ぬまで操り人形とされてしまう。
悪意が籠った血を解除するには、難易度10の〈意思〉判定に成功して操られた人の意識を戻した上で、〈RC〉判定で難易度15に成功すれば体内に流れているゼノのレネゲイドに汚染された血を浄化されて解除出来る。
《購入判定》
難易度14 凍矢12D+4→15 成功
難易度20 翼10D+3→21 成功
《回復》
翼2D→19 HP1→20
ツバサ「いえーい、ほぼ最大値! そして念願の『アルティメイド服』ゲットだぜー!」
グラッセ「俺も『戦闘用着ぐるみ』ゲットです! これで装甲値は完璧ですね!」
GM「何なんだこいつら…全部の処理が終わった事だし、シーンを終了するぞ」