セッション準備編
―――第三回のセッション前日。旅館、スタッフルームの廊下にて…。
ウィド「ふぅ…この前の打ち上げは楽しかったですねー。どうにか敵キャラのデータも完成しましたが、このデータをGMが許可を出してくれるかどうか…まあ、駄目なら駄目で何らかのシナリオで使ってくれるでしょう」
そう呟きながら、スタッフルームの一室で足を止める。
軽くノックし、すぐにドアノブに手をかけた。
ウィド「失礼しま」
スズノヨミ「うぃ〜ヒック! んぁ、ボクが頼んだ酒の追加かぁ!?」(持ってる酒瓶を卓袱台に叩きつける)
ウィド「スズノヨミ…何をしているんですか?」
スズノヨミ「あぁー? こんな形でも成人はとっくに超えてるんだ! 酒飲んで文句あっかー!! てかやってられるかー!!」
―――遡る事、数日前―――
スズノヨミ「すまないね。急に呼び出しをして」
ムーン「いや、俺達今暇してるから問題ねえよ。で、話ってなんだ?」
スズノヨミ「次のセッションだが、月を中心に考えているんだ。そこで前回クウとキャラの設定を話したように、ムーンにも月の話をして欲しい。あと何か要望があればジャンジャン言ってくれ。出来る限りはシナリオに組み込むつもりだから聞くよ」
ムーン「そうか? それじゃあ――」
スズノヨミ「――で、話を聞いた結果…要約すれば『親父(リク)を極悪非道のボスにして、容赦なく抹殺出来る感じのシナリオにしてくれ』と頼まれてね…」
ウィド「あ〜…それはまた…」(遠い目)
スズノヨミ「んなもん簡単に出来るくぅあー!! やろうと思えばやれるが、リクファンに殺されろっていいてえのかあんのクソガキャ〜!!」(バンバンバン!)
ウィド(完全に酔っぱらってる…そして完全に絡まれてしまった…)
スズノヨミ「お前も協力しろや〜!! 頭良いキャラだろうがよぉ〜!!」
ウィド「いや…協力はいいのですが、さすがに私もすぐに思い付いたりは…」
スズノヨミ「この際何でもいいんだよー! 何かアイディアだしゃー!!」
ウィド「アイデアと言われても…!!(何でもいい! 何か、何か引き出しを…!)」
………ピーン!
ウィド「………スズノヨミ。出来るかもしれませんよ?」
スズノヨミ「…ふぇ?」
10分後…
スズミヨミ「ふ…お主も悪よのう」
ウィド「いえいえ、GM程では…」
スズノヨミ「お前のアイデア乗った。いいぞもっとやれ」
ウィド「そう言って頂けて光栄です。ではお言葉に甘えて…」
二人「「フフフフフ…!」」(黒笑)
―――セッション当日―――
GM「それでは、第三回セッションのプリプレイを始めようと思う。準備はいいか?」
ムーン「おう、準備は万全だぜ!! そっちこそ、俺が事前に話した設定詰め込んでるだろうな?」
GM「そうだね。君の話した内容を盛り込んだ事は約束しよう」
ムーン「うぉーし!! 現実じゃ何かと障害が多いが、ゲームなら文句はないよな!! ふっふっふ、リクをどう調理して殺してやろうか…!!」(黒笑)
ツバサ「…GM、本当にそんなシナリオをボク達にさせるの?」
グラッセ「正直、こちらとしては複雑なんですが…」
GM「まあそこはやってみてのお楽しみだ。君達でも楽しめる様に作ったから安心してくれ」
ムーン「なるほどなるほど。テ○ルズで言い換えればミト○ラン、ユグ○ラシル、バル○トスやサ○、ス○イ並みの超悪役に改造したんだな、いや〜楽しみだな〜!!」
GM「ハッハッハッ」(生暖かい目)
ツバサ&グラッセ((最後悪役じゃなくて…いや、これ以上の発言はよそう))
クウ「………なあ、俺さっきから気になっている事があるんだが――
何か、外野が沢山いるんだけど誰も突っ込まないのかよ?」
彼の言う通り、用意された数々のシートにルルブ・サプリ、お茶菓子飲み物を乗せた机を囲っているのだが…その周りには、大量のギャラリー(旅館に泊まっている人達全員)がこちらを見ながら寛いでいる姿が。
GM「いや〜…このセッション、旅館内でやってるから。どうやらダブルクロスのセッションの話が口伝で広まって、結果観戦しようとこれだけの人が大部屋に集まる羽目に…」
グラッセ「そんなの初耳なんですけどぉ!!?」
レイシャ「大丈夫! 俺達は見学者として見てるだけだから!」
リズ「幼馴染として抜け駆けは許さないわよ! 今回から私達も楽しく眺めさせて貰うからね!」
カイリ「グラッセ、カメラ用意したわよ! かっこいい場面はちゃんと抑えておくわ!」
シオン「ムーンも皆の力になるように頑張るんだよ!」
ツバサ「ほ、他の保護者まで…」(呆)
GM「気にしちゃいけない。さて、今回もSMを用意しているよ」
グラッセ「へー、誰ですか?」
???「――遅れました」(ガラリ)
ウィド(以下SM)「どうも、私が今回のセッションでSMを務めさせて頂きます。どうぞよろしく」
四人「「「「アカン奴キターーーーーーーー!!!!!」」」」
SM「酷いですねー、顔を合わせた途端にその反応とは」
クウ「おいGM! 何でこいつをSMにしたぁ!! スピカの弟だぞ!? またあの鬼畜使用のボス戦を再現するつもりかぁ!!?」
ツバサ「この人の性格分かってるでしょ!? シナリオの難易度激ムズにしたいの!? KHで例えるならクリティカルモードになるよ!?」
SM「フッ、その悲鳴が聞きた」
ガシィ!!!
ロクサス「よぉ、ウィドサン? 会いたかったぜぇぇぇ…!!!」(怒りのオーラ)
SM「エ…? ア、アノ…ロクサス?」(汗)
ロクサス「前回、基外伝では家の子供達を殺そうとしてくれたそうだなぁぁ…!!! 覚悟出来たか、リクと同等の扱い…いや、この場で全殺しにしてやるよ…!!!」(ゴゴゴゴゴ…!!)
SM「何でそんなに話が早いんですか!? 誰がこんなバ…ロクサスに告げ口したぁ!?」
ガイア「いや、あたし達何も言ってないよ!?」
ウラノス「俺もだ…!!」
リズ「ロクサスって、私達に関してはどんな些細な事でも見逃さないから…」
ナミネ「ごめんなさい、こんな夫で」
SM「謝るくらいなら助けてくださいっ!!! 私は本来ロクサスと同じ制裁キャラの立場です!! ここはヤラレ役であるクウがボコボコにされるのが通例でしょう!!!」
クウ「よーしお前がどう思っているのかよーく分かったぁ!!! ロクサス、一回地獄に送って来いぃ!!! 俺が許可する!!!」
ツバサ「ちょ、師匠ー!?」
ロクサス「遺言は聞かない、死ねぇぇぇ!!!!!」(キーブレードを振り下ろす)
ガキィン!!
レイシャ「父さんのバカァ!! いい加減してよ!!」(キーブレードで防いでいる)
ロクサス「レ、レイシャ…? だが、こいつはお前を――!!」
レイシャ「あのね、俺達を狙ったと言ってもあくまでも空想上の物語なんだよ? そんな事も分からないの? それにGMとして許可出したのも俺なの、俺だって誰かに守られる役くらいしたいんだよ! なのに父さんがそんな過保護だから、俺達本当にやりたい事とか制限されてばっかりじゃないか!!」
ロクサス「そ、それは…!」
レイシャ「もう知らない! 父さんなんて大っ嫌い!!!」
ロクサス「むごおおおおおおおおおおおぉ!!?」(白目で倒れる)
アクセル「うおおおぉ!? ロクサスが死んだー!?」
レイシャ(これで貸し一つだよ、ウィドさん?)(黒笑)
SM(あれ? 助かった筈なのに余計に酷くなった気が…!)
GM「――さて、ロクサスを部屋の隅に捨てた所でプリプレイを始めるよ。まずはレギュレーションからだ。
今回使用するのは、【基本ルルブ1・2】、【上級ルルブ】、別卓で使った【インフィニティコード】、【パブリックエネミー】。更に今回から、【レネゲイズアージ】も加わるよ」
男三人「「「レネゲイズアージ?」」」
ツバサ「この本では、『アージエフェクト』が習得出来るんだよ。あと、これまで登場したダブルクロスシリーズのリプレイ作品も纏めてあるんだ。そこで登場したキャラや設定をモチーフにしたアイテム・エンブレム・Dロイス――それらを総称して『トレイルデータ』と呼ぶんだよ」
クウ「アージエフェクト?」
グラッセ「トレイルデータ?」
SM「『アージエフェクト』は、設定したシンドロームと衝動ごとに習得出来るエフェクトです。衝動を抑えるのではなく、身を任せる――KHで例えるなら、闇の力を引き出す事で出せる技、と考えればいいです。
その為アージエフェクトはどれも強力な分、浸食率が120%超えないと使えないと言う制限に加え、衝動ごとに〈暴走〉によるバッドステータスの効果も変わってしまう【変異暴走】が付加されてしまうのです」
ツバサ「あと、アージエフェクトはどれも習得出来る訳じゃないんだ。
例えばボクのPCの衝動は『恐怖』でシンドロームは『エンジェルハイロゥ』・『ブラックドック』・『ノイマン』。だから恐怖の項目にあるその三つのエフェクトしか選べないんだ。師匠の衝動は『憎悪』で『ブラム=ストーカー』だから、一つしか選べないって訳」
グラッセ「なるほど。習得の際はトライブリードの方がより選べるって事ですね」
GM「次に『トレイルデータ』の説明だが…ダブルクロスシリーズのリプレイ作品で使われた、特殊なデータ――それがトレイルデータだ。全部を説明すると長くなってしまうから一部抜擢させて貰おう。
Dロイスにもなる『賢者の石』に関する追加のデータや、Dロイスの一つ『複製体』を微弱ながらも強化する追加エンブレムなどが存在する。要はリプレイシリーズで使ったシナリオの自作データを再現する為に作った拡張だ」
ツバサ「あと、これまで登場したリプレイ作品のストーリーや人物設定が大まかに載っているんだよ。ちなみにボクのオススメは『デザイア』シリーズだね!! メンバー全員がFHの欲望を中心にした話で、願いによるUGNとFHのぶつかり合いは読むべきだね!!」
GM「誰もお前の意見は聞いてない!!! まあ、この通りリプレイシリーズの話に関するものだから、無理に入れると設定がややこしくなる可能性がある。なので、PCはトレイルデータのみ使用禁止とさせて貰うよ。アージエフェクトは普通に習得可能だから安心してくれ」
グラッセ「あれ? アージエフェクトは浸食率が120%以上で使用出来るんですよね? って事は…もしかして、敵も使用してくるって事?」
SM「さあどうでしょうか?」(ニッコリ)
四人「「「「…………」」」」
四人((((間違いない、絶対アージエフェクト仕込んでるっ!!))))
SM「おや、どうしたんですか? 全員黙り込んで?」
クウ「…ツバサ先生、解説を」
ツバサ「アージの習得は、先程述べた通りシンドロームと衝動の組み合わせがあるからかなり制限される。シンドロームはどうせ情報収集で分かる。後はウィドさんが選んだ衝動さえ分かればおのずと答えは導き出される…!」
クウ「こいつの選ぶ衝動って…」
ポク、ポク、ポク、チーン!
グラッセ「殺戮」
ムーン「加虐」
クウ「憎悪」
ツバサ「妄想」
SM「……なぜか聞いてもいいか?」(ピキピキ)
グラッセ「暗黒兵器を生み出す料理人」
ムーン「人の心が無い腹黒のドS」
クウ&ツバサ「「重度のシスコン」」
SM「ヨロシイ キサマラ ソコニナオレ」(チャキ!)
GM「落ち着け!? リアルファイトしようとするなぁ!!?」
■作者メッセージ
補足コーナー:【レネゲイズアージ】について
ダブルクロス3rdのデータ集の一つで、『アージエフェクト』と『トレイルデータ』の二つの追加ルールを加える事が出来る。更にアージエフェクトを使ったサンプルシナリオも一つ付属されている。
アージエフェクトは通常のエフェクトより強力だが、「キャラの持つ衝動によって習得出来るエフェクトが制限される」、「1つでも習得した場合、バッドステータス〈暴走〉の効果が変更or追加される」と言うデメリットがある。
『トレイルデータ』は1rdから3rdまでのダブルクロスリプレイシリーズ歴史の纏めと共に、シナリオで使われた特殊な設定やアイテムをDロイス・アイテム・エンブレムとしてデータ化したものである。
ダブルクロス3rdのデータ集の一つで、『アージエフェクト』と『トレイルデータ』の二つの追加ルールを加える事が出来る。更にアージエフェクトを使ったサンプルシナリオも一つ付属されている。
アージエフェクトは通常のエフェクトより強力だが、「キャラの持つ衝動によって習得出来るエフェクトが制限される」、「1つでも習得した場合、バッドステータス〈暴走〉の効果が変更or追加される」と言うデメリットがある。
『トレイルデータ』は1rdから3rdまでのダブルクロスリプレイシリーズ歴史の纏めと共に、シナリオで使われた特殊な設定やアイテムをDロイス・アイテム・エンブレムとしてデータ化したものである。