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ダブルクロスThe 3rd Edition【Hate and pain】

NANA

INDEX

  • あらすじ
  • 01 セッション準備編
  • 02 トレーラー紹介&PC紹介1
  • 03 PC2紹介
  • 04 PC3紹介
  • 05 PC4紹介
  • 06 オープニングフェイズ1&2
  • 07 オープニングフェイズ3&4
  • 08 ミドルフェイズ1
  • 09 ミドルフェイズ2
  • 10 ミドルフェイズ3
  • 11 ミドルフェイズ4&5
  • 12 ミドルフェイズ6(前編)
  • 13 ミドルフェイズ6(後編)
  • 14 ミドルフェイズ7(前編)
  • 15 ミドルフェイズ7(中編)
  • 16 ミドルフェイズ7(後編)
  • 17 ミドルフェイズ8
  • 18 ミドルフェイズ9
  • 19 クライマックスフェイズ1
  • 20 クライマックスフェイズ2
  • 21 クライマックスフェイズ3
  • 22 クライマックスフェイズ4
  • 23 クライマックスフェイズ5
  • 24 クライマックスフェイズ6
  • 25 バックトラック&エンディングフェイズ1
  • 26 エンディングフェイズ2
  • 27 エンディングフェイズ3
  • 28 外伝・月の決意(リラさん誕生日作品)
  • 29 外伝・月の決意2(リラさん誕生日作品)
  • 30 外伝・月の決意3(リラさん誕生日作品)
  • ミドルフェイズ9


     ミドルフェイズ9 シーン14〈怨恨の心、憎悪の魂〉
     シーンプレイヤー 七雲空(黒羽蒼空)


     《シーン登場》
     月1D→10 106%→116%
     空1D→1 106%→107%


    全員『『『…………』』』

    ムーン「ダイス神、俺になんの恨みがある?」

    クウ「第一回目の落ち着きが嘘のようだな…」

    GM「それでは、シーンプレイヤーは蒼空だ。GMから指定はないから、このシーンは話に差し支えない範囲で自由に二人で演出して構わないよ」

    クウ「ありがとな、GM」



     社長室のあるフロアの一室。ここは広い会議室になっている。
     その片隅で、蒼空は傷だらけの月を寝かせていた。

    月『う、うあ…!』

    蒼空『気が付いたか?』

    月『くう…いや、そらか…?』

    蒼空『無理に話すな。お前、生きてるのがやっとの状態だぞ、治療するからじっとしてろ』



    クウ「それじゃ、ここで凍矢から事前に預かった『応急手当キット』を使うぜ。ダイスを振るのは月だが、演出としては俺が治療する感じだな」


     応急手当キット
     2D→7 HP1→8


    ムーン「今回のダイス運本当にどうなってるんだよ…! 焼け石に水と言うか、蒼空と変わらずだぞこれ…!」

    GM「優しくしてこれ…もうどうしようもなさそう…」



    蒼空『こんなもの、か…? 悪い、こういうのあんまりやった事なくて…』

     自分で治療するのと他人を治療するのでは勝手が違うのだろう。どうにか止血は出来た物の、月に巻いた包帯は不格好になっていた。

    月『いや…いい…』

     そう言って、月は起き上がろうとする。だが、中途半端な治療の為かふらついてまたへたり込んでしまう。

    蒼空『凍矢なら、翼と一緒に狭間の足取りを調べてもらってる。今は寝てろ』

    月『……ねて、られるかよ…!』

    蒼空『…そんなに憎いのか、お前の親父?』

    月『当たり前だろ!! やっと殺せると思ったら、あいつに邪魔されて…思い出しただけでも腸が煮えくり返るんだよ!! 俺は奴に人としての人生を奪われたんだ!! 母親だって殺された!! だから奴を…陸を殺す為に今まで生きて来たんだ!! 奴の思惑なんぞどうでもいい!! 俺は殺す!! 奴をこの世で最も惨たらしく、無残に殺しつくす!!!』

    蒼空『――面貸せ』

    月『ハ』

    蒼空『面貸せって言ってんだよクソガキィ!!!』

     反論の余地もなく蒼空は月の胸倉を掴み上げ、
     その顔面に、容赦なく拳を叩きこんだ。

    月『…ッ…!?』

    蒼空『殺せればそれでいい? 思惑なんぞどうでもいい? さっきから聞いてれば、てめえの憎しみ…幼稚過ぎてヘドが出んだよクソガキ』

    月『なっ――』

    蒼空『なあ、本当に人を憎むってどういう気持ちが分かるか?』

    月『あぁ!!? てめえに何が分かる!!!』

    空(はぁ? 分からねえよ。お前の気持ちなんざ俺にも宿主にも分かる訳ないだろ、他人同士だぞ?)

     ここで、人格が変わった影響で裏に籠った筈の空も月に対し陰湿な言葉を吐き出す。

    蒼空『ああ。けどな、憎む気持ちは――憎悪の感情は嫌と言う程、昔から付き合ってるんだ。こうして別の人格が出来てしまう程にな』

    空(戦闘好きのお前とは訳が違う。だからこそ、言ってやる――お前のそれは憎しみじゃない。本当に良かった事には目を逸らし、都合の悪い部分だけ押し通して罷り通ろうとしている。正当化を図るガキと一緒だ)

    蒼空『そんな奴が…家族だなんだ綺麗事演説してんじゃねーぞぉ!!!』

     怒鳴りつけ、更にもう一発月の顔に拳に放った。
     二発も殴られ、月の頬が赤く染まる。それでも、瞳に宿る憎しみの感情は衰えを見せない。常に憎悪を宿す彼らの説教すら、恨みを抱いていた少年の心まで届いていない。

    蒼空『…それがお前の決めた選択って言うなら、月――もう狭間とは戦うな』

    月『…ハ?』

    空(分からないのか? 今のお前は復讐者じゃない、あいつの思い通りに動いているお人形だ。そんな状態で戦っても、復讐どころか狭間に使い潰されるまで利用されるのがオチだ。前の俺と同じようにな)

    月『んな、ことは…ッ!!』

    蒼空『これはお前の為に言っている、俺達についてくるな。凍矢と翼ならともかく、戦える者として、護る者として、足手纏い所か敵を増やす行為を見過ごす俺じゃないんだ』

    月『てめぇ…!!』

     二人の言葉は紛れもなく正論だ。しかし、月は到底受け入れる事は出来ない。
     意見は完全に平行線。暫し睨み合いが続いたが、口を開いたのは蒼空でも月でもなく、空だった。

    空(…なあ、月。俺は宿主が憎かった。いずれは消したいとさえ思い、こうして存在を入れ替えて――なのに、今はこうして共存している。どうしてこうなったか分かるか?)

    月『ケッ、知るか…! 大方、手を取り合ったんだろ…だがな、俺は親父と手を取り合うつもりはない…そんな事、するぐらいなら腕ぶった切る…!』

    空(手を取り合ったんじゃない。それは過程の一つだ)

    月『じゃあ何だよ…!?』

    空(【許し】だ)

    月『許し…?』

    空(そう。こんな俺を、宿主は許した。許した上で、手を差し伸べたんだ。だから、どちらも報われない状況に終止符を打ったんだよ)

    蒼空『相手は正気に戻ってお前を待ってる。酷い事と理解してもいるだろう。それを殺しで解決しても――後に残るのは憎しみで埋めていた空虚。何も解決しないどころか、オーヴァードであるお前はジャーム化する可能性だってある』

    月『はん、構わねぇよ!! ジャーム化したって失う物なんて何一つ――!!』

    蒼空『凍矢の心に癒えない傷を負わせても、そう言えるのか?』

    月『…ッ…!』

    蒼空『その様子だと、お前も凍矢の身の内話は知ってたようだな。周りから化け物だと迫害されて治りかけていた傷を、友達であるお前が抉る事になるんだ。凍矢に目の前で化け物になったお前を見せて、本当にいいのか?』

    月『お、お前だって…憎しみの為にUGNを裏切ったんだろ!! 沢山の奴ら殺しまわったんだろ、俺の事言える立場なのかよっ!!』

     説得が効いてきたのか、月は狼狽えながらも反論をぶつける。
     それに対し、蒼空は――真っ向から受け止めた。

    蒼空『そうだな、お前の言う事に否定はしない。FHに来た事もその仕事も相棒がやってきた事だけど…相棒も俺の一部だ。全て責任を押し付けるつもりはない』

    月『…だったら、俺を説教出来る立場じゃねーよな?』

    蒼空『そんな事ない――話は変わるが、月。俺はな、バッドエンドは苦手なんだ』

    月『…は?』

    蒼空『どうせ物語が終わるなら、皆が望むようなハッピーエンドの方がいいだろ。トゥルーエンドの分岐点があるのなら、そっちだって望んでやる――もう、何も出来ないまま勝手に失われていくのは嫌だからな…』

    月『お前…』

    蒼空『相手が狭間や符宴のような奴なら戦う事に協力してやる。だが、どんなに憎い相手だろうが…助けを求めているのなら、罪を償える存在なら手を伸ばす。それが――俺の欲望(ネガイ)であり、人として生きる為にしていくと誓った事だ』

     彼の赤い瞳に、嘘は一切なかった。
     自分と同じように、親に捨てられた。全てを奪われて、憎しみで動いていた筈だ。だが、この男は――黒羽蒼空は、心に宿した憎悪を完全に乗り越えている。
     全ては狭間の所為だと分かっても、未だに枷に囚われている月とは違う。

    月『あんたと違って…俺のこの憎しみは消したくても消せないんだよ、存在すら認めたくない…! けど、あんたと敵対するのは骨が折れるし、凍矢も傷つけたくないからな…今回ばかりは目を逸らしてやる…!』

    蒼空『ああ。殺さなければそれでいい』

     月の答えに満足し、蒼空はようやく胸倉を掴んでいた手を離した。



    ツバサ「1シーン使ってでも月を説得するなんて、やっぱり師匠は優しいね」

    クウ「まっ、出るのが駄目なら駄目で、クライマックスかエンディングで止めに入るつもりだったけどな」

    ウラノス「あんた、本当に甘いな。普通なら八つ裂きにするだろ」

    レイシャ「俺なら世界から存在を抹消させるよ」

    ゼノ「妾なら生きている事を後悔させるくらい絶望のどん底に叩き落とすぞ」

    クウ「寧ろそんな事を平然と考えられるお前らの思考がおかしいんだよ…」

    ムーン「ま、そんなクウのRPに免じて、黒羽蒼空にロイスを取るぜ。Pは誠意、Nは厭気。表は誠意だ」

    クウ「それじゃ、俺達も購入判定やっちまおうぜ。GM、いいよな?」

    GM「ああ。好きにやっちゃってくれ」


     《購入判定》
     難易度12 月5D→7 失敗
     難易度15 蒼空7D+5→23 成功(コネ:手配師使用)


    ムーン「ちくしょう! 『UGNボディアーマー』が! 何でFH組が成功するんだよ!」

    クウ「この数字なら、『アームドスーツ』じゃなくて『アルティメイド服』選べば良かったか…?」

    ツバサ「でもまあ、成功出来たから良しとしようよ」



    蒼空『さてと…』

     話も終わった所で蒼空は携帯を取り出すと、どこかにメールをする。
     その約1分後、一つの画像が送られる。ファイルを開くと、外に止めてあったバイクに大きめの荷物が置かれてあった。

    月『この荷物、どうしたんだよ?』

    蒼空『御剣を使って鴻央会の連中に防具を頼んだんだ。動きにくいのが難点だが、役に立つだろ――それじゃ、行こうぜ』

    月『言われなくても!』



    GM「それでは、次からクライマックスフェイズに突入だが――その前にロイスの確認をするよ」

    SM「もう三回目ですから、大まかな説明は省きます。ロイスの習得やSロイス指定があれば遠慮なくどうぞ。では、まずは凍矢からです」

    グラッセ「はい。俺はこんな感じです」


     Dロイス『触媒(カタリスト)』
     支部長:羽狛早苗(○尽力/不安)
     シナリオ:テレーズ・ブルム(○尊敬/憐憫)
     友達:闇代月(○友情/不安)
     協力者:遊馬&アストラル(○懐旧/不安)
     協力者?:祐嗣狭間(感服/○猜疑心)
     真の敵:風切冷牙(執着/○敵愾心)


    グラッセ「俺のロイス枠は全て埋まりました。Sロイスですが、今回はムーン、いえ月に取ります。オーヴァードになって初めて出来た、俺の大事な友人ですからね。この戦い、絶対に負けられません」

    ムーン「ありがとな、グラッセ。いや凍矢。それじゃ、俺もサクサクと進めていくぜ」


     Dロイス『実験体(ロストナンバー)』
     友達:海命凍矢(○友情/悔悟)
     Sシナリオ:闇代陸(執着/○憤懣)
     敵勢力:七雲空(感服/○不快感)
     敵?:祐嗣狭間(役に立った/○胡散臭い)
     仲間:黒羽蒼空(○誠意/厭気)


    ムーン「俺はSロイスの指定は終わったが、ロイス枠が1つ余っている。戦闘でとってもいいんだが…情報共有も出来ているだろうから。風切冷牙に取るぜ。Pは執着、Nは敵愾心。表はNだ」

    SM「いやー、嫌われてますねー」

    クウ「嫌って当然だろ…さて、次は俺の番だな」


     Dロイス『戦闘用人格(デュアルフェイス)』
     S恋人:天義星華(○純愛/無関心)
     借り:黒須左京(○懐旧/隔離)
     シナリオ:祐嗣 狭間(連帯感/○嫌悪)
     仲間:御坂翼(○信頼/罪悪感)


    クウ「俺のロイスだが、実は全く取ってない。最初にも説明したが、アージエフェクト《ブラッドエンゲージ》で攻撃する為にはそのキャラのロイスを取る必要があるからな。戦闘開始の直前、もしくは戦闘中に一気に取る事にしたんだ」

    ムーン「敵は分かったんだし、どうせなら今取れば良くないか?」

    クウ「敵が一人とは限らないだろ? 雑魚が出たり、第三者が出て来たりする可能性もなくはない。使えない事になってしまうくらいなら、確認が出来る時にロイスを取った方がいい筈だ」

    ツバサ「師匠にしては中々いい判断だね。さて、最後はボクだよ」


     Dロイス『生還者(リターナー)』
     友人:エリー(○オタクは文化!/現実は厳しい…)
     仲間:七雲空(○好意/不安)
     シナリオ:都築京香(○尽力/恐怖)
     友達:海命凍矢(○友情/隔意)
     協力者:ラグナ(○親近感/脅威)
     観察対象:闇代陸(○執着/不信感)


    ツバサ「ボクは全部ロイス枠を埋めたよ。それでSロイスなんだけど、ボクは都築京香に取るよ。今回みんなと一緒にいるのはプランナーの命令を効率良く進める事が出来るからね。ちゃんと友達としての気持ちはあるけど、ボクにも優先順位があるから」

    GM「中々面白い感じでいいじゃないか。さて、ロイスの確認も終わった所で」

    SM「クライマッスクフェイズへ進みますが、その前にマスターシーンを挟みます」

    四人「「「「おおーっ!」」」」

    16/11/22 00:28 NANA   

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