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ダブルクロスThe 3rd Edition【Hate and pain】

NANA

INDEX

  • あらすじ
  • 01 セッション準備編
  • 02 トレーラー紹介&PC紹介1
  • 03 PC2紹介
  • 04 PC3紹介
  • 05 PC4紹介
  • 06 オープニングフェイズ1&2
  • 07 オープニングフェイズ3&4
  • 08 ミドルフェイズ1
  • 09 ミドルフェイズ2
  • 10 ミドルフェイズ3
  • 11 ミドルフェイズ4&5
  • 12 ミドルフェイズ6(前編)
  • 13 ミドルフェイズ6(後編)
  • 14 ミドルフェイズ7(前編)
  • 15 ミドルフェイズ7(中編)
  • 16 ミドルフェイズ7(後編)
  • 17 ミドルフェイズ8
  • 18 ミドルフェイズ9
  • 19 クライマックスフェイズ1
  • 20 クライマックスフェイズ2
  • 21 クライマックスフェイズ3
  • 22 クライマックスフェイズ4
  • 23 クライマックスフェイズ5
  • 24 クライマックスフェイズ6
  • 25 バックトラック&エンディングフェイズ1
  • 26 エンディングフェイズ2
  • 27 エンディングフェイズ3
  • 28 外伝・月の決意(リラさん誕生日作品)
  • 29 外伝・月の決意2(リラさん誕生日作品)
  • 30 外伝・月の決意3(リラさん誕生日作品)
  • クライマックスフェイズ1


     マスターシーン シーン15〈悪意の蛇〉


     闇代家が所有する山。そこに一つの洞窟があるが、侵入避けに配置した注連縄は無残に切られている。
     その奥深くにあるのは、小さな祠。そこに鎮座するのは大きめの黒真珠のような宝石。
     黒い手が宝石に手を伸ばすが、障壁のようなモノが張り巡らさせていて弾かれる。だが、無理やりその結界に手を当てた途端、ガラスのように表面が一気に罅割れて壊れてしまった。

    「表の結界に比べたら、内側は脆弱な守りですね。まあ、これは限られた人物しか使えないので仕方ないと言えばそれまでですが」

     目当ての宝石を手にし、男は笑う。
     短い銀髪に青の瞳。その顔こそが、風切冷牙の本来の姿だ。
     やがて冷牙が振り返る。そこには、月を庇って傷を負った陸が力なく倒れている。最低限の治療はしているのか、腹部に包帯が巻かれている。

    「さて…傷は治しているんです。黙ってないで何か言ったらどうですか、旦那様?」

     陸の傍にしゃがみこみ、そっと頬を撫でるように顎を持ち上げる。

    「…俺にそんな趣味はない「私にだってありません!」」

     思わずそんな会話をしてしまうが、気を取り直すように冷牙は顎を掴む手を強める。

    「未だに口答えするとは、旦那様もしぶといですねぇ。まさか、この期に及んで誰かに助けて貰おうなんて考えてませんよね? UGNにはあなたが敵だという情報を流してある。来るとしたら、あなたを始末しに来る敵か、憎悪を抱く坊ちゃんだけ…」

     顔に薄っぺらい笑みを貼り付けて陸を見据える。送りつける視線も、完全に冷え切っている。
     蛇に睨まれた蛙。今の状況を例えるならこの比喩が一番だろう。陸は黙って目を逸らし、静かに口を開く。

    「ハッ…お前の言うとおりだ。俺を洗脳しようとしていたのは知っていた…だから、出来る限り家族に対しても厳しく接して心の隙を与えずにいた。そのつもりだったのに…最後でヘマをした」

    「ええ…その点に関しては本当に苦労しましたよ。ですから、あなたが大切にしているあの二人を追いやった。隠していたつもりでしょうが、あなたが家族に情を持っているのはバレバレでしたから。いやぁ、いい感じにお人形になってくれて何よりです」

    「……それで、どうするんだ? お前にそれは使えない。月を操るつもりなら無駄だ――あいつの憎しみは、ここで終わる」

     すると、カチャリと金属音が鳴る。
     素早い動作で陸が銃を取り出し、頭に銃口を向けて引き金に指をかける。

    「ほぅ…? 自殺して、坊ちゃんの憎しみを消すつもりですか。流石は旦那様、中々思い切った事をしてくれますね」

    「俺はただの人間だ、銃で頭を撃たれれば死ぬ…引き金を引くだけの力は残っている。たった一人の息子をお前の道具にさせるぐらいなら、今ここで死ぬ…!」

    「そうですか。ではどうぞ、その引き金を引きなさい――出来るものならね?」

     直後、陸の背筋に冷たい何かが這う。
     冷牙が何かしでかす前に、陸は指に力を込める。それは、たった一瞬の動作。それだけで、自分の命は絶てる――その筈だった。
     だが、どんなに陸が意識しても指はピクリとも動かず引き金に固定されたままだ。
     いや、指だけではない。身体全体が金縛りにあったように全く動かない。

    「なっ…!」

    「旦那様は確かに、洗脳による抵抗と耐性は凄かった。現にこうして自我を取り戻していますが…あれだけで完全に洗脳が解ける訳ないじゃないですかー。そう言えば、私がどうして旦那様をこの場に連れて来たかまだ行ってませんでしたね?」

    「俺を使って…月の負の感情を刺激させる為じゃ…!」

    「それもあるのですが、私としてはこの“闇”の力が気になる所でして…」

     不気味に笑うと、冷牙は闇を胸に押し当てる。
     すると、服越しにも関わらず闇を喰らうように体内へと押し込んでいく。
     そうして冷牙は体内へと闇を取り込む。この一連の様子に、陸は訝し気の表情を浮かべる。

    「“闇”を喰らってどうする…!? お前がオーヴァードだろうが、それは闇代家の者しか扱えないのは知って――…まさか、お前…!」

     ここで陸は思い出す。彼がどんな力を持っているかを。
     思考を読み取ったのか、冷牙は洗脳で動けない陸へと笑みを浮かべた。

    「ご理解いただけて何よりです。これからあなたにはオーヴァードの素晴らしさ、代々守ってきた闇の力を教えて差し上げます…旦那様」

    「や、止めろ…!」

    「怯える必要ありません。さあ…私と一つになりましょう?」

     冷牙が手を伸ばし、視界を遮った所で陸の意識が反転した。



    四人「「「「…さっきからSMがめっちゃ笑顔だ…」」」」

    SM「悪役ロール、なんて楽しいんでしょう…!」(黒笑)

    四人((((駄目だこの人、早く何とかしないと…!))))

    GM「さて、クライマックスフェイズに入る前に報告がある。実は、ちょっとした間違いが発覚した」

    グラッセ「間違い?」

    GM「空と翼の購入のダイス判定だ。さっきからおかしいと思って見直したら…100%超えたダイスボーナスを入れ忘れていた」

    クウ「あ…マジだ。俺は『戦闘用人格』分のダイスを完全に忘れてる」

    ツバサ「ボクもだ。一個入れ忘れてた」

    ムーン「あー、遡って確認すると俺もミドルの情報収集でダイスの数が1個少なく振って間違ってる…」

    グラッセ「浸蝕率の確認もそうですが、やる事が増えると計算が面倒ですもんね…」

    GM「そこでお詫びと言うのも何だが…クライマックスフェイズで戦闘に入る直前、購入判定を入れようと思ってる。有利になるかどうかはダイス運に頼る事になるが」

    クウ「いや、十分だ。寧ろありがたい」

    ツバサ「この場合、欲しいのは防具と『応急手当キット』だね。それぞれで挑戦してみる?」

    グラッセ&ムーン「「……防具はFH組に任せた」」

    ツバサ「うわ、凍矢も月も買い物不審になってる…」

    クウ「いや【社会1】の俺らに頼られても…」

    ムーン「お前は『戦闘用人格』のおかげで【社会】も5になってるじゃねーか!」

    グラッセ「『戦闘用人格』とは一体…?」

    GM「言うな。デメリットが酷い分、あらゆる判定で強くなるのも事実なんだ……それでは、クライマックスフェイズに入るぞ」

    ムーン「あ、GM。確認だが、《ディメンジョンゲート》使わないと冷牙と陸のいる場所に行けないのか? 俺浸蝕率ヤバいから、それ以外の方法使いたいんだけど…!」

    GM「あ〜…当初の予定では《ディメンジョンゲート》を使って貰うつもりだったが…場所は分かってるだろうし、別のアイデアがあるなら採用するよ。よっぽど無茶なのは採用出来ないが」

    ツバサ「うーん…あ、そうだ! GM、こういうやり方はどう?」(ゴニョゴニョ…)

    GM「………ハイ?」



     クライマックスフェイズ シーン16〈痛みと憎しみ〉
     シーンプレイヤー 闇代月


     《シーン登場》
     凍矢1D→4 83%→87%
     月1D→5 116%→121%
     空1D→3 107%→110%
     翼1D→7 108%→115%


     都心から離れた場所に存在する闇代家が所有する山の土地。自然が豊かで野生動物も住んでいる――が、どう言う訳か鳥の囁きや木々の騒めきすら聞こえない。
     そんな異常な空間の中、けたたましいエンジン音だけが山の中に響いている。
     やがてその音は奥にあった洞窟の前で止まる。そこには、蒼空が運転するバイク。その後ろには凍矢、左右には手と足をバイクにくっつけて微動だにしない月と翼。

    月『やっと着いたな』

    翼『うん、どうにか辿り着いたね。蒼空さんがバイクの免許取ってて良かったよー!』

    蒼空『いや、月の《ワーディング》のおかげで俺も運転しやすかったしな』

    凍矢『ちょっと待てぇぇぇ!!! あんたらどんな無茶苦茶な運転してるの!! 幾らバロールとブラックドックの力でバイクと隣接出来るからってあんなくっ付き方あるかぁ!?』

    蒼空『今更ツッコミ入れられても…』


    GM「いや〜…『蒼空の持ってるバイクを使って移動する。方法は運転する蒼空の後ろに凍矢、そして翼と月が磁力と重力の力でバイクの横にくっつく。更に移動が楽になるように月の『ブラックダイアモンド』を使った《ワーディング》を常時張って時間を止める。そうすれば万が一事故になっても被害は出ない』…なんて作戦が飛び出すとは思わなかったよ…」(遠目)

    SM「やろうと思えば出来るのが、ダブルクロスと言うTRPGですからね。それよりGM、目が遠くなってますよ」


     まずは月と翼が地面に降り立つ。その際、月は《ワーディング》を解除して止まっていた時を動かし始める。不自然なほど静まり返っていた風景は動き始め、鳥の囀りや風の音が聞こえ出した。
     二人に続いて凍矢も降り、蒼空は移動に使ったバイクをそこら辺に立てかける。突入の準備をしている中、翼の携帯が鳴り出した。
     ディスプレイを確認すると、相手は「非通知」と書かれている。

    翼『誰からだろ? もしもーし、翼でーす』

    プランナー《任務は順調のようですね、ライトニング》

    翼『プラン――!!』

     思わず名前を言いそうになったが、翼はとっさに手で口を押える。

    蒼空『翼?』

    翼『プ、プラ…!! プラモデル屋さん、もしかして予約してた新作のフィギュアが入ったのー!! わー、嬉しいなー!!』

    月『こんな時に緊張感のない電話をするな!!』

    プランナー《ふふふ、申し訳ありません。頑張っているあなた方に救援物資をと思いこうして連絡をしてみました。翼さん、何か欲しい物がありましたら申しつけてください。こちらで出来る範囲ですが、用意して届けさせます》

    翼『あ、ありがとう…! ねえみんなー、何か欲しいものってあったりするー?』

    三人『『『…ハ?』』』


     《購入判定》
     難易度8(応急手当キット) 凍矢6D+3→11 成功
     難易度8(応急手当キット) 月5D→9 成功
     難易度14(戦闘用着ぐるみ) 蒼空8D+5→22 成功
     難易度13(シューターズジャケット) 翼4D+3→21 成功


    GM「おいちょっと待て社会不適合者共」

    グラッセ&ムーン「「どうしてお前ら毎回難易度の高い買い物が出来るんだよ?」」

    クウ&ツバサ「「人辺りの良さ?」」

    グラッセ「………否定できない」

    ツバサ「でも、これなら『シューターズジャケット』じゃなくて『アルティメイド服』にしておけば良かったよ…」

    クウ「銃を持っているとはいえ、メインはRCだもんな。さて、さっそく回復と行くか」

    ムーン「俺も使うぜ」


     《応急手当キット》
     月2D→16 HP8→24
     蒼空2D→11 HP5→16


    クウ「よし、これならギリギリで攻撃出来るぜ」

    グラッセ「万が一減ったとしても、行動順では俺が回復できますからね」


     プランナーに欲しい物を頼んでから電話を切った数秒後、四人の近くに《ディメンジョンゲート》が現れる。
     すると、それぞれで依頼した物品がその中から落とされてゲートは閉じられた。

    凍矢『なあ、翼…プラモデル屋さんって、何者?』

    翼『えーと、ちょっとした知り合いのオーヴァードだよ…! アハハ…!(まさか、本当に全部用意してくれるなんて…流石だよ、プランナー)』

    月『…よし、こんなものか』

    蒼空『これぐらい治療出来れば、どうにか本気を出せるな』

    翼『装備も完了っと』

    月『それじゃ、行こうぜ。二人纏めて再起不能にしてやる…!!』

    16/11/30 00:16 NANA   

    ■作者メッセージ
     補足コーナー:アイテムについて

     ショットガン・〈武器・射撃〉(攻撃+5、命中−1、射程10m)この武器を使用した射撃攻撃で、同じエンゲージにいるキャラクターを攻撃する際、攻撃力に+2追加する。

     シューターズジャケット・〈防具〉(装甲値3、ドッジ−1、行動−2)腕や肩を固定しやすい射撃用のジャケット。見た目は肩パッドがついたジャケットのように見える。装備している間、〈射撃〉判定のダイス+1。
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