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ダブルクロスThe 3rd Edition【Hate and pain】

NANA

INDEX

  • あらすじ
  • 01 セッション準備編
  • 02 トレーラー紹介&PC紹介1
  • 03 PC2紹介
  • 04 PC3紹介
  • 05 PC4紹介
  • 06 オープニングフェイズ1&2
  • 07 オープニングフェイズ3&4
  • 08 ミドルフェイズ1
  • 09 ミドルフェイズ2
  • 10 ミドルフェイズ3
  • 11 ミドルフェイズ4&5
  • 12 ミドルフェイズ6(前編)
  • 13 ミドルフェイズ6(後編)
  • 14 ミドルフェイズ7(前編)
  • 15 ミドルフェイズ7(中編)
  • 16 ミドルフェイズ7(後編)
  • 17 ミドルフェイズ8
  • 18 ミドルフェイズ9
  • 19 クライマックスフェイズ1
  • 20 クライマックスフェイズ2
  • 21 クライマックスフェイズ3
  • 22 クライマックスフェイズ4
  • 23 クライマックスフェイズ5
  • 24 クライマックスフェイズ6
  • 25 バックトラック&エンディングフェイズ1
  • 26 エンディングフェイズ2
  • 27 エンディングフェイズ3
  • 28 外伝・月の決意(リラさん誕生日作品)
  • 29 外伝・月の決意2(リラさん誕生日作品)
  • 30 外伝・月の決意3(リラさん誕生日作品)
  • クライマックスフェイズ2


     四人が洞窟へと入ると、陽の光が差さないからか冷気が漂っておりひんやりとしている。
     奥へたどり着くと、広めの空洞になっている。最奥には小さな社、その前に一人の人物が立っていた。

    『――来ましたね、坊ちゃん。お待ちしてましたよ』

     そう声を掛けたのは、肩まである銀髪に水色と青のオッドアイをした黒コートを着た男性。彼はどことなく、陸に似ている。

    『お前、誰だよ…!?』

    『…それがあんたの本当の姿か、風切冷牙?』

    『私の本名を知ったのですか…流石は私達のメンバーを二回も退けただけの事はありますね。余計に馬鹿に出来なくなりました』

     警戒する月と蒼空に、男性――冷牙は前と変わらず蛇のような笑みを浮かべクツクツと笑い出す。
     目の前の人物が敵だと確信し、翼は睨みつける。

    『…陸さんは無事なの?』

    『意識はありますよ。何でしたら、私の口から聞かせましょうか?』

    『それって、どう言う――』

     翼が言い切る前に、突然冷牙が崩れ落ちる。
     思わず警戒していると、ゆっくりと冷牙が口を開いた。

    『あ…あ、かり…』

     そこから漏れた声は冷牙ではなく、陸の声だ。先程まで何ともなかった筈が、疲労しきっているのかのように顔が青白い。

    『陸さん!?』

    『どうなってるんだ!?』

    『っ! まさか、エグザイルの能力で陸さんと《融合》したの!?』

     凍矢と月が驚く中、翼は今起きている現象を見破る。

    『なん、で…ここに、きた…! っ、あかり…はやく、にげ…!』

     身体は動かせないのか、蹲ったまま月へと話しかける陸。
     そんな陸に、月は。

    『――けんな…!』

     低い声で唸り、殺気の籠った視線を陸へと送りつける。
     彼の目に宿るのは、煮え滾るような怒り。そして殺意。

    『今更父親ぶってんじゃねーぞ!!! 俺はどれだけあんたの所為で人生を滅茶苦茶にされたか分かってんのか!!! 自分の事ばっかりで、何かあれば他人の所為にして、本当に人間として最低なんだよてめえはぁ!!!』

    『ムーン…!』

    『月』

    『…分かってるよ、蒼空…!! こいつは憎いし殺したい…だが、今は手を出さない…!! 今は本当に倒すべき敵がいるんだからな…!!』

    『あか、うぐぁ!!』

     蒼空によってどうにか怒りを封じ込め、真の敵である冷牙へと意識を戻す。
     それが分かってか、冷牙は陸の意識を再度封じ込めると立ち上がり、月にあの笑みを浮かべて来た。

    『早々に捨ててしまいなさい。そんな感情、あなたに相応しくありません』

    『一つだけ聞きたい――お前、ずっと前から闇代家に潜入していたんだろ? なんで今になって計画を実行した。何時でもチャンスはあった筈だろ?』

     蒼空の問いかけに、道化師のように装っていた冷牙の目つきが一気に冷ややかな物へと変わった。

    『どうして? 全部あなた達の所為ですよ?』

    『俺達?』

    『私はずっと坊ちゃんの負の感情に目を向けていた。FHに引き渡し、UGNに引き取られても尚成長する闇…一つの種が芽を、枝を伸ばし果実が熟するのを待つように、この“闇”を受け入れるまで心が成長するのを数年も見守った』

     そうして冷牙は右手の掌を見せつける。そこには、黒い宝石が埋め込まれている。
     三人は知らないが、翼だけは知っている。あれこそが、プランナーの為に持ち帰るべく“闇”だと。

    『なのに、あなた達の所為でその計画は滅茶苦茶になりだしたんですよ! 友達や仲間が出来て、坊ちゃんの感情が薄れたどころか光の感情を持つようになった! あなた達の存在はもはや障害なんですよ、だから思い出せてあげたんです…憎しみ、怒り、悲しみ、ありとあらゆる負の感情をねぇ!!』

     如何に月を陥れたかを熱弁する冷牙に対し、翼は嫌悪感を露わにする。

    『なにそれ、酷過ぎる…!』

    『坊ちゃんには友達も仲間もいらない。闇だけが彼の持つべき感情、彼が彼であるべきモノなんですよ!! 憎しみを抱く坊ちゃんの姿は、それはもう惚れ惚れして――!!』

    『黙れ…!!』

     今まで黙っていた月が言葉を遮る。
     そのまま腕を変形させ、牙を剥き出しに冷牙へ激怒の感情をぶつける。

    『確かに今も親父が憎いさ。だがな…俺はまんまと踊らされたてめえにだって腹が立っている!! 俺には俺の意志があるんだ、誰かの操り人形じゃないしなるつもりだってない!! 覚悟しやがれ冷牙ァ!!! 親父と同等――いや、それ以上の痛みを味わらせてやるよぉ!!!』

    『フ、フフ…伝わってきますよ、坊ちゃん…その怒り、悲しみ、憎しみ。実に素晴らしいです。貴方こそ、闇代家の後継者に相応しい! さあ私を、いえ…あなたの父親を殺すのです!! そうして手に入れた深い絶望――それでこの“闇”は真に目覚めます!!』

    『――ふざけるなぁ!!! ムーンはあんたの道具じゃない!!』

    『そうだ、お前は勘違いしてる…月はお前の操り人形になるほど、軟な心を持っちゃいない』

    『それに、ボク達もいる。あんたの思惑道理にはさせない…友達は、ボク達が守る!!』

     月に続くように、凍矢、蒼空、翼も戦闘の構えを取る。
     抵抗する彼らの姿に、冷牙の纏う空気が鋭く重い物に変わった。

    『この日の為に、坊ちゃんの憎しみを数年も費やして育ててきたんです――邪魔をするなぁ!!!』



    GM「冷牙に埋め込まれた“闇”を中心に強力なレネゲイドが放たれ、君らのレネゲイドと共鳴を始める」

    SM「ここでEロイス『衝動浸食:解放』を発動させます。難易度9の〈意思〉判定ですが、失敗で〈衝動:解放〉による暴走を起こします。成功失敗問わず、2Dの浸食率上昇です」

    クウ「アージを取得している俺は失敗出来ない!」

    グラッセ「行くぞ、みんな!」


     《意思判定》
     凍矢5D+1→10 成功
     月5D+1→20 成功
     蒼空9D+1→10 成功
     翼7D+1→8 失敗


    ツバサ「うわああん!! 初めて失敗したー!」

    クウ「俺はどうにか成功…! 変異暴走していると、ヒヤヒヤするな」

    GM「まだ終わりじゃないぞ。ここから浸食率上昇だ」


     《浸食率上昇》
     凍矢2D→16 87%→103%
     月2D→16 121%→137%
     空2D→18 110%→128%
     翼2D→8 115%→123%


    グラッセ「ぎゃー! 《リザレクト》出来なくなったー!!」

    ムーン「俺ら一気に上がり過ぎだろ!?」

    ツバサ「もはや月と大差ない辺りだよね…ボク達本当に帰ってこれるの?」

    GM「ダイジョウブジャナイカナー」(棒読み)

    ツバサ「全然大丈夫じゃない発言してる…」

    SM「いざとなれば三倍振りすればいいんですよ」

    クウ「好き好んで三倍振りする奴なんているか! よっぽどボスが酷くて鬼畜か、運が破綻してるパターンだろ!」

    SM「…貴様は私を怒らせた。ジャーム化では生温い、完膚なきまでに貴様を殺してやろう」

    クウ「俺何か酷い事言ったか!?」

    スピカ「…ちょっと妖怪ウォッチを探す旅に出てくるわ」

    ガイア「スピカさん、ヤケにならないでぇ!?」

    GM「さあ…このシナリオ最後の戦闘開始だ!!」



    GM「では、戦闘開始だ。現在、冷牙と陸が一つのエンゲージ内。そこから10m離れた所に君ら四人のいるエンゲージがある。
     陸は冷牙に埋め込まれた闇によるEロイス『超越者の戯れ』の効果で手に入れた、『愚者の契約』により、無理やりオーヴァードと化している。この契約は冷牙を戦闘不能にすると解除され、陸も人間へと戻ることができる。
     この戦闘終了条件は、冷牙を戦闘不能にする事だ。ただし陸を戦闘不能にした場合、彼は即座にジャーム化するから注意してくれ」

    グラッセ「なるほど…陸さんを助け出すには、冷牙を倒せって事ですね」

    ムーン「つーか、陸も一緒に始末していいんじゃねーのか?」

    SM「やれるものならどーぞどーぞ」

    クウ「おいSMが不穏な笑み浮かべてるぞ…」

    SM「それではセットアップ。冷牙と陸の行動値は14。翼と同数ですが、シューターズジャケットを装備して行動値が下がっているので、こちらからの行動です」

    ツバサ「うう、行動値2下がるのは痛手だった…」

    SM「まずは冷牙のセットアップから! 《融合2》を陸に発動! これにより、冷牙はデータ上で陸と同化を果たします!」

    闇の探求者達「「「(ガタッ)」」」

    GM「座って落ち着けそこのラスボスども」

    ヴァニタス「落ち着けるか、融合だぞ融合! ここで反応せずにどこで反応しろと「それ以上語るなら名状しがたきルルブを音読してSAN値直葬させますよ?」すいません黙ります…」

    グラッセ「ちなみに、《融合》ってどんな効果ですか?」

    GM「特殊な処理になるから、詳しくは下の欄で説明するよ」

    ツバサ「何がともあれ、敵は1人! 皆でボコればどうにかなるよ!」

    SM「おっと、私の行動は終わりではないですよ? 更に、《サポートボディ4》を陸に発動します! この効果で、私のダイスを5個下げる代わりに陸のダイスを4個上げます」

    GM「それでは、次は陸の番だ…陸は《ヒュドラの怒り4》を使用。これにより暴走状態になるが、同時に《レックスレスフォース1》、《螺旋の悪魔1》が発動。メジャーのダイスは冷牙の支援合わせて8個、攻撃力は15アップだ」

    ツバサ「ちょ、えええええええぇぇぇぇ!!!??」

    ムーン「まだセットアップなのに敵が強化しまくってるぞ!?」

    グラッセ「そんなに攻撃力上げてどうするつもりですか!?」

    SM「決まってる。貴様らを確実に仕留める為だ」

    クウ「ヤベェ…!! こいつハンターの目をしてやがる…!!」

    SM「これでこちらの手番は終了です。次はあなた達の番です」

    ツバサ「もう一気に決めるしかない! 《戦術4》発動! 三人のメジャーダイス4個増やす! 浸食率129%!」

    クウ「次は俺だ! 《クイックダッシュ2》を発動して冷牙と陸のエンゲージに入る! 浸食率132%!」

    ムーン「凍矢は抜かして、俺の番! 俺は《フルパワーアタック4》を使って行動値0の代わりに攻撃力を20アップだ! 浸食率141%!」

    ツバサ「正直、月の浸食率がやばいね…!」

    ムーン「ああ…マイナーで《完全獣化》と《破壊の爪》と《斥力跳躍》使ったら10%だろ? 《フルパワーアタック》付けたメジャーの攻撃で9%、《時の棺》も使うとなると更に10%…160%所か200%超えないよな俺…!」

    クウ「早めに倒さないと、マジで月がやばいぞ…」

    グラッセ「俺頑張ってカバーリングするよ、うん」

    GM「では、エンゲージと行動順はこのようになります」


     冷牙&陸/蒼空――(10m)――凍矢/月/翼

     冷牙(《融合》の効果により、このラウンドは行動済み)
     陸(14)
     翼(12)
     凍矢&蒼空(8)
     月(0)


    ツバサ「先制取られた…」



    冷牙『さあ、やっと手に入れた力です…使うのが楽しみですよ…!!』

     闇の力が依代である冷牙と陸の体に纏わりつく。
     それと同時に、辺り一帯のレネゲイドの濃度が濃くなっていく。

    月『この野郎…!』

    翼『あ、あはは…』

    凍矢『翼?』

    翼『分かる…分かるよ…! どうすればいいのか、何をすればいいのか…! 見える、何もかもが先読みで見える!』

    凍矢『ど、どうしたんだ翼!?』

    蒼空『翼の奴、奴の気に当てられて暴走してやがる…! くそっ!』

    月『とんでもないな、闇の力ってのは…こりゃ本気出さざる負えないなぁ!』

     能力がハイな状態で発動し、思考が完全にぶっとんでしまった翼。そんな彼女に危機感を感じて、冷牙に負けじと蒼空と月もそれぞれ独自に力を発動させる。

    冷牙『分かってはいましたが、旦那様を素体にしては完全に出し切れませんね…適合者として育てた坊ちゃんなら、もっともっと引き出せるでしょうね!』

    16/12/02 03:16 NANA   

    ■作者メッセージ
     補足コーナー:《融合》について

     エグザイルのエフェクトの一つ。120%制限な為、浸蝕率が120%を超えないと使えない。
     《融合》は他者に力を与える特殊なエフェクトで、使用すると指定した対象は《融合》以外のエフェクトを全て使用できる。
     ただしこの効果を発動すると、使用者はあらゆる移動が出来ず対象と同エンゲージにいなければならない。そして、即座に〈行動済み〉となってしまう。さらに、対象が何らかのエフェクトなどを使って浸蝕率を上げた場合、同じように浸蝕率を増加しなければならない。
     実はPCが運営するとかなり難易度の高い戦略や戦況を見極めて持ち要らなければならない。逆に敵だと浸蝕率や行動する人数に関して考えなくていいので、今回みたいにめっちゃ運用や演出に役に立ったりする。
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