ミドルフェイズ1(後編)
GM「現在の累計ダメージは28ですね。このまま第二ラウンドと行きましょう」
SM「さて、第二ラウンド。セットアップに入るが…ここで一つイベントが挟むよ」
一斉射撃により、四人の姿が煙硝で見えなくなってしまう。
普通ならば死んでもおかしくない攻撃。だが、弾幕が晴れると血を流しながらも四人はギリギリで立っていた。
星華『大丈夫か…?』
蒼空『こんな攻撃、何てことねーよ…』
星華と蒼空が会話していると、ギギギッと金属が擦れ合う耳障りな音が響く。音の出所は目の前に聳え立つロボからだ。
星華『変な音が鳴っているな…壊れた、と言う訳ではなさそうだが』
GM「このラウンド中、ロボに対して難易度8の知覚判定を行えます。マイナー、もしくはメジャーを消費する事で判定を行い、攻撃により脆くなってしまった装甲を見つけ出す事が出来ます」
SM「誰か一人でも成功したら、今後はその部分に攻撃出来るという事で装甲無視の攻撃が出来るよ」
オパール「やったー!」
スピカ「なら一番手の俺が判定をやろう。【感覚】は誰よりも高いし、マイナーでの行動も今の所持っていないからな」
〈知覚〉判定
6D+1→5 失敗
PC三人「「「ちょーーーーーー!!!??」」」
SM「星華、いやスピカ。ここにある6個のダイスの目、順に言ってごらん?」
スピカ「…順番に、3, 3, 3, 3, 3, 4…」
*ガチでこんなダイス目が出ました。
オパール「何をどうしたらこんなダイス目出るの!?」
クウ「GM、〈逃げる〉コマンドはあるか?」
スピカ「ま、まだだ! まだメジャーアクションが残ってる! 俺が攻撃するより、マイナーの強化を終えてる三人ならワンチャンある!!」
ルキル「本当に頼みますよ、星華さん…」
スピカ「ああ、やってやるぅ!!! もう一度挑戦だ!!!」
〈知覚〉判定
6D+1→8 成功
音の出所を辿ろうと、星華は意識を集中させる。
ノイマンシンドロームによる脳内回路を働かせ、聴覚・視覚だけを使う。そして、ロボの異変に目星をつけた。
星華『全員聞け! 装甲が外れかかっている腹部を狙うんだ!』
蒼空『なるほど、音の正体はこれだったのか』
リカ『分かった!』
GM「判定に成功しましたので、今後は装甲無視でダメージが入ります」
クウ「よし、俺の番だな。一気に畳みかける!
マイナーで《ブラッドコントロール1》。メジャーはさっきと同じ《コンセントレイト2:ブラムストーカー》、《紅の刃2》《レネゲイドスマイト1》コンボだ。ダイスは6個、攻撃力5、達成値9、C値8、浸蝕率は64%!」
《命中判定》
6D+9(C値8)→32
《ダメージ算出》
4D+5→30
蒼空『おらぁ!』
星華のアドバイスを元に、蒼空は羽根を作り出して一斉に放つ。
すると、思いのほか効果があり腹部の装甲が吹き飛んで中の機械が剥き出しとなった。
GM「累計ダメージ58になりました」
ルキル「よし、行ける! 次は俺の番だ!
オートで『ウエポンケース』を使い、『高速振動ブレード』を取り出して装備! マイナーで武器を使用だ。
メジャーは《コンセントレイト2:バロール》、《コントロールソート1》、《巨人の斧3》のコンボ! ダイス5個、攻撃力はエンブレムの効果合わせて24、達成値3、C値8、浸蝕率は57%だ!」
スピカ「支援は使うか?」
ルキル「響の事を考えたら無理はさせられない。お願いします!」
スピカ「了解、先程と同じ支援を発動する。達成値3とダイス4個追加だ。浸蝕率54%」
《命中判定》
9D+6(C値8)→30
《ダメージ算出》
4D+24→43
リカ『だあああぁ!!!』
大きな剣を装備し、剥き出しの腹部目掛けてリカは一気に跳躍する。
そのまま両断しようと力任せに斬り裂く――が、いまだに残っている鋼鉄の外装に刃が止まってしまう。
星華『君の力は、こんなものじゃないだろ?』
同時に、星華の二丁拳銃が互いに火を噴いて残っている外装が全て弾き飛ばされる。
邪魔な部分が無くなった事でリカは弱まっていた力を再び込め――ロボを真っ二つに両断した。
GM「累計ダメージは101になりましたので、目標を達成しました」
ルキル「これがエリートの力だっ!!」
クウ「お前のダイス運、どうなってんだよ…?」
SM「戦闘終了、お疲れ様…と言いたいが、もう少しだけシーンは続くよ」
蒼空『やっと壊れたか、このポンコツ。手間かけさせやがって』
リカによって壊れたロボの残骸を、蒼空はヒールの先で軽く小突く。
戦闘が終わったのを感じたのか、響の姿が黒い獣から血塗れの女子高生の服装へと戻る。身体を支えきれず膝を付いて倒れようとするが、とっさに星華が片手で受け止めた。
響『う、うう…!』
星華『大丈夫か?』
響『あ、あたし…なにが…?』
リカ『…おい。さっきは、その…助かった、UGN』
星華『礼には及ばない。君は大丈夫…でもなさそうだな、立っているのがやっとだろう?』
リカ『黙れ! テロ組織に心配される筋合いはない!』
響『ま、待って! UGNはそんな組織じゃない!』
星華『…なるほど。君は世界の真実を知っているみたいだ』
響『う、うん。数年前に、助けられたから…』
リカ『そんな事、言われて信じれるか…!』
さっきと同じように、リカを中心に険悪な雰囲気が流れる。
しかし、その空気は打ち破られる。
?『おやおや。“次元の魔弾(ディメイジョンスナイパー)”何だいこの有様は?』
?『ようやく来ましたか、“運命の薔薇(モナドローズ)”。足止めも大変だったんですよ?』
襲い掛かった青年――次元の魔弾の丁度反対側から声が響く。
振り返ると、あの研究所でリカを襲った巨大な赤い槍鎌を持った女性がいた。
蒼空『なるほど。本命はあの女と合流する事だったって訳かよ…』
エン《このままでは、本当に漁夫の利になってしまいますね》
リカ『く、くそ…!』
更なる新手の登場に、リカの顔も歪んでしまう。
だが、星華だけは冷静を保ったまま隠し持っていた小型通信機を起動させた。
星華『愛衣、聞こえるか? 今すぐ逃走ルートを割り出してくれ』
愛衣(了解です、媒体を派遣します)
星華『頼む――ここは俺が引き受ける。君達は媒体を追って逃げるんだ』
リカ『逃げろって…!』
星華『俺も隙を見て逃走する。町外れの拠点で落ち合おう』
『キャン!』
そうして話を終わらせると、丁度離れた所で青い犬と猫を併せ持った動物が鳴き声を上げた。
響『え…あれ、犬? 猫?』
星華『迎えが来たようだな。行け、逃げられなくなる前に』
リカ『待てっ! あんたの言う拠点って…!』
銃を構える星華にリカが何か言おうとしたが、遮るように響が手を取った。
響『行こう! 相手が何だろうと関係ない、今は味方なんだから!』
リカ『お、おい!?』
まだ文句をぶつけようとするが、響は無視して手を繋いだままリカを引っ張って走る。
二人が媒体となる動物と一緒に逃亡するまで、牽制として星華は黙って両側の二人に銃口を構えていた。
青年『一人で僕らに立ち向かう気ですか?』
星華『倒せるとは思ってない。だが、時間を少々稼ぐくらいなら俺でも出来る』
女性『よく言うね。たった一人で挑む愚か者に何が出来るって言うんだい?』
蒼空『一人じゃない――二人だ』
急に蒼空が割り込む様に宣言すると、星華の隣に立った。背後にはエンも控える。
星華『へぇ…!』
蒼空『互いに一人で相手するには厳しいだろ。俺も喧嘩を売られた身だ…だから買う、それだけだ』
星華『そうか、なら二人を逃がすまで愛の共同戦線と行こうか?』
蒼空『ふっざけんな!! あくまでもこいつらをぶちのめすまでてめえを利用するって言ってんだろ!!!』
星華『おっと、そう言えばまだ名前を聞いていなかったな?』
蒼空『“マスター・セデューサ”だ。それ以外は認めない』
星華『そんな言わずに教えてくれよ。どうせ結婚する際に苗字は変わるだろ?』
蒼空『お前から先にぶちのめすぞ!!』
エン《そんな事言わずに教えてあげたらどうです? 折角嫁の貰い手が見つかったんです、ここで逃したら一生一人身で最後は孤独死ですよ?》
蒼空『てめえも余計な事言ってるんじゃねーよ!! 追い出すぞ寄生体風情が!!』
星華『誰と話しているんだ?』
エンに怒鳴り散らす蒼空に、星華は不思議そうな顔をする。やはりと言うか、エンの姿は認識されないようだ。
思いっきり舌打ちしてから、蒼空は口を開いた。
蒼空『…黒羽蒼空だ』
星華『俺は天義星華だ…さあ、行こうか蒼空!!』
GM「それでは、キリがいいのでここでシーンを終了しましょう。いやー、良い感じに締まりましたね」
スピカ「待った! ここで蒼空にロイスを取る。Pは純愛、Nは偏愛。表はPにして即座に『想い人』とSロイスに指定するぞぉ!!!」
クウ「愛が重い…!!」
ルキル「先生にそっくりだ…!!」
SM「いいじゃないか、純粋に愛されてる感があるんだから…アタイのメンバーには好きな人を脅しては付け回そうとするロリコン犯罪者がいるんだからね」
GM「そうですねー。他人に対して思いやり精神がないし、毎回暴力を振るう人に好かれてしまったリズさんが可哀想です」
オパール「ねぇ、あんた達の中でのウラノスの評価ってどこまで酷いの…?」
GM「雑談はここまでにして…そろそろ次のシーンに移りましょうか」
■作者メッセージ
松の間で繰り広げられる戦い(人狼ゲーム)
ウラノス「ぶえっくし!! くそ、急にくしゃみが…風邪を引いた訳じゃないし、誰かが俺の噂でもしてるのか?」
ウラノス「さて、俺の配役は――お、妖狐! ラッキー、これは面白くなりそうだぜ…!! ふっふっふ、リズやガイアには悪いが独り勝ちさせて貰うぜ!! まずは村人として占われないようにして、美味い具合に幼なじみ君やあの性悪女を早々に人狼に仕立てて吊ってやるぜ…ふはーははははっ!!!」
(注:人狼はそんなゲームではありません)
ゼノ「っくし! なんじゃ、急に鼻が…もしや、ゼアノート様が妾の事を噂しておられているのでは! あぁ…何と部下思いの方であろうか…! 妾はとても嬉しく思いますぞ…!」
ゼノ「さて、妾の配役は――なんじゃ、占い師か。つまらん、人狼や狂人が良かったぞ…まあ良いわ。清き村人として、グラッセとウラノスを人狼に仕立てて早々に処刑させてやろう。そして本編での鬱憤を晴らさせて貰うぞ!!! アッハッハー!!!」
(注:人狼は私情を持ち込むゲームではありません)
グラッセ「ぶえっくし!! ぶえーっくし!! うー…何だろ、風邪引いたのかな?」
リズ「それにしても、グラッセと同じチームなんてね…こりゃ勝ちにいけるかもしれないわね」
グラッセ「いやいや。今回の参加者のムーンやカヤは鋭いから。しかもお前の弟のレイシャもいるんだ。結構厳しいだろ…」
リズ「どうにかなるわよ。さて…とりあえず私は騙りに出るから、グラッセ潜伏お願いね」
グラッセ「大丈夫なのか、リズ?」
リズ「大丈夫よ。とりあえず、まずはウラノスから潰すわよ。あいつ絶対何か持ってるって私の勘が告げてるの」
グラッセ「勘って…まあいいや。どうせあの人信用0だし早々に退場させよう。と言うか退場させるぞ。最悪吊りが上手く行かなくても明日から噛めばいい。俺を散々虐げて来た恨み、人狼となった今嫌って程晴らしてやるぅぅぅ…!!!」
(注:何度も言いますが、人狼は嫌いな奴を排除するゲームではありません!!)
ウラノス「ぶえっくし!! くそ、急にくしゃみが…風邪を引いた訳じゃないし、誰かが俺の噂でもしてるのか?」
ウラノス「さて、俺の配役は――お、妖狐! ラッキー、これは面白くなりそうだぜ…!! ふっふっふ、リズやガイアには悪いが独り勝ちさせて貰うぜ!! まずは村人として占われないようにして、美味い具合に幼なじみ君やあの性悪女を早々に人狼に仕立てて吊ってやるぜ…ふはーははははっ!!!」
(注:人狼はそんなゲームではありません)
ゼノ「っくし! なんじゃ、急に鼻が…もしや、ゼアノート様が妾の事を噂しておられているのでは! あぁ…何と部下思いの方であろうか…! 妾はとても嬉しく思いますぞ…!」
ゼノ「さて、妾の配役は――なんじゃ、占い師か。つまらん、人狼や狂人が良かったぞ…まあ良いわ。清き村人として、グラッセとウラノスを人狼に仕立てて早々に処刑させてやろう。そして本編での鬱憤を晴らさせて貰うぞ!!! アッハッハー!!!」
(注:人狼は私情を持ち込むゲームではありません)
グラッセ「ぶえっくし!! ぶえーっくし!! うー…何だろ、風邪引いたのかな?」
リズ「それにしても、グラッセと同じチームなんてね…こりゃ勝ちにいけるかもしれないわね」
グラッセ「いやいや。今回の参加者のムーンやカヤは鋭いから。しかもお前の弟のレイシャもいるんだ。結構厳しいだろ…」
リズ「どうにかなるわよ。さて…とりあえず私は騙りに出るから、グラッセ潜伏お願いね」
グラッセ「大丈夫なのか、リズ?」
リズ「大丈夫よ。とりあえず、まずはウラノスから潰すわよ。あいつ絶対何か持ってるって私の勘が告げてるの」
グラッセ「勘って…まあいいや。どうせあの人信用0だし早々に退場させよう。と言うか退場させるぞ。最悪吊りが上手く行かなくても明日から噛めばいい。俺を散々虐げて来た恨み、人狼となった今嫌って程晴らしてやるぅぅぅ…!!!」
(注:何度も言いますが、人狼は嫌いな奴を排除するゲームではありません!!)