GM「では、テレビ局の研究施設に潜入作戦するにあたって、これからあなた達には幾つか判定をして貰います」

クウ「それって、この前やったFS判定か？」

SM「それでもいいんだが、今回は潜入を目的とした判定をして貰う。ぶっちゃけると、これから4つの判定が待ち受けるから、それらを代表一名ずつ判定するんだ。判定に失敗すればするほど、とんでもない事になる。その代わり、成功の数が多ければ良い事があるよ」

GM「判定は何かしらのエフェクトを使うもよし、支援として使える物も使うもよし、こちらの指定した技能を相談で別の技能に変更するのもよしです。皆さん、頑張ってください」

オパール「FS判定も面白そうだったけど、こっちも面白そう！」

ルキル「そうだな。FS判定は事前に設定されているが、こっちの方が自由度が高そうだ」

スピカ「4つの判定が気になるが…いざという時は支援する」

ルキル「GM、質問だが《財産ポイント》は使えるのか？」

SM「そうだねぇ…そこは判定の時に相談すると良いよ。それでは、潜入開始だ」


リカ『流石に正面玄関からは入れないだろう。こっちに搬入用の裏口がある、そこから行こう』

蒼空『へぇ、やけに詳しいんだな』

リカ『アーティストとして、テレビに出てたりしてたからな』

　得意げにそう言いながら、四人は裏手に回る。
　すると、やはりと言うべきか。搬入口付近にも警備員が二人ほど立っていた。

蒼空『おい、誰もいないんじゃなかったのか？』

星華『俺達の所為で町は警戒態勢を取っているんだ。仕方ない事だな』


GM「最初の判定はテレビ局に侵入する事です。現在、あなた達は放送局の裏手にいます。そこには警備員が2人います。彼らを出し抜くために〈交渉〉で判定して貰います。難易度は町が警戒態勢になっているという事で12ですね。
　ちなみに現代社会ではもっと警備が固いそうですが、難易度調整としているのであくまでこの卓の設定でお願いします」

オパール＆クウ＆スピカ「「「ヤバい！！　社会1（2）しかない！！」」」

ルキル「ああもうこの社会不適合者ども…！！」

SM「とか言いつつ、誰も〈交渉〉技能持っていないじゃないか」

クウ「とにかく、こっからどうするか…」

オパール「うーん、リカって芸能人なんだからそれで達成値貰えたりたりしない？」

クウ「それなら普通に正面玄関使うだろ。逆に怪しまれないか？」

SM「クウの言う事には一理あるよ。リカの芸能人としての地位は使えないね、時間的にもFHからリカが裏切った情報を聞いているだろうし」

ルキル「…つまり、俺が交渉に出たら逆に達成値が上がってしまうんだな。一応聞くが、《財産ポイント》を使って賄賂を送る形で使えたり出来ないか？」

GM「相手が人ですからね。それは認めましょう」

クウ「金の暴力で解決する気満々だな…」

ルキル「当たり前だろ、この中で社会力高いの誰だと思ってる？」

オパール「でもリカが出たら余計に難易度が上がるんでしょ？　何か良い方法ないかなぁ…」


スピカ「そうだ！　GM、リカを『女装』させての判定は出来るか！」


全員『『『ウェ！？　Σ（・□・；）』』』


GM「女装、ですか…？」

ルキル「お、おい！　俺が女装してもバレる…！」


スピカ「大丈夫だ、女子力（感覚）なら6もある！」


クウ「俺も女子力（感覚）4ある！」


オパール「あたしなんて現役女子高生よ！」


ルキル「何の安心にもなるかー！？」

GM「それは面白そうですねー。では、どのように支援しますか？」

スピカ「なら、俺は《プロファイリング》で相手の好みに合わせて彼に演技指導をさせよう」

クウ「俺は女子力を活用してメイクを施すから〈知覚〉で支援判定したい。《瀉血》で自分の顔は綺麗だし、女って事でボーナス貰えないか？」

オパール「あたし、長袖の制服を調達してくる！　もちろん女子用ね！」

ルキル「お前らぁぁぁ！！！」

GM「そうですねぇ…どうしましょう？　こう言うのは難しいです」

SM「なら、同性である星華さんは〈知識：心理学〉で難易度8。蒼空も〈知覚〉で同じく難易度8。響は〈調達〉の難易度7に判定して貰おう。二人以上成功したら女装とは見破られず、更に人数分達成値＋2ずつ上乗せするよ。そうそう、イージーを使う二人は達成値に＋2追加で構わないよ」

ルキル「SM、判定に優遇すぎないか！？」

SM「そんな事ないさー。あんたの女装姿みたいなんてこれっぽっちも思ってないしー？」

ルキル「女は全員敵だった！！」

オパール「判定行こうか！　そーれ！」

　支援判定
　響　4D→8　成功
　蒼空　6D＋3→12　成功
　星華　6D＋2→10　成功

SM「女装は難なく成功。更に達成値に＋6追加だ！　いやー、良かったね！」

ルキル「支援なくても成功かよチクショーウ！！！」


リカ『一体どうすれば…――星華さん、いえ天義さん？　どうして拳を鳴らしているんですか？　黒羽も何だそのメイクボックス？　大晴、どこから冬用の制服を取り出した？　や、止めろ…来るな…！　いやあああああああああぁ！！？』

エン《リカ…強く生きるのです》（天を仰ぎながら十字架を切る）


　30分後―――


リカ『う、うぅ…！！　FHチルドレンのエリートとして学校や任務で渇望されていた俺が、どうしてこんな…！！』

　涙目で蹲る彼は、どこからどう見ても女子高生の姿と化していた。筋肉質の身体も長袖で隠れている為、男の要素が殆ど見受けられない。

響『わー！　リカってば可愛いー！　はい、顔上げてピースピース♪』（パシャパシャ）

蒼空『鳩胸な筋肉質で胸を詰める必要もなくて楽だったな。ま、行って来い。バレたら援護射撃くらいはしてやる』（グッ）

星華『いいか、リカ。あの二人を落とすポイントはか弱い雰囲気、そして護ってやりたいと思わせる事だ。常に涙目でいる事を心掛けろ』

リカ『分かったよ…！！　やればいいんだろやれば…！！』


GM「では、判定をどうぞ。リカさんは女装しているので、難易度はそのままです」

ルキル「俺のダイス運全部注ぎ込んで成功させる！！　財産ポイントだって注ぎ込む！！　いくぞおおおおお！！！」

　《交渉判定》
　リカ4D＋6→15　成功

ルキル「おらあああああ！！！　これで満足だろおおおおおおぉ！！！」

三人「「「よくやった、リカ！」」」


リカ『あ、あの…』

警備員1『む、何だね君は？』

リカ『すみません、道に迷ってしまって…お、私ここに行きたいんです…』

警備員2『ああ、この場所なら――こー行って、あー行って…』

警備員1『一人で大丈夫かね？　今この町にUGNが潜伏しているんだ、誰か一緒に居てくれる人がいるなら』

リカ『UGNが来ているんですか！　やだ、怖い…！』

警備員達『『むっ…！』』

リカ『あのぉ、警備のお兄さん…ついて来てもらって、いいですかぁ…？』

警備員達『『も、もちろんだ！』』

　そうしてリカが警備員を連れて去っていく。その間に、三人は入り口から建物の中に侵入した。

響『凄かったぁ、リカの演技！』

星華『ああ。演技指導したとはいえ、彼の飲み込みは早い。あれならもっと伸びるだろうな』

蒼空『後は、どうやってリカがここに来るかだが…』

エン《…蒼空、凄い事になってますよ》

蒼空『凄い事？』（ドアに耳を当てる）



（警備のお兄さん、ありがとうございます…お礼がしたいんですが…）

（お、お礼なんていらない！）

（そうだ！　これが我々の務めだからな！）

（いえ…お兄さんだから、受け取って欲しいんです）

（だが、一体何を…？）

（それはぁ――この鉄脚制裁だ変態どもぉぉ！！！）

（（ぐああああぁぁ！！！？？））



響『……いま、なんかひめいが』

蒼空＆星華＆エン『『《気のせいだ》』』（真顔）

　それから少しして、リカが満面の笑みでやってきた。
　服は何故か血塗れになっている。

リカ『――待たせたな！』

響『あ、あのぉ…リカ？』

リカ『さあ、グズグズしてられないぞ！　俺達の為に、世界の為にも、早く研究施設に向かおう！』

響『そ、そうだね…アハハ…！』



GM「第一関門をクリア、次は地下の出入り口を探します。ですが、建物内には沢山の人が動き回っています。彼らに見つからないように探す必要があります。〈知覚〉判定で、難易度は13です」

スピカ「〈知覚〉なら判定は俺がやるべきだな。そうだな…《代謝制御》で焦る事無く冷静に判定したいがボーナス付かないか？」

ルキル「ならGM、《偏差把握》と《構造看破》を使って、建物内の構造を使っての支援は可能か？」

オパール「あたしも《空の楽器》で人が来そうなときに音を出して注意を逸らす形で支援って出来る？　ちょっとした破裂音とか使って」

GM「ふむ。星華さんは判定の際に＋1。リカさんは放送局に入った事がありますし、普通に出来そうです。特別に支援に成功と言う事で判定に＋2しましょう。響さんは違和感なく注意を逸らせたか〈RC〉で判定して貰います。難易度は8にしておきましょう」

オパール「う…〈RC〉で判定かぁ。技能はあるけど」

クウ「GM、俺が響のRCを補佐するのって出来るか？　俺はRCでの攻撃を使うし、補佐してくれるRBもいるからな。何なら、響の分の判定を俺が全部肩代わり出来ないか？」

GM「全部肩代わりするんですか？　…では、響さんの判定の二倍で成功すれば、蒼空さんが補佐出来たとして達成値を上げましょう」

オパール「それって、難易度16で判定！？　大丈夫なの！？」

クウ「何のためにこいつがいると思っているんだ？　《オリジン：レジェンド2》発動、シーン中【精神】判定の達成値を4上げるぜ。浸食率85％！　これで挑戦だ！」

　支援判定
　7D＋9→25　成功

クウ「余裕！」

GM「では、お二人の協力で響さんも支援が出来ました。達成値＋2獲得です」

スピカ「さて、いよいよ俺の番だ。それじゃ〈知覚〉の判定と行くか」

　《知覚判定》
　8D＋6→19　成功

スピカ「よし、俺も成功だ。支援を使うまでもなかったようだ」

ルキル「今の所順調だな」


星華『リカ、テレビ局内部の案内を頼めるか？』

リカ『任せてくれ――こっちだ』

　すぐに能力を発動させ、リカの脳内に地図を浮かばせる。その地図に移し出される不自然な空白の部分。四人はそこを目指す。

リカ『っ！　待て、この先に人がいる』

蒼空『おい小娘。お前ハヌマーンだよな？　あそこの積み重なってる荷物から何か音を発しろ』

響『え？　そんな事言われても…』

蒼空『あ〜…そういや覚醒したばっかりだったな』

星華『響。ハヌマーンは速度だけでなく音や波長を操る事が出来る。これは知っているか？』

響『それなら授業で習った。でも、シンドロームが一緒でも個々で使える能力に差があるって…』

星華『そうだな。だが、メディカルチェックで分析した君の能力なら簡単な音を操る事が可能なんだ。丁度いい機会だ、やってみると言い』

響『ぶ、ぶっつけ本番でやれって言われても！？』

蒼空『はぁ…仕方ない。俺が全面的に補佐するから、お前はあの荷物に意識を集中させろ。あと、音もイメージしとけ』

響『わ、分かった！』

蒼空『…頼むぞ、エン』

エン《もちろんですよ》

響『エン？』

蒼空『気にするな、それより集中しろ』

響『う、うん！』

　蒼空の指導の下、響は荷物に集中させて音を出すイメージを作る。そのイメージを、蒼空はエンと共に形作る事で実現させる。
　積み重なっている荷物から、バンっと破裂音を出す。すると、何事かと人が群がりその隙をついて四人は奥に進んだ。

リカ『どうにか奥までこれたな』

星華『…ここだな』

　行き止まりの壁に手を付けると、星華は軽く小突く。
　瞬間、隠し通路が現れて地下に続く階段を発見した。