ゲーノベ :: ゲーム小説掲示板 > NANA > ダブルクロスThe 3rd Edition【君に捧げる詩】

ダブルクロスThe 3rd Edition【君に捧げる詩】

NANA

INDEX

  • あらすじ
  • 01 セッションの準備編
  • 02 PC1紹介
  • 03 PC2紹介
  • 04 PC3紹介
  • 05 PC4紹介
  • 06 オープニングフェイズ1&2
  • 07 オープニングフェイズ3&4
  • 08 ミドルフェイズ1(前編)
  • 09 ミドルフェイズ1(中編)
  • 10 ミドルフェイズ1(後編)
  • 11 ミドルフェイズ2(前編)
  • 12 ミドルフェイズ2(後編)
  • 13 ミドルフェイズ3
  • 14 ミドルフェイズ4
  • 15 ミドルフェイズ5&6
  • 16 ミドルフェイズ6(潜入編1)
  • 17 ミドルフェイズ6(潜入編2)
  • 18 ミドルフェイズ6(戦闘編)
  • 19 ミドルフェイズ6(調査編)
  • 20 ミドルフェイズ7(前編)
  • 21 ミドルフェイズ7(後編)
  • 22 クライマックスフェイズ1
  • 23 クライマックスフェイズ2
  • 24 クライマックスフェイズ3
  • 25 クライマックスフェイズ4
  • 26 クライマックスフェイズ5
  • 27 クライマックスフェイズ6
  • 28 クライマックスフェイズ7&バックトラック
  • 29 エンディングフェイズ1
  • 30 エンディングフェイズ2
  • ミドルフェイズ7(後編)

    蒼空『――…』

     先程自分が付けた傷から流れる血を舐める。慣れ親しんだ鉄の味だが、味覚と同時に彼の情報が入ってくる。
     言葉通りの嘘偽りない真っ直ぐな想い。それは自分を愛してくれていると言う何よりの証拠。
     この感情が血を通して直に伝わった事で、蒼空の心に張り詰めていた糸が切れる。そして今まで抑えつけていた感情や言葉が一気に駆け巡り涙腺を崩壊させる。
     込み上がる気持ちのままに、蒼空は星華の胸へ顔を埋めた。

    蒼空『こわいッ…誰かが、いなくなるのは…もうみたくない…! だけど、おれは――“わたし”は、マスターって呼ばれてるのに、だれかを守るだけの力はなくて…みんなみたいに立ち向かう勇気もなくて…あるのは、きずつけるだけの力…!! もういっしょにいられなくて、逃げようってきめたけど、でもやっぱりみれんがましく胸に引っかかって…もう、どうしていいか分からない…わからないよぉ…!!』

    星華『蒼空…』

    蒼空『そう、だよっ――本当はわたしになんの力がないのは分かってる!! あいつが、エンがいてくれて今わたしはこうして自由でいられる!! むやみにころしの命令をされなくてすむ、実験で身体をいじりまわされることも、痛いおもいも、何かをうしなう事だって…もうあんな過去にもどりたくない!!! もどりたく、ないのに…!! こんなのいや…どうすればいいの…! たすけてぇ…!』

     星華の腕の中で吐き出される彼女の本音。今まで強がっていた分、脆く弱々しい姿を露わにしている。
     泣きじゃくる彼女に声を掛けたのは、響でも星華でもなく、エンだった。

    エン《…私は微弱ながら補佐する力を与える事しか出来ない。あなたを守る事も、触れる事すら出来ない。そんな私でもあなたに出来る事は、ある》

    蒼空『…っ…』


    エン《どんな時だって、傍にいます。あなたが進みたいと決めた道を、ずっと二人で》


    蒼空『わたしが、進みたいと…きめたみち…?』

    エン《蒼空、あなたの欲望(ネガイ)は何ですか? その欲望の果てまで、私は貴女について行きますよ》

    蒼空『わたしの、ねがい…』

     数か月前とは言え、ずっと傍にいるエンの励ましの言葉に蒼空は少しずつ落ち着きを取り戻す。
     ようやく泣き止むと、星華の胸元から離れて袖で涙で汚れた顔を拭う。目は充血して赤く腫れていたが、瞳には揺るがぬ意志がちゃんと宿っていた。

    星華『…決まったようだな』

    蒼空『…今の、忘れろ』

    響『今の?』

    星華『…ああ、アレか。忘れる訳がないだろう。女言葉は可愛かったぞ、ギャップがいいな』

    蒼空『――っ!! 忘れろ!! 記憶から抹消しろ!!』

    星華『ああ、無理だ。脳内が異常になったから完全記憶能力にもなってしまってな、忘れようにも忘れられないんだ』

    蒼空『てっめぇぇぇ!!? だったら頭差しだぜ!! 脳味噌潰してでも忘れさせてやらぁぁぁ!!!』

    響『ふ、ふふっ…! あはは!』

    蒼空『笑うなぁ!!!』

    星華『はははっ…どうやら、本当に元に戻ったようだな』

    蒼空『お蔭様でな! …名ばかりのマスターって言われてるが、今日まで生きて来た実績はあるんだ。昔からFHで生き抜いてきた実力、奴らに刻み付けてやるよ』

    星華『それが君の欲望(ネガイ)なのか?』

    蒼空『いいや…俺の目指す欲望に繋がっているかな』

     質問する星華に、蒼空は抱く欲望(ネガイ)を改めて思い返す。
     理想の実現――“誰も傷つく事のない日常”を。


    クウ「ここで俺もリカにロイスを取るぜ。Pは連帯感、Nは厭気。仲間意識としてあるが、ここまで信頼されているのに勝手に攫われてムカついてる。表はPだ。あと、ある程度素直になったって事で持ってるロイスの感情表を幾つか変更しておきたいがいいか?」

    GM「構いませんよ――さて。ロイスも取った事ですし、ここでクライマックスに向かう為の最後の判定をして貰います。彼らの計画の要…この町にあるとされる端末を見つける必要があります」

    スピカ「それなんだがGM、俺の《写真記憶》で分かったりしないか?」

    SM「目にしたものを詳細まで覚えているエフェクトか……本来は〈知覚〉か〈情報:ウェブ〉で調べて貰う予定だったが、RPで良い物を見させて貰ったって事でOKしようか。星華にはこのメモを渡して置こう」

    オパール「ノイマンってかなりチートだね…今回のセッションで改めて分かった」

    クウ「よく考えてみたら翼もノイマン能力で俺達を補佐してたな…」


     話も終わり、星華は改めて屋上から街中を見回す。
     高層ビル、広告用の大きな看板、アミューズメント施設。その中から、一つの建造物に目を付けた。
     この街で一際大きく聳え立つ鉄の塔――電波塔を。

    星華『…塔はあれの事だろう』

    蒼空『そうか、塔は塔でも電波塔か!』

    響『ちょっと待って! あの電波塔の近くにあるの、あたし達の学校じゃない! あれが端末なら、学校のみんなが危ない!』

    エン《計画が始まってしまえば、学校どころか世界中が危ないですがね》

    蒼空『だったら、そのふざけた計画を何としてでも止めねーとな…!』

    星華『ああ、UGNはその為にいる。世界中から敵視されていても、それは変わらない。世界の守護者として使命を全うする』

    響『リカ、待ってて…絶対助けるから!』

     朝日が昇り、夜が明ける。闇を斬り裂く光が3人を照らす。
     もしかしたら、この夜明けは人類が最後に拝む朝日かもしれない。
     だが、最後になどさせない。全てを敵に回してでも、未来を、彼を助け出す。昇る太陽を眺めながら、3人は同じ思いを抱いていた。


     《購入判定》
     難易度8(応急手当キット) 響5D→15 成功
     難易度8(応急手当キット) 蒼空4D+1→28 成功
     難易度13(両手剣) 星華4D+2→11 失敗

     《回復》
     響2D→14 HP12→26
     蒼空2D→14 HP10→24



    ルキル「――ただいま。終わったか?」

    スピカ「お帰りなさい。ええ、良い感じに締まったわ」

    SM「おおー、ローストビーフ味のポテチなんて気が利いて「食べる前にやる事が残ってますよラックさん」オ、オホン! …それでは、クライマックスに向かうと言う事でロイスの確認をしようか」

    GM「ここで新たにロイスを習得、Sロイスの指定も許可しますよ。まずは響さんから」

    オパール「はいはーい。あたしはこれね」


     Dロイス『賢者の石』
     恩人:ツヴァイウィング(〇憧憬/悔悟)
     友人:水奈璃々(〇友情/劣等感)
     Sシナリオ:リカ(〇庇護/不安)
     仲間:黒羽蒼空(○誠意/恐怖)


    オパール「あたしは全然習得してなかった…ここで星華さんにロイス取っておくわ。Pは尊敬、Nは隔意。頭も良いし戦闘も出来るし何でも出来て凄いんだけど、天才だからどうしても距離を置いてしまうって感じかな。表はPにするわ。もう一つはボス用に取っておくわ。
     あたしはSロイスもリカにつけてあるから、リカのロイスさえ切らなければ計画からは逃れる筈よ」

    クウ「次は俺だな」


     Dロイス『奇妙な隣人』
     同居人:エン(○有為/無関心)
     悪夢:夢(執着/〇不快感)
     シナリオ:遺産(執着/○猜疑心)
     敵:天義星華(○安楽/苛々)
     救出対象:リカ(○連帯感/厭気)


    クウ「とりあえず、エン・遺産・星華のロイスの感情は変更にしておいたぜ。俺は1つロイスが余っているんだよな。最後のはマスター・ルピナスに取っておくぜ。Pは執着、Nは敵愾心。純粋な敵って事で、表はNだ。
     そしてSロイスなんだが、流石にここで取っておかないとマズイからな…天義星華に取るぜ。あそこまで守る宣言されたからな」

    スピカ「ああ。全身全霊で君を守ろう…こんな機会、滅多にないからな。さて、俺の番だな」


     Dロイス『想い人』
     上司:霧谷雄吾(〇尊敬/無関心)
     義理の両親:両親(誠意/〇無関心)
     シナリオ:遺産(〇執着/無関心)
     S一目惚れ:黒羽蒼空(○純愛/偏愛)《想い人》
     重要人:リカ(○庇護/不安)


    スピカ「俺も一つ余っているな。響でもいいんだが、ここは愛衣に取っておこう。Pは連帯感、Nは無関心だ。彼女はUGNチルドレンとして有能だからな。無関心は俺の設定上だから気にするな。表はPだ。
     あと、滅亡計画もそうだが俺はDロイスの効果でSロイスを保持していないとマズいからな…極力切らないように全力を尽くそう」

    ルキル「最後は俺だな」


     Dロイス『複製体』
     違和感:記憶(懐旧/〇無関心)
     創造主:研究員(〇誠意/無関心)
     シナリオ:遺産(庇護/〇脅威)
     仲間:大晴響(○尽力/悔悟)
     敵:黒羽蒼空(有為/○隔意)
     協力者:天義星華(○尊敬/脅威)


    ルキル「俺は全て取っている。出来るだけ三人のロイスはタイタスしないようにしないとな――そう言えば、前回の判定で手に入れた防具は誰が持ってるんだ?」

    オパール「あ」

    スピカ「そうか…あの時リカは離脱したから、防具は貰えないのか…」

    クウ「考えるなら行動値の一番高い星華だが、何らかの行動をすれば《カウンター》が使えなくなるから…次に早い俺が着ぐるみ持っておいて、リカに渡すのがベストだな」

    ルキル「じゃあ、そうしておいてくれ。そう言えばSロイスを取っていなかったが……ここは響に取ろう。彼女はニセモノである俺の歌を好きと言ってくれたし、救おうとしてくれた。だったら俺も、彼女の期待に答えたい」

    GM「これにて確認は終了と言う事で」

    SM「マスターシーンを一つ挟んだのち、クライマックスに進むよ!」

    四人「「「「おおーっ!!」」」」



     マスターシーン シーン12〈終焉ノウタ、再誕ノコエ〉


     音楽学校と隣接する形で設立された、巨大なステージ会場。普段はここで街や催し、学校のイベントで生徒達が何らかの発表をしたりするのに使われている。
     だが、このステージ会場は学校の生徒だけでなく、街中・他県から来た人も含めて席が満員となっていた。立見席も人がギュウギュウに密集している。
     この町を仕切るFHセル『ワルプルギス』のマスターが、ステージ会場にてレネゲイドに関する新たな発見を大々的に発表するからだ。このステージを見に来た人はFHに憧れる者達であるが、見れない人の為に全世界のメディアで生中継もされる。

    「――新しい世界が始まる」

     そんな彼らを、暗い室内からモニター越しでルピナスが眺めている。顔は笑っているが、その目はあまりにも冷え切っている。
     ルピナスの後ろには、ヒスイと運切も同じ顔をして控えている。

    「ええ…もうすぐ消えるとは知らず、いい気なものですね」

    「そう仕向けたのはアタイ達だが、見物には丁度いいじゃないか」

    「君もそう思うだろう」

     ルピナスが振り返る先にいたのは、花のような白いカプセルの中に拘束されたリカ。

    「時夜陸――いや、リカ?」

    「う、うぅ…!」

    「抵抗しても無駄ですよ、リカさん。もう舞台は整いました」

    「そう言うな、ヒスイ。さて…愚かな人間に抱く君の感情は不要だ。全部取り払ってあげよう」


    GM「ここでルピナスが《冷静と情熱の間》を宣言します。これにより、機械に繋がれている間、リカさんの感情は人間に対し嫌悪を抱きます」

    SM「それにより端末が本格的に稼働する。Eロイス『傲慢な理想』3つと『予告された終焉』が発動。これにより、世界中の人間が抑えきれぬレネゲイドの衝動に襲われる――ヒトならざる者達と、心を乱すノイズに負けない固い絆を結んだ3人を除いて」


    「――ッ――」

     リカの目が澱み、その身体から鍵を通して闇が溢れる。

    「それでいい。君の力を貸してくれ、全ての人間を消去する為に」

    「…人間を、消去…」

     ルピナスの言葉を反響すると、モニターに映る端末が稼働して光り輝いてノイズのような歌が流れ始める。
     それを見ていた者達は急に苦しみだす。泣き叫ぶ者、発狂する者、容赦なく攻撃する者、観客席だけではない。街中も、世界で同じ現象が起こっている。

    「始まった――薄汚い人間を滅ぼす滅亡の歌が!!!

    「ええ…これでようやく、僕達の理想郷が手に入るっ!!」

    「そうだ、俺達が幸せに暮らせる世界への歌だ!!! 罪を償え、人間ども!!! 俺から、世界から“彼女”を奪った罪…全ての命で贖えぇぇぇ!!!」

     歪んだ笑顔で高らかに叫ぶルピナスの脳裏で、悲しげな金髪と栗毛の少女の面影が過ぎった。

    17/04/10 23:00 NANA   

    ■作者メッセージ
     松の間での繰り広げられる戦い(クトゥルフ神話TRPG)


    カイリ「………」

    ソラ「………負けたな」

    リク「………負けたな」

    ヴェン「負けたって言うか、ロストしちゃったね」

    アクア(KP)「…ごめんなさい。こればかりはどうしようもないわ」

    カイリ「んもーーー!!! 何なのよ相手、ムーンビーストを倒した私の極振りマーシャルキックを避けるなんてー!! どれだけチートなのよ!!」

    ソラ「…リク。これってツッコミした方がいいの?」

    リク「普通、神話生物のヒプノスに蹴りを放ちに向かう奴がおかしい。返り討ちにされて当然だろうが」

    ヴェン「俺達三人見事にSANチェック失敗して10以上減らされたのは痛手だったなー。リクなんてSAN値0になって永久的発狂なっちゃったし」

    ソラ「まー、どっちみちカイリの所為で俺達敵視されて、ドリームランドの住人入り果たしちゃったよなー。おかげで全員ロストだよ…」


    グラッセ「第三者から見ても、本当に酷かった…」

    ルジス「同感だよ…」

    リズ「もー、カイリ小母さん。だから攻撃は止めとけって言ったのに」

    ムーン「あと、調べるなって言った所も調べなきゃよかっただろ。そうすりゃ無駄なSANチェックせずに済んだのに」

    カヤ「それに何か所か探索し忘れてただろ。あそこ絶対調べた方が良かったと俺の勘が言っている」

    ウラノス「なあ、お前らの勘は人狼以外でも働くのかよ?」

    ゼノ「妾は見てて満足したがな。ゲームとは言え、あいつらが発狂しながら死んでいく様を眺めるのは心底気分が良かったわ!」

    レイシャ「あんまりゼノとは共感したくないけど、俺もリクが一生人ではない何かになっていくのは笑えたなー!」

    ファンタジア(……正直な感想、カオスぶりで言うと私達でやった人狼とあまり変わりない気がするんだけどなぁ)
    HOME
    Copyright NANA All Rights Reserved.
    CGI by まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.34c