クライマックスフェイズ5
第二ラウンド
GM「では、セットアップに入ります。ヒスイは《サポートデバイス3》だけ使用して【感覚】のダイスを6個上げます」
オパール「あたしは…決めた! 殺戮のアージエフェクト《死神の疾風2》発動! 行動値10上乗せし、ダメージ3D追加よ! 浸食率155%!」
幹部の一人を倒したとは言え、まだ苦戦を強いられる戦いに響は焦りを抱いていた。そんな彼女に力を貸すかのように、ある記憶が蘇る。
数年前のコンサート。丁度今自分がいるようなステージ会場で戦っていた恩人のエージェント。
絶体絶命になった彼女が起死回生に使った、更なる力を引き出す方法。
(あの人が、やっていた力なら…!)
『響…!?』
響の変化にリカが気づくが、無言で胸元に付いた赤い石に手を伸ばす。
それに軽く触れると、上に放り投げる様に取り外す。
『――イグナイトモジュール、抜剣!!』
赤い石はアンテナの形をした鋭い棘と変わる。そして容赦なく、響の胸を貫いた。
『うあああああああぁぁ!!?』
『『『響っ!!』』』
貫かれた直後、闇と赤い電撃が響の身体を覆いつくす。
一見すれば自滅行為だと思うが、オーヴァードとしての知識がある彼らは響の目的を理解する。
『あのやろ…! オーヴァードになりたての状態で衝動を自分の力にする気か!? 無茶すぎる!!』
《そうしなければ勝てない…彼女はそれが分かったから、この賭けに出たのでしょう》
『分析してんじゃねーよ!! あいつの衝動は殺戮だぞ!? 現に一回暴走を起こしている…! ここでまた暴走されたら、こっちが危ない…頼むから失敗するな!』
蒼空は固唾を呑んで見守る中、響は己の衝動と必死に戦っていた。
(――いや…くるしい…! たすけて…!)
だが、予想以上に襲い掛かる自身の衝動に響の精神が徐々に擦り切れ始める。
苦痛に歪んだ彼女の表情に、リカは星華の通信機に話しかける。
『愛衣、俺の事は隅々まで調べていたんだろ。だったら――俺が一番最初に出した曲、流せるか?』
〈え、ええ…! やります…!〉
『リカ?』
星華が疑問の声をかけるが、リカは聞いていない。
ただ、衝動に苦しむ響を見ながら心を落ち着かせようと深呼吸していた。
(響、お前は俺を信じてくれた。俺を助けてくれた)
ルピナス達に攫われ、鍵によって心が闇に囚われた時に聞こえた、響の言葉。
冷たくて、怖くて、自分が分からなくなった。だけど彼女が救ってくれた。真っ直ぐな思いで、温かな手を握って助けてくれた。
(だから、俺もお前を助ける…お前が好きと言ってくれた、この歌で)
数年前、あたしはコンサートの事故に巻き込まれ九死に一生を得た。
命は助かったが、体中大怪我を負った。最初は歩くのもままならなかったし、記憶喪失を起こして事故の記憶がすっぽり抜けていた。
だけど、しばらくしてあたしは思い出した。こうして助かったのは、人知れず戦ってくれた人がいたから。その人があたしに“命に代わる何か”をくれたから。その日からあたしはリハビリを頑張った。辛かったし、何度も諦めようとした。でも、これ乗り越えれば…日常に戻れれば、家族が、友達が笑顔になってくれる。そう信じて頑張って…無事に退院してあたしは家に帰ってこれた。
けど、現実は無慈悲だった。
あたしはあの事故で唯一の生還者。事故の被害者として国からはお金が支払われたものの、事件の首謀者と疑われて誹謗中傷を受けた。
学校ではクラスどころか全校生徒からの嫌がらせ。机に花を添えられたし、死ねとか消えろとか税金泥棒とか紙や文字を書かれ、机を遠くにまで放して先生すらあたしをいない者として扱われた。
家に帰れば知らない人からの罵声罵倒。毎日ガラスは割られるし、家に嫌がらせの電話、手紙、落書き…人殺し、化け物と自分だけでなく家族にまで罵られた。こんな生活が、FH社会になるまでずっと続いた。
本当は知っている。ルピナス達が人間に虐げられたって言う気持ち。だって、同じ人間でも平気で迫害するんだ。平気で、傷つけるんだ…!
あたしを助けてくれた人の想いに報いる為に、大切な人達の笑顔の為に頑張っただけなのに…!! 何で奴らは傷つける、何でヤツラハヤメナイ、ナンデヤツラノヲマモルノ!?
ソウダ。マモルヒツヨウナイ。コロス、コロスコロスミンナコロシテコロシテコロシテェ!!
《残酷な世界に 震えないで》
(この、うたは…!)
殺意の呪詛の中で聞こえて来た歌に、正気を取り戻す。
これはリカが…時夜陸がデビューする時に披露した曲。曲名は――【カノン】。
傷つく日々の中で、あたしを何度も癒してくれた歌。
《何かを捨て去ってもいい この瞬間に生きる》
真っ黒に塗り潰されていた視界が徐々に晴れ、彼の姿が見えてくる。
戦っているステージの上。そこで誰でもない、自分だけにこの歌を捧げてくれている。
《君の為に 僕の為に 飛び立つ覚悟を今共に》
歌詞の一つ一つに感情を込めながら、リカがそっと手を伸ばす。
(あ…あた、しは…!)
―――さあ行こうか
伸ばしてくれた手を、握る。
誰かを守る為に。未来を掴む為に。この手を繋ぐ為に。
『ッ――この衝動に、呑まれてたまるかぁぁぁ!!!』
殺戮の衝動を拒絶せず、呑まれず、全てを心で受け入れる。
身に着けている装甲が一気に闇に包まれる。殆どが黒に染まり、禍々しい服装へと変貌する。
だが、胸の中にある信念は消えていない。それは衝動を自分の力とした何よりの証だった。
GM「では、ルピナスは先程と同じエフェクトを宣言。ですが、行動値減少の効果は響さんにします!」
SM「行動順とエンゲージはこのようになるよ」
(蒼空)――5m――(響/星華/リカ)――10m――(ルピナス/ヒスイ/端末)
ヒスイ(15)
星華(13)
蒼空(12)
響(9)
リカ(6)
ルピナス(4)
GM「それでは、イニシアチブで僕の番です。
マイナーは《絶対の空間3》。メジャーで《コンセントレイト:オルクス3》《俊足の刃3》《カスタマイズ3》《形なき剣3》《マルチウェポン5》、ここで《因果湾曲》の代わりに《スプリットアタック3》を組み込みます。更にアージエフェクト《不可避の魔弾2》を発動し、HP5点失う代わりにカバーリング不能の攻撃を行います!
ダイスは27個、攻撃力18、達成値5、C値7の四人攻撃です! ドッジのダイスは−3減らしてもらいます!」
クウ「まずい、確実に俺達のロイスを減らすつもりだ!」
スピカ「諦めて受けるしかないだろうな…」
《命中判定》
27D+5(C値7)→51
GM「ここで《魔弾の悪魔2》発動! 達成値を10上乗せで合計61です!」
《回避》
8D+1→15 失敗
3D+4→13 失敗
2D+1→9 失敗
1D→6 失敗
《ダメージ算出》
7D+18→49
スピカ「どうだ、二人とも?」
クウ&ルキル「「無理だ」」
オパール「じゃ、全員タイタス昇華で。あたしはツヴァイウィングで」
クウ「俺は…遺産をタイタス昇華する」
スピカ「同じく、遺産だな」
ルキル「――俺は、まだしない」
四人の周りの空間を捻じ曲げ、時間差による銃弾での攻撃。先程よりも激しく不可視の攻撃に、四人は成すすべもなく床に倒れてしまう。
ヒスイ『ああー、リカさんまでやっちゃいました』
ルピナス『使い捨て人形らしい憐れな最後だ。俺達に逆らわなければ、人間の味方をしなければこのような事には――』
リカ『誰が、人形だ…!!』
身体も回復しきっていない状態にも関わらず、リカだけが立ちあがる。
リカ『俺は、人間の味方をしている訳じゃない…僅か残った記憶に従ってる訳でもない…俺は、俺は…!』
リカ『俺を信じた人達の為に戦っているだけだぁ!!!』
ルキル「ここで《ラストアクション2》を発動! 戦闘不能と同時に、メインプロセスに割り込んで攻撃を発動させる! 浸食率117%!」
クウ「それがあったか!」
ルキル「まずはマイナーで《魔眼槍2》《千変万化の影2》を使い、影を纏いながらソウルイーターを手の中に生みだす!
メジャーで《コンセントレイト3:バロール》《コントロールソート2》《巨人の斧4》、ここに《魔弾の射手2》《因果歪曲2》を組み合わせて『高速振動ブレード』と『魔眼槍』を犠牲に範囲攻撃だ! ダイス8個、攻撃力36、達成値2、C値7、浸蝕率140%! 当たれば『魔眼槍』の効果で硬直付きだ!」
スピカ「絶対に失敗するな! 《援護の風5》《ウィンドブレス2》発動! ダイス5、達成値6上げる! 浸食率155%!」
GM「ヒスイは《砂の結界2》を発動し、端末をカバーリングします。ルピナスは《タブレット3》《盲目の羊4》を発動し、ダイスを5個減少させます!」
《命中判定》
8D+8(C値7)→24
オパール「何で毎回毎回低いの?」
クウ「グラッセより酷いなお前。流石は俺達キャラの不幸体質」
ルキル「黙れ! こんな数値、相手はまず出せない――」
GM「それなんですが…ここで使うのがよろしいでしょう。ヒスイは《スモールワールド2》を発動、達成値を10下げます!」
クウ「あ、これ回避にワンチャン見込めたな」
SM「そう言う事さ! さてと…チッ、補正合わせて10か。一回もクリティカルしなかった。ガードにしておけばよかったよ」
ルキル「それでも攻撃力が低くなった…まあ、ヒスイはダメージ二倍になるか。《勝利の女神》を使いたいが…攻撃は当てたんだから、使わないよ」
GM「では、ダメージを下さい」
《ダメージ算出》
2D+36→43
オパール「ダイスの合計の出目が7ってなに?」
クウ「ほぼ固定値でダメージ賄ってる状態だよなこれ?」
ルキル「そんな目で俺を見るな…!!」
GM「流石にこれは危ないですね…なので、《黒星招来2》を発動させて貰います。これによりヒスイのダメージは0となります。ルピナスは減少値も計算して合計34のダメージですね」
ルキル「踏んだり蹴ったりだぁ…!!」
スピカ「だが、全く無駄じゃない。『拒絶の結界』はこれで無効化。しかもヒスイの切り札を幾つも切ったんだからな」
悪魔の剣を作り出しながら、その場で跳躍する。瞬間、ルピナスが目を細めて心を掻き乱す。
纏う闇は、初めから持っていた“自分でない”――ホンモノが持つ力。本当はこの力を使いたくない。これは、俺の力じゃない。嫌でも自分が偽物だと思い知らされるのだから。今も持っている記憶と同じように。
けど――彼女があそこまでして戦うのだ。
リカ『俺だけ全力出さないなんて…かっこつかないだろぉ!!!』
ルピナスの雑念を振り払い、持っている剣を浮かすとルピナス達に剣先を向けて力の限り投げつける。着弾すると、黒い爆炎が起こり二人と端末を包み込む。
だが、視界が晴れると無傷のヒスイが立っていた。庇っていた端末も傷一つ負っていない。
ヒスイ『こんなものですか?』
リカ『くっ…!』
星華『それは、奴を見てから言うんだな?』
突然割り込んだ星華の言葉に、ヒスイは弾かれるようにルピナスを見る。
攻撃を受けたのか、ルピナスは腕を負傷していた。とっさに星華が手助けしてくれたのだろう。
ヒスイ『ルピナス様!?』
ルピナス『お、のれ…! 複製品でも、やはり“あいつ”か…!』
リカ『あいつ…うっ!』
響『リカ!』
リカ『まだ、だ…まだ、寝てられない…!』
ルキル「俺の攻撃は終了。遺産のロイスをタイタス昇華して復活する」
SM「これで三人の残りロイスは4つ、蒼空は5つ。中々シビアになってきたね」
オパール「そうね…全員150%切ってるんだもん。200%辺りがボーダーだとしても、皆厳しいよね…」
スピカ「ああ。どうにかこのラウンドで一人は倒さないとな。特にヒスイだ、端末のカバーリングを潰さないと直接攻撃は出来ない」
GM「それですが、次は《加速する刻3》でルピナスが割り込みます。《堕ちる絶望3》を発動し、難易度15の〈意思〉判定をします。ダイスで決めますよ!」
1D6→4 リカ
《意思判定》
11D+1→18 成功
さっきの攻撃によるものか、ルピナスは再びリカの心を掻き乱そうとする。
しかし、心に強い意思を、大切な存在がいるリカには通用しなかった。
リカ『悪いな…あんたの精神攻撃はもう効かない!』
ルピナス『くっ!!』
スピカ「それじゃ…今度こそ、俺の番だな」
GM「では、セットアップに入ります。ヒスイは《サポートデバイス3》だけ使用して【感覚】のダイスを6個上げます」
オパール「あたしは…決めた! 殺戮のアージエフェクト《死神の疾風2》発動! 行動値10上乗せし、ダメージ3D追加よ! 浸食率155%!」
幹部の一人を倒したとは言え、まだ苦戦を強いられる戦いに響は焦りを抱いていた。そんな彼女に力を貸すかのように、ある記憶が蘇る。
数年前のコンサート。丁度今自分がいるようなステージ会場で戦っていた恩人のエージェント。
絶体絶命になった彼女が起死回生に使った、更なる力を引き出す方法。
(あの人が、やっていた力なら…!)
『響…!?』
響の変化にリカが気づくが、無言で胸元に付いた赤い石に手を伸ばす。
それに軽く触れると、上に放り投げる様に取り外す。
『――イグナイトモジュール、抜剣!!』
赤い石はアンテナの形をした鋭い棘と変わる。そして容赦なく、響の胸を貫いた。
『うあああああああぁぁ!!?』
『『『響っ!!』』』
貫かれた直後、闇と赤い電撃が響の身体を覆いつくす。
一見すれば自滅行為だと思うが、オーヴァードとしての知識がある彼らは響の目的を理解する。
『あのやろ…! オーヴァードになりたての状態で衝動を自分の力にする気か!? 無茶すぎる!!』
《そうしなければ勝てない…彼女はそれが分かったから、この賭けに出たのでしょう》
『分析してんじゃねーよ!! あいつの衝動は殺戮だぞ!? 現に一回暴走を起こしている…! ここでまた暴走されたら、こっちが危ない…頼むから失敗するな!』
蒼空は固唾を呑んで見守る中、響は己の衝動と必死に戦っていた。
(――いや…くるしい…! たすけて…!)
だが、予想以上に襲い掛かる自身の衝動に響の精神が徐々に擦り切れ始める。
苦痛に歪んだ彼女の表情に、リカは星華の通信機に話しかける。
『愛衣、俺の事は隅々まで調べていたんだろ。だったら――俺が一番最初に出した曲、流せるか?』
〈え、ええ…! やります…!〉
『リカ?』
星華が疑問の声をかけるが、リカは聞いていない。
ただ、衝動に苦しむ響を見ながら心を落ち着かせようと深呼吸していた。
(響、お前は俺を信じてくれた。俺を助けてくれた)
ルピナス達に攫われ、鍵によって心が闇に囚われた時に聞こえた、響の言葉。
冷たくて、怖くて、自分が分からなくなった。だけど彼女が救ってくれた。真っ直ぐな思いで、温かな手を握って助けてくれた。
(だから、俺もお前を助ける…お前が好きと言ってくれた、この歌で)
数年前、あたしはコンサートの事故に巻き込まれ九死に一生を得た。
命は助かったが、体中大怪我を負った。最初は歩くのもままならなかったし、記憶喪失を起こして事故の記憶がすっぽり抜けていた。
だけど、しばらくしてあたしは思い出した。こうして助かったのは、人知れず戦ってくれた人がいたから。その人があたしに“命に代わる何か”をくれたから。その日からあたしはリハビリを頑張った。辛かったし、何度も諦めようとした。でも、これ乗り越えれば…日常に戻れれば、家族が、友達が笑顔になってくれる。そう信じて頑張って…無事に退院してあたしは家に帰ってこれた。
けど、現実は無慈悲だった。
あたしはあの事故で唯一の生還者。事故の被害者として国からはお金が支払われたものの、事件の首謀者と疑われて誹謗中傷を受けた。
学校ではクラスどころか全校生徒からの嫌がらせ。机に花を添えられたし、死ねとか消えろとか税金泥棒とか紙や文字を書かれ、机を遠くにまで放して先生すらあたしをいない者として扱われた。
家に帰れば知らない人からの罵声罵倒。毎日ガラスは割られるし、家に嫌がらせの電話、手紙、落書き…人殺し、化け物と自分だけでなく家族にまで罵られた。こんな生活が、FH社会になるまでずっと続いた。
本当は知っている。ルピナス達が人間に虐げられたって言う気持ち。だって、同じ人間でも平気で迫害するんだ。平気で、傷つけるんだ…!
あたしを助けてくれた人の想いに報いる為に、大切な人達の笑顔の為に頑張っただけなのに…!! 何で奴らは傷つける、何でヤツラハヤメナイ、ナンデヤツラノヲマモルノ!?
ソウダ。マモルヒツヨウナイ。コロス、コロスコロスミンナコロシテコロシテコロシテェ!!
《残酷な世界に 震えないで》
(この、うたは…!)
殺意の呪詛の中で聞こえて来た歌に、正気を取り戻す。
これはリカが…時夜陸がデビューする時に披露した曲。曲名は――【カノン】。
傷つく日々の中で、あたしを何度も癒してくれた歌。
《何かを捨て去ってもいい この瞬間に生きる》
真っ黒に塗り潰されていた視界が徐々に晴れ、彼の姿が見えてくる。
戦っているステージの上。そこで誰でもない、自分だけにこの歌を捧げてくれている。
《君の為に 僕の為に 飛び立つ覚悟を今共に》
歌詞の一つ一つに感情を込めながら、リカがそっと手を伸ばす。
(あ…あた、しは…!)
―――さあ行こうか
伸ばしてくれた手を、握る。
誰かを守る為に。未来を掴む為に。この手を繋ぐ為に。
『ッ――この衝動に、呑まれてたまるかぁぁぁ!!!』
殺戮の衝動を拒絶せず、呑まれず、全てを心で受け入れる。
身に着けている装甲が一気に闇に包まれる。殆どが黒に染まり、禍々しい服装へと変貌する。
だが、胸の中にある信念は消えていない。それは衝動を自分の力とした何よりの証だった。
GM「では、ルピナスは先程と同じエフェクトを宣言。ですが、行動値減少の効果は響さんにします!」
SM「行動順とエンゲージはこのようになるよ」
(蒼空)――5m――(響/星華/リカ)――10m――(ルピナス/ヒスイ/端末)
ヒスイ(15)
星華(13)
蒼空(12)
響(9)
リカ(6)
ルピナス(4)
GM「それでは、イニシアチブで僕の番です。
マイナーは《絶対の空間3》。メジャーで《コンセントレイト:オルクス3》《俊足の刃3》《カスタマイズ3》《形なき剣3》《マルチウェポン5》、ここで《因果湾曲》の代わりに《スプリットアタック3》を組み込みます。更にアージエフェクト《不可避の魔弾2》を発動し、HP5点失う代わりにカバーリング不能の攻撃を行います!
ダイスは27個、攻撃力18、達成値5、C値7の四人攻撃です! ドッジのダイスは−3減らしてもらいます!」
クウ「まずい、確実に俺達のロイスを減らすつもりだ!」
スピカ「諦めて受けるしかないだろうな…」
《命中判定》
27D+5(C値7)→51
GM「ここで《魔弾の悪魔2》発動! 達成値を10上乗せで合計61です!」
《回避》
8D+1→15 失敗
3D+4→13 失敗
2D+1→9 失敗
1D→6 失敗
《ダメージ算出》
7D+18→49
スピカ「どうだ、二人とも?」
クウ&ルキル「「無理だ」」
オパール「じゃ、全員タイタス昇華で。あたしはツヴァイウィングで」
クウ「俺は…遺産をタイタス昇華する」
スピカ「同じく、遺産だな」
ルキル「――俺は、まだしない」
四人の周りの空間を捻じ曲げ、時間差による銃弾での攻撃。先程よりも激しく不可視の攻撃に、四人は成すすべもなく床に倒れてしまう。
ヒスイ『ああー、リカさんまでやっちゃいました』
ルピナス『使い捨て人形らしい憐れな最後だ。俺達に逆らわなければ、人間の味方をしなければこのような事には――』
リカ『誰が、人形だ…!!』
身体も回復しきっていない状態にも関わらず、リカだけが立ちあがる。
リカ『俺は、人間の味方をしている訳じゃない…僅か残った記憶に従ってる訳でもない…俺は、俺は…!』
リカ『俺を信じた人達の為に戦っているだけだぁ!!!』
ルキル「ここで《ラストアクション2》を発動! 戦闘不能と同時に、メインプロセスに割り込んで攻撃を発動させる! 浸食率117%!」
クウ「それがあったか!」
ルキル「まずはマイナーで《魔眼槍2》《千変万化の影2》を使い、影を纏いながらソウルイーターを手の中に生みだす!
メジャーで《コンセントレイト3:バロール》《コントロールソート2》《巨人の斧4》、ここに《魔弾の射手2》《因果歪曲2》を組み合わせて『高速振動ブレード』と『魔眼槍』を犠牲に範囲攻撃だ! ダイス8個、攻撃力36、達成値2、C値7、浸蝕率140%! 当たれば『魔眼槍』の効果で硬直付きだ!」
スピカ「絶対に失敗するな! 《援護の風5》《ウィンドブレス2》発動! ダイス5、達成値6上げる! 浸食率155%!」
GM「ヒスイは《砂の結界2》を発動し、端末をカバーリングします。ルピナスは《タブレット3》《盲目の羊4》を発動し、ダイスを5個減少させます!」
《命中判定》
8D+8(C値7)→24
オパール「何で毎回毎回低いの?」
クウ「グラッセより酷いなお前。流石は俺達キャラの不幸体質」
ルキル「黙れ! こんな数値、相手はまず出せない――」
GM「それなんですが…ここで使うのがよろしいでしょう。ヒスイは《スモールワールド2》を発動、達成値を10下げます!」
クウ「あ、これ回避にワンチャン見込めたな」
SM「そう言う事さ! さてと…チッ、補正合わせて10か。一回もクリティカルしなかった。ガードにしておけばよかったよ」
ルキル「それでも攻撃力が低くなった…まあ、ヒスイはダメージ二倍になるか。《勝利の女神》を使いたいが…攻撃は当てたんだから、使わないよ」
GM「では、ダメージを下さい」
《ダメージ算出》
2D+36→43
オパール「ダイスの合計の出目が7ってなに?」
クウ「ほぼ固定値でダメージ賄ってる状態だよなこれ?」
ルキル「そんな目で俺を見るな…!!」
GM「流石にこれは危ないですね…なので、《黒星招来2》を発動させて貰います。これによりヒスイのダメージは0となります。ルピナスは減少値も計算して合計34のダメージですね」
ルキル「踏んだり蹴ったりだぁ…!!」
スピカ「だが、全く無駄じゃない。『拒絶の結界』はこれで無効化。しかもヒスイの切り札を幾つも切ったんだからな」
悪魔の剣を作り出しながら、その場で跳躍する。瞬間、ルピナスが目を細めて心を掻き乱す。
纏う闇は、初めから持っていた“自分でない”――ホンモノが持つ力。本当はこの力を使いたくない。これは、俺の力じゃない。嫌でも自分が偽物だと思い知らされるのだから。今も持っている記憶と同じように。
けど――彼女があそこまでして戦うのだ。
リカ『俺だけ全力出さないなんて…かっこつかないだろぉ!!!』
ルピナスの雑念を振り払い、持っている剣を浮かすとルピナス達に剣先を向けて力の限り投げつける。着弾すると、黒い爆炎が起こり二人と端末を包み込む。
だが、視界が晴れると無傷のヒスイが立っていた。庇っていた端末も傷一つ負っていない。
ヒスイ『こんなものですか?』
リカ『くっ…!』
星華『それは、奴を見てから言うんだな?』
突然割り込んだ星華の言葉に、ヒスイは弾かれるようにルピナスを見る。
攻撃を受けたのか、ルピナスは腕を負傷していた。とっさに星華が手助けしてくれたのだろう。
ヒスイ『ルピナス様!?』
ルピナス『お、のれ…! 複製品でも、やはり“あいつ”か…!』
リカ『あいつ…うっ!』
響『リカ!』
リカ『まだ、だ…まだ、寝てられない…!』
ルキル「俺の攻撃は終了。遺産のロイスをタイタス昇華して復活する」
SM「これで三人の残りロイスは4つ、蒼空は5つ。中々シビアになってきたね」
オパール「そうね…全員150%切ってるんだもん。200%辺りがボーダーだとしても、皆厳しいよね…」
スピカ「ああ。どうにかこのラウンドで一人は倒さないとな。特にヒスイだ、端末のカバーリングを潰さないと直接攻撃は出来ない」
GM「それですが、次は《加速する刻3》でルピナスが割り込みます。《堕ちる絶望3》を発動し、難易度15の〈意思〉判定をします。ダイスで決めますよ!」
1D6→4 リカ
《意思判定》
11D+1→18 成功
さっきの攻撃によるものか、ルピナスは再びリカの心を掻き乱そうとする。
しかし、心に強い意思を、大切な存在がいるリカには通用しなかった。
リカ『悪いな…あんたの精神攻撃はもう効かない!』
ルピナス『くっ!!』
スピカ「それじゃ…今度こそ、俺の番だな」
■作者メッセージ
補足コーナー:Dロイス【複製体】について
あなたが誰かのコピー(クローン)である事を表すDロイス。姿だけでなく、オリジナルの記憶と能力を一部受け継いでいる。
通常のクローン技術と違い、オーヴァードを使ったクローン技術はレネゲイド能力を使っている為、肉体の複製だけでなくレネゲイド能力を複製する事が出来る。
だが、エフェクトやシンドロームを遺伝子の元となった本人そのままに再現する事は出来ず、不完全にしか行えていない。時に弱体したり、エフェクトやシンドロームが変質したり、外見の特徴が変わったりもするらしい。
オリジナルがどのような人物か。UGN・FHのどの研究施設で生まれたか。自分が複製体だと知っているか、どのような記憶や能力を受け継いだか、また受け継いでいないかなどはGMと相談して決めるといい。
リカの場合――正体分かっているので裏設定を暴露すると、UGNに協力していた企業社長から生まれた複製体である。
FH社会になった際、UGNに資金を流していた事が分かり家族全員捕われたが、秘密裏に殺された。後に彼らのレネゲイド…闇代家が必要となった為、とあるセルリーダーにより保存されていた闇代家の遺伝子を使って複製体を作ろうとした。
非オーヴァードだった状態の遺伝子の影響か、特殊なレネゲイドの所為か、変質を起こして少年の姿の状態で生まれた。ウロボロスの力は使えたが、完全に能力が再現されていない事ですぐに破棄と称して『ワルプルギス』に天下りする事となった。
尚、リカに残っている記憶はエンディングにて語る予定です。
この効果は、自分の習得しているシンドローム以外のシンドロームからエフェクトを1つ、1レベルで習得することが出来る。ただし「100%以上で使える」「ピュアブリード専用」などの制限がついているエフェクトやエネミーエフェクトは習得出来ない。
そして、習得したエフェクトで「タイミング:常時」のエフェクトだと浸蝕率基本値に+3、それ以外は使う際の浸蝕値に+2する事。習得したエフェクトは経験点を使ってブリードに関わらず最大レベルまで成長させる事が出来る。
あなたが誰かのコピー(クローン)である事を表すDロイス。姿だけでなく、オリジナルの記憶と能力を一部受け継いでいる。
通常のクローン技術と違い、オーヴァードを使ったクローン技術はレネゲイド能力を使っている為、肉体の複製だけでなくレネゲイド能力を複製する事が出来る。
だが、エフェクトやシンドロームを遺伝子の元となった本人そのままに再現する事は出来ず、不完全にしか行えていない。時に弱体したり、エフェクトやシンドロームが変質したり、外見の特徴が変わったりもするらしい。
オリジナルがどのような人物か。UGN・FHのどの研究施設で生まれたか。自分が複製体だと知っているか、どのような記憶や能力を受け継いだか、また受け継いでいないかなどはGMと相談して決めるといい。
リカの場合――正体分かっているので裏設定を暴露すると、UGNに協力していた企業社長から生まれた複製体である。
FH社会になった際、UGNに資金を流していた事が分かり家族全員捕われたが、秘密裏に殺された。後に彼らのレネゲイド…闇代家が必要となった為、とあるセルリーダーにより保存されていた闇代家の遺伝子を使って複製体を作ろうとした。
非オーヴァードだった状態の遺伝子の影響か、特殊なレネゲイドの所為か、変質を起こして少年の姿の状態で生まれた。ウロボロスの力は使えたが、完全に能力が再現されていない事ですぐに破棄と称して『ワルプルギス』に天下りする事となった。
尚、リカに残っている記憶はエンディングにて語る予定です。
この効果は、自分の習得しているシンドローム以外のシンドロームからエフェクトを1つ、1レベルで習得することが出来る。ただし「100%以上で使える」「ピュアブリード専用」などの制限がついているエフェクトやエネミーエフェクトは習得出来ない。
そして、習得したエフェクトで「タイミング:常時」のエフェクトだと浸蝕率基本値に+3、それ以外は使う際の浸蝕値に+2する事。習得したエフェクトは経験点を使ってブリードに関わらず最大レベルまで成長させる事が出来る。