エンディングフェイズ2
エンディングフェイズ3〈崩れた世界を守る者達〉
シーンプレイヤー 黒羽蒼空
『ワルプルギス』の事件から数日経った頃、蒼空はFH日本支部長室に呼び出された。
部屋の真ん中には応接間のソファ、奥には大きな机。そこでFH日本支部を取り締まる妙齢の女性――都築京香が、怪しい笑みを浮かべてこちらを見ている。
「――先日の大活躍、お見事でした。世界が守られたのはあなたのお蔭です。お礼を言いますよ、マスター・セデューサ」
「…そんな事で、わざわざ俺を呼んだのか? プランナー?」
《蒼空! FH日本支部のトップですよ、口を慎みなさい!》
不快感を隠すことなく全開で見せつける蒼空に、すかさずエンが注意する。
普通ならば処罰を受けてもおかしくない態度。しかし、ここにいるのは蒼空と都筑京香、そしてエンだけ。当の本人は蒼空の態度に怒るでもなくただ笑っている。
「ふふ、相変わらずですね。あなたは今、世界を守ったヒーロー的な立場だと言うのに」
「何がヒーローだ…そう情報を改竄したのは他でもないあんたらだろうが。俺としてはすっごく迷惑なんだよ、連日町を歩けば人が集まって騒がれて持て囃される。任務に支障来すのはもちろん、欲望を叶える所か妨げになってよ」
「なにせ世界規模だったので。噂も徐々に収まり、平穏が戻ります」
「収まるってか、隠蔽の間違いだろうが…」
《心の中に留めなさい。下手な言葉使えば、殺されますよ》
全く闇の部分について隠そうともしない蒼空に、とうとうエンも厳しい口調になる。
「――それで、ここまで要求を呑んだんだ。俺の提案、受け入れてくれるよな?」
「ええ。言われた通り、大晴響の監視役はあなたに任命します。とは言え、彼女は【賢者の石】持ち。他の者に奪われないよう、目を光らせる事ですね」
「表向きの保護が出来ただけでも上出来だ。欲望丸出しのバカが狙ってきたとしても、俺や本人に返り討ちされないよう警戒網も張って置くんだな」
都筑京香の警告に対し、蒼空は馬鹿にしたように言い返す。
そんな話をしていると、急に都築京香が机の上に肘を置く形で手を組んだ。
「ところで、共に行動したUGNエージェントに婚約を申し込まれたそうですが…あなたとしてはいかがですか?」
「何だそれ? プランナー直々に俺を抹殺する為にここに呼んだのか? それとも否定してFHの忠誠心を直に見たいのか?」
「私としては、どちらでも構いません。否定するもよし、肯定すればそれはそれで面白い“プラン”が生まれます」
「ふん。だったら否定だ。奴は俺達の敵だ。婚約なんてしねーよ」
「そうですか。やはり、あなたは変わりませんね」
「変わらなくて結構だ。じゃ、俺はもう行くぜ」
話は終わりとばかりに、蒼空が背を向けて扉に手をかけて部屋を出ようとした。
「――ちなみに、あなたは見守る側としてどう思いますか?」
彼女から発せられた、この一言がなければ。
「え…!?」
聞き捨てならない言葉に思わず蒼空が驚きを露わにして振り返る。
そうして見た都築京香は、相変わらず手を組んだままの姿勢でこちらに軽く首を傾げていた。
「何か?」
「…なん、でもない…!」
これ以上踏み込んではいけない。なぜか蒼空の脳裏にそんな警告が過ぎる。
先程までは不躾な態度を見せても全然平気だったのに、今では嫌でも全身が冷汗で濡れていく。早く離れたいとばかりに、蒼空はそれだけ言うと部屋を出て行った。
だが、エンはその場に留まり都築京香へと視線を向けていた。
《…プランナー、まさかルピナスと違って私の姿が》
そこまで言うと、都築京香は組んだ手の方へと顔を近づけて柔軟な笑みを浮かべる。
彼女の目は、確かにエンへと向けられている。
「あなたとは、前々からお話がしたかったんです。彼女に深く関わるものとして――こことは違う“世界線”の者として、お話を聞かせて貰えませんか。エンさん?」
エンディングフェイズ4〈虹色のフリューゲル〉
シーンプレイヤー リカ
時刻は朝も近い時間帯。渋谷から離れた場所にある、海の見える遊歩道に響とリカがやってきていた。
朝焼けが見えるが、太陽はまだ出ていない。未だに黒に染まった海をバックに、二人は今後の話をしていた。
「…そっか。UGNチルドレンになるんだね」
「ああ。FHでの俺の居場所はなくなったからな…別の町に配属になるが、いずれは星華さんと一緒に戦えたらと思ってる」
「うん、星華さんかっこよかったもんね!」
共に戦ってくれた星華、そして蒼空と愛衣、自分達には見えなかったがエンと言う存在。所属している組織は別々だが、今となっては大切な人達だ。
楽しそうに思い出話をする響に対し、リカは不安げな目をする。
「響は大丈夫なのか? あんなことがあったのに、あの学園に戻るなんて危険だろ」
「うーん、そうでもないの…学園側は『ワルプルギス』に騙されてたって話だから。それに、友達を一人にさせる訳にはいかないから…」
「何かあったら呼んでくれ。すぐに駆けつけて助けるからな」
「ありがと、リカ。でも、あたしも弱いままじゃないから!」
ぐっと拳を作って、大丈夫な事をアピールする。
そんな響を見てリカも少し安堵の表情を見せる。響も得意げに笑っていると、ここである事を思い出す。
「そう言えば、あの鍵どうなったの?」
「ああ。それなんだが…」
そう言って、リカは右手を軽く見せる。
すると、一筋の光と共に鍵が姿を現した。
「持ってて、大丈夫なの?」
「もうあの時のように、むやみに人の心を開く事はない。それにこいつは俺を選んだ…きっと、選ぶだけの理由があったんだと思う。もしかしたら、それは…俺の被験者(オリジナル)に繋がっているのかもしれない」
「リカの元となった人か…どんな人なんだろうね?」
「さあな…覚えているのは、大切な誰かがいた。顔も名前も思い出せないけど、その人達が目の前でいなくなった。それだけだ」
生まれて初めて…最初から持っていたのは、悲しみと嘆きで刻まれた心の傷。そして微弱に持ったウロボロスの力。
具体的な記憶は思い出そうとしても思い出せない。けれど、それは確かに受け継がれている。本物から偽物へと。
ギュっと見つめていた鍵を握り締める。そうしてリカの心に芽生えた不安を感じ取ったのか、響は笑って優しく抱きしめた。
「例えリカと同じ人が現れたとしても――あたしはリカが好き。だって、あたしの心を癒したのも、救ってくれたのもリカの歌だから。とってもあったかい“陽だまり”なんだから!」
「ひ、響…!」
抱き締められただけでなく、面と向かって放った告白にリカの顔が真っ赤に染まる。
同時に、地平線の向こうから太陽が昇り始める。朝がきた事で、リカは名残惜しそうに響の方を掴んでそっと離した。
「そろそろいかないと…それじゃあ、響。さよなら」
「さよならじゃないよ」
夜明けの光を浴びながら、響は胸に手を当てる。
そして太陽に負けない、とびっきりの笑顔をリカに見せた。
「この胸の歌があれば――あたし達はどんな時だって、どこにいようと繋がり合えるっ!」
■作者メッセージ
GM:――と、いい感じに最後締まった所でシナリオは終了しましょう。皆さん、お疲れ様でした。
PL4人:お疲れ様ー!
SM:まあ終わってから言うのもなんだが…シナリオの内容ではそんなつもりなかったが、見事に恋愛色が濃い話になったね。
クウ:俺と星華がそうだし、響とリカも最終的に結ばれた関係、そしてルピナスと羽粋…話を読み返すと、今までと違って恋愛要素が多いな。
スピカ:こちらでは結ばれて私は満足よ♪
クウ:いや、うん…スピカが満足なら俺はもう何も言わない…。
ルキル:それよりも、よく最後まで演じられたな…。
スピカ:私は元ネタがあるから。クールで感情が薄いキャラも中々楽しかったわ。
クウ:俺は基本男言葉だったからな。でもこのまま続けると本当に男と間違われそうだから感情が揺らぐ所を狙って女言葉使ってみたんだ。ちょっとヒヤヒヤだったけど、良い具合に設定付けが出来て良かったよ。
オパール:あたしも主人公だけでなくヒロインらしい事出来たから満足かな!
ルキル:そりゃ、ツンデレ要素全くなかったもんな。
クウ:あー、現実でもそれなきゃリクといい感じになれたんじゃないのか?
GM:そうですよ、響さんの方が女の子っぽいですしね。
オパール:あんたら表出ろぉぉぉ!!!
SM:……全く、恋する女性を怒らせてボコられている阿呆どもはどっかに置いておこうか。
スピカ:そうね。
SM:さて、今回のセッションですが…例の如く、間違いが大量に出てしまいました。
GM:購入判定成功後、星華は『シューターズジャケット』を装備していたのに、射撃判定の際にダイスを入れ忘れてました。
同じようにヒスイも最初のターンで《サポートデバイス》分のダイスを入れ忘れてました。
SM:そして最初に説明した星華のアージの組み合わせ、更にはリカの《コントロールソート》も組み合わせる技能が違っている。リカの《魔弾の射手》は〈射撃〉判定。《コントロールソート》は〈白兵〉で選択している為、組み合わせは出来ない。《コントロールソート》を抜かし、【肉体】ではなく【感覚】のダイスで判定行うべきだった。
あと響のアージ《死神の疾風》も本来はセットアップではなく、イニシアチブで行うものだった。まあ、一番最初のイニシアチブでやれば行動順も変わらない…筈だ、ルピナスの《甘い芳香》はあるが、うん。変わんない筈だよ。
GM:以上、今回分かった間違いでした。
四人:ごめんなさい。
GM:それでは、ここからはシナリオの解説と行きましょう。
SM:このシナリオは最初に説明したが、アタイ達の作者のリラが別サイトで掲載していた【スクールチルドレン】の設定を取り入れている。それ以外にもPC1が戦姫絶唱シンフォギアの主人公を元に作ったからその話もちらほら出たが、ちゃんとKH要素を含んでいるよ。
GM:【スクールチルドレン】だけをそのまま元に作ったら、クライマックスフェイズまで遠い道のりになりますからね。それと、もう一つ。【ディスカラードレルム】を人づてに聞いただけなので、ある動画のシナリオも参考に作っております。出来るだけパクリにならないよう、極力オリジナルを取り入れてます。
オパール:ところで、元はどんな話なの?
GM:リズさん達が]V機関メンバーと共にトワイライトタウンの学校に通う事になるんですが、学校での日常の中でルピナスと言うノーバディを中心とした人間を憎む存在達がリズさん達ノーバディを仲間に引き入れて世界全ての人間を滅ぼそうとする…と言う話ですね。
PC2を人間でない種族に指定したのは、ルピナス達の仲間に引き入れると言う役割を作る為です。今回は蒼空さんが人間でエンさんを代わりにしたため、エンさんを引き入れると言う話になってしまいましたが、これはこれでいい感じに疑心暗鬼になったので良しとします。
SM:まあ今回ので分かったと思うが、【スクールチルドレン】の話ではアタイとジェダイトはルピナスの仲間だったんだよ。具体的になにをしたかは伏せておくよ。ていうか伏せさせておくれ…!!!(頭押え)
クウ:あ、うん…何も聞かない、聞かないでおくからジェダイトも殺気ダダ漏れで天井を睨むな…(汗)
スピカ:今回のシナリオだけど、響の所為か歌の要素も多くなっちゃったわね。
SM:世界を滅亡させるって所は一緒だが、元ネタのやり方そのままだとやばいから……なんで、このシナリオではアルトネリコ風にさせて貰ったよ。リズとかレイシャとか歌ってる描写があるし、響の設定もあってうまい具合に取り込めたしね。
GM:まあ、実卓のネットを使ったオンセ(オンラインセッションの略)では演出の一環で音楽を使ったりしますからね。それと、他の二次創作でも歌詞を書いたりしているのがちらほら見かけましたので、シンフォギアで使われた歌を全部とは言わず一部をこうして取り入れてみました――との事です。
ルキル:あと途中で俺が使った【カノン】って、うたプリ二期のOP曲だよな…? (中の人的に)初めて出した曲じゃないよな?
GM:本当は一期の方のOP曲の【オルフェ】と迷ったそうですが、こちらの歌詞がダブルクロスの【エンドライン】の世界観と似ているし、特に二番の歌詞が丁度リクさんの心情とピッタリだと判断して決めたそうです。興味があるのでしたらアニメと共に曲の方も聞いて見てください…との事です。
オパール:うたプリもいいけど、今年夏放送の戦姫絶唱シンフォギア四期のAXZ(アクシズ)もよろしく!!
クウ:ここにきて怒涛の宣伝だな…。
GM:ここからは敵の解説ですね。ルピナスは元はグラッセさんとリズさんを元に生まれた存在だそうです。このダブルクロスの世界線では、凍矢と羽粋に寄生した特殊なレネゲイド――光同士を組み合わせて生まれたレネゲイドビーイングと言う設定です。アダムカドモンと言う実験から生まれた存在なので、【造られた魔】をDロイスにしました。
戦闘での行動も現代ステージでは防御と支援。このエンドラインでは攻撃と精神攻撃と逆にしていますが、これは元ネタからです。ルピナスですと、攻撃力と防御に特化しているバランスのいいタチの悪い剣士タイプとの事でしたので。
なので攻撃は火力と、嫌がらせも兼ねて攻撃を当てた相手を移動させると言うのも含んでいます。《フレイムタン》《拒絶の業火》など炎を連想するエフェクトを使ってはいますが、演出では氷としています。
更にEロイスの効果で、誰かをカバーリングすると浸蝕率を1D10上げると言うトラップを仕掛けていました。引っかかる事はありませんでしたが…。
SM:運切の元はアタイ、ラックだよ。Dロイスで【古代種】を選んだのは…ネタバレ関連に深く関わるから詳しくは言えないんだ。悪いね。
戦闘での行動は今のアタイとそんなに変わらないかな。攻撃力重視はもちろん、花を使った多少の妨害、あと使えなかったがオートで異常状態回復のエフェクトを習得していたんだ! くー、一発でいいから全力の攻撃当てたかったー!!
オパール&クウ&ルキル:やめてくださいしんでしまいます。
GM:ヒスイは僕です。Dロイスで【複製体】を選んだのにも理由はありますが、ラックさんと同じようにまだ言えません。
戦闘面では一緒なんですが…性格が違っていたんです。なので、エンドラインではアージを取得したり、避けられないよう達成値を上げたり、人数攻撃したりとえげつない構成にしています。
そしてEロイスの効果で、ヒスイが誰かを死亡させた場合において、ダメージに+1D。更にキャラを戦闘不能にさせた場合2DのHP回復を。ルピナスを先に戦闘不能にさせた場合、イニシアチブに割り込んでの攻撃――《加速する刻》と同様の効果が起こりました。運切の場合は即座に死亡する設定なので、この効果は起きません。
オパール:何て言うか…避けれて良かったわね、あたし達。
クウ:浸蝕率が良くても、下手すればもっと攻撃を受けたりする所だったんだな…。
GM:それでは、最後に経験点配布に行きますよー。
四人:待ってました!
GM:まず『セッションに最後まで参加した』。これは全員1点獲得ですね。
SM:次に『シナリオの目的を達成した』。これは世界を救えたから10点。これに【造られた魔】【複製体】【古代種】のDロイス三個と、シナリオで使ったEロイス20個。合計で23点だね。
GM:次は、『最終浸食値による経験点』。全員等倍で戻りましたが、5点は響さんだけ。蒼空さんと星華さんが4点。リカさんは3点ですね。
クウ:二倍で振って3点だから、俺と星華はまだいい方か。
スピカ:ふふ、お揃いね!
ルキル:俺はどっちにしろ変わらないか…まあ、2点じゃないだけマシか。
SM:次に『Sロイスをタイタスせずに所持していたか』。これも達成されてるから、全員に5点あげるよ。それと、【トリガーハンドアウトを開く事】に成功したからその分で5点獲得だね。
GM:『よいロールプレイをした』、『他のプレイヤーを助けるような発言や行動を行った』、『セッションの進行を助けた』。こちらも全員1点ずつですね。
SM:最後の『場所の手配、提供、連絡や参加者のスケジュール調整を行った』。これも1点ずつ皆に獲得だ。
さて、配分される経験点の合計は――
響 53点
蒼空 52点
星華 52点
リカ 51点
GM&SM 70点
オパール:すっごい貰えたー!
クウ:Eロイスが物凄く多かったからなー。その分難易度も凄かったが…。
スピカ:無事に終わって良かったわね。
ルキル:でもこの経験点、どこで使えばいいんだか…。
GM:ではこれにてセッションを終了しましょう。他の皆さんも卓が終わっている頃合いですしね。
SM:そう言えば、いつの間にか外野の騒がしい悲鳴が聞こえなくなってるね…。
スピカ:じゃあ、何時のもので終わりましょうか。さん、はい。
全員:お疲れ様でしたー!