Another chapter1 Sora side‐1 「新たなる始まり」
ゼムナスの野望を阻止し、世界に平和を取り戻してから数日が経った。
ここは、美しい青い海と小島が浮かぶ世界―――ディスティニーアイランド。
この離れ小島にある白い砂浜に、三人の子供達がいた。
「ひゃっほー!!」
「わー!!」
茶髪の少年と、赤い髪の少女―――ソラとカイリは笑顔を浮かべ、砂浜を走っている。
そんな二人から離れた所では、銀髪の少年―――リクが何処か呆れながら二人の後を歩いていた。
「そんなにはしゃぐなよ」
リクが軽く注意していると、二人は笑顔のまま振り返る。
「何だよ、久々の俺達の海なんだぞ!! もっと楽しめって!!」
「そうだよ!! ほら、早く!!」
そう言うなり、二人は更に走って前にイカダを作った入り江に行く。
この様子に、リクは肩を竦めるが満更でもないように笑みを浮かべていた。
「まったく…」
それだけ呟くと、二人の後を追いかけるように走り出した。
場所は変わり、ここはレイディアントガーデン。
この街の城の地下にあるアンセムの研究室。そこには、町を管理するコンピューターがある。
そのコンピュータールームで、一つの事件が起きていた。
「――どう、シド?」
一際大きな画面とキーボードのコンピューター。だが、その一部が焼き焦げている。
その近くにはエアリス、レオンがいて、コンピューターの傍にいるユフィが声をかける。
すると、座りながらコンピューターを弄っていたシドは顔を上げて首を振った。
「こりゃ、駄目だ。一から機械を取り替えないと直りそうにねえな…――まあ、応急処置だけでもやってみるか…」
そう言うと、また作業を開始する。
シドが作業に戻ると、レオン達は訝しげに目線を横に逸らす。
隅に置かれている、コンピューターに接続されていた焼け爛れたコードを。
「一体、誰がこんな事を…」
「昨日からハートレスも増えて、猫の手も借りたい程なのにねー」
レオンの呟きに、ユフィも思わず愚痴を零す。
メインコンピューターと共にこの町に設置されている防衛装置が壊れただけでなく、ハートレスの出現が再び増加したのだ。
二人が溜め息を吐いていると、不意にエアリスが顔を俯かせる。それに気付いたのか、レオンは声をかけた。
「エアリス、どうした?」
「うん……なんかね、嫌な予感がするんだ」
その言葉に、レオンだけでなくユフィもエアリスに目を向ける。
シドはそのまま作業をしつつ、耳をエアリスに傾けた。
「何か、起きそうな気がする。私達の世界だけじゃなくて、全部に」
そう言うと、エアリスは沈んだような表情を浮かべる。
エアリスの言葉にレオンも不安が過ぎる中、暗い空気を取り払おうとユフィは明るく言った。
「エアリス、考えすぎだって。まっ、何かあればこのユフィちゃんに任せなさい!!」
「調子に乗るな」
すかさずレオンがユフィの頭を軽く手刀で叩く。
「そうやって女の子の頭を叩くなー!!」
「おっ! どうにか動いたぜ!」
ユフィが恨めしそうに言った瞬間、シドが嬉そうに立ち上がった。
すぐに三人が目を向けると、シドがキーボードを動かして画面が起動する。
画面は所々荒いものの、トロンとの通信は出来るようだ。
三人はシドの傍に近付くと、エアリスが画面にいるトロンに声をかけた。
「トロン、大丈夫?」
『みんな…――そうか、僕は…』
「ああ。コンピューターをショートさせられてフリーズ状態だったんだ。で、誰がやったんだ?」
タバコを咥えながらシドが拳を鳴らしていると、トロンが急に大声で叫んだ。
『みんな、緊急事態なんだ!! ソラ達を呼んでくれないか!?』
何処か切羽詰ったトロンの言葉に、四人は困惑の表情を浮かべる。
言っては悪いが、コンピューターに関しての事ならばソラ達は不要所か逆に壊してしまう恐れだってある。
それはトロンも分かっている。それなのに、ソラ達が必要だと言う事は何か大きな事が起こると言う事になる。
しかし、今ソラ達は別の世界にいる。連絡を取ろうにも出来ない状況に、ユフィが頭を掻いた。
「って、いきなり言われても…」
『頼むよ!! これはすべての世界に関わる事なんだ!!』
この必死なトロンの様子に、シドはレオンを見る。
「どうする?」
「とりあえず、まずは王様にでも連絡を――」
「それは無理じゃ」
突然聞こえた声と共に、部屋の奥で煙が上がる。
煙が晴れると、そこには杖を持ったマーリンがいた。
「「マーリン様!?」」
エアリスとユフィが驚いていると、レオンは冷静に聞いた。
「無理とはどう言う事ですか?」
「今、王とドナルド達は大事な用件で手が離せない状況らしいのじゃ。まあ、ソラ達ならば故郷にいるから問題はないが」
「でも、どうやって呼びにいくの?」
「――だったら、あたしがグミシップで行こうか?」
ユフィが首を傾げると同時に、第三者の声が部屋に響く。
五人が入口を見ると、そこには腰まであるブロンドの髪に緑の目をした女性が、腰に片手を当てて立っていた。
尚、服装は黒のシャツに緑の短パン、上から黒のチャックの開いた袖なしのパーカーに頭には色落ちした茶色の長いバンダナをつけている。
この人物に、シドは目を丸くして茫然となって呟いた。
「お前…」
「今丁度、マーリン様の魔法を組み合わせた新しいグミシップが出来たの。それを使ってその人達の所に行くなら、『シエラ号』のテスト飛行にもなるしね」
そうやって笑いながら女性が言うと、急にシドの目が鋭くなった。
直後、傍にあるコンピューターを力任せに思いっきり叩くものだから、シドと女性以外はギョっとなる。
ザザザッと壊れたようなノイズの音がするが、シドは聞いておらずそのまま怒鳴り出した。
「馬鹿野朗!! お前は星の大海を舐めてるのか!? そもそも、まだ18のお前がグミシップの操作なんていくら何でも早すぎる!!」
「いいじゃない!! 大体ちゃんと設定入れればオートで運転出来るようなシステム、この前シドが入れてたでしょ!?」
「そ、それは…」
女性が正論で怒鳴り返すので、シドは思わず口篭もってしまう・
その様子に、女性はさらに追い討ちをかけて怒鳴り散らした。
「とにかく!! あたしだってちゃんと操縦の知識はあるし、戦いだって出来るんだから!! いい加減保護者面するのは止めてよね!!!」
「おい、待て!!」
飛び出すように部屋を出て行くので、慌ててシドが追いかける。
この親子喧嘩のような一部始終に、ユフィは溜め息を吐いた。
「あーあ…とうとう、シドの叔父馬鹿に限界が来たねー」
「しょうがないよ。逆に、ここまで耐えて来たのが不思議だもん」
あのエアリスもしみしみと言っている中、ギリギリ起動している状態のトロンがレオンに話しかけた。
『あの、あの子は…?』
「トロンは初めてだったな…――あいつは、オパール。少し前に『レイディアントガーデン』に帰郷した、シドの姪だ」
ここは、美しい青い海と小島が浮かぶ世界―――ディスティニーアイランド。
この離れ小島にある白い砂浜に、三人の子供達がいた。
「ひゃっほー!!」
「わー!!」
茶髪の少年と、赤い髪の少女―――ソラとカイリは笑顔を浮かべ、砂浜を走っている。
そんな二人から離れた所では、銀髪の少年―――リクが何処か呆れながら二人の後を歩いていた。
「そんなにはしゃぐなよ」
リクが軽く注意していると、二人は笑顔のまま振り返る。
「何だよ、久々の俺達の海なんだぞ!! もっと楽しめって!!」
「そうだよ!! ほら、早く!!」
そう言うなり、二人は更に走って前にイカダを作った入り江に行く。
この様子に、リクは肩を竦めるが満更でもないように笑みを浮かべていた。
「まったく…」
それだけ呟くと、二人の後を追いかけるように走り出した。
場所は変わり、ここはレイディアントガーデン。
この街の城の地下にあるアンセムの研究室。そこには、町を管理するコンピューターがある。
そのコンピュータールームで、一つの事件が起きていた。
「――どう、シド?」
一際大きな画面とキーボードのコンピューター。だが、その一部が焼き焦げている。
その近くにはエアリス、レオンがいて、コンピューターの傍にいるユフィが声をかける。
すると、座りながらコンピューターを弄っていたシドは顔を上げて首を振った。
「こりゃ、駄目だ。一から機械を取り替えないと直りそうにねえな…――まあ、応急処置だけでもやってみるか…」
そう言うと、また作業を開始する。
シドが作業に戻ると、レオン達は訝しげに目線を横に逸らす。
隅に置かれている、コンピューターに接続されていた焼け爛れたコードを。
「一体、誰がこんな事を…」
「昨日からハートレスも増えて、猫の手も借りたい程なのにねー」
レオンの呟きに、ユフィも思わず愚痴を零す。
メインコンピューターと共にこの町に設置されている防衛装置が壊れただけでなく、ハートレスの出現が再び増加したのだ。
二人が溜め息を吐いていると、不意にエアリスが顔を俯かせる。それに気付いたのか、レオンは声をかけた。
「エアリス、どうした?」
「うん……なんかね、嫌な予感がするんだ」
その言葉に、レオンだけでなくユフィもエアリスに目を向ける。
シドはそのまま作業をしつつ、耳をエアリスに傾けた。
「何か、起きそうな気がする。私達の世界だけじゃなくて、全部に」
そう言うと、エアリスは沈んだような表情を浮かべる。
エアリスの言葉にレオンも不安が過ぎる中、暗い空気を取り払おうとユフィは明るく言った。
「エアリス、考えすぎだって。まっ、何かあればこのユフィちゃんに任せなさい!!」
「調子に乗るな」
すかさずレオンがユフィの頭を軽く手刀で叩く。
「そうやって女の子の頭を叩くなー!!」
「おっ! どうにか動いたぜ!」
ユフィが恨めしそうに言った瞬間、シドが嬉そうに立ち上がった。
すぐに三人が目を向けると、シドがキーボードを動かして画面が起動する。
画面は所々荒いものの、トロンとの通信は出来るようだ。
三人はシドの傍に近付くと、エアリスが画面にいるトロンに声をかけた。
「トロン、大丈夫?」
『みんな…――そうか、僕は…』
「ああ。コンピューターをショートさせられてフリーズ状態だったんだ。で、誰がやったんだ?」
タバコを咥えながらシドが拳を鳴らしていると、トロンが急に大声で叫んだ。
『みんな、緊急事態なんだ!! ソラ達を呼んでくれないか!?』
何処か切羽詰ったトロンの言葉に、四人は困惑の表情を浮かべる。
言っては悪いが、コンピューターに関しての事ならばソラ達は不要所か逆に壊してしまう恐れだってある。
それはトロンも分かっている。それなのに、ソラ達が必要だと言う事は何か大きな事が起こると言う事になる。
しかし、今ソラ達は別の世界にいる。連絡を取ろうにも出来ない状況に、ユフィが頭を掻いた。
「って、いきなり言われても…」
『頼むよ!! これはすべての世界に関わる事なんだ!!』
この必死なトロンの様子に、シドはレオンを見る。
「どうする?」
「とりあえず、まずは王様にでも連絡を――」
「それは無理じゃ」
突然聞こえた声と共に、部屋の奥で煙が上がる。
煙が晴れると、そこには杖を持ったマーリンがいた。
「「マーリン様!?」」
エアリスとユフィが驚いていると、レオンは冷静に聞いた。
「無理とはどう言う事ですか?」
「今、王とドナルド達は大事な用件で手が離せない状況らしいのじゃ。まあ、ソラ達ならば故郷にいるから問題はないが」
「でも、どうやって呼びにいくの?」
「――だったら、あたしがグミシップで行こうか?」
ユフィが首を傾げると同時に、第三者の声が部屋に響く。
五人が入口を見ると、そこには腰まであるブロンドの髪に緑の目をした女性が、腰に片手を当てて立っていた。
尚、服装は黒のシャツに緑の短パン、上から黒のチャックの開いた袖なしのパーカーに頭には色落ちした茶色の長いバンダナをつけている。
この人物に、シドは目を丸くして茫然となって呟いた。
「お前…」
「今丁度、マーリン様の魔法を組み合わせた新しいグミシップが出来たの。それを使ってその人達の所に行くなら、『シエラ号』のテスト飛行にもなるしね」
そうやって笑いながら女性が言うと、急にシドの目が鋭くなった。
直後、傍にあるコンピューターを力任せに思いっきり叩くものだから、シドと女性以外はギョっとなる。
ザザザッと壊れたようなノイズの音がするが、シドは聞いておらずそのまま怒鳴り出した。
「馬鹿野朗!! お前は星の大海を舐めてるのか!? そもそも、まだ18のお前がグミシップの操作なんていくら何でも早すぎる!!」
「いいじゃない!! 大体ちゃんと設定入れればオートで運転出来るようなシステム、この前シドが入れてたでしょ!?」
「そ、それは…」
女性が正論で怒鳴り返すので、シドは思わず口篭もってしまう・
その様子に、女性はさらに追い討ちをかけて怒鳴り散らした。
「とにかく!! あたしだってちゃんと操縦の知識はあるし、戦いだって出来るんだから!! いい加減保護者面するのは止めてよね!!!」
「おい、待て!!」
飛び出すように部屋を出て行くので、慌ててシドが追いかける。
この親子喧嘩のような一部始終に、ユフィは溜め息を吐いた。
「あーあ…とうとう、シドの叔父馬鹿に限界が来たねー」
「しょうがないよ。逆に、ここまで耐えて来たのが不思議だもん」
あのエアリスもしみしみと言っている中、ギリギリ起動している状態のトロンがレオンに話しかけた。
『あの、あの子は…?』
「トロンは初めてだったな…――あいつは、オパール。少し前に『レイディアントガーデン』に帰郷した、シドの姪だ」
■作者メッセージ
突然インターネットが繋がらず、十日以上でようやく機種を変えてこうして接続に成功しました。
今まで遅れた分、少しは投稿スピードを上げて夢さんにバトンタッチ出来るように頑張ります。
何せ、私の住んでいる地域では六月中に大地震が来ると専門家が予想されているので……リアス式海岸ではないので津波の被害は大丈夫だと思うのですが…。
今まで遅れた分、少しは投稿スピードを上げて夢さんにバトンタッチ出来るように頑張ります。
何せ、私の住んでいる地域では六月中に大地震が来ると専門家が予想されているので……リアス式海岸ではないので津波の被害は大丈夫だと思うのですが…。