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Re:開闢の宴 合併リレー小説

NANA&夢旅人

INDEX

  • あらすじ
  • 01 序章【動き出す者】
  • 02 第一章 心剣士編第一話「仮面の女」
  • 03 第一章 心剣士編第二話「古戦場/王手詰み」
  • 04 第一章 心剣士編第三話「仮面/難解」
  • 05 第一章 心剣士編第四話「訪問者」
  • 06 第一章 心剣士編断章 「蠢き続ける計画」
  • 07 Another an introduction 【終わりから始まりへ】
  • 08 Another chapter1 Sora side‐1 「新たなる始まり」
  • 09 Another chapter1 Sora side‐2
  • 10 Another chapter1 Sora side‐3
  • 11 Another chapter1 Sora side‐4
  • 12 Fragment1 「旅のチケット」
  • 13 第一章 永遠剣士編第一話「永遠」
  • 14 第一章 永遠剣士編第二話「タルタロス」
  • 15 第一章 永遠剣士編第三話「仮面の遠謀/タルタロス到着」
  • 16 第一章 永遠剣士編第四話「塔/襲撃」
  • 17 第一章 永遠剣士編第五話「戦の始まり」
  • 18 第一章 永遠剣士編第六話「火種/孔」
  • 19 第一章 永遠剣士編第七話「黒龍魔王/猫」
  • 20 第一章 永遠剣士編第八話「イヴ」
  • 21 第一章 永遠剣士編第九話「アガレス・グシフォン」
  • 22 第一章 永遠剣士編第十話「歌姫/流星」
  • 23 第一章 永遠剣士編第十一話「途絶/酷い奴」
  • 24 第一章 永遠剣士編第十二話「仮面の情報」
  • 25 第一章 永遠剣士編断章「仮面/永遠/凛那」
  • 26 Another chapter2 Terra side‐1 「止まり、開かれし物語」
  • 27 Another chapter2 Terra side‐2
  • 28 Another chapter2 Terra side‐3
  • 29 Fragment2「介入」
  • 30 Another chapter3 Aqua side‐1「光の行く先へ」
  • 31 Another chapter3 Aqua side‐2
  • 32 Another chapter3 Aqua side‐3
  • 33 Fragment3「試練」
  • 34 第二章 心剣士編第一話/第二話「嵐の前の静寂/布告」
  • 35 第二章 心剣士編第三話「戦のはじまり」
  • 36 第二章 心剣士編第四話「爻わる刃たち」
  • 37 第二章 心剣士編第五話「鬼人」
  • 38 第二章 心剣士編第六話「贖罪」
  • 39 第二章 心剣士編第七話「Sinの理」
  • 40 第二章 心剣士編第八話「妖刀/天舞剣 」
  • 41 第二章 心剣士編第九話「正体/無轟の家」
  • 42 第二章 心剣士編第十話「斬る覚悟」
  • 43 第二章 心剣士編断章「約定」
  • 44 第二章 反剣士編第一話「黒羽の旅人」
  • 45 第二章 反剣士編第二話「アダム/竜泉郷」
  • 46 第二章 反剣士編第三話「来訪/白竜」
  • 47 第二章 反剣士編第四話「ゼロボロスとシンメイ」
  • 48 第二章 反剣士編第五話「龍神シンメイ/双龍の過去」
  • 49 第二章 反剣士編第六話「新たな関係」
  • 50 第二章 反剣士編第七話「語らい」
  • 51 第二章 反剣士編第八話「顰める真実」
  • 52 Another chapter4 Sora&Terra side‐1「時を超えた再会」
  • 53 Another chapter4 Sora&Terra side‐2
  • 54 Another chapter4 Sora&Terra side‐3
  • 55 Another chapter4 Sora&Terra side‐4
  • 56 Another chapter4 Sora&Terra side‐5
  • 57 Another chapter4 Sora&Terra side‐6
  • 58 Fragment4-1「届かぬ思い」
  • 59 Fragment4‐2「本気の戦い」
  • 60 Fragment4-3
  • 61 Another chapter5 Aqua side‐1「共に守る一つの想い」
  • 62 Another chapter5 Aqua side‐2
  • 63 Another chapter5 Aqua side‐3
  • 64 Another chapter5 Aqua side‐4
  • 65 Fragment5-1「異世界からの来訪者」
  • 66 Fragment5-2
  • 67 NGハプニング集・3D版 前編
  • 68 NGハプニング集・3D版 後編
  • 69 第三章 三剣士編第一話「出立/口論」
  • 70 第三章 三剣士編第二話「追跡/解除」
  • 71 第三章 三剣士編断章壱 「裏切り者アバタール」
  • 72 第三章 三剣士編第三話「会合」
  • 73 第三章 三剣士編第四話「心剣世界」
  • 74 第三章 三剣士編第五話「蒼炎の女神」
  • 75 夢旅人誕生日記念作品・祝おう、騒ごう、生き延びれのトークショー!? 前編
  • 76 夢旅人誕生日記念作品・祝おう、騒ごう、生き延びれのトークショー!? 後編
  • 77 第三章 三剣士編第六話「秩序の騎士アルビノーレ」
  • 78 第三章 三剣士編第七話「大地の半神アレスティア」
  • 79 第三章 三剣士編第八話「襲撃! KR」
  • 80 第三章 三剣士編第九話「ゼロボロス/シンメイ」
  • 81 第三章 三剣士編第十話「揃う切っ先」
  • 82 Another chapter6 Sora&Aqua side‐1「鏡の再会」
  • 83 Another chapter6 Sora&Aqua side‐2
  • 84 Another chapter6 Sora&Aqua side‐3
  • 85 Another chapter6 Sora&Aqua side‐4
  • 86 Another chapter6 Sora&Aqua side‐5
  • 87 Another chapter6 Sora&Aqua side‐6
  • 88 Another chapter6 Sora&Aqua side‐7
  • 89 Another chapter6 Sora&Aqua side‐8
  • 90 Another chapter6 Sora&Aqua side‐9
  • 91 Fragment6‐1「鍵が奏でる戦い」
  • 92 Fragment6-2
  • 93 第四章 三剣士編第一話「僅かな一幕 その1」
  • 94 第四章 三剣士編第二話「焦り」
  • 95 リラ様の誕生日記念企画・少年よ大志を抱け?(前編)
  • 96 リラ様の誕生日記念企画・少年よ大志を抱け?(中編)
  • 97 リラ様の誕生日記念企画・少年よ大志を抱け?(後編)
  • 98 第四章 三剣士編第三話「集い地」
  • 99 第四章 三剣士編第四話「箱舟モノマキア」
  • 100 第四章 三剣士編第五話「協議」
  • 101 第四章 三剣士編断章「黄泉の細道」
  • 102 Another chapter7 Terra&Aqua side‐1「夕日が照らす陰と陽」
  • 103 Another chapter7 Terra&Aqua side‐2
  • 104 Another chapter7 Terra&Aqua side‐3
  • 105 Another chapter7 Terra&Aqua side‐4
  • 106 Another chapter7 Terra&Aqua side‐5
  • 107 Another chapter7 Terra&Aqua side‐6
  • 108 Another chapter7 Terra&Aqua side‐7
  • 109 Another chapter7 Terra&Aqua side‐8
  • 110 Another chapter7 Terra&Aqua side‐9
  • 111 Fragment7‐1「記憶と思いの力」
  • 112 Fragment7‐2
  • 113 Fragment7‐3
  • 114 Fragment7‐4
  • 115 第五章 三剣士編第一話「前夜」
  • 116 第五章 三剣士編第二話「たどり着いた世界の光景」
  • 117 第五章 三剣士編第三話「開戦」
  • 118 第五章 三剣士編第四話「先魁」
  • 119 第五章 三剣士編第五話「光に宿る影」
  • 120 第五章 三剣士編第六話「無浄輪無廻」
  • 121 第五章 三剣士編第七話「二人の最果て」
  • 122 第五章 三剣士編第八話「第四島攻略前編」
  • 123 第五章 三剣士編第九話「第四島攻略後編」
  • 124 第五章 三剣士編第十話「第二島攻略前編」
  • 125 第五章 三剣士編第十一話「第二島攻略後編」
  • 126 第五章 三剣士編第七話「幕間1」
  • 127 第五章 三剣士編第十二話「第五島攻略前編」
  • 128 第五章 三剣士編第十三話「第五島攻略後編」
  • 129 第五章 三剣士編第十四話「第三島攻略序」
  • 130 第五章 三剣士編第十五話「第三島攻略破」
  • 131 第五章 三剣士編第十六話「第三島攻略急の壱」
  • 132 第五章 三剣士編第十七話「第三島攻略急の弐」
  • 133 第五章 三剣士編第十八話「第一島へ」
  • 134 Another chapter8 Sora side‐1「儚き海の哀歌」
  • 135 Another chapter8 Sora side‐2
  • 136 Another chapter8 Sora side‐3
  • 137 Another chapter8 Sora side‐4
  • 138 Another chapter8 Sora side‐5
  • 139 Another chapter8 Sora side‐6
  • 140 Another chapter8 Sora side‐7
  • 141 Another chapter8 Sora side‐8
  • 142 Another chapter8 Sora side‐9
  • 143 Another chapter8 Sora side‐10
  • 144 Another chapter8 Sora side‐11
  • 145 Another chapter8 Sora side‐12
  • 146 Another chapter8 Sora side‐13
  • 147 Another chapter8 Sora side‐14(あとがき追記しました)
  • 148 Fragment8‐1「天使のレクイエム」
  • 149 Fragment8‐2
  • 150 第六章 三剣士編第一話「沸き立つ心」
  • 151 第六章 三剣士編第二話「魂の慟哭」
  • 152 第六章 三剣士編第三話「時と空の防陣」
  • 153 第六章 三剣士編第四話「記憶の再編」
  • 154 第六章 三剣士編第五話「魔K刀リンナ」
  • 155 第六章 三剣士編第六話「煌く炎」
  • 156 第六章 三剣士編第七話「戦闘 アバタール」
  • 157 第六章 三剣士編第八話「戦いの果て」
  • 158 第六章 三剣士編第九話「真実へ」
  • 159 第六章 三剣士編第十話「神理と代行体」
  • 160 第六章 三剣士編第十一話「ユニテ・イリアドゥス」
  • 161 第六章 三剣士編第十二話「共有」
  • 162 第六章 三剣士編第十三話「蒼と茜」
  • 163 第六章 三剣士編第十四話「運命の軌」
  • 164 Another chapter9 Terra side‐1 「交差せし歯車」
  • 165 Another chapter9 Terra side‐2
  • 166 Another chapter9 Terra side‐3
  • 167 Another chapter9 Terra side‐4
  • 168 Another chapter9 Terra side‐5
  • 169 Another chapter9 Terra side‐6
  • 170 Fragment9「始まりを紡ぎし者達」
  • 171 Another chapter10 Aqua side‐1「黄昏に眠りし歪んだ人形」
  • 172 Another chapter10 Aqua side‐2
  • 173 Another chapter10 Aqua side‐3
  • 174 Another chapter10 Aqua side‐4
  • 175 Fragment10-1「真(まこと)に隠された偽り」
  • 176 Fragment10-2
  • 177 Fragment10-3
  • 178 Fragment10-4(あとがき追記しました)
  • 179 第七章 罪業編第一話「深き混沌の過去」
  • 180 第七章 罪業編第二話「χブレード」
  • 181 第七章 罪業編第三話「開闢の英雄」
  • 182 第七章 罪業編第四話「白と黒」
  • 183 第七章 罪業編第五話「いざや進め」
  • 184 第七章 三剣士編第一話「結びつく絆 前編」
  • 185 第七章 三剣士編第二話「結びつく絆 後編/神理とは」
  • 186 第七章 三剣士編第三話「一時の暇」
  • 187 Another the last chapter‐1 「絶望へのカウントダウン」
  • 188 Another the last chapter‐2
  • 189 Another the last chapter‐3
  • 190 Another the last chapter‐4
  • 191 Another the last chapter‐5
  • 192 Another the last chapter‐6
  • 193 Another the last chapter‐7
  • 194 Another the last chapter‐8
  • 195 Another the last chapter‐9
  • 196 Another the last chapter‐10
  • 197 Another the last chapter‐11
  • 198 Another the last chapter‐12
  • 199 Another the last chapter‐13
  • 200 Another the last chapter‐14
  • 201 Another the last chapter‐15
  • 202 Another the last chapter‐16
  • 203 Another the last chapter‐17
  • 204 Another the last chapter‐18
  • 205 Another the last chapter‐19
  • 206 Another the last chapter‐20
  • 207 Another the last chapter‐21
  • 208 Another the last chapter‐22
  • 209 Another the last chapter‐23
  • 210 Another the last chapter‐24
  • 211 Another the last chapter‐25
  • 212 Another the last chapter‐26
  • 213 Another the last chapter‐27 (あとがき追記しました)
  • リラ様の誕生日記念企画・少年よ大志を抱け?(後編)

     問題:次の文章を聞いて(読者の皆様は読んで)、問いに答えなさい。


     Sora got the letter from Kairi yesterday. It is said that a relative's marriage will be performed if a letter is read. Then, it decided for Riku to also invite and to prepare a party by three persons. Although Kairi returned on business on the way, Since two persons remained and prepared, the party was able to be held on the next day.

     Now, why was the party prepared?


    (尚、この英文は日本語で作った文章を和訳のサイトを使って英文にしました。元の内容を知りたい方は後で作者メッセージをご覧ください)


    「さ、聞き終わりましたね? では、分かった方は手を上げなさい」

     リスニングを聞き終わらせると、ウィドは冷めた目で全員を見回す。
     すると、ルキルだけでなくムーンも手を上げる。これにはクウが目を丸くする。

    「ムーン? お前、分かったのか?」

    「所々しか聞き取れなかったが、ある程度は理解した」

    「では、答えて貰いましょうか。変な答えだったら容赦しませんよ?」

     頷くムーンに、ウィドは笑顔を浮かべながら抜刀の構えをする。もはや脅しである。
     だが、そんな脅しに負けないようにムーンは自分の答えを述べた。


    「ああ…――リクとソラが結婚するから、パーティーの準備をした」


    「「「「ブーーーーーーーっ!!?」」」」


     ムーンの驚くべき答えに、クウだけでなくロクサス、ヴァニタス、ルキルが吹いてしまう。
     そんな中、ウィドは先程の怒りも忘れて口元を引くつかせた。

    「…何故、そのような答えに?」

    「いや、答えの所は理解したんだが本文の単語が分からなくて。なんで、聞き取れた人の単語を組み合わせた」

    「そうですか。ではルキルの答えを――」

    「待てぇぇぇーーーーーーっ!!! 頼むからツッコミを入れさせろぉ!!!」

     そのまま遠い目でスルーするウィドを引き留める様に、クウが大声を上げる。
     そして、クウの心の叫びを合図に真っ先にヴァニタスが睨みつけた。

    「ムーン!!! お前何て言う訳し方だぁ!!?」

    「言っただろ? 聞き取れた単語を組み合わせただけだって」

     真顔でヴァニタスに言うが、納得する訳もなく今度はルキルが睨みつける。

    「普通はそんな訳絶対にしないだろっ!!!」

    「何言ってんだよ、世界は広いんだ。同性愛者が結婚出来る国だってあるぞ?」

     そんな知識を説明していると、クウも睨みながら指を差した。

    「故意だろ!? お前絶対に故意だろぉ!!?」

    「だからどうした?」

    「「「開き直ったよこいつっ!!?」」」

     何の悪びれも無く白状するムーンに、クウ、ルキル、ヴァニタスのツッコミが炸裂する。
     思わず唖然とする三人を無視し、ムーンは何処か冷めた笑みを浮かべて机に肘を置いて寄りかかった。

    「ああ、そうさ。こう発言すればリクのイメージ下がると思ってやってみたんだ。あれだけ敵になって置きながら最後は味方で新作では主役…――あいつなんて、誰かを傷付けるだけの存在だっただろ!!! どいつもこいつも皆騙されやがって、ホンットムカつくんだよぉ!!!」

    「ムーン…――俺もシオン関係で痛いほど気持ちは分かる。だが…その為にソラまで巻き込まないでくれないかっ!!?」

    「そうだよ!! 私の父さんはソラのノーバディなのよ!? 父さんにまで悪いイメージ付いちゃうじゃない!!!」

     ムーンの心からの嫉妬に同情するも、さすがのロクサスとリズも今の発言は許せないようだ。
     親友と尊敬している人に責められ、さすがのムーンも頭を下げて反省した。

    「す、すまない二人とも…」

    「とりあえず、これで解決か…?」

     謝っているムーンを見ながら、ヴァニタスは呆れた表情で腕を組む。
     だが、残りの三人は何処か強張った表情でムーンを見ていた。

    「いや、これぐらいで解決すれば犠牲者は出ない」

    「それはどう言う…――ん? 何だこの音?」

     クウに聞き返していると、何処からか『ゴゴゴ…』と唸り声のような音が。
     ヴァニタスだけでなく残りの三人も辺りを見回している中、神妙な面付きでクウが話を続けた。

    「あいつらは別の作品のオリキャラだし、ロクサスもこの作品に出ないから知らないだろうが…」

     そう説明していると、教室のドアが吹き飛ぶ。
     同時に、大量の水が入ってきてなんとムーンを呑み込んだ。

    「な、何だこの激流はぁぁぁーーーーーーーーーーっっっ!!!??」

    「「ムーン!!?」」

     まるで意思を持つかのようにムーンだけを呑み込むなり、教室の外へと連れて行くように水が引く。
     これには三人も呆気に取られていると、ルキルが重い口を開いた。

    「確かに、ホンモノは敵を多く作っているが…」

    「こちらでは、ちゃーんと味方がいるんですよ…それも、強力な味方がねぇ…」

    「そっ…それって、一体…?」

     リズが恐る恐る聞くと、三人は黙ってある方向に指を差す。
     目を向けると、学校から見える遠くの海岸でムーンがずぶ濡れの状態で四つん這いになっていた。

    「げほっ、ごほっ…!? ど、何処だここは…!!」

     ムーンが咳込みながらも辺りを見回していると、目の前に誰かが踏み込んだのか細い足が視界に入る。
     ゆっくりと顔を上にあげると、そこには長い金髪に緑目の女性が怒りのオーラを漂わせて立っている。
     この作者の作品を読んだ人なら分かるだろう。登場人物の一人であるオパールだ。

    「うふふふふ…あんたがリクの子供、ねぇ…!! ホント、生意気な所とか勝気な所とかソックリだけど……やっていい事と悪い事があるわねぇぇぇ…!!!」

    「だ、誰だよあんたぁ!!?」

     満面の笑みを浮かべながら拳を鳴らすオパールに、ムーンは恐ろしさを感じつつもキーブレードを取り出す。
     そんなムーンに、今度は背後から聞き覚えのある声がかけられた。

    「ムーン君? ちょっとお話イイカナァ?」

    「カ、カイリ小母、サン…!? そ、その手に持ってる禍々しいキーブレードは一体何処でぇ…!!?」

     振り返ってカイリを見るなり、さっきの勢いは何処かに消えて後退りしてしまう。
     それもそうだろう。カイリの手には何故かマスター・ゼアノートが持っているキーブレードを握っているのだから。
     しかも、今のカイリは15歳の姿。その状態で恐ろしい程の満面の笑みを浮かべてムーンを見ている。恐怖を抱かないのがおかしい。

    「さあ? オパールに事のあらまし聞いた時に、いきなりこのキーブレードが出たの♪ フシギダネェ?」

    「ヒ、ヒィイイイイッ…!!?」

     もはや目が必殺仕事人のように冷え切っているのが伝わり、全身を震わせるムーン。
     その間に、オパールも目を鋭くし腰のナイフを光らせながら抜いた。

    「あんたの母親に変わって…リクの事、たっぷりと調教してア・ゲ・ル♪」

    「く、来るな…来るなぁぁぁ!!!!!」

     もはやラスボスでさえも逃げ出すほどの狂気に駆られた二人に、ムーンは成す術もなく悲鳴を上げるしかなかった。
     そんな三人から少し離れた場所では、何故か敵キャラであるリリスが冷や汗を掻いて二人から必死で視線を逸らす為に海を見ていた。

    「お前に罪はないが、許せ…――でないと、我が二人に殺される…っ!!!」



     場所は戻り、教室の中…。

    「うわぁ…ここからでも、ムーンの痛々しい悲鳴が聞こえる…」

    「い、一体何が…!?」

     リズとロクサスが遠い目で窓の外を見る中、ウィドはルキルに顔を向けた。

    「――ルキル、答えを」

    「…親戚が結婚するから、パーティーの準備をした…」

    「どうせムーンは帰って来れそうにないですし、最後の問題に行きましょうか」

     完全に外の光景を無視すると、ウィドは再度黒板に書きだした。


     問題:次の古語の意味を答えなさい。かなし・たまはる・いみじ


    「さ、分かりますか?」

     問題を書き終えて振り返ると、リズ達三人は首を傾げていた。

    「かなし…悲しいって事?」

    「たまはる…玉を張る?」

    「いみじ…忌子の事か?」

     リズ、ロクサス、ヴァニタスの答えに、ウィドは再び顔を俯かせて全身を震わせた。

    「誰でもいい…――エンを呼べ。カルマでも構わない、こいつらをχブレードで制裁してやれぇぇぇ…っ!!!」

    「頼むから、落ち着け…目が血走ってる」

     クウがウィドの肩を叩いていると、ルキルが思いっきり溜息を吐いて四人に説明した。

    「“かなし”は【愛し】って書いて、可愛い・愛しいって意味だ。“たまはる”は【賜わる】や【給わる】と書いて、目上の人からいただく。そして、“いみじ”は恐ろしいと素晴らしいの2つの意味がある…」

    「へー、そうなの…ま、とにかくこれで勉強終わりね!」

     ルキルの説明が終わるなり、リズは嬉しそうに立ち上がる。
     同時に、ロクサスとヴァニタスも立ち上がって背伸びをした。

    「長かったぁ…さっさと時計台でアクセルとシオンとアイス食べに行くか!」

    「俺も新作の事があるし、さっさと戻るか…」

     そう言うなり、授業を終えた三人は元の世界へと戻る為に、先程リリスによって壊された教室のドアへと向かう―――


    「誰がお前達を帰すと言った?」


    「「「ハ?」」」


     が、その途中で三人に向かってウィドが冷めた声で言う。
     思わず振り返ると、ウィドは目を鋭くして三人を睨んでいた。

    「テストをしてみれば、ルキル以外全然授業内容を理解していないではないか……今日は全員、このまま補習だぁぁぁっ!!!」

    「「「えええぇぇーーーーーーーーーーーーーーっっっ!!!??」」」

     補習決定に三人が大声を張り上げる中、クウとルキルは目を逸らしながらウィドから離れた。

    「じゃ、俺は帰るんで…」

    「先生、後は頑張って…」

     そそくさと教室から出ようとした二人だが、その前にウィドがコートの首元を握りしめた。

    「お前達も残れぇ!!! 時間の許す限り、徹底的にこの馬鹿達に授業を叩きつけてやるのだぁぁぁ!!!」

    「はああっ!? なんで俺までっ!!?」

    「せ、先生…俺はちゃんと授業を理解してるだろ? だから――」


    「『八刀一閃』っ!!!」


    「「ぎゃあああああああああああああっ!!!??」」


     何故かセフィロスの技を使って二人まとめて斬り刻むウィド。
     二人がボロボロになって倒れると、ウィドはすっきりしたのかニッコリと笑顔を作って剣を収めた。

    「さあ、皆さーん。ちゃんと勉強しないとこうなりますからね? 分かりましたか?」

    「「「イエス、マイロード」」」

     この一連の行動に、三人は片言で答えるなり手を上げて敬礼してしまう。
     こうして特別授業は続行となり、彼らがようやく解放されたのは三日後だったと言う…。



                  終わり

    12/02/20 11:54 NANA&夢旅人   

    ■作者メッセージ
     NANA「と言う訳で、リラさんに贈る誕生日企画が終了です。あまりの文章の多さに三つほど分けましたが、ボリュームもあって良かったかなと思ってはいます」
     リズ「『ホーリーライズ』ゥ!!!」
     ムーン「『ダークファイガ』ァ!!!」
     NANA「はぎゃああああああああああっ!!?」
     リズ「あんたぁ…よくもこんな企画に巻き込んでくれたわねぇぇぇ…!!?」
     ムーン「俺達の作者が【殺戮祭り】って呼称しただけの事はあるなぁぁ…!!?」
     NANA「ま、待て…だって、こうでもしないとあんたら勉強なんてしないだろ…!?」
     リズ「当たり前でしょぉ!!! ウィドがあんな強さじゃなかったら学校ごとぶっ飛ばして企画ごと跡形も無く消し飛ばすわよっ!!!」
     ムーン「俺だってついでにルキルって奴をブッ飛ばしていたのに、邪魔しやがってぇ!!!」
     NANA「あんたら二人がそうだから、今回はこうするしか方法が無かったんでしょ!!?」
     リズ「言い訳がましいわよ!!! 三日も戦闘出来ずに缶詰め状態で勉強させられた恨み…!!!」
     ムーン「トンベリの如く、お前に全てをぶつけてやるぅぅぅ!!!」
     NANA「FFの有名なモンスター出すんじゃない…って、ふぎゃああああああああああああっ!!!??」


     これにて、本当に誕生日企画小説は終了です。こんなプレゼントですが、リラ様本当にお誕生日おめでとうございます。

     最後に、問題にあった英文の元を下に乗せておきます。


     昨日、ソラはカイリから手紙を貰いました。手紙を読むと、親戚の結婚が行われるそうです。そこで、リクも誘って3人でパーティーの準備をする事にしました。途中でカイリは用事で帰りましたが、2人が残って準備したおかげで次の日にはパーティーを開く事が出来ました。

     さて、どうしてパーティーの準備をしたのでしょうか?
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